Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2020/12/29
Update

【面白いサスペンス・SF映画】2020年おすすめランキングベスト5:独特な世界観で現在を反映した5選《シネマダイバー:金田まこちゃ選》

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

2020年の映画おすすめランキングベスト5
選者:シネマダイバー金田まこちゃ

2020年は新型コロナウィルスの影響により、「007」シリーズ最新作の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』や、MCUシリーズの『ブラックウィドウ』などの大作映画が軒並み公開延期になったうえ、映画館も自粛に追い込まれるなど厳しい1年となってしまいました。

ですがそんな状況でも、独自の世界を作り出し、観客を楽しませてくれた作品は、1年を通して多く公開されました。

そんな「独自の世界観を持った作品」を中心に、トップ5を選びました。

【連載コラム】『2020年映画ランキングベスト5』一覧はこちら

第5位『スパイの妻』

【おすすめポイント】
太平洋戦争開戦間近の日本を舞台に、スパイになった夫を心から愛し、そして翻弄される妻の姿を描いた本作は、黒沢清監督の丁寧な演出が光る、非常に見応えのある作品でした。

実話やベストセラー小説による原案/原作でもなく、完全オリジナルの作品でここまでスケールの大きな映画が制作されたのは、本当に素晴らしいと感じられました。

第4位『リチャード・ジュエル』

【おすすめポイント】
1996年に、アトランタ五輪の爆弾テロ事件を阻止した、リチャード・ジュエルの実話をもとにした本作。

リチャード・ジュエルは、英雄から一転し爆弾事件の首謀者にされてしまう為、普通なら悲劇の物語になるはずですが、クリント・イーストウッド監督独自の視点でこの事件を描いた為「問題行動も多かった、リチャードは本当に潔白なのか?」という、サスペンス色の強い作品に仕上がっているあたり、流石です。

第3位『ワンダーウーマン 1984』

【おすすめポイント】
「スーパーヒーローの誕生」を描いたともいえる本作は、リチャード・ドナー版『スーパーマン』を意識したような作風。本作のヴィランであるマックスは、人の欲望を力に変えるのですが、マックスに「人類愛」を説き戦うダイアナからのメッセージは、非常にシンプルながら心に響きました。

現在の混乱状態の世界に「博愛」の象徴であるワンダーウーマンの新作が公開されただけで、大きな意味があったといえます。

第2位『ミッドサマー』

【おすすめポイント】
白夜のスウェーデンを舞台に、奥地の村で執り行われる謎の儀式に巻き込まれ、気付けば儀式の中心にされてしまうという、アリ・アスター監督独自の世界観が嫌というほど堪能できる映画『ミッドサマー』。

作中で映像として見せていない部分も、小道具や台詞の端々などから観る者は様々な想像ができてしまうため、まさに「悪夢」というべき不快で嫌な世界を見せつけられる一方で、それが病みつきになってしまうという凄味のある映画でした。

第1位『CURED キュアード』

【おすすめポイント】
一度は「ゾンビ」と化しながらも治療により回復し、無事社会復帰に至った人々のその後の生活を通して、人間の醜さや恐ろしさを描いた作品。

ゾンビウィルスによるパンデミックが終息した世界が舞台なのですが、ゾンビウィルス感染者への差別や偏見に苦しむ主人公の心情、クライマックスでの街が崩壊するレベルのパニックに追い込まれるストーリー展開は、新型コロナウィルスに直面した2020年の現実世界とのリンクを感じさせられ、多くのことを考えざるを得ない作品でした。

また、わずかながらも希望を感じさせるラストも必見です。

2020年注目の監督とキャスト


(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

監督賞:クリストファー・ノーラン
男優賞:サム・ロックウェル
女優賞:ガル・ガドット

【コメント】
監督賞にはクリストファー・ノーラン。世界中がコロナに悩む中で『TENET』の劇場公開に踏み切り、「映画館で映画を観る」という空気を再び作り出してくれた功績を称えたいと思います。

男優賞のサム・ロックウェルは、『リチャード・ジュエル』でジュエルの唯一の協力者となる弁護士ブライアントをユーモラスに演じ、作品全体を牽引する存在感を発揮していました。

女優賞のガル・ガドットは『ワンダーウーマン 1984』にて、ヒーローを通り越して「女神」のような存在となったダイアナを見事に演じました。「ワンダーウーマン」というキャラクターを見事に成立させたその存在感で、今後どのような作品で活躍するのかが非常に楽しみです。

まとめ


(C)Tilted Pictures Limited 2017

2020年は映画館が自粛に追い込まれるなど苦しい1年でしたが、それでもさまざまなバリエーションの作品が公開された1年でもあります。その中でも独自の世界観を持ち、作品の中に引き込まれた映画5作を選出しました。

2021年はもともと公開予定だった作品に加え、延期になった作品も公開予定ですので、注目作が目白押しになるのではないかと期待しています。

『ミッドサマー』のように、映画館で観ることでより一層魅力が増す作品も少なからず存在するため、今後も「映画館で映画を楽しむ」という経験が、当たり前のようにできる事を心から祈るばかりです。

【連載コラム】『2020年映画ランキングベスト5』一覧はこちら






Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/demachi2026/cinemarche.net/public_html/wp-content/themes/stinger8-child/single.php on line 150

関連記事

連載コラム

映画『アイアム・ア・コメディアン』あらすじ感想と評価考察。饒舌芸人村本大輔が起こす“笑いのアップビート”|だからドキュメンタリー映画は面白い85

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第85回 今回紹介するのは、2024年7月6日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開される『アイアム・ア・コメディアン』。 放送メディアから消えてしま …

連載コラム

無限列車編1話ネタバレ感想|牛鍋弁当×煉獄父子の秘密とふくちゃん声優は?新キャラクターを徹底考察【鬼滅の刃全集中の考察29】

連載コラム『鬼滅の刃全集中の考察』第29回 大人気コミック『鬼滅の刃』の今後のアニメ化/映像化について様々な視点から考察・解説していく連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」。 (C)吾峠呼世晴/集英社・ア …

連載コラム

『アフター・ザ・クエイク』あらすじ感想と評価レビュー。村上春樹原作の短編を基に誕生した現実と幻想が交差する4つの物語|映画という星空を知るひとよ271

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第271回 2000年に刊行された村上春樹の傑作短編連作『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)を原作とする映画『アフター・ザ・クエイク』。 映画『アフター・ …

連載コラム

『リキッドスカイ』ネタバレあらすじ結末と感想評価の解説。カルトムービーおすすめ!80年代パンクカルチャーのぶっ飛び映画|増田健の映画屋ジョンと呼んでくれ!11

連載コラム『増田健の映画屋ジョンと呼んでくれ!』第11回 変わった映画や掘り出し物の映画を見たいあなたに、独断と偏見で様々な映画を紹介する『増田健の映画屋ジョンと呼んでくれ!』。 第11回で紹介するの …

連載コラム

映画『殺し屋のプロット』あらすじ感想と評価解説。マイケル・キートン監督&主演作はアル・パチーノと初共演דLAネオ・ノワール”の誕生|映画という星空を知るひとよ277

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第277回 1982年のスクリーンデビューから43年を経たマイケル・キートンが、自らのキャリアの集大成として監督・主演・製作を務めた映画『殺し屋のプロット』。 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学