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Entry 2022/02/17
Update

映画『シャッター』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。日本のホラー監督がハリウッドで怖さを和洋折衷の恐怖にする|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー68

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第68回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第68回は、『シャッター』(2008)のご紹介です。

本作は人気オムニバスドラマシリーズ「世にも奇妙な物語」で最多の監督数を持つ落合正幸がハリウッドで活躍する俳優やスタッフを起用し製作したハリウッド映画であり、和と洋のホラー映画に対する認識の違いをお互いの強みを損ねることなく融合させた作品でした。

【連載コラム】「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『シャッター』の作品情報


(C)2008 Twentieth Century Fox

【原題】
Shutter

【日本公開】
2008年(アメリカ映画)

【監督】
落合正幸

【キャスト】
レイチェル・テイラー、ジョシュア・ジャクソン、奥菜恵、デヴィッド・デンマン、ジョン・ヘンズリー、マヤ・ヘイゼン、ジェームズ・カイソン・リー、宮崎美子、山本圭

【作品概要】
ドラマ『沙粧妙子・最後の事件』や『パラサイト・イヴ』(1997)などの作品を手掛けた落合正幸が、タイ映画『心霊写真』(2006)をハリウッドでリメイクした作品。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)への再加入が決まり再注目を受けるドラマシリーズ「ジェシカ・ジョーンズ」で主人公の親友トリシュを演じたレイチェル・テイラーが主演を務めました。

映画『シャッター』のあらすじとネタバレ


(C)2008 Twentieth Century Fox

新婚の写真家ベンとその妻ジェーンは仕事の都合と新婚旅行を兼ねて日本を訪れます。

夜、ベンが寝ている間、山道を運転するジェーンは道に突然現れた女性を撥ねてしまった上に車を木にぶつけ気を失ってしまいます。

目を覚ましたジェーンはベンに人を撥ねてしまったと話しますが人の姿は無く、ベンが呼んだ警察が捜索を行っても血痕ひとつ見つかりませんでした。

富士山の見えるコテージに泊まり、ベンの説得もありジェーンは女性のことや事故についてを深く考えることをやめます。

仕事のため「TGK(東京グローバル広告)」の本社を訪れたジェーンはベンの親友であり仕事仲間であるブルーノと会います。

ブルーノは日本でベンに撮影を依頼するにあたり、スタジオと住居スペースが併設されたビルを用意しており、部屋の広さにジェーンは感動を覚えました。

翌日、コテージで撮った写真に白い線が走っていることに2人は驚きますが、カメラか印刷のミスと深くは考えませんでした。

ベンが仕事の写真を撮っている間、ジェーンはひとり東京の街をうろつき写真を撮りスタジオへと戻ると、ベンの日本でのアシスタントとなるセイコがジェーンの撮った写真に白い線が写っていることに気づきます。

セイコはその写真のことを「心霊写真」と言い、彼女の元カレであるリツオがその手のことに詳しいとジェーンに紹介します。

リツオは心霊写真の本を刊行しており、ほとんどの写真は加工ではあるものの一部の写真は何かを伝えたい「霊」が写真に写り込んだものだとジェーンに説明。

ベンは仕事の写真にも白い線が写り込み、ブルーノの仲介で事なきを得たものの仕事にも大きな支障が出始めていることに焦りを募らせますが、ベンは心霊写真を信じず、「心霊写真」だと強調するジェーンを日本ノイローゼと決めつけてしまいます。

しかし、ベンは首筋が重苦しく感じたり実際にスタジオ内でジェーンが撥ねたとする容姿にそっくりな日本人女性の幻覚を見始めたことでジェーンの発言を信じ、2人はリツオの紹介で占い師の村瀬と会うことにします。

霊魂について語る村瀬はベンの撮った白い線が残る写真を見ると「どうして助けなかった」と憤怒しそれ以上を語ることはなく、ベンは村瀬をインチキと決めつけ彼のもとを去ってしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『シャッター』のネタバレ・結末の記載がございます。『シャッター』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2008 Twentieth Century Fox

ジェーンはベンの撮った写真を眺めていると白い線が写っている写真は「TGK」の17階が構図に入っているものだけと気づき、社員が出払った隙に「TGK」の17階にある国際部へと侵入。

オフィスの中でジェーンは自身が撥ねてしまった女性にそっくりな容姿の「田中めぐみ」と言う女性が写った写真を見つけると同時に、その写真を撮った写真家がベンであることを知ります。

スタジオに戻りベンを問い詰めるジェーンはめぐみがベンの元彼女であり、別れる際にストーカー化した彼女をベンの仕事仲間であるアダムとブルーノが彼女を無理矢理止めたと言う過去があったことを聞きだします。

リツオから「生霊」の存在を聞いていたジェーンはめぐみの場所を知るべくブルーノに連絡を取りますが、ブルーノからアダムがカメラを通し「何か」に脳を貫かれ死亡したと聞きます。

その後、ブルーノと連絡が取れなくなったことを不審に感じたベンとジェーンが彼の家へと駆け付けると、家中の写真を切り刻み発狂するブルーノが2人の目の前でマンションのベランダから身を投げ死亡。

急いでめぐみの居場所を知るべく彼女の親類をあたる2人は東京近郊にめぐみの家を発見しますが、めぐみは自室で青酸カリを飲み自殺しており、死体はすでに白骨化していました。

夜、めぐみの葬儀が翌日に決まり床に就く2人でしたが、現れためぐみはベンを襲い、ベンを助けようとするジェーンも攻撃しますが、突如その場から消えます。

翌日、めぐみの葬儀が執り行われ、全てが終わったことを確信する2人はアメリカへと戻りました。

自宅で平和な日々を過ごす中で、日本旅行で使い切ることのなかったインスタントカメラで部屋を何回も撮ったジェーンは写真を印刷。

その写真には家の中を這いずるめぐみが写っておりジェーンは恐怖しますが、写真を繰り返し見るうちにめぐみがベンの部屋を目指していることに気づきます。

めぐみの目的地であるベンの部屋のトランクの中からカメラを見つけたジェーンは、カメラのSDカードに保存されていた画像を見て崩れ落ちました。

夜、ベンが帰宅するとジェーンはSDカードに残されていた「めぐみがブルーノとアダムから性的暴行を受けている写真」をベンに見せ説明を求めます。

ベンはストーカー化しなかなか別れることの出来なかっためぐみをブルーノとアダムに性的暴行をさせた上にその写真を撮ることで脅し、結果的に彼女を自殺に追い込んでいたのです。

ベンは自分は写真を撮っただけであり、勝手にエスカレートしたのはブルーノとアダムだと自己弁護を繰り返しますが、その様子を見たジェーンはめぐみが自分の前に現れたのは「ベンから自身を救うためだった」と確信し制止するベンを振り払い部屋を出ていきました。

憤怒するベンはめぐみの名を呼び自身の写真を撮ると自身の首の上にめぐみが憑りついていることを知り、ストロボの出力を最大にした上で首に押し当てました。

時が流れ、電気を浴びながらも生きていたベンは放心状態のまま精神病棟に入れられており、その首筋には未だにめぐみが憑りついたままでした。

映画『シャッター』の感想と評価


(C)2008 Twentieth Century Fox

日本との相性抜群の心霊写真ホラー

タイ映画『心霊写真』のハリウッドリメイクとなる本作ですが、物語の舞台はほとんどが日本となります。

「心霊写真」や「霊魂」と言った要素は一時日本では大ブームとなったことから日本人には特に馴染み深い要素であると言え、「日本」と言う舞台と「心霊写真」の組み合わさった本作の親和性は想像通り非常に高いものでした。

日本のホラー映画では霊や呪いがその存在をじわじわと対象者に感じさせ、最終的に病気に見せかけて呪い殺すと言う展開が多く観られます。

一方で、ハリウッドを含めた海外の霊や呪いを題材とした作品では、物や人そのものを動かし、対象者に直接的な攻撃を行うことも珍しくありません。

本作『シャッター』に登場する霊はそんな和と洋の霊の特質を併せ持っており、じわじわと存在を認識させながら直接的にも襲い掛かる、より恐ろしいものとなっており、日本人ホラー映画監督がハリウッドで製作したからこそ作り出せる類を見ない独特なホラー映画でした。

すべての現象がひとつに繋がる秀逸なラスト


(C)2008 Twentieth Century Fox

本作の持つ最大の魅力はすべての霊的現象がひとつの真実を紡ぎ出す物語にあります。

ジェーンが車で撥ねてしまった女性の正体、写真に写り込む白い線の謎、占い師の村瀬が残した「どうして助けなかった」と言う言葉の真の意味、そしてふたりを呪う霊の目的。

一見、「車の事故」で繋がるように思えたそれぞれの線が実は全く違う要素で繋がる巧みな脚本は、人によってモヤモヤを生んだりスッキリとしたりと異なる鑑賞後感を持たせてくれます。

「呪いの謎」の解明を主軸とするホラーとミステリーを組み合わせた作品が好きな方にピッタリと言える秀逸な物語構成を持つ作品でした。

まとめ


(C)2008 Twentieth Century Fox

日本への渡航が恐ろしい非日常への入り口となってしまう様子を描いた映画『シャッター』。

カメラの技術が発展し時代と共に減る一方となった「心霊写真」ですが、不気味なものが写った際の恐怖はいまだ健在と言えます。

東京の都会と喧騒、その一方でひとたび屋内に入ると否応なしに感じる孤独ゆえの不安。

「世にも奇妙な物語」でさまざまな名作を生み出した落合監督らしい「恐怖」の描き方を見せたオススメの作品です。

【連載コラム】「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

配信状況などはU-NEXT公式サイトをご確認ください。



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