Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ラブストーリー映画

Entry 2019/08/24
Update

映画『劇場版おっさんずラブ』ネタバレ感想とレビュー評価。BLにとどまらない人間讃歌と愛すべき人たちの物語

  • Writer :
  • さくらきょうこ

『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』が2019年8月23日(金)に公開!

2018年新語・流行語大賞トップ10に選ばれ、Twitterトレンド第1位になるなど旋風を巻き起こした「おっさんずラブ」

まっすぐな部長に優秀な後輩。モテないアラサーサラリーマン春田を取り巻くオフィスでの三角関係に、日本中がやきもきしました。

そんな大ヒットドラマがスケールアップ、劇場版になって帰ってきました。

スポンサーリンク

映画『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』の作品情報


(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会

【日本公開】
2019年(日本映画)

【監督】
瑠東東一郎

【キャスト】
田中圭、林遣都、内田理央、沢村一樹、志尊淳、眞島秀和、大塚寧々、吉田鋼太郎

【作品概要】

『おっさんずラブ』は最初、2016年末に単発ドラマとして放送されました。その後、2018年4月から6月に連続ドラマとしてオンエアされ、OLを中心にTwitterで話題になるなど人気を博しました。

主演は、この作品で一躍人気者となった田中圭。その彼に思いを寄せる、頼れる部長に吉田鋼太郎。デキる後輩に林遣都。少女のようにはにかむ吉田の姿に爆笑したり、林の切ない思いを応援したり、と土曜の夜の話題を独占。

田中と林のキスシーンや吉田の猛烈アプローチなど、腐女子ならずとも毎回ドキドキさせられる展開。SNSによって即時その感想は共有され、瞬く間にファンが増えていきました。

そんな大ヒットドラマの劇場版が満を持して公開。新たに沢村一樹、志尊淳という世代の異なるイイ男を加え、更なる“ラブ・バトルロワイヤル”の火ぶたが切って落とされます。

映画『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』のあらすじとネタバレ

(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会

天空不動産の社員、春田創一(田中圭)は香港でのプロジェクトを終え、日本に帰ることに。ある日、町の宝石店でダイヤの指輪を買った春田。その箱をうっかりバイクの荷台に置くと、案の定バイクが走り去ってしまいます。

追いかける春田。途中、自転車のカゴに壺を入れたおじいさんが倒れそうになったのを見かけ、春田はそれをとっさにつかんで事なきを得ました。そのときそこに、天空不動産のキーホルダーを落としてしまいますが、気づかず春田は走り去ります。そして無事に指輪を取り戻すことができました。

送別会の翌朝。飲みすぎた春田が目覚めると、となりに裸の男性が。そして恋人牧凌太(林遣都)が突然鍵を開けて入ってきましたが、その部屋を見るや怒って出ていってしまいました。

日本に戻り、久しぶりに東京第二営業所に出勤する春田。部長の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)をはじめおなじみのメンバーが揃っていますが、牧がいません。

すると突然黒スーツの男女が現われ、本社開発事業部の狸穴迅(沢村一樹)がこのオフィスをあけ渡せと言ってきました。そして牧がその部下として現われたのです。

「Genius7」と呼ばれる彼らは中国系企業と組み、ベイエリアの大規模リゾート開発を提案。そのため、各営業所には月内に地元の土地所有者との契約を成立させよとの無理難題が言い渡されます。

(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会

春田は新入社員の山田ジャスティス(志尊淳)と組んで商店街を回りますが、皆いい顔をしません。特にうどん屋ゆで五郎の店主五郎は全く相手にしてくれませんでした。

春田と同棲中の牧は、忙しいのか連絡もせずに遅く帰ってきました。二人の間に微妙な空気が流れ始めたそのとき、突然春田の母がやってきて、彼氏と一緒にここで暮らすと言い出しました。

それを聞いた牧は、ちょうど実家に戻るつもりだったといい、数日後出ていってしまいました。

ある日、黒澤が階段から落ちてケガをしてしまいます。春田、武川(眞島秀和)、栗林(金子大地)ら営業所の面々が待つ病院に、黒澤の元妻蝶子(大塚寧々)も駆けつけました。

しかし、誰よりも心配そうに眠っている黒澤の手を握ったのは武川でした。

翌朝、回復した黒澤が元気に出勤すると、なぜか春田のことだけ覚えていない様子。記憶を取り戻そうと一緒に外回りをしているうち、黒澤は以前と同じように春田に恋をしてしまうのでした。

黒澤は、ゆで五郎でうどん作りを体験させてもらおうと提案します。春田たちは店の奥で、店主の若い頃の家族写真を発見。今は強面の五郎の笑顔に、町づくりに対する気持ちを新たにしました。

結局失敗してゆで五郎を追い出された黒澤、春田、ジャスティスはサウナでリフレッシュ。そこで黒澤は春田に告白しますが、春田は恋人がいるからときっぱり断ります。

そこに偶然、狸穴に誘われた牧がやってきました。牧が春田の相手だと理解した黒澤は宣戦布告、5人入り乱れる修羅場と化しました。

夢見ていた仕事に就けてがんばっていた牧は過労で倒れ、それを牧の父親から聞いた春田は急いで病院へ向かいます。しかし狸穴に抱きかかえられながら退院する牧の姿を、遠くから見ることしかできませんでした。

約束していた花火大会、春田と牧は久しぶりに恋人らしいデートを満喫しています。海辺に座り、トイレに行った牧の帰りを待つ春田の手には指輪の箱が握られていました。

しかし、無造作に置かれた牧のスマホには次々と狸穴からのメッセージが。それを見ていたところを牧にとがめられ、二人は言い合いになってしまいます。

すれ違う思いをぶつけ合った結果、春田は別れようと言ってしまいます。牧は去り、呆然とする春田の横に、二人を見ていたジャスティスが現われます。いつになく真剣な顔で、大好きですと言うジャスティス。

人として、先輩として、好きだというその言葉を遮るように、春田は海に指輪の箱を投げてしまいます。

あわてたジャスティスはためらいもせず水にはいって探し始めます。そして彼は、三年前に家族を事故で亡くしたこと、誕生日だった兄にうるせーな!と言ったのが最後になってしまったことを話し、ちゃんと気持ちは口に出して伝えてほしいと泣きながら訴えます。春田は浮かんできた指輪の箱を再び手に取りました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』ネタバレ・結末の記載がございます。『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会

狸穴は「Genius7」を解散させていました。それは、パートナーだった中国系企業がドラッグビジネスに手を染めていることがわかったからでした。

契約破棄に怒った相手企業は、天空不動産速水会長の娘を誘拐し、契約の続行を求めてきました。

商店街の人たちの気持ちを会長に直訴しようと本社にやってきていた春田とジャスティスは、誘拐の話を立ち聞きしてしまいます。そして春田は狸穴に、今夜ホテルの部屋に来るよう命令されます。

春田が部屋を訪れると、狸穴はバスローブ姿でブランデーを飲んでいました。

貞操の危機を感じながらも、それによって牧をあきらめてくれるなら、と勝手に勘違いした春田に対し、狸穴はこれまでの事情を説明し、会社の信用問題になるから絶対口外するなと言います。

翌日。手を出すなと言われた春田でしたが、ひとりで相手企業に乗り込みあっさりつかまってしまいました。監禁場所の倉庫には会長の娘かおるこ(ゆいP)がいて、春田にスマホで外部と連絡を取るよう指示してきました。

営業所に電話をかけ、場所の特定につながる情報を伝える春田でしたが、バッテリー切れ。それでも得られたヒントをもとに、営業所全員で救出に向かいます。

その頃、事情を知った牧も、春田を心配して飛び出していきました。

倉庫では、時限爆弾がすぐに爆発しそうになってしまい、なんとかそれを部屋の外に投げますが、爆発によってあたりは炎に包まれてしまいます。

その場所を目指し合流した牧と黒澤は、愛する春田を自分が助けようと先を争って進みます。

別行動で春田たちのいる場所へやってきたジャスティスに、まずかおるこを救出させた春田は、続けて起こった爆発によって再び閉じ込められてしまいます。

その春田を助けにやってきたのは牧と黒澤でした。人工呼吸をしようと二人が争っているうちに、牧と春田だけが倒れてきた資材によって孤立してしまいます。仕方なく黒澤は助けを呼ぶため、その場を離れました。

燃えさかる炎のなか、愛を再確認する春田と牧。そして肩を支え合って、二人が出てきました。

(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会

記憶が戻り、春田をあきらめた黒澤を、武川が見つめていました。

後日、東京第二営業所メンバーは揃って会長に、開発計画の見直しを願い出ました。それは本社の仕事だと突っぱねる会長。しかし、彼らに助け舟を出したのは狸穴でした。

住民、営業所、本社が三位一体となり、皆が笑顔になる町づくりを進めましょう、と狸穴は言いました。

しかし、パートナー企業をどうするか?頭を悩ませているところに、香港から春田をたずねて周という老人がやってきました。

それは春田が壺を守ったあの老人でした。実は周は香港の巨大ファンドの経営者で、天空不動産との提携を快諾してくれたのでした。

その後春田は、狸穴をある場所へ連れて行きます。それはうどん屋ゆで五郎でした。実は狸穴は五郎の息子だったのです。ひとり店にはいってメニューをながめた狸穴が注文したのはたぬきそばでした。

父は「うどんじゃねーのかよ」とポツリ。離れていた家族が久しぶりに近づいた瞬間でした。

春田は、地元での町づくりにこだわって本社勤務を断りました。

そして牧は、シンガポールへの赴任が決まり、しばしの別れとなる二人。笑顔で抱き合う二人の指には、おそろいの結婚指輪が光っていました。

スポンサーリンク

映画『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』の感想と評価

(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会

公開初日。劇場内は期待に満ちていました。その期待を裏切ることなく、上映中はたびたび笑い声が漏れ、時には涙する場面もあり、見終わったあとにはあたたかな幸福感に包まれていました。

BL、ボーイズラブと呼ばれる、男性同士の恋愛を描いたセンセーショナルな内容で注目されたこの「おっさんずラブ」ですが、人気の秘密はそれだけではありません。このシリーズにはさまざまな“愛”があふれているのです。

牧の元彼である武川は、今は黒澤部長のことを想っています。劇中の彼のセリフに、「自分の好きになる人はみんな別の人を好きになる」というものがあります。

自分に向けられたものとわからずに励ます黒澤を見つめる武川の目が切なく、彼に幸せが訪れてほしいと願わずにはいられません。

また、黒澤の元妻蝶子に思いを寄せる栗林。年の差を気にする蝶子に猛アタックしますが、長年連れ添った黒澤に同性愛をカミングアウトされ離婚した心の傷は、なかなか蝶子を次の恋愛に進ませてくれません。

それでも最後には、黒澤立ち会いのもと、蝶子は栗林を受け入れます

かつて春田に恋心を抱いていた幼馴染のちずは、シングルながらも次の恋、次の仕事に向けて前向きに明るく生きているし、その兄である春田行きつけの居酒屋わんだほうの店主鉄平は、店も大きくリニューアルし、営業所の舞香とペアルックで順調そうです。

性別や年齢、そんなものは関係ない。大切なのは相手を思う気持ち、そしてそれを素直に伝えることなんだ、とこの映画は教えてくれます。

それは恋愛だけでなく、親子、家族の間でも同じこと。それを訴えるジャスティスのシーンでは、思わず涙が流れてしまいました

そんなストレートなメッセージが、この作品が多くに人に愛される一番の理由なのでしょう。

まとめ

ネタバレしてしまうと、今回新たに参加した沢村一樹、志尊淳はノンケでした。匂わせるシーンはたくさんありますが、沢村演じる狸穴は子どもが5人いるそうですし、志尊演じるジャスティスはラストでなんと結婚します。

結婚式のシーンはなんとも微笑ましく、それによって幸せな気分にさせてもらいました。

ハッシュタグ#劇場版おっさんずラブみたお でつぶやく人も多く、それによると、初日に鑑賞して劇場の外に出たら虹がでていた!という人が結構いました。LGBTのシンボルであるレインボーのサプライズを受け取った人たちは、さらに幸福を感じられたことでしょう。

単なるBLにとどまらない人間讃歌。その愛すべき人たちの物語を、ぜひ多くの人に見てもらいたいです。


関連記事

ラブストーリー映画

映画『カーラヌカン』あらすじとキャスト。公開日時と映画館も

映画『カーラヌカン』は、3月10日より渋谷HUMAXシネマほか全国ロードショー! 写真家の主人公の大山光は、都会での心が満たされない生活から離れ、沖縄を訪れます。 美しいサンゴ礁の浅瀬にいた美少女の石 …

ラブストーリー映画

映画『愛唄 約束のナクヒト』あらすじネタバレと感想。GReeeeeN自ら脚本に参加!

映画『愛唄 約束のナクヒト』は2019年1月25日(金)より全国公開。 2017年の『キセキ‐あの日のソビト‐』に続く人気グループGReeeeeNの楽曲映画化プロジェクト第2弾。 前作がGReeeee …

ラブストーリー映画

映画『マチネの終わりに』文庫本のネタバレ結末。キャストに福山雅治×石田ゆりこで実写化

運命の恋と言うには簡単すぎる。 その人の存在が自分の人生のすべてになる瞬間。 芥川賞作家・平野啓一郎の累計30万部を超える人気小説『マチネの終わりに』が、福山雅治と石田ゆりこの共演で実写映画化。いよい …

ラブストーリー映画

映画オンザミルキーロード|あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

世界3大映画祭を制覇したにも関わらず、その破天荒かつ狂喜乱舞な演出で話題を呼んでいる『黒猫・白猫』『アンダーグラウンド』の監督エミール・クストリッツァの映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』は日本でも上映 …

ラブストーリー映画

映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』あらすじと感想

モーツァルト生誕260年記念の本作『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』。 あの名作『アマデウス』に続き、遂に新たなるモーツァルト映画の誕生。1787年のプラハを舞台に天才音楽家を巡る愛と、また …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学