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Entry 2020/07/09
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映画『サモン・ザ・ダークネス』ネタバレ感想と考察評価。アレクサンドラ・ダダリオら3人の美女が催す悪魔の殺人パーティー|未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録7

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第7回

佳作から怪作・問題作まで、世界のあらゆる映画を紹介する「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。第7回で紹介するのはカルト集団の凶行を描くバイオレンスホラー『サモン・ザ・ダークネス』。

過激なへヴィメタルバンドのライブに集まる若者たち。そこで知り合った男女も意気投合。その夜は一緒にパーティを楽しむことになります。実はこの場所、悪魔信奉者による連続大量殺人が発生し、人々を不安に陥れていたのです。

パーティはやがて、惨劇の舞台に姿を変えます。しかしこの事件にも、今まで起きた連続殺人にも、恐るべき裏があったのです…。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020延長戦見破録』記事一覧はこちら

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映画『サモン・ザ・ダークネス』の作品情報


(C)2019. The Fyzz Facility 16 Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2020年(アメリカ映画)

【原題】
We Summon the Darkness

【監督】
マーク・メイヤーズ

【キャスト】
アレクサンドラ・ダダリオ、マディー・ハッソン、エイミー・フォーサイス、ジョニー・ノックスビル、キーアン・ジョンソン、ローガン・ミラー、オースティン・スウィフト

【作品概要】
へヴィメタライブに集まった若者たちが、カルト集団による殺人に巻き込まれるが、その後事態は意外な展開を見せるバイオレンススリラー映画。イタリア映画『人間の値打ち』(2013)をハリウッドリメイクした作品、『Human Capital(原題)』(2019)を監督した、マーク・メイヤーズが手掛けた作品です。

『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』(2010)や『カリフォルニア・ダウン』(2015)のアレクサンドラ・ダダリオ、『アリータ バトル・エンジェル』(2019)キーアン・ジョンソン、『エスケープ・ルーム』(2019)のローガン・ミラー、「未体験ゾーンの映画たち2020延長戦」の『エージェント・スミス』(2019)のジョニー・ノックスビルらが出演しています。

映画『サモン・ザ・ダークネス』のあらすじとネタバレ


(C)2019. The Fyzz Facility 16 Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

1988年、インディアナ州。へヴィメタル・バンドのライブ会場に向けて走る車の中には、見るからに追っかけ風の、3人の娘が乗っていました。

雑誌『Bop』(当時人気のティーン向けアイドル誌)の記事を話題に、ガーリートークに花を咲かれる3人組。運転しているアレクシス(アレクサンドラ・ダダリオ)がリーダー格でしょうか。

ビヴァリー(エイミー・フォーサイス)にはもっと楽しむよう勧め、トイレに行きたがるヴァル(マディー・ハッソン)のためにガソリンスタンドに車を入れるアレクシス。

3人はスタンドの売店に入ります。店員の老人はカウンターのテレビで、メタル音楽は若者を堕落させる悪だと主張する、テレビ伝道師ジョン・ヘンリー・バトラー牧師(ジョニー・ノックスビル)の説教を聞いていました。

ビヴァリーが売店で手に取った新聞は、この近辺で多発している、悪魔信奉者(サタニスト)が起こしたとされる殺人事件について報じています。

事件は凶悪なサタニストによる、連続殺人の1つとして話題になっていました。商品を手に支払いにきた3人に、老人は「あんた方のような若い娘には、この辺は危ないから気を付けろ」と忠告しました。

そんな老人の言葉を深く受け止めず、鼻で笑って店を後にする3人組。

それでも気になったのか、3人は車のでラジオのニュースが報じる事件の詳細を聞きました。3人の若者が室内で惨殺され、壁には悪魔のシンボルが描かれていたのです。

バトラー牧師はこの残虐な事件を、声高に非難していました。事件を気にしているビヴァリーに、落ち着いて楽しむよう声をかけるアレクシス。

3人の車を追い越していったバンから投げられた物がフロントガラスに当たります。やむなく車を停め、先行くバンに悪態をつく彼女たち。カップごと投げ捨てたシェイクが命中したのです。

気を取り直して先を進み、3人はライブ会場に到着します。駐車場にはライブを心待ちにする、多くのファンがいました。到着を祝って、まずは酒で乾杯する彼女たち。

するとその駐車場に、あのバンが停まっていると気付きます。先程のお返しとばかり、ヴァルが売店で買った爆竹に火を付け、開いていた窓から車内に投げ込みました。

車内から、バンドのメンバー風の3人の男が飛び出してきます。文句を言う男たちに、彼女たちは投げつけたシェイクで、事故を起こしかけたと告げました。

わざとでは無かったと謝り、お詫びにビールを差し出す男たち。彼らはコバック(ローガン・ミラー)とアイヴァン(オースティン・スウィフト)、マーク(キーアン・ジョンソン)と名乗ります。

彼らは出演するバンドのツアーを追って旅しており、今日で4回目のライブを見ると打ち明けます。自分たちはバンド仲間だが、マークは引き抜かれ今度LAに引っ越すと語るコバック。

話題はサタニストによる連続殺人事件に移ります。昨日の事件で犠牲者は18人になりました。

しかし男3人組は深く気にしません。彼女たちと初めてライブを見に行ったアーティストの名を語り合い、意気投合して一緒に会場に向かいます。

バンドは悪魔を讃える歌詞を持つ、へヴィメタらしい曲を演奏し、会場は大いに盛り上がります。ライブが終了すると満足して出て来る観客たち。

その中に共に楽しんだ男女6人組もいました。アレクシスが私たちは帰ると告げると、アイヴァンがこれから皆でパーティをしないかと誘います。

俺たちのバンで盛り上がろうと誘われ、アレクシスとヴァルも乗り気になって、迷っているビヴァリーはマークに気があるとからかい、彼女にも参加を認めさせます。

狭いバンではなく、この近くにある広くて便利な自分の父の持ち家でパーティを開き、皆で盛り上がろうと提案するアレクシス。

彼女は男たちに、自分たちの車が先導するので付いてくるように告げます。うまい話に期待をふくらませた男3人組は、大喜びで従います。

暗い道を2台の車が走ります。女たちの車では、ヴァルが一番セクシーな男はジャド・ネルソン(80年代青春映画スター、ブラット・パックと呼ばれる俳優の1人)と語り盛り上がります。

しかしビヴァリーは話には加わらず、硬い表情で座っていました。

やがて、アレクシスの車は人気のない場所にある、豪華な屋敷に到着。後を付いて来た男たちは驚き、アレクシスの親はブッシュ副大統領かと、ジョークを飛ばします。

6人は外に出てたき火を囲み、酒盛りを始めロックバンド談義で盛り上がります。ヴァルは積極的にコバックに迫りますが、1人邸宅に戻ったビヴァリーを追うアレクシス。

アレクシスは今日の集まりにビヴァリーが参加したことを感謝し、自分とヴァルが時々彼女をからかうような態度をとった事を詫びました。

それでも今夜、あなたがこの集まりに参加したことを嬉しく思っている、そして今日の出来事はあなたにとって、大切な第一歩になると告げ、紙コップに酒を注ぎます。

固い表情のビヴァリーは、アレクシスと共に紙コップを運びますが、思わずマークとぶつかって中身をこぼし、上着を濡らしました。

マークは詫びると、自分のジャケットを彼女に着せました。礼を言うビヴァリーですが、ポケットに飛び出しナイフが入っていると気付きます。それは兄弟のものだと釈明するマーク。

アレクシスは家族の特製レシピの酒だと説明し、男たちに酒を勧めます。ビヴァリーは彼女にマークがナイフを持っていたと報告しますが、もっとリラックスしろと告げるアレクシス。

一同が乾杯すると、アレクシスは「したことないゲーム」をしようと提案します。誰かが自分がしたことのない行為を話すと、それをしたことがある者は酒を飲む、というゲームです。

アレクシスが自分は全裸で外を走った事がない、と言うとアイヴァンとヴァルが酒を飲みます。こんな調子でゲームが始まりました。

ゲームを進めて行くうちに、他人の飲み物に薬を入れたことがある、という話が出ます。すると酒を飲むアレクシスとヴァル。やったことがあるのか、と驚く男たち。

マークは既に眠っていました。どうせ私たちとヤルつもりだったんでしょう、と冷笑する3人の女。アイヴァンも倒れ、コバックの体も崩れ落ちます。その体を引きずってゆく女たち。

3人の男は下着姿で椅子に縛られ、眠っていました。アレクシスはビヴァリーに、彼らを起すために、水を持って来るよう命じます。

緊張した面持ちのビヴァリーを見て、ヴァルはアレクシスに、彼女には無理ではないかと告げます。しかしあの子にも出来る、と言い切ったアレクシス。

キッチンで水を用意するビヴァリー。しかし彼女はナイフを掴む事をためらいます。現れたヴァルが手慣れた様子で包丁を持ち出て行くと、彼女は水を手に後を追います。

アレクシスが男たちに水をかけ目を覚まさせると、ヴァルが包丁を突きつけます。壁には悪魔のシンボルが描かれていました。

驚く男たちに、これはゲームではないと告げる女たち。身動きできない彼らは、彼女たちがサタニストによる連続殺人の実行犯の、カルト集団だと悟ります。

逃れてもバンのタイヤは切り裂いたので、逃げる手段は無いと告げるアレクシス。叫んでも周囲に人気は無く助けは望めません。彼らをあざ笑う女たち。

これから殺される男たちの為に、事件の種明かしをするアレクシス。実は連続殺人は、サタニストの仕業ではありません。

それは彼女たちが所属する、神の教えを信じる者たちによる犯行で、悪魔を信奉するカルト集団の凶行に見せかけ、人々の恐怖を煽り、神の教えに従う者を増やす目的で行われたのです。

同じ教団の他のグループも実行しており、今週は彼女たちが殺人を犯す番でした。この行為のお蔭で無知な人々は神の教えの正しさに気付く、お前たちは尊い犠牲になると言うアレクシス。

彼女の言い草は、テレビで説教する狂信的なバトラー牧師と同じだと指摘するマーク。

その言葉に怒り、彼が下げている悪魔のシンボルのペンダントを掴み、アレクシスはこれはどういう意味だと叫びます。マークは反抗の意志を表現する手段だと答えます。

その答えを無視して、自分たちがいかに神の教えを広める、正しい行為のために働いているかを力説するアレクシス。

その態度を狂気じみてると、大声で叫ぶアイヴァン。その態度に怒ったアレクシスは、いきなり彼の首の根元にナイフを突き刺し殺します

アレクシスとヴァルは、マークとコバックに刃物を突きつけます。すると彼女たちの行為から距離を置いていたビヴァリーが、少し話し合えないかとアレクシスに訴えました。

彼女たちが姿を消すと、マークはコバックに、近くに置かれたベルトのバックルでロープが切れないかと提案します。縛られたままベルトに近づくコバック。

ビバリーは自分に殺させて欲しいと訴えます。アレクシスは今回、彼女は参加させるだけのつもりでした。ヴァルは実行できるか疑いますが、アレクシスは彼女にナイフを渡します。

3人は物音に気付きます。慌てて元の部屋に向かうと、マークとコバックはロープを解き逃げ出していました。

しかし玄関の扉は施錠され、彼らは逃げることができません。アレクシスはビバリーからナイフを奪い、男たちに切りつけます。マークはトレイで女を殴り、コバックと一室に逃げ込みます。

部屋の扉を破ろうとして果たせないアレクシスとヴァル。コバックは深く斬られ出血しており、アレクシスはいずれ出血多量で死ぬと脅します。その2人を黙って見つめるビヴァリー。

アレクシスはこの失態はビヴァリーのせいだと責め、納屋にいって扉を壊せるものを見つけてこいと命じ、従わないと殺人の罪を背追ってもらうと脅します。

コバックの斬られた腕を縛り、止血を試みるマーク。このままではアレクシスの言う通り、彼の命が危ないのは確かでした。

しかもアレクシスとヴァルは、ドアの隙間から殺虫剤を噴出させ、部屋に充満させ彼らを苦しめました。マークは隙間を布で塞ぎ、何とか防ごうとします。

そこに家に車が近づきます。修羅場の最中に何者かが現れました。どう取り繕って対処すべきかを悩むアレクシスとヴァル…。

以下、『サモン・ザ・ダークネス』のネタバレ・結末の記載がございます。『サモン・ザ・ダークネス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2019. The Fyzz Facility 16 Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

アイヴァンを殺害した部屋の扉を閉めると、平静を装って玄関に向かうアレクシス。現れたのは彼女の義母でした。

継母は娘の派手な格好と、マークに殴られた際に額に負った傷に驚きますが、ヴァルと仮装パーティーに行き騒ぎに巻き込まれ、できた傷だと説明するアレクシス。

彼女にバトラー夫人と挨拶するヴァル。彼女はバトラー牧師の後妻で、バトラーの前妻の娘がアレクシスでした。

彼女は継母がタークス・カイコス諸島(バハマ付近のリゾートと金融業で有名な島)に向かったものと信じていましたが、それは明日でパスポートを取りに現れたのです。

義母は2階に上がると金庫を開けてパスポートを取り、中にあったドラックを吸引して楽しみます。一方閉じ込められた部屋で、コバックを介抱するマーク。

扉を壊せるものを物色していた納屋で、自分の行為を思い悩むビヴァリー。

扉の前から女たちの気配が消えたと悟ったマークは、コバックを救うためにビンを割って武器にし、彼と共に脱出しようと試みます。

降りて来た継母に、嫌味のように鼻にコカインが付いてると指摘するアレクシス。そんな態度に構わず出て行こうとする彼女は、やっかいな事実を話しました。

彼女は家の前に停まった見知らぬバンを見て、不審者がいると思い父に報告し、警察にも通報したのです。保安官が現れたら間違いだと説明して欲しい、と話します。

まずい事になったと思うアレクシスとヴァルですが、義母は出て行こうとします。するとマークたちが物音を立て、何事かと反応した義母。

必死に止めるアレクシスに構わず家に戻った継母は、アイヴァンが殺された部屋に入って驚きます。その彼女の腹にナイフを突き刺すアレクシス。

ヴァルはその行為に驚きます。間もなく保安官と、アレクシスの父バトラー牧師が現れます。どうするつもりかと訊ねる彼女に、アレクシスは計画通り進めるだけと言い張ります。

納屋の中のビヴァリーは、サタニストによる殺人を記した古い新聞記事や不動産の権利書など、バトラー牧師の教団に関する資料を見つけました。

さらに工具箱の中に、多額の現金を発見します。これは教団に隠した資産でしょうか。彼女はこれらを見て何かを悟ります。

マークとコバックが割ったビンを握りしめ、部屋から飛び出そうとした時、アレクシスはスプレーから噴出するガスに火を付け、扉の下から2人を火攻めにしました。

2人は引き下がりますが、今度パトカーが現れたと気付いたアレクシスとヴァル。

イライラするアレクシスですが、ヴァルを家に残し外に出て保安官に会います。彼女は継母が間違って通報しただけだと侘び、問題ないので帰ってくれと説明します。

しかし保安官は、通報した彼女の義母に会わせろと求めます。アレクシスの説明を疑った彼は、彼女に両手をパトカーにつけるよう指示しました。

それを拒否して、走って家に戻るアレクシス。保安官は銃を抜いて家に入り、アイヴァンと義母の死体がある部屋の惨状に気付きます。

家にいる者は出て来いと警告する保安官。その声を聞き、こもっていた部屋から出て来て、助けを求めるマークとコバック。

マークはコバックには助けがいると説明しますが、彼を疑った保安官は手錠を出し、マークの片手にかけました。その隙をつき銃を奪うと、保安官を射殺するヴァル。

マークとコバックは元の部屋に逃れ、銃声はビヴァリーの耳にも届きます。保安官を殺したとアレクシスは怒りますが、ヴァルはマークたちが逃れた部屋の扉に銃を放ちます。

ヴァルの危険なふるまいに、彼女から銃を奪おうとするアレクシス。もみ合って銃が落ちると、電動工具を手にして現れたビヴァリーがそれを踏みつけました。

教団の行為には様々な裏があり、自分たちは間違っていたと言うビヴァリーに、神の為に働けと説得するするアレクシス。

外で女たちがもめていると知り、マークとコバックは2人で逃げる最後のチャンスとばかり、割れたビンを手にして覚悟を決めました。

家族のいなかったビヴァリーに、救いの手を差し伸べ仲間に加えたのは、バトラー牧師の教団ではないかとヴァルは訴えます。

しかし彼女は、バトラーは教団への寄付金で私腹を肥やし、彼が宣伝する若者たちの避難施設も作っていないと知りました。教団は信用できないと叫ぶビヴァリー。

それでもここから逃げるには、私たちと一緒にいるしかないと、車の鍵を示すアレクシス。彼女とビヴァリーが向き合った隙に、背後からヴァルが襲い3人は争います。

抵抗したビヴァリーが2人を傷つけ銃を向けた時に、マークとコバックが飛び出し、ビバリーの背をビンで刺します。その隙にアレクシスとヴァルは逃げました。

ビバリーは教団に洗脳されていたが、今は過ちに気付き2人と争ったと説明します。幸い彼女の傷は深くありません。彼女とマークは言い争いますが、その前で倒れたコバック。

2人はコバックを介抱しますが、2階に逃れたアレクシスが、「ヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アース」の歌を流します(1987年にベリンダ・カーライルが発表した、地上に天国を作ろうと歌う歌詞を持つ楽曲)。

コバックを救うには、今すぐアレクシスから車の鍵を奪い、彼を病院に連れて行くしかないと言うマーク。しかし彼がナイフを手に2階に向かうと電気が消えました。

ブレーカーが切られたと気付き、ビヴァリーはコバックに銃を持たせ、電動工具を持ちヴァルが潜む地下室に向かいます。

1階に残されたコバックは、何者かの車が現れたと気付きました。必死になって起き上がり家の外に出て、車から現れた男に助けを求めるコバック。

男から説明を求められ、彼は3人の女の子が自分の友人を殺した、彼女たちは精神異常者だと訴えます。男はコバックに、車内にある携帯で警察に通報しろと告げます。

男は友人を救いに行くので、コバックの銃を貸してくれと頼みます。銃を渡した彼は、相手がテレビで説教をしていたバトラー牧師だと気付きます。

コバックの腹を撃ち、銃を手に家の中に入るバトラー。

暗い家の中を探し歩き、自分の妻の死体を見つけたバトラー。しかし彼はいい厄介払いだ、と呟きます。しかし保安官の死体を見つけると、悪態をつきました。

地下室のビヴァリーがブレーカーを入れようとした時、背後からヴァルが襲ってきます。彼女があなたも洗脳されていると訴えても、耳を貸そうとしないヴァル。

馬乗りになったヴァルに殴られるビヴァリー。その物音を聞いても動じないバトラー。

2階のマークは車の鍵を手に入れますが、アレクシスに襲われ刃物で刺されそうになります。地下のビヴァリーは、ヴァルに電動工具を押し付けられ、窒息しそうでした。

ライターでヴァルの髪に火を付けたビヴァリー。衣服にも燃え移り、ヴァルは炎に包まれます。ビバリーがブレーカーを入れると電気が付き、マークは反撃に転じます。

ビヴァリーが1階に上がると、撃たれたコバックが玄関まで這って来ています。彼は牧師が現れたと告げ、マークを頼むと言い残し息を引き取りました。

アレクシスに馬乗りになり、首を絞めるマークの背後にバトラーが現れ、彼に銃弾を浴びせました。部屋に入り音楽を停めるバトラー牧師。

パパと呼ぶアレクシスに対し、彼は計画外の人間を殺した失敗を責め立てます。仲間に加えたビヴァリーの裏切りが原因だと訴えると、彼女を加えたのはお前だと指摘します。

事態は上手く処理すると言う娘に、バトラーはお前は無謀だと告げます。父のため一生懸命働いたと訴えるアレクシスに、事態を収拾する殉教者になってもらうと言うバトラー。

娘の首を絞めるバトラーを、背後からビヴァリーが電動工具で殴り倒します。助けられたアレクシスは、彼女に礼を言いました。

しかし父から与えられた信仰に染まったアレクシスは、ビヴァリーを襲い首を絞めます。2人は争いアレクシスは父の体につまずき、窓を破って2階から転落します。

マークはまだ生きていました。ビヴァリーは彼を助けて1階に向かいます。マークがコバックの遺体に別れを告げると、2人は家を出ました。

ビヴァリーはアレクシスの車にマークを乗せて出発します。しかし車の前に、血にまみれたアレクシスが立ちふさがります。

彼女はアクセルを踏み込むと、アレクシスに向け車を走らせました。

日が昇る頃、惨劇の舞台となった屋敷に現れ、事件について伝えるレポーター。

彼女はテレビのニュースで、今回のサタニストによる殺人で6人が殺害され、事件はヘビィメタルのコンサートの後、それに抗議したバトラー牧師の家で起きたと語ります。

事件は牧師の娘で、悪魔を信奉していたアレクシスによって引き起こされ、多くの人が犠牲になったものの、勇敢な牧師が撃退したと伝えていました。

レポーターからインタビューされたバトラー牧師は、自分の娘も多くの若者同様に混乱し、神の道を見失っていたと語り、皆が神を信じ正しい教えを信奉するよう訴えます。

3人の娘が冒頭に訪れた、ガソリンスタンドの売店の老人は、テレビでその番組を見て牧師の言葉にうなずきます。そこに現れたビヴァリー。

支払いを済ませた彼女は、真実は闇に隠れている、と老人に告げ去って行きます。

マークの待つ車に乗り込むビヴァリー。車内にバトラーが裏金を隠した工具箱を積み、フロントに血がこびり付いた車を、彼女は走らせ旅立ちます。

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映画『サモン・ザ・ダークネス』の感想と評価

参考映像:『ヘル・フェスト』(2018)

アレクサンドラ・ダダリオの怪演が注目を集める本作、カッコ良く危険な香りを持つお姉さんが大好きな人にお薦めの作品です。

当初イーライ・ロス監督、キアヌ・リーブズ主演の『ノック・ノック』(2015)か、エレン・ペイジ主演の『ハード・キャンディ』(2006)のような、下心ありの男に制裁を加える映画か、ハメを外した女の子が襲われるスラッシャー映画に思えた作品が、思わぬ展開を見せます。

なお、実質的な主役であるビヴァリーを演じたエイミー・フォーサイスですが、日本の映画ファンにはまだ馴染みが薄いでしょう。

しかし都市伝説をモチーフにしたホラードラマ「Channel ZERO」シリーズ(2016~)や、青春音楽ドラマ『Rise』(2018)、そして遊園地を舞台にしたスラッシャーホラー『ヘル・フェスト』と、活躍が著しい女優です。

どうぞ彼女の今後の活躍にも、注目してご覧ください。

殺人パーティーを真面目に描く


(C)2019. The Fyzz Facility 16 Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

悪魔信奉者が何かやらかす、という設定を大いに匂わせて開始する本作ですが、状況は二転三転し、予想のつかない展開を見せてくれます。

はっきり言ってギャグ一歩手前のドタバタ劇ですが、本作は「ジャッカス」シリーズのジョニー・ノックスビルが出演しているにも関わらず、笑いに逃げません。

実は本作の製作にも参加しているアレクサンドラ・ダダリオ、心底性悪女を演じたかったのか、ノリノリ(はっきり言ってヤリ過ぎ)でこの役を演じています。

映画の中で計算外の出来事が立て続けに起きても、彼女はめげずに頑張ります。しかしこの展開はリアルなの?という疑問符が付きますし、巨悪の教祖様が逃げ切る展開は、いくら何でも無理だろう、とツッコミたくなる人もいるでしょう。

ただし本作に笑い所がない訳ではありません。女3人組のガーリートーク、80年代末の芸能・風俗ネタは楽しめます。その割には画面に、当時っぽくないアイテムも多々登場していますが……。

「未体験ゾーンの映画たち2020」で上映された、『ミッドウェイ 運命の海』にゲスト的に出演のジャド・ネルソン。もうゴツいおっさんですが、彼が当時いかにティーンから人気があったのかを、本作を見て実感できたでしょう。

アメリカの宗教右派に対する風刺作?


(C)2019. The Fyzz Facility 16 Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

本作はカルト宗教にまつわるスリラー映画、危険でカッコいいお姉さんが出てくる作品だと、額面通りに見て楽しめる作品です。ですが無理押し展開が持つ、作品の背景を分析しましょう。

映画の舞台は1988年。レーガン政権が終了し、ジョージ・H・W・ブッシュ政権が誕生する年です。この共和党政権を支える勢力として、キリスト教の保守勢力が力を持ち始めた時代でした。

キリスト教福音派、キリスト教原理主義など、宗教右派と呼ばれる白人保守層が多く住むバイブル・ベルト。アメリカ合衆国の東南部に広がり、その北端が本作の舞台インディアナ州です。言うなれば宗教的価値観が、ぶつかり合う場所とも呼べるでしょう。

70年代に米国でケーブルテレビが広まり、有料多チャンネル化が進むと宗教右派の団体は、テレビを使った布教活動を始め、着々と支持者を広げていきます。80年代には共和党政権の票田として機能するようになりました。

一方でテレビ伝道師による説教は、異なる価値観を持つ者に対して攻撃的であるほど支持されました(へヴィメタル音楽などは、格好の攻撃対象です)。その排他的な姿勢や、集まった募金の不明朗な流れなど、一部団体には様々な問題も生まれます。

その後クリントン民主党政権が誕生すると、国政への影響力は低下しましたが、宗教右派はさらに勢力を増していきます。やがてトランプ政権を産む原動力となり、同時に現代のアメリカの価値観を二分化する、一方の側の中心的存在にまでに成長しました。

本作はそんな宗教右派に属する、一見まっとうな主張をしながら、攻撃的で裏に何があるのか判らない危険な教団の姿を通して、現在のアメリカを風刺した作品ともいえます。

そう振り返ると本作にラストのセリフが、宗教右派を支持母体とする、アメリカ社会の分断を進めるトランプ政権の時代に、どんな意味を持っているかお判りになるでしょう。

まとめ


(C)2019. The Fyzz Facility 16 Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

アレクサンドラ・ダダリオが、精魂こめてヤバい女を演じた『サモン・ザ・ダークネス』。彼女たちの姿を目当てに本作を見た人は、充分満足できるでしょう。

サスペンスやスリラーとしては、展開が今一つと思った方、本作には世間から立派だと思われる言動をする人物にこそ、裏に何があるやら判らないという、極めて現代的な風刺が込められていることにも注目して下さい。

愛や感動や正義を高らかに語る者より、リスクを負い自分をさらけ出してまで、作りたい映画を作る……。エロだろうが、グロだろうが、ホラーだろうが……。

そんな人物の方が筋が通っているものです。B級映画ファンなら皆知っている真実だ、と言い切ると勇み足でしょうか。

「ジャッカス」シリーズで、お馬鹿パフォーマンスの極みをやらかしたジョニー・ノックスビル。映画『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』(2013)の渋谷での舞台挨拶では、日本語で下ネタを語ってくれたナイスガイです。

役者としての彼は、大作映画で「ジャッカス」のイメージで期待される、コメディリリーフを演じる事も多いですが、一方で本作や、「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】」の『エージェント・スミス』(2019)のような、白人保守層を風刺する役柄を真面目に演じています。

彼の人柄や仕事選びには、一本筋の通ったものを感じます。日本でも体を張って馬鹿をやってくれる芸人の方が、人として尊敬できる振る舞いを見せる、そんな事例もありました。

好感度だけが高い人物、まして他者を攻撃して自分が正義だと強調する人物にはご用心。これは一般の方より、へヴィメタル信者やB級映画愛好家の方が、よ~く理解しているはずです。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」は…


次回の第8回はフィリピンの熱血スタント・ガールが悪の組織に立ち向かう!格闘アクション映画『ネバー・ダイ』を紹介いたします。お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020延長戦見破録』記事一覧はこちら






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【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学