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Entry 2023/04/16
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【ネタバレ】コナン黒鉄の魚影|ラストシーン/最後/結末を考察解説!映画2023で灰原哀を“あの登場人物”が助けた目的は組織のボス・烏丸の“不都合”?

  • Writer :
  • 糸魚川悟

“あの登場人物”が灰原を助けた理由は“二つ”?

劇場公開開始からわずか1日で興行収入8.5億円を記録した映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(2023)。

世界中の防犯カメラの映像を集約する新たな警察施設「パシフィック・ブイ」を舞台に、コナンとその宿敵「黒の組織」との攻防を描いた本作は、シリーズの人気キャラクターたちの思惑が複雑に交錯する作品となっています。

本作の物語の中心となったのは、高校生探偵・工藤新一を「江戸川コナン」にした原因である薬「APTX4869」の開発者“シェリー”にして、自身も黒の組織から逃げるために薬を服用し幼児化してしまった少女・灰原哀。

映画作中、高い人物特定能力を持つ「老若認証システム」により、組織が追う“シェリー”こと宮野志保と同一人物かもしれないと嫌疑がかかったことで命を狙われることとなった灰原。

本記事では、そんな灰原を“意外過ぎる登場人物”が助けた理由・目的を、映画のラスト・結末やこれまでの人物描写を通じて考察・解説していきます。

映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の作品情報


(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

【公開】
2023年(日本映画)

【原作】
青山剛昌

【監督】
立川譲

【脚本】
櫻井武晴

【キャスト】
高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、林原めぐみ、緒方賢一、山口勝平、高木渉、湯屋敦子、大谷育江、岩居由希子、松井菜桜子、堀之紀、立木文彦、小山茉美、古谷徹、池田秀一、沢村一樹

【作品概要】
青山剛昌の人気コミック『名探偵コナン』の劇場版アニメ作品シリーズの26作目。

監督は。興行収入91億円を達成した『名探偵コナン ゼロの執行人』(2018)を手がけた立川譲。

また、『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』(2019)や『マスカレード・ナイト』(2021)に出演する俳優の沢村一樹が、ゲスト声優として出演しました。

映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』ラストシーンを考察・解説!


(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

灰原哀を助けた“意外な登場人物”

「黒の組織」の研究者“シェリー”こと宮野志保は組織を脱走し、「灰原哀」として阿笠博士のもとに身を寄せていました。

シェリーに執着する“ジン”や“ベルモット”に追われ幾度となく命を狙われ続けてきた灰原でしたが、「ベルツリー急行」での事件でコナンと怪盗キッドの協力で死を偽装することに成功します。

しかし、映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』ではエンジニアの直美・アルジェントが開発した「老若認証システム」によって「シェリーと灰原哀が同一人物」という情報が組織に流れてしまいます

老若認証システムを手中に収めようとしていた組織は、「灰原の確保と殺害」も計画に含めて行動しますが、映画終盤ではベルモットが偽装工作によって誘発させた老若認証システムの誤作動を証拠として、「システムには欠陥がある」と判断。結果として灰原は組織の監視の目から再び逃れることになりました。

「義理堅さ」という主義からの行動?


(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

黒の組織でも独断で行動することの多いベルモットは、組織内でも中枢に近い人物であり、同時に目的のためなら躊躇いなく人を殺害するジンと同等に危険な存在でもあります。

一方でベルモットは、身を挺して自身の命を救ってくれた工藤新一と毛利蘭を組織の任務に巻き込まないことを決めており、時には組織の人物を裏切っても二人に配慮した行動をとる“義理堅さ”も描かれています。

映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の最序盤では、数量限定で配られていた限定ブローチの整理券を灰原が入手しますが、ブローチを求め遠方からやってきた老婦人に整理券を譲ります。

実はこの老婦人こそが、ベルモットの変装した姿であったことが物語のラストで明かされ、彼女は灰原から譲渡されたブローチを身につけた姿で「なぜ自分が灰原を助けたのか」をコナンに問いかけるような言動をしています。

この場面の描写とベルモットの義理堅い性格から、彼女はブローチを譲られたという“義理”から灰原を助けるような行動に出たとも考察できます。

「幼児化現象」の発覚は“あの方”の不都合だった?


(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

“義理堅さ”というベルモット自身の主義に基づいた行動だった」という結論は、映画としての演出やベルモットのこれまで描かれてきた人物像からも濃厚な説といえます。しかしベルモットは“謎多き人物”であるがゆえに、異なる解釈をすることも可能です。

ベルモットは非情なだけの人物ではないものの、組織の中ではジンに次ぐほどにシェリーに対する強い殺意を持っており、「ベルツリー急行」の事件では灰原を救おうとする“バーボン”こと安室透を出し抜き、彼女の殺害を試みるほどでした。

そもそも、「組織の裏切り者だから」という理由以上に「なぜ、シェリーに対し強い殺意を抱いているのか」の答えは明確には描かれていないベルモット。しかしながら、もし“別の答え”の可能性を挙げるとしたら、そこには「ベルモットは、APTX4869が引き起こす幼児化現象を知っている」という事実が関わっているのかもしれません。

ジンすらも把握していない幼児化現象とコナン・灰原の正体を知りつつも、組織の構成員にその事実を共有しないベルモット。また本作にて彼女は、未だ明らかになっていない組織のボス・烏丸に何かを「潰す」と報告する姿が描かれています。

これらのことから、幼児化現象を知りながらも他の仲間にすらひた隠しにするベルモットや烏丸にとって、幼児化現象の事実を暴いてしまう老若認証システムそのものが邪魔であった可能性も浮かび上がり、灰原が救われたのはその副産物に過ぎないと考えられるのです。

映画作中でも、組織の上級幹部“ラム”は老若認証システムを利用して烏丸を探そうとしていたと心中で独白しているため、この仮説も決して切り捨てることのできないものとなっています。

まとめ


(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

ベルモットは組織に忠誠を誓いながらも「組織を崩壊させる方法」を模索している節があり、その決定打になり得るコナンのことを“銀の弾丸(シルバーブレット)”と呼んでいます

映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のラストで灰原を救った動機を思い描く時、ベルモットはコナンを“銀の弾丸”と呼び、あたかもこの動機が組織の中枢につながっているのではと匂わせているようでした。

灰原の救出が「義理堅さ」から来たものなのか、それとも「ベルモットや組織のボス・烏丸の“真の目的”の副産物」なのか。謎多き人物だからこそ、どちらの理由も濃厚に思えます。





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