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連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第114回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第114回は、フオ・スィチアン監督が演出を務めた、映画『ブラインド・ウォー 盲目の戦士』です。
犯罪組織のボスであるマックイーンの裁判中、裁判所内が爆発。警察の特殊部隊に所属するドン・グーは単独で現場に急行します。
マックイーンに恨みがある殺し屋のレドとシーナに遭遇したドン・グーは、レドを倒し現場を制圧。しかしその代償として視力を失ってしまった挙句、単独行動の責任を負わされ警察をクビになってしまいます。
そんなドン・グーの唯一の心の支えであった一人娘のヤーティーが、犯罪組織に拉致されてしまうのです……。
2022年製作の中国のアクション映画『ブラインド・ウォー 盲目の戦士』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら
映画『ブラインド・ウォー 盲目の戦士』の作品情報
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【公開】
2022年(中国映画)
【原題】
盲戦 Blind War
【脚本】
リン・ラオゴウ
【監督】
フオ・スィチアン
【キャスト】
アンディ・オン、ヤン・シン、ワン・ハンヤン、チー・シェンハン、タオ・タオ、チャン・ヤーチー
【作品概要】
「マーシャル・ユニバース」シリーズのフオ・スィチアンが監督を務めた中国のアクション作品。とある事件を機に視力を失った元特殊部隊員が、犯罪組織に拉致された愛する娘を救出すべく戦う姿を描き出します。
『ゾンビ・ファイトクラブ』(2014)や『ブラックハット』(2015)などに出演するアンディ・オンが主演を務めています。
映画『ブラインド・ウォー 盲目の戦士』のあらすじとネタバレ
殺人、人身売買、麻薬の製造および流通など、複数の国際犯罪に関与してきた犯罪組織のボスであるマックイーンの裁判中、裁判所内で突如爆発が起こります。
マックイーンの護送のために裁判所の外で待機していたヴェラニア警察の特殊部隊(以下、ヴェラニア特警部隊)情報部の隊長ドン・グーは、独断で現場へと急行します。
爆発が起きた法廷から出てきたのは、マックイーンに恨みを抱く殺し屋のレドとシーナ。さらにそこに傍聴席や、裁判所の外に配達屋と風船配りのピエロに変装した組織の構成員たちも加わり、裁判所内外で銃撃戦を繰り広げていきます。
銃撃戦の末、レドを倒し現場を制圧したドン・グーでしたが、その代償に両目の視力を失ってしまいました。挙げ句の果てに、独断で管轄外の裁判所内へ突入した責任を問われ、ドン・グーはヴェラニア警察をクビになってしまいました。
事件後のドン・グーの生活は地獄でした。先の戦いで殉職した隊員たちの遺族に罵倒され、メディアからも激しくバッシングされ、視力の喪失も相まって、彼は躁鬱状態かつPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまいました。
そんなドン・グーの唯一の心の支えは、彼の一人娘であるヤーティーでした。ヤーティーが奏でるバイオリンの音を聞くと、気が休まるのです。
やがてドン・グーの肉体は、失った視力を補うために他の器官の感覚が研ぎ澄まされ、驚異的な聴力を手にします。そして日々のトレーニングとリハビリを続けた結果、ドン・グーは類まれなる身体能力をも手に入れたのです。
後日、マヌラ。ドン・グーはヤーティーの卒業旅行を兼ねて、彼女が出場するコンクールに応援に行きました。しかし本番直前、ヤーティーは自身が所属するユーダー高校の吹奏楽部の部員に大事な楽譜を盗まれてしまい、コンクールで自慢のバイオリンを披露することができません。
ドン・グーは沢山の楽器が奏でる音から、ヤーティーが弾くバイオリンの音がないことに気づき、彼女にメールを送ろうとします。すると同時に、ヴェラニア特警部隊・情報部の副隊長アーユンから電話がかかってきて、刑務所にいるシーナはマヌラ人であることを知りました。
そんなことで電話してきたのかと怒り、アーユンの言葉を遮り電話を切るドン・グー。コンクールが終わり、ユーダー高校の吹奏楽部とその顧問と劇場の廊下ですれ違うも、誰もヤーティーがどこにいるのか教えてくれません。
そんなドン・グーのもとに、ヤーティーから電話がかかってきます。ヤーティーは謎の男たちに誘拐されそうになっていたのです。
ドン・グーは耳を澄ませ、電話から聞こえてきた音を頼りに劇場の地下駐車場へ向かいます。ですが地下駐車場に出た瞬間、ドン・グーは娘を誘拐した者たちが乗る車にはねられてしまうのでした。
それから数時間後。ドン・グーの通報により、誘拐されたヤーティーの捜索に出た地元警察のマヌラ警察は、橋の下の女子高生の遺体を発見。
マヌラ警察のラマ刑事は、彼女の顔は潰れているものの身元確認はできるため、ドン・グーに誘拐された娘かどうかの確認を頼みました。ドン・グーはまさかそんなと思いながら、遺体の身元の確認を手探りで行っていきますが、娘ならあるはずの左手のタコがありませんでした。
ドン・グーは、バイオリン奏者が持つ道具が遺品にあったことから、この遺体が娘だと断定するラマ刑事に激高し暴行してしまいます。
その一件がニュース番組で報道され、それを見たシーナはニヤリと笑い、犯罪組織お抱えの弁護士のジョウが持ってきた他の刑務所への移送願いにサインをしました。しかしシーナの移送は、マックイーンの息子ジャー・クンが父親を殺した彼女を殺すために仕組んだ罠でした。
シーナの移送中、ジャーが差し向けた犯罪組織の構成員4人が襲来。護送車を爆破し、警察官もろともシーナを殺すべく一斉射撃を行います。ところが弾の装填中に、シーナは警察官から奪ったショットガンを手に護送車から脱出。彼らと警察官を殺して逃亡しました。
ドン・グーはラマ刑事への暴行で逮捕されましたが、彼からの恩情と事件に協力してくれたお礼として釈放され、ヴェラニアに送還されることに。
ですがドン・グーは娘を救うまでは帰れないと言い、車の後部座席に乗り込んだ時に左右に乗り込んだラマ刑事とその部下を気絶させます。
そして奪った銃を使って、運転手である女性警察官のアーヤに車を出すよう脅迫しました。そのアーヤこそが、彼女に成り代わった逃亡中のシーナであるとは知らずに………。
以下、『ブラインド・ウォー 盲目の戦士』ネタバレ・結末の記載がございます。『ブラインド・ウォー 盲目の戦士』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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例の遺体が発見現場に戻ると、ドン・グーはアーヤ……シーナから、マヌラに存在する犯罪組織のビジネスの一つは「拉致した女性の人身売買」であり、「顔を潰し身元を偽装した遺体を発見させ、警察の捜査を打ち切らせる」という手口を用いていると聞かされます。
「警官も大勢買収され、逆に邪魔な警官は消される」と話すシーナ。夫となるはずだったレドは、その犯罪組織を探り続けていた中で殺されました。
拉致した女性の国外輸送を担当する者は「竜王」と呼ばれており、犯罪組織が根城としているのは、警官が立ち入ることはできないヴェラニア・シリヤ市の寺院だとシーナは言います。
そしてシーナは、ドン・グーが盲目であることを知ると隠していた素顔を堂々と曝け出し「協力して犯罪組織を潰さないか」と提案するのです。
ドン・グーは娘を救い出すため、シーナと協力関係を結びます。そして寺院への潜入のため、ドン・グーはシーナから教えてもらった方法で彼女を組織へと売り渡すことに。
二人の寺院への潜入は成功しましたが、ドン・グーが女性たちを査定する占い師を撃退し、彼女の後ろにある隠し扉の中に入った瞬間、何者かに頭を殴られてしまいました。
拘束された二人のもとに「竜王」と名乗る女性が現れます。竜王はシーナと顔見知りですが、互いに毛嫌いしており「あの子を水槽の中に沈めてくれたら、あなたが探している娘のところへ行かせてあげるわ」とドン・グーを脅迫します。
ドン・グーの首に嵌められた拘束具からのびる鎖は、宙吊りにされたシーナの拘束具とつながっていました。つまり、ドン・グーが前進すればシーナは水槽の外に、後退すれば水槽の中へと落ちる仕組みになっているのです。
ドン・グーは一瞬迷いはしたものの、竜王の提案を拒否。真正面にいる彼女の銃弾を2度かわしましたが、強烈な蹴りを食らい尻もちをついたところを、彼女の手下たちに襲われました。
一方その頃、マックイーンの息子ジャー主催で行われる、拉致した女性たちを海外の顧客に売るためのオークションが開催されました。オークションに出品された16人の女性の中には、ヤーティーの姿がありました。
ヤーティーは目の前のソファーに座るジャーから、複数台のモニターに映る顧客たちに自分をアピールするよう命じられます。やがてヤーティーの気の強さと、彼女が奏でるバイオリンの音色を客たちは気に入ったのか、480万ドルという高額な値がつきますが、ジャーは突如オークションの中止を告げました。
当初は竜王の手下たちからのリンチに苦戦を強いられたものの、ドン・グーはさらに彼らが発する音に耳を澄ませ、倒した二人から奪ったバットを使って反撃に転じます。
そして手下たちを半数以上減らしたところで、ドン・グーはバットを投げて、シーナを苦しめる水槽を破壊。鎖を上手く利用してシーナをも殺そうとする手下たちを倒しました。
自力で拘束具を外し自由の身となったシーナは、ジャーとの電話を終えて戻ってきた竜王を襲撃。激闘の末、持っていた工具で彼女の片腕を折って捕まえました。
ドン・グーは竜王の首に水槽の破片を押しつけ、娘はどこにいるのかと尋問します。竜王は毎日大勢の女性を拉致しているためどの子か分かりませんでしたが、「拉致した女性は全員ジャー・クンに引き渡した。最後の送り先を知っているのは『金剛』だけ」と答えました。
竜王曰く、その「金剛」と呼ばれる男はジャーの手下であり、以前はマックイーンと組んでいたといいます。そしてオークションに出品された女性を購入した客たちは、金剛が所有する端末に取引場所の住所を直接送ることになっていました。
金剛の居場所を竜王から吐かせようとしたその瞬間、外からラマ刑事たち警察の声が聞こえてきます。実は、偶然寺院の近くを通りかかったラマ刑事たちが、寺院から二人の男の手を借りて出てきた占い師に遭遇。「ばあさんが盲人に殴られた」という男たちの言葉を聞き、真っ先にその盲人がドン・グーだと気づいたのです。
その声を聞いて、「お巡りさん助けて、人殺しがいる」と叫ぶ竜王。シーナはその彼女の背中を蹴り、ドン・グーが持つ水槽の破片に首を押しつけて殺害します。
自分の腕の中で死んだ竜王に驚き、硬直するドン・グーとは対照的に、彼女への積年の恨みを果たせたことに喜びの笑みを浮かべるシーナ。「夫は警察に殺された。このまま捕まったら終わりよ」と彼にささやき、本物のアーヤが暮らしていた家へと連れていきます。
その直後に寺院内へ突入したラマ刑事たちは、偶然壊してしまった彫像から大量の麻薬を発見。ラマ刑事は自らの昇進のため、ドン・グーを麻薬密売人として指名手配します。
シーナはわざと部屋をうるさくしてからシャワーを浴び、「竜王を殺した。次はあなたの番だけど来てくれてもいいと、ジャーに伝えて」と金剛の携帯電話にメッセージを送りました。
それを聞いたジャーは、叔父である金剛に助けを求めました。全く返事をしない金剛に、ジャーの部下であるジョウは「坊ちゃん(ジャー)があんたの家族の面倒を見る。期待しているぞ」と脅します。
ドン・グーは家にあった古い警察無線を修理し、アーユンに「シリヤ市にあるリバーサイドビルという建物の1603号室にいる」と伝えました。
その直後、アーヤに好意を抱いていたラマ刑事が花束を持って訪問。家から出てきたシーナを不審に思い、銃を構えながらラマ刑事は扉に手をかけます。
シーナは扉越しにラマ刑事の手を包丁で刺しました。するとそこへ、ジャーの手下である汚職警官5人が襲撃が。扉を蹴破り、ラマ刑事を放置して真っ暗な家の中を捜索します。
暗闇の中に身を潜めたドン・グーたちは、音を立てずに室内にガスを充満させました。クローゼットの中から出てきたアーヤの遺体に覆いかぶされた警官は、パニック状態に陥り銃を乱射。ガスに引火させてしまいます。
ガス爆発により、ドン・グーたちは汚職警官5人を撃退。ラマ刑事は爆風で身を隠していた扉ごと吹き飛ばされ、下敷きになり気絶しました。
ドン・グーたちがその場から離れようとした瞬間、金剛とその手下たちが襲来。ドン・グーは金剛と、シーナは金剛の手下たちと激闘を繰り広げていきます。
自身の弱点を突いてくる巨体の金剛に苦戦を強いられたドン・グーでしたが、さらに感覚を研ぎ澄ませて彼の攻撃を見抜き、一旦逃げるふりをした際に使ったロープで全身を縛ります。
そのロープは、ドン・グーが戻るために使ったエレベーター内にある鉄パイプにつながっており、エレベーターが上へと上がると同時に金剛は引き摺られ宙吊りとなりました。
金剛を撃退後、ドン・グーは金剛の手下たちを全員倒してきたシーナと合流。金剛を車の後部座席に乗せ、オークションに出品される前の女性たちがいる場所へ案内させました。
確かに金剛が案内した場所には、オークションに出品される前の女性たちはいましたが、その中にヤーティーの姿はありませんでした。ひとまずシーナは彼女たちを牢屋から逃がします。
一方、意識を取り戻したラマ刑事は、本物のアーヤの遺体を発見。泣きながら署に連絡し、応援を要請しました。
署に戻ったラマ刑事のもとにアーユンが現れ「大使館の許可が下りたのでドン・グーの送還を」と言いました。そこに、逃げ延びた人身売買の被害者女性が署に駆け込んできます。
激高したドン・グーは「娘はどこにいるのか」と金剛への尋問を始めます。しかし、なかなか金剛から情報を聞き出すことができません。尋問が下手なドン・グーにしびれを切らしたシーナは、彼の代わりに金剛の腹にナイフを突き刺します。
警官らしからぬ行動をとる彼女に不信感を抱き、ドン・グーは彼女を問い詰めました。
シーナは淡々と、あの部屋の住人はアーヤで、その遺体を罠に利用したこと、わざと部屋をうるさくしたのは金剛を誘い出すための電話を聞かれたくなかったからだと答えました。そしてシーナは自身の正体を明かし「あの時」の復讐のために行動を共にしていると答えました。
その直後、ドン・グーの居場所を突き止めたアーユンが現れました。
アーユンの説得の言葉に耳を傾け、ドン・グーが娘のことを思い出す中、シーナは金剛を殺害。「ジャーの居場所を知っているのは私だけ」「あの男を殺せば娘を一緒に捜してあげる。それが嫌なら彼に私を殺させて」とドン・グーを脅迫します。
ドン・グーは葛藤の末にシーナを選び、アーユンを刺しました。ですがドン・グーが致命傷となる場所に刺さなかったため、アーユンは一命を取り留めました。
ジャーのところへ向かう前、シーナはドン・グーと一緒にいる本当の目的と、自身の身の上話を語り始めます。シーナがドン・グーといる本当の目的は、彼の娘を見つけ出し、目の前で彼を殺してヤーティーを孤独にさせることでした。
シーナの父親は金ほしさに、幼い娘であるシーナを国境の将軍に売りました。やがてシーナは少年兵として鍛えられ、後に殺し屋となりました。自殺する権利すらなかったシーナには、どうしても殺したい人間がいました。その相手こそが、自分を売り飛ばした父親でした。
そう話すシーナは、「もし娘が自分みたいになったら助けに行くか」とドン・グーに尋ねます。ドン・グーは「助けに行く」と即答しました。
その後、二人はシーナの知り合いである武器商人ハーリンと会って武器を調達。彼の仲介がなければ、将軍はシーナを手放すことはなかったと彼女は言います。
しかし、ハーリンが最近ジャーから買ったビデオカメラらしきものを見た瞬間、シーナの態度は豹変。ジャーとマックイーンに凌辱された過去が蘇り、手にしていたリボルバーでハーリンを射殺しました。
二人は大量の武器が積まれたトラックに乗り込み、犯罪組織のアジトを襲撃。アジトの外にいた見張りの男たちを掃討します。
電気系統にまで被弾し、アジト内は停電に。真っ暗闇のアジトの中、ドン・グーはハーリンが持っていたボールを放り投げて、ボールのバウンドする音から建物の内部構造を把握します。
耳を澄まして相手の出方を予測し、向かってくるジャーの手下たちを次々と倒していくドン・グー。シーナもアジト内部に乗り込み、ジャーの手下たちと銃撃戦を繰り広げていきました。
ヤーティーを連れてアジトの奥へ奥へと逃走していたジャーとジョウ。ジャーはジョウに助けを求めるも、ジョウは長年仕えてきた自分の名前をようやく口にした彼に対し、これまでの不満が爆発します。
ジョウはすがって来たジャーの指を折り、シーナを怒らせたのはお前ら父子であって自分ではないと言い、その場から逃亡。
自暴自棄になったジャーは爆弾を使い、アジトにいる人間すべてを道連れにしてやろうと自死を図ります。ジャーは逃げようとするヤーティーを取り押さえ、馬乗りになった状態で起爆装置に手をかけました。
そこへ、銃を持ったシーナが現れます。シーナは父子にいたぶられてきた昔の自分とヤーティーを重ねながら、積年の恨みを晴らすべく、ジャーに何発もの銃弾を浴びせ射殺しました。
そしてシーナはヤーティーを踊り場の天井に鎖で吊り下げ、「私のように愛する人を失う絶望を味わってみろ」とドン・グーに言い放つと、彼への復讐を晴らそうとします。
ヤーティーは「パパ、キャッチして」と言い、ドン・グーが投げていたもう一つのボールを彼に向かって投げました。それにシーナが気を取られた隙をついて、ドン・グーは持っていた閃光手榴弾を投げ、それを目くらましに使ってシーナを倒しました。
そしてボールの跳ね返った音を聞いて、娘の位置と鎖の場所を把握したドン・グーは、間一髪のところで鎖を掴んで娘を救出しました。
しかしようやく助け出したヤーティーの体には、ジャーが持っていた爆弾が巻かれており、その爆弾はシーナの脈と連動していました。シーナが死ねば、ヤーティーも爆死する……シーナはジャーが考えた方法を使って、命と引き換えにレドの仇をとろうとしたのです。
ドン・グーは激高し、シーナに殴りかかろうとします。そこへ金剛の携帯電話で父娘の位置を特定したアーユンが現れ、携帯電話に録音したヤーティーのバイオリンの演奏を聞かせ、彼の気を落ち着かせました。
アーユンとヤーティーの協力のもと、爆弾の解体に挑むドン・グー。そして最後には、ヤーティーの好きな色である「青色」の線を残し、赤色の線をニッパーで切りました。
その赤い線は雷管につながるリード線だったため、ドン・グーは爆弾の解体に成功。父娘は強く抱き合いました。そこへラマ刑事たちマヌラ警察も現れ、ドン・グーは騒動を起こした一人として逮捕されました。
後日。ラマ刑事は、ドン・グーの協力のおかげでジャーたちを逮捕した功績をメディアに讃えられるも、彼を連行した後、自身の不注意で爆弾を小規模ながら爆発させてしまい傷が増えたことで、彼の名前を聞かれただけで怯えてしまう始末でした。
ドン・グーは、面会に訪れたヤーティーたちの声を聞いて、彼らが自分に話したいことを短い時間内で必死に話そうとする姿を想像し、笑みがこぼれました。
映画『ブラインド・ウォー 盲目の戦士』の感想と評価
裁判所を爆破し、法廷にいた裁判官たちと犯罪組織のボスであるマックイーンを殺害した殺し屋二人と対峙した警察の特殊部隊の隊長ドン・グー。
彼はほぼ単独で現場を制圧し、レドを倒しました。その姿は勇ましく、また裁判所内外で繰り広げられた銃撃戦はとても迫力があって面白いです。
しかし、レドを倒してシーナを逮捕した代償として、ドン・グーは視力を失ってしまいます。周囲の人間や世間からのバッシングを受け、精神を病み躁うつ病やPTSDを発症してしまったドン・グーの姿はとても痛ましく、胸が痛いです。
そんなドン・グーの心の支えとなってくれたのは、彼の一人娘ヤーティーと彼の部下であった特殊部隊の副隊長アーユンでした。ドン・グーが立ち直ったのも二人のおかげですし、最後の最後でシーナによって我を失ってしまった彼を落ち着かせ、彼が爆弾の解体に成功したのも二人がいたからでした。
そして物語の最後では、ドン・グーが逮捕されてもなお、彼を信じて助けようとするヤーティーとアーユンの姿が描かれていました。
そんな強い絆で結ばれたドン・グーたち3人の姿に感涙させられる一方で、シーナの復讐劇は悲しさと恐ろしさが混在しており、終始シーナの言動に驚かされることばかりでした。
ですがシーナの身の上話を聞くと、「もし彼女の父親が、金のために娘を売る最低な男ではなく、どんな手を使ってでも娘を救い出そうとするドン・グーのような男だったら」と考えずにはいられなくなります。
まとめ
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(C)Xiangshan Wudao Nanlai Culture media Co. LTD. and Seasky Cultural communication Co.,Ltd. All rights reserved.
独断で殺し屋と対決した代償に視力を失った警官が、最愛の一人娘を救うため、殺し屋の手を借りながらも犯罪組織に立ち向かう中国のアクション作品でした。
エンドロール中に流れた撮影現場の映像では、ドン・グー役のアンディ・オンが「脚本を読んだ時スタントを使うと思っていたから気楽に考えていたけど、実際は特撮もスタントもなかった」、「監督の希望で全て僕が演じた」と語っていました。
失った視力の代わりに驚異的な聴力と、類いまれな身体能力を手に入れ、盲目ながらも最強となった元警官の心情を理解し、彼の戦いを完璧に演じきったアンディ・オンの演技力の素晴らしさ。
その一方で、最愛の人を失い復讐の鬼と化した冷酷な殺し屋のシーナ役を演じたヤン・シンが魅せる、スタント顔負けの華麗なアクション場面の数々も、本作の見どころとなっています。
「見えない悪」が見える最強の盲目の戦士が繰り広げる、未体験のバトルが楽しめるアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。
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