Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/04/10
Update

実写『シャザム!』あらすじと内容解説。映画化はスーパーマンより先だった“元”キャプテン・マーベル|最強アメコミ番付評30

  • Writer :
  • 野洲川亮

連載コラム「最強アメコミ番付評」第30回戦

こんにちは、野洲川亮です。

今回は4月19日に公開される『シャザム!』の作品情報を解説していきます。

DCEUに登場した異色のスーパーヒーローの歴史と、DCEUの路線変更、本国アメリカでの絶賛評などを紹介します。

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら

スポンサーリンク

『シャザム!』のあらすじと作品情報

(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

スーパーマンやバットマンを映画化してきたDCコミックの映画シリーズ、DCEUの第7作。

少年ビリー(アッシャー・エンジェル)は、ある日出会った謎の魔術師から力を授かり、見た目は大人、中身は子どものスーパーヒーロー「シャザム」(ザッカリー・リーヴァイ)となります。

友人フレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)と共に、手にした力を試して遊んでいたビリーでしたが、ビリーの力を狙う科学者Dr.シヴァナ(マーク・ストロング)が現れ、フレディを連れ去ってしまいます。

シャザムを演じるのは、マーベル映画『マイティ・ソー ダーク・ワールド』(2013)、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)にも出演していたザッカリー・リーヴァイ、監督は『アナベル 死霊人形の誕生』(2017)のデビッド・F・サンドバーグ。


スーパーマンより先に映画化された“元”キャプテン・マーベル

(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

シャザムというキャラクターを聞いたことのない人は、最近生まれた新米ヒーローと思っているのではないでしょうか?

しかし実際はアメコミ創成期に登場したキャラクターで、コミックでの初登場は1940年、最古のヒーローであるスーパーマンのデビュー、1938年のわずか2年後でした。

ちなみに同じDCヒーローのバットマンは1939年、ワンダーウーマンが1941年、マーベルヒーローならキャプテン・アメリカが1941年、アイアンマンは1963年と、比較してもかなりのベテランキャラクターであることが分かります。

さらに、初めて実写映画化されたのは1941年で、これはスーパーマン初の実写作品『Superman』の1948年よりも早い銀幕デビューでした。

それだけ連載初期から人気が出たキャラクターだったわけですが、なぜその後一般的な知名度を得ることなく現在に至っているのでしょうか?

1つはシャザムの名前が、元はキャプテン・マーベルだったことが挙げられます。

出版社も当初はDCコミックではなく、フォーセットコミックスというところでしたが、元祖であるスーパーマンに比肩するほどの人気を博したキャプテン・マーベルを、DCコミックはスーパーマンの盗作だとして提訴します。

裁判が行われた結果、キャプテン・マーベルの人気は急落し、フォーセットコミックスは1952年に同作を休止します。

20年後の1972年、DCコミックはかつてのライバル、キャプテン・マーベルの権利を買い取り、自社の作品としての再生を狙いますが、ここで新たな問題が発生していました。

1967年、マーベルコミックが『キャプテン・マーベル』という同名、しかし全く異なる作品を出版していたのです。

すでにマーベルコミック版が商標登録されていたことで、DCコミックは変身の掛け声である「シャザム!」をタイトルにすることを強いられます。

ただし変えたのはタイトルのみで、劇中でのキャラクター名はキャプテン・マーベルのままだったので、この時から同名キャラクターが2人存在する事態となってしまったのです。

それからまた数十年、2006年当初は男性キャラクターだったマーベル版『キャプテン・マーベル』で、キャロル・ダンヴァースという女性キャラがキャプテン・マーベルを引き継ぎ、これがブリ-・ラーソン主演で映画化された『キャプテン・マーベル』(2019)の直接の原作となりました。

それを受けてか、2011年にはシャザムもタイトルとヒーロー名を同じにするという改変を行い、ようやくキャプテン・マーベルとシャザムの同名キャラ問題が解決したのです。

その2作品の映画公開時期が非常に近いというのも(『キャプテン・マーベル』全米公開日2019年3月8日、『シャザム!』全米公開日4月5日)、上述したような数奇な運命が引き寄せた事態なのかもしれません。

スポンサーリンク

明るくなって評価激変のDCEU

(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

初期のDCEU作品はクリストファー・ノーランやザック・スナイダーらの手によって、“シリアスでリアル”路線を標榜していました。

しかしこの路線は、批評的、興行的の両面において軌道に乗ることはなく、シリーズ4作目の『ワンダーウーマン』(2017)でのパティ・ジェンキンス監督が、ヒーローのパワーと爽快なアクションを描き好評を得たことで、その後のDCEUは路線を変更していきます。

第5作『ジャスティス・リーグ』でも、仕上げの最終編集を『アベンジャーズ』(2012)のジョス・ウェドンが担当したことで、よりライトで、より分かりやすく、よりカタルシスを得やすい作風へと進んでいきます。

その一つの到達点が本作のコメディ路線であり、『アクアマン』(2019)の痛快アクション路線であると言えるでしょう。

特に『アクアマン』で、ジェームズ・ワン監督が推し進めた路線は、単純明快(過ぎ)なストーリー・キャラクターを作りあげ、その中で画的な痛快さ、爽快さを極限まで高めたアクションとビジュアルをこれでもか!と畳みかける勢いに、観客は(胃もたれするほど)酔いしれました。

翻って本作はどうかと言えば、サンドバーグ監督はインタビューで『ゴーストバスターズ』(1984)や『グーニーズ』(1985)といった、80年代の作品からの影響を語っています。

それは家族で楽しめるようなアクション、笑い、そして他者との絆を深めることの大切さを描いていると、監督は語っています。

同時に80年代の映画に存在した、“程よい恐怖表現”も盛り込まれているそうで、万人に受け入れられるグロ過ぎない表現は、ホラー畑出身である監督の腕の見せ所となるでしょう。

また単に昔を懐かしむようなことに留まらず、劇中ではビリーとフレディがSNSを使ってスーパーパワーを撮影・投稿し、ネット上で話題になるという、いかにも現代的な描写もあり、単純なストーリーの中にも、映画としての奥行を感じさせます。

さらに、フレディにスーパーヒーロー好きという設定を与え、劇中で他のヒーローたちに言及させていくメタ的な演出もされていて、「遠慮のない子供の目線からヒーローたちがどう評価されているのか?」なんていう楽しみ方も出来そうです。

そして詳細は明かされていませんが、ラストでは他のDCEU作品と繋がる仕掛けが成されているそうで、異色のオトナでコドモなヒーローが、今後のシリーズでどう再登場するのかも注目ポイントとなることでしょう。

そんな本作の評価はというと、全米での封切り前の限定公開では、大手映画批評サイトで『ワンダーウーマン』と並ぶ93%を記録し、興行収入でも『アクアマン』の290万ドルを上回る330万ドルという記録を打ち立てました。

本公開後も批評、興行の両面で成功を遂げている『シャザム!』に対し、ワンダーウーマンを演じたガル・ガドットも、絶賛、祝福のメッセージを投稿しています。

果たして、日本では本作がどのように受け入れられるのか、待ち遠しい公開日は4月19日です!

次回の「最強アメコミ番付評」は…

(C)2019 MARVEL

いかがでしたか。

次回の第31回戦は4月26日公開、MCUシリーズ10年の集大成となる『アベンジャーズ/エンドゲーム』の公開前情報を紹介していきます。

お楽しみに!

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら


関連記事

連載コラム

ホラー映画『バトルインフェルノ』ネタバレあらすじと感想。心霊やらせ番組に悪魔が降臨|未体験ゾーンの映画たち2020見破録47

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第47回 「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」の第47回で紹介するのは、ネット配信時代の、悪魔祓いを描いたホラー映画『バトル・インフェルノ』。 ネ …

連載コラム

NETFLIX映画『ARQ時の牢獄』ネタバレ感想と最後ラストの考察。タイムリープの新たな方向性を指し示す|SF恐怖映画という名の観覧車93

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile093 一定の時間のループを描いた、いわゆる「タイムリープ」系の映画は主人公がさまざまな行動を取ることで起きる変化を楽しめるエンターテイメント性 …

連載コラム

映画『イソップの思うツボ』あらすじと感想。カメ止めに続く「どんでん返し」の魅力|2019SKIPシティ映画祭1

映画『イソップの思うツボ』が2019年7月13日、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にてオープニング上映! 埼玉県川口市にて、“映画産業の変革の中で新たに生み出されたビジネスチャンスを掴んでいく若い才能 …

連載コラム

映画『山〈モンテ〉』解説。ナデリ監督が描く人間の背負う罪とは | SF恐怖映画という名の観覧車34

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile034 技術の進化や意識の変化に伴い、人間は様々な「脅威」を乗り越えてきました。 しかし、如何に防犯の技術や意識が高まっても犯罪が無くならないの …

連載コラム

講義【映画と哲学】第12講「愚か者とその愚行:映画に愚行の魅力を見る。」

講義「映画と哲学」第12講 日本映画大学教授である田辺秋守氏によるインターネット講義「映画と哲学」。 (C) 1994 by Paramount Pictures. 第12講では、J. S.ミル『自由 …

U-NEXT
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【Cinemarche】今週のおすすめ映画情報
凱里(かいり)ブルース|2020年6月6日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次ロードショー予定!
映画『異端の鳥』2020年10月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開
映画『朝が来る』2020年10月23日(金)より全国公開
ドラマ『そして、ユリコは一人になった』
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学
国内ドラマ情報サイトDRAMAP