ラストメッセージ「海はすべて覚えている」が全てを物語る。
太平洋戦争の明暗を分けた戦い「ミッドウェイ海戦」を、日米双方の視点で描く映画『ミッドウェイ』をご紹介します。
『インデペンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督が、20年のリサーチと最新の戦史研究に基づき「ミッドウェイ海戦」を映画化。“日本の運命を変えた3日間”を鮮明に描きだしています。
エド・スクレイン、パトリック・ウィルソン、ウディ・ハレルソンに豊川悦司、浅野忠信、國村隼という日米の実力派俳優を起用しての迫真の演技が織りなす人間ドラマ。ローランド・エメリッヒ監督ならではの迫力の戦闘シーン満載です。
映画『ミッドウェイ』は、2020年9月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー。
映画『ミッドウェイ』の作品情報
Midway©2019 Midway Island Productions,LLC ALL Rights Reserved.
【日本公開】
2020年(アメリカ映画)
【原題】
Midway
【監督】
ローランド・エメリッヒ
【キャスト】
エド・スクレイン、パトリック・ウィルソン、ウディ・ハレルソン、マンディ・ムーア、ルーク・エヴァンス、豊川悦司、浅野忠信、國村隼、デニス・クエイド、ルーク・クラインタンク、アーロン・エッカート、ニック・ジョナス、ダレン・クリス、キーアン・ジョンソン
【作品概要】
『インディペンデンス・デイ』(1996)『2012』などで知られる、ローランド・エメリッヒ監督により、太平洋戦争において日米の命運を分けたとされる「ミッドウェイ海戦」を映画化。エド・スクレイン、パトリック・ウィルソン、ウディ・ハレルソンなど実力派俳優陣に加え、日本から豊川悦司、浅野忠信、國村隼らが出演し、話題を呼びました。
太平洋戦争における一大海戦を日米双方の視点で開戦後の一連の出来事を通し、「ミッドウェイ海戦」に至るまでとその結末を描いています。
映画『ミッドウェイ』のあらすじとネタバレ
Midway©2019 Midway Island Productions,LLC ALL Rights Reserved.
1937年、駐在武官として日本に滞在していた海軍将校、エドウィン・レイトン(パトリック・ウイルソン)は任期を終え、帰国しようとしていました。
日米海軍の親交を深めるため、催された帰国する米海軍将校の送別会で、レイトンは日本帝国海軍総司令官、山本五十六(豊川悦司)と言葉を交わします。
レイトンは山本が日本国内で米国を敵視し、会戦の風潮が大きくなる中、会戦に慎重なことを知ります。
そして山本はレイトンにあまり日本を刺激しないように米本国で発言をしてほしいと頼み、レイトンも山本の意を受け、尽力を約束します。
しかし、2人の思いとは裏腹に4年後の1941年、太平洋戦争が勃発することとなります。
1941年12月7日。アメリカ海軍、空母エンタープライズの操縦士、ディック・ベスト(エド・スクレイン)は哨戒飛行を終え、着艦する際に訓練と称し、エンジンを切り、フラップを使用せずの着艦を行いました。
そのことを上官であるウェイド・マクラスキー(ルーク・エヴァンス)に知られ、続く哨戒飛行から外されます。
その頃、ハワイ州オアフ島、真珠湾に突如、日本軍の戦闘機が襲来。
太平洋艦隊情報部に着任していたレイトンはその知らせを聞き、自宅から基地へ向かいます。
日本軍の攻撃が止み、そのあとには破壊された艦船や基地施設、兵士たちの死体が残され、地獄のような様相を呈していました。
アメリカ海軍太平洋艦隊司令長官・キンメルはレントンから事前に日本軍の攻撃を示唆されていました。
しかし、その話を取り合わずに攻撃を防げなかったことの失態を認識し、更迭を覚悟し、レイトンに後任の司令長官には強く警告することを勧めます。
真珠湾攻撃の知らせを聞いたベストは、太平洋上に潜伏しているであろう日本軍の艦隊を攻撃するべく出撃します。
しかし、日本軍の艦隊は見つかりませんでした。
真珠湾に帰港したエンタープライズの甲板からベストは変わり果てた基地の姿を目にします。
その後、妻のアン・ベスト(マンディ・ムーア)の無事を確認します。
しかし、友人が沈没した戦艦アリゾナに乗っていたことを知り、回収された友人の遺体を目にし愕然とします。
数日後、真珠湾攻撃に沸く日本軍本営に向かった山本は、山口多聞(浅野忠信)から真珠湾攻撃を指揮した南雲忠一(國村隼)が、米軍に対しより深刻な打撃を与える機会をあえて逃がしたことを話し、南雲の更迭を進言します。
しかし、山本は真珠湾攻撃の立役者として名が知れた南雲を更迭することは海軍内でも不興を買い、一丸となって戦いができなくなるため処分を下すことができません。
また、本営は真珠湾攻撃で米海軍に対する打撃は十分と考え、以降、陸軍主体の戦闘に切り替える決定をします。
本営の決定に不満を感じながらも、次の機会に米海軍に決定的な打撃を与えるため、山本は山口にミッドウェイを標的にした次の作戦の立案を指示します。
米海軍大将チェスター・ニミッツ(ウディ・ハレルソン)は大統領命令を受け、新たな太平洋艦隊司令に就任します。
映画『ミッドウェイ』感想と評価
Midway©2019 Midway Island Productions,LLC ALL Rights Reserved.
日米双方の視点で一大決戦を描いた本作『ミッドウェイ』は、史実に基づくが故の深い人間ドラマと、ローランド・エメリッヒならではの迫力の戦闘シーンで描かれた一大スペクタクル作品となっています。
本作で目を引いたのは、航空機での戦闘シーンで、コクピット目線で描かれている演出です。
特に、ベストが駆る航空機が垂直降下により空母「飛龍」へ突入する場面は必見。次々と打ち上げられる高射砲の砲弾でだんだん視界が遮られながらも高度を下げてい様子は思わず歯を食いしばるほどの迫力と臨場感を感じさせます。
また、人間ドラマにおいても各登場人物の戦う理由を垣間見ることができました。
とりわけ、エド・スクレイン演じるベストが一介の操縦士から昇任して部下を持ち、その部下の事故による死に苦悩し、それでも他の部下を鼓舞し決戦に臨む姿からは、一人の人間としての成長を感じます。
そして、戦争という過酷な状況でも希望を持ち、戦い抜こうとする姿勢に感動を覚えます。
まとめ
Midway©2019 Midway Island Productions,LLC ALL Rights Reserved.
「戦争には勝者はなく敗者しかいない、なぜならどちらの命も失われるからだ」そう語ったのは本作『ミッドウェイ』のインタビューを受けたローランド・エメリッヒ監督でした。
エメリッヒ監督は戦争の悲惨さを観客に伝えるため、どちらか一方の視点ではなく双方の視点が必要だったと考え、未だかつてない斬新な戦争映画の製作に踏み切りました。
本作で感じられたのは、どちらにも“正義”や“信念”があり、そのどちらが正しく、誤っているというものではないこと、また、どちらにも戦う理由があったという事でした。
だからこそ、過去に起きた戦争は空しく、二度と起こしてはならないのです。
終幕に表示された「日米の全将校に捧ぐ、海はすべて覚えている」というメッセージがそのことを物語っているようです。
この作品はローランド・エメリッヒなりの反戦のメッセージともいえるでしょう。