映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は2019年11月1日(金)よりロードショー!
幼年期の親友との忘れられない思い出、しかし、そのなかに忍び込む恐怖の記憶がある事件から掘り起こされます。
大人になった少年たちは、ふたたび、あの忌まわしい故郷に集まった。
本作は作家・スティーブン・キングの代表作『IT』を原作としたホラームービーで、2017年に公開された『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の続編となるもの。
主人公の少年時代に倒したはずの殺人ピエロ・ペニーワイズによる悪夢がよみがえり、大人になった少年たちがその恐怖に決着をつけるべく故郷にもどり、戦う姿を描きます。
監督はアンディ・ムスキエティ監督が続投。ペニーワイズ役もビル・スカルスガルドが再び担当します。
また、27年後の少年たちを『スプリット』などのジェームズ・マカヴォイや、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインらが演じます。
CONTENTS
映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【英題】
IT: CHAPTER TWO
【監督】
アンディ・ムスキエティ
【キャスト】
ビル・スカルスガルド、ジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・ヘイダー、イザイア・ムスタファ、ジェイ・ライアン、ジェームズ・ランソン、アンディ・ビーン
【作品概要】
作家スティーブン・キングの代表作を原作としたホラー映画の続編で、ルーザーズ・クラブと呼ばれる弱虫少年たちが、子共時代に倒したはずの殺人ピエロの悪夢が復活、大人になった少年たちがその恐怖に立ち向かう姿を描きます。
監督は、前作に引き続き『MAMA』を手掛けたアンディ・ムスキエティが担当。またペニーワイズ役もドラマシリーズ「ヘムロック・グローヴ」などに出演したビル・スカルスガルドが再び担当します。
27年後の少年たちを、『スプリット』などのジェームズ・マカヴォイや、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステイン。
また、『スモーキング・ハイ』などのビル・ヘイダー、「NIKITA/ニキータ」シリーズ・シーズン3のイザイア・ムスタファ。
さらに、『Fighting Season』のジェイ・ライアン、『インサイド・マン』などのジェームズ・ランソン、『ダイバージェントFINAL』のジェームズ・ランソンらが演じます。
映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』のあらすじ
アメリカ、メーン州デリー。27年前に度々発生していた子どもの失踪事件は忘れ去られ、街は寂れた平穏な場所となっていました。
また、当時自らの恐怖に打ち勝ち、密かに殺人ピエロ・ペニーワイズを倒した、ルーザーズ・クラブを名乗り集まっていた7人の少年たちも成長し、最後にグループに入ったマイクを残して、それぞれみな町を離れ、さまざまに名を成していました。
しかし、ある日デリーで、いつか町を離れることを夢見ていた一人の少年が不良たちに会い、暴行を加えられた挙げ句に川に捨てられてしまいます。
彼の親友はその姿を追いかけますが、川岸の向こうで少年を抱きかかえる一人のピエロの姿を目撃します。
翌朝、少年は無残なバラバラ死体で発見されます。
マイクはペニーワイズの復活を確信し、ルーザーズ・クラブの仲間に連絡。こうしてかつての少年たちが、再び悪夢に挑む戦いへの火ぶたが切られたのでした…。
映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の感想と評価
ホラー版『スタンド・バイ・ミー』を改めて感じさせる構成
スティーブン・キングの『IT』といえば、かつて1990年に作られたテレビドラマ版作品を想像する方も少なくないでしょう。
今回のこの作品、そして『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、大枠としてこのテレビドラマ版の前半、後半の形とほぼ合わせた構成となっています。
テレビドラマ版では、この映画のメインキャラクターであるルーザーズ・クラブ、つまり宿敵「IT」と対決する7人の成人した人間たちのエピソードを描くことに対して、どちらかというとキャラクター同士の会話に頼っている部分もあります。
そのためバランス的にはルーザーズ・クラブがありながらもキャラクターとして主人公・ビルにスポットが当たった物語に見えます。対して本作の映画版は、その違いから、かなり7人の性質的な面が浮き上がって見えます。
キング原作の映画化といえば、他に1987年に公開された『スタンド・バイ・ミー』が有名でもあり、前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、まさしくホラー版『スタンド・バイ・ミー』との呼び声もありました。
その意味では、改めてキングの作品に込めた思いを改めて見直したようでもあり、リスペクト感が垣間見られる作品となっています。
また、ホラー映画作品として、ペニー・ワイズの邪悪な正体を描いた諸々のイメージに対し、ショックを与えるシーンは諸々あれど、それほどに直接的な凄惨シーンは作られていません。
ホラー映画とカテゴライズされながらも、幅広い視聴層を考えられた作品としているところもあるようで、ホラー映画ファン、あるいはカテゴライズにこだわるファン層からは意見もあるかもしれませんが、この意味でもキングが作品に描いた思いを誠実に見つめた結果とみることのできる作品となっています。
一方で、シークエンスの構成やシーンの演出などの細かな部分は、テレビドラマ版よりかなり洗練されています。
テレビドラマ版が製作された当時と比較すると技術的な進歩があるので、そういった見え方の違いがあるのは、当然といえば当然なのです。
しかし、同じ意図の筋を描きながら、敢えてその内容を膨らませてみたり、あるいは見え方を変えたりとオリジナリティを求めた様子が強く見られます。
こういった変更は、この作風を好むという趣向の方には高評価を得る一方で、「テレビドラマ版の方がシンプルで、恐怖を感じた」などと言われる方もいるなど、意見として賛否が分かれるところかもしれません。
前作との差を議論される可能性は当然であり、リメイク作品という位置づけとなると製作にも勇気が必要な場合もあります。
しかし、この作品ではそんなニュアンスの違いにも、あくまで自分たちの作品であるという信念が見られ、非常に好感が持てるものとなっています。
特にエンディングシーンは、テレビドラマ版では正直どういう結末だったのかをわかりにくかったと訴える人も多かったと推測しますが、ここも洗練された表現で展開を丁寧に描き、展開の意図がもっと明確なものとして描かれています。
まとめ
ジャンルとしてはホラーとくくられてしまう作品でありますが、物語の芯には、非常に多くの人が強い共感を覚えるものがあるはずです。
登場人物の構成や、そのエピソードなどからホラー版『スタンド・バイ・ミー』と呼ばれたことについても、非常にポジティブにとらえられる面を持ち合わせているようでもあります。
誰もが持つ不安やおそれ、過去への後悔。そういったものの延長がこの映画では恐怖として描かれており、あながち人々が持っている複雑な思いと、大きな違いを持ったものを描いているわけではありません。
むしろ、かなり共感する部分が多いと感じる人も少なくないでしょう。
画としてのグロテスクさ、怖さという印象はあれど、その奥にあるもので自身の人生について、改めて振り返らせてくれるでもあります。
一方で、劇中では思わずニヤリとするカメオ出演もあり、旧作のファンやスティーブン・キングファンにはたまらない作品といえるでしょう。