Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ホラー映画

映画『呪怨2020(The Grudge)』ネタバレあらすじと感想。結末をハリウッド版リブートはいかに描いたのか⁈

  • Writer :
  • 奈香じゅん

ハリウッド版『呪怨』新作映画『The Grudge(原題)』は2020年1月3日より北米公開

映画『呪怨 2020 (原題:The Grudge)』は、2004年に公開された清水崇監督のアメリカ版『The Juon/ 呪怨』を再映画化した作品で、前作の時間軸と同時展開する物語。

『Search/ サーチ』のジョン・チョーや『インシディアス』シリーズのリン・シェイ、『チェ』(2009)のデミアン・ビチル、そして『ショーシャンクの空に』(1994)や『アイアンマン3』(2013)等名脇役のウィリアム・サドラーも出演。

これまで『呪怨』シリーズや『クロール – 狂暴領域 -』(2019)等数々のホラー作品をプロデュースして来たサム・ライミが製作。

映画『呪怨 2020 (原題:The Grudge)』の作品情報

【公開】
2020年(アメリカ映画)

【原題】
The Grudge

【監督】
ニコラス・ペシェ

【キャスト】
アンドレア・ライズボロー、デミアン・ビチル、ジョン・チョー、リン・シェイ、ウィリアム・サドラー、ジャッキー・ウィーヴァー、ベティ・ギルピン、フランキー・フェイソン、タラ・ウェストウッド、ジュンコ・ベイリー、ゾーイ・フィッシュ、ジョン・J・ハンセン

【作品概要】

監督を務めるのは、村上龍原作『ピアッシング』の同名映画(2019)を制作したニコラス・ペシェ。『ザ・リング』(2002)、『The JUON/ 呪怨』(2005)、そして『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)をプロデュースしたことで知られるロイ・リーから本作が製作段階にあることを聞き、製作会社とサム・ライミに提案した独自のアイデアが評価され監督業を獲得し脚本も執筆。

映画『呪怨 2020』のあらすじネタバレ

2004年、東京。とある家族の住み込み介護士として働くフィオナ・ランダースは、仕事を終えて家から出て来ると、担当者に連絡を入れどうしても家族の待つアメリカへ帰国すると訴えます。

会話の途中、相手の声が聞きづらくなり首をかしげるフィオナは、側に収集されたごみ袋の1つが動いていることに気づきます。

フィオナの直ぐ背後には伽椰子の姿が…。

ペンシルバニア州、クロス・リバー。帰宅したフィオナを夫・サムと娘・メリンダが嬉しそうに出迎えます。

2006年、クロス・リバー。シングルマザーのマルドーン刑事は夫を失い、幼い息子・バークと2人暮らしです。クロス・リバーへ移り、バークと生活を立て直そうとしていました。

新しく赴任することになった警察署でグッドマン刑事とパートナーを組むことになります。

事件の一報で現場へ駆けつけると、内側から鍵が掛かった車の中で女性の腐乱死体が発見されていました。

ランダース同様レイバーン通り44番地に通っていたカウンセラーのローナ・マテソンだと遺体の身元を耳にしたグッドマンの顔は凍り付き、事情を知らないマルドーンは訝しく思います。

ランダース家の事件について質問してもグッドマンから説明が得られないマルドーンは、Googleで検索し一家全員が殺害された事件だと知ります。

レイバーン通りの家を1人で訪れたマルドーンは、老婆フェイス・マテソンにローナが遺体で発見されたことを伝えます。

しかし、マルドーンは、フェイスの様子が明らかに異様な上に全指欠損しているのに気づき、更に家の中で腐乱死体を見つけ緊急通報。

2年前に起きた事件を知る為グッドマンの家を訪ね、家に行ったことを告げて新たな遺体を発見したことを報告します。

グッドマンは、ランダース家の事件についてやっと重い口を開き、フィオナが6才の娘と夫を殺害した後自殺し、当時一緒に組んでいたパートナーのウィルソン刑事が怨霊に憑りつかれていると信じていたことを説明。

亡くなった母親が霊を信じていたことが影響し、グッドマン自身も事件の捜査で家の中へ入らなかったと明かします。マルドーンは幽霊を信じていないと返答。

翌日、マルドーンは、同じ家に関わる別の事件・スペンサー家のファイルに目を通します。

2004年。不動産業を営むピーター・スペンサーは、妻・ニーナの妊婦検診に付き添います。胎児が障害を抱えていることが分かり、ショックを受け動揺するニーナをピーターは妻を力づけます。

翌日、ランダース家から家の売却を依頼されていたピーターは、書類の手続きに訪問した際、既に殺害されていた亡霊のメリンダに遭遇。しかし、そうとは気づかないピーターは、突然鼻血を出すメリンダと一緒に家の中へ。

妻に連絡を入れ会話をしていたピーターは、メリンダの姿が消えたことに気づき家の中を探します。物音がしてお風呂場へ入ると、バスタブには真黒な水が溜まっています。

ピーターが体を折って覗くと突然水から出てきた両手が頭を中へ引きずり込み、必死に振りほどいてお風呂場から脱出。

しかし、その後を追ってきたフィオナの怨霊に再びピーターは襲われます。

夜遅く、夫の帰宅を待っていたニーナは、暗がりで自分を見つめて佇むピーターに気が付きます。ニーナは感情の無い顔で立つ夫に、心配の表情を浮かべ歩み寄ります。

翌朝、ニーナは大量の血を流して床に倒れており、ピーターはバスタブに張った水の中に顔を沈めて死亡しています。

2005年。痴呆症を患い、酷く体調を崩した妻・フェイスに心を痛めた夫・ウィリアムは尊厳死を推奨するカウンセラーのローナに連絡。

誰の目にも映らないメリンダという名の少女と遊ぶフェイスを見たローナは、自分の意志で望んでいないフェイスの尊厳死は手伝えないとウィリアムに告げます。

妻を思い絶望するウィリアムを見たローナは、数日泊まり込んでフェイスのサポートをすると提案。ウィリアムは安堵の表情を浮かべます。

スーパーへ買い物に来たローナの後をメリンダの霊がついていきます。マテソン家へ戻ると、庭先にグッドマンの元パートナー・ウィルソンがじっと佇んでいました。

それを聞いたウィリアムは直ぐにグッドマンへ連絡。自分達が引っ越す前に起きた殺人事件に取り付かれた刑事だとローナに説明。

ウィルソンを迎えに来たグッドマンは、車で家まで送っていこうとしますが、彼は銃で自殺を図ります。

ローナがマテソン夫婦に別れを告げようとした朝、ウィリアムが刺殺されているのを発見。動転したローナがフェイスに声をかけると、彼女は包丁で自分の指を切断していました。

ウィリアムに殺されそうになったと言いながらフェイスが笑いはじめ、ローナは恐怖で叫び声をあげ家から飛び出します。

車に乗り込みわき目も降らず逃げますが、後部座席にはウィリアムの霊が…。車は横道に逸れて木に激突。

以下、『呪怨 2020』ネタバレ・結末の記載がございます。『呪怨 2020』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

2006年。マルドーンはウィルソンが自ら証言を録音したテープを聞いてみることにします。

「ランダース家の事件が頭から離れない。最近、得体のしれない物を見るようになった。東京でも似たような事件があり、同じ家で人が次々殺されていく。担当の中川刑事に話を聞くと、その家は呪われ、彼は呪怨と呼んでいた」

「フィオナも東京のその家で働いていたことが分かっている。怨霊を連れ帰ったんだ」

テープを聞いた後資料室へ行ったマルドーンはサム・ランダースの亡霊を目撃。

新たな遺体が発見されたことで、レイバーン通りの一件は連続殺人事件となり、FBIの管轄へ。

フェイスから事情を聴くべきだと言うマルドーンに対し、グッドマンは事件が自分達の手を離れていると主張し取り合いません。

同じ頃、病院へ搬送され入院していたフェイスは、院内の上階から投身自殺。階段の上からメリンダの霊がじっとフェイスの遺体を見つめています。

その日の晩、家の外で煙草を吸っていたマルドーンの目の前にウィリアムの亡霊が現れ、中へ逃げ込むと長い黒髪の女性の霊に襲われます。

怯える母親を慰めるバークは、いつも親子で怖い時には目を閉じて5つ数える習慣をマルドーンに思い出させます。

グッドマンに連絡したマルドーンは家に来て欲しいと頼みます。目を閉じてもウィリアムの姿がちらつくようになり、マテソン家で起きたことが自分にも起きていると相談。

グッドマンは東京の家で起きた事件を話し、怨霊がフィオナに着いて来たことを明かします。

マルドーンは、いずれ自分が息子に危害を加えるかもしれないと予感。バークを守る為、全てを終わらせようと、ガソリンを持参しレイバーン通りの家へ向かいます。

到着するとバークに決して車から出ないよう強く言い含め、マルドーンは家の中へ足を踏み入れます。

すると「見せたいものがある」と言うフィオナの霊が現れ、自分の家族を惨殺し、自ら喉に包丁を突き立て自殺した光景がマルドーンの目の前に広がります。

家の中にくまなくガソリンをまいたマルドーンを側でバークが呼び止めます。「お母さん、何しているの?僕怖いよ」

車に戻るよう言いかけたマルドーンですが、怖いとつぶやく息子に「怖い時はどうするんだっけ?」と優しく話しかけます。

しかし、その質問にバークは答えられません。マルドーンは、目を閉じて5つ数えるのよと言いながら、ライターをはじいてバーク目掛けて火を放ちます。

直ぐに炎が家中に広がり、マルドーンは外へ脱出。車から飛び出してきたバークを強く抱きしめます。

親子は新居へ引っ越し。暫くしたある朝、スクールバスが到着するのを見たマルドーンは、バークを急かします。

学校へ出発する前に息子を抱きしめたマルドーンの後方で、「行ってきます」とバークの声。

弾けるように体を離すと胸に抱いていたのはメリンダでした。叫び声をあげ逃げ出そうとしたマルドーンを、鬼の形相をしたフィオナが首をつかんで引きずっていきます。

必死に抵抗するマルドーンに覆いかぶさるフィオナ。

近所に響くマルドーンの絶叫。引っ越した家は、妊婦の妻を殺害し自殺したピーターが住んでいた家でした。

映画『呪怨 2020』の感想と評価

本作は、伽椰子の怨霊に憑りつかれた東京の家で働いていたアメリカ人女性・フィオナが不吉な出来事に耐えかねて帰国したものの、伽椰子を連れて帰ってきてしまった所から悲劇が始まるホラー映画です。

続編として各紙に紹介されていますが、実は2004年に公開された前作と同時期に怨霊の恨みの念がまるでウィルスの様に拡散していくという独自のストーリー

憑りつかれた家に入った者だけが呪われるという仕掛けで、家族全員が惨殺されていくオムニバス形式の構成です。

公開された北米では批評家から厳しい評価ですが、日本のホラー映画ファンであるニコラス・ペシェが創作した物語は、なかなか出来の良い印象。

登場人物が多くあまり掘り下げられていない為最初は少し単調な展開ですが、恨んで死んだ人間がその場所へ憑く地縛霊の本質を台詞で説明せずに上手く描写しています。

また、日本のホラー映画は、「J-horror」という呼称があるほど、欧米では熱狂的なファンがいます。

本作の製作者サム・ライミもペシェ同様日本の怪談に精通しており、恨みを残して死んだ人の霊がその場所に憑くと公開前に『呪怨』のコンセプトをメディアに説明。

ペシェは、劇場版『呪怨』(2003)のトーンや雰囲気が既に怖いと清水崇監督を称賛し、シリーズのファンをがっかりさせず且つ独自色を出すバランスを大切にしたと話しています。

『死霊館』でジェームズ・ワンが演出したあさっての方向から怨霊が襲ってくる手法も劇中タイムリーに織り込んでおり、適度に気持ち悪い特撮、恨めしそうな亡霊、そして続編を想起させるエンディングも二重丸。

脚本の執筆もしたペシェは、大人向けの物語を構成しゴアな表現も取り入れ、2003年に公開された劇場版で井上博一が演じた中川刑事という名前を台詞に引用するなどオマージュを用いJ-horrorへ敬意も示しています。

まとめ

伽椰子が殺された家で事情を知らずに働いていたフィオナは、不可解な現象が続きアメリカへ帰国。しかし、伽椰子に憑りつかれていたフィオナは豹変。

家族を惨殺した後に自死します。以来、その家に足を踏み入れた人達は次々と死に至り、担当刑事のマルドーンが捜査を開始します。

インディーホラーで注目されたニコラス・ペシェが監督・脚本を務めた『呪怨 2020』は、自分の子供を守る為に怨霊と対峙する女性刑事の強さを佳境で描きつつ、呪いが連鎖していく過程を物語る2004年公開のバージョンとは異なるテイストのホラー映画です。

関連記事

ホラー映画

映画『トライアングル』ネタバレ感想評価と結末考察のあらすじ。怖いタイムループ地獄をメリッサジョージが熱演!

夢幻的で恐怖の雰囲気の隠れたホラー『トライアングル』 2009年、イギリスとオーストラリアの共同制作で、日本では2011年に公開されたホラー映画『トライアングル』。 『ザ・インターセクションズ』(20 …

ホラー映画

サスペリア(2018)あらすじネタバレと感想。ホラー映画リメイク版が全米を恐怖の淵に

「決してひとりでは見ないでください」そんなキャッチコピーと共に、1977年に公開されたイタリア映画『サスペリア』。 2018年に一世を風靡したホラー映画の傑作がリメイクされてスクリーンに戻ってきます。 …

ホラー映画

【来るネタバレ映画解説】霊能者の比嘉琴子(松たか子)は何故ムシを吐いたか。考察で見つけた幼虫の意味とは

2018年12月7日(金)より公開された中島哲也監督のホラー・エンターテイメント作品『来る』。 独特の作風で人気を誇る中島哲也監督が、「第22回日本ホラー小説大賞」を受賞した澤村伊智の原作『ぼぎわんが …

ホラー映画

『チャイルドプレイ(2019)』ネタバレ感想と解説。実際の事件を基に新たなモノを欲しがる子供への警鐘

1988年に一世を風靡した『チャイルド・プレイ』のリブート版が2019年7月に日本公開。 殺人犯の怨霊が宿る人形という設定から30年を経て、家庭で普及する人工知能へと進化したチャッキー。 日本では同日 …

ホラー映画

映画『スプリー』ネタバレあらすじと感想評価。ラスト結末も【ジョー・キーリーが演じるデジタル時代の恐怖】

SNSの恐怖と不条理を描き、若者世代が抱える心の闇を表したスリラー『スプリー』。 2020年、サンダンス映画祭でNEXT部門として初上映され、演出は新進気鋭のユージーン・コトリャレンコ監督で、脚本と製 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学