アラン・ドロン×チャールズ・ブロンソンの2大スター共演のサスペンスアクション!
ジャン・エルマンが脚本・監督を務めた、1968年製作のフランス・イタリア合作のサスペンスアクション映画『さらば友よ』。
アルジェリア戦争から帰還した軍医が、マルセイユの港で出会ったパリの広告会社の女性から「横領した債権を会社の金庫に戻してほしい」と依頼され、金の匂いを嗅ぎつけたアメリカ人傭兵と共に盗み出そうとする姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンという、フランスとアメリカの2大スターが共演したサスペンスアクション映画『さらば友よ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
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映画『さらば友よ』の作品情報
(C) 1968 Greenwich Films Productions. All rights reserved.
【公開】
1968年(フランス・イタリア合作映画)
【原作】
セバスチアン・ジャプリゾの小説『さらば友よ』
【監督】
ジャン・エルマン
【キャスト】
アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソン、ブリジット・フォッセー、オルガ・ジョルジュ=ピコ、ベルナール・フレッソン、マリアンナ・フォーク、ミシェル・バルセ、アンドレ・デュマ
【作品概要】
『太陽の200万ドル』(1972)のジャン・エルマンが脚本・監督を務めた、フランス・イタリア合作のサスペンスアクション作品です。
フランスの推理作家セバスチアン・ジャプリゾの小説『さらば友よ』をもとに、ジャン・エルマンとセバスチアン・ジャプリゾが脚本を手掛けています。
本作の主演を務めるのは『影の軍隊』(1970)や『リスボン特急』(1972)のアラン・ドロン、共演は『荒野の七人』(1961)のチャールズ・ブロンソンです。
映画『さらば友よ』のあらすじとネタバレ
(C) 1968 Greenwich Films Productions. All rights reserved.
1954年から1962年にかけて、フランスの支配から脱却し独立するために行われたアルジェリア戦争から帰還した軍医のディノ・バランは、マルセイユの港に降り立ちました。
すると、見知らぬ女性が声をかけてきました。パリの大手広告会社で働くカメラマン、イザベル・モローです。
バランはモローに、モーツァルトという医者を知らないかと尋ねられましたが、知らないと答えて立ち去りました。
バランと同じ船で帰港したアメリカ人の傭兵フランツ・プロップもバランに声をかけました。
コンゴでやる仕事に医者がどうしても必要だったからです。ですが何度誘っても、バランの答えはノーでした。
しばらく野営地で過ごしていたバランの元に、再びモローが現れます。モローはわざわざレンタカーを借りて、パリとマルセイユを往復してでもバランと話がしたかったのです。
バランは根負けし、モローの話を聞くことにしました。モーツァルトはモローの会社で雇われていた健康診断専門医でした。
モローはモーツァルトとある約束をしていました。それはモローが横領した500万フランの会社の債権を、クリスマス休暇中に地下の金庫に戻す、というものです。
モーツァルトは金庫室の自動ドアの電気回路と、遮断機が記された図面を入手し、あとは実行に移すだけ。
しかしモーツァルトは、アルジェリア戦争から帰ってこれませんでした。バランは彼の代わりに仕事を引き受けることにしました。
バランは健康診断専門医として無事雇われ、2週間働きました。そしてクリスマス休暇前の金曜日、帳簿をしまうために金庫が開けられました。
その情報を事前に知ったバランたちは、医務室の壁に穴を開けて小窓を作り、そこにカメラ(1秒間に3枚撮影することが可能)を設置しました。
ですが帳簿をしまうだけなのに、なぜか地下にいる社員を廊下に出さないよう社内放送を流し、金庫室には男性社員の他に複数人の警備員が入っていきました。
それを見て不審に思ったバランは、診察していた女性社員に聞いてみました。
なんと帳簿の他に、社員300人分の冬のボーナスと工場への支払いに使われる現金2億1300万フランが入れられたのです。
それを知ったバランは、債権を戻すと同時に、その金を盗もうと企みます。
金曜日の夜。バランはモローとカフェで待ち合わせをし、彼女が現像した金庫の写真を受け取りました。
金庫の鍵はダイヤル式で、7つの数字を組み合わせて開錠します。しかし写真には3つしか写っていませんでした。
これから三日三晩かけて、残り4つの数字が何か調べなければなりません。しかし組み合わせは1万通りもあります。
警備員を除き、全社員が退勤した後、バランは早速作業に取りかかろうとしました。
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映画『さらば友よ』の感想と評価
(C) 1968 Greenwich Films Productions. All rights reserved.
物語の前半まで、バランとプロップの間に友情なんてなく、ただプロップが一緒に仕事をしないかと執拗に誘い、それをバランが断り続けるだけの関係でした。
そんな2人の関係が変化したのは、金庫室に閉じ込められた時です。空腹と金庫をなかなか開けられない苛立ちから、殴り合いの喧嘩までした2人ですが、互いに辛い過去を打ち明けあってから奇妙な友情な芽生え始めます。
バランは兄弟同然に思っていた親友を誤って殺してしまったことを、プロップは長い間インドネシアの穴の中で独りでいたことを………。
そしてバランたちは最後まで、互いを守るために共犯であることを隠し通しました。それは本当の犯人が分かって、事件が解決した後でもです。
短期間ではあるものの、しっかりと強い絆が結ばれた2人。プロップは別件で逮捕されてしまいましたが、無事出所出来たらきっと、バランと2人で酒を酌み交わしていることでしょう。
そして本作のタイトル『さらば友よ』は、バランと再会を約束した時に発したプロップの言葉でした。友達になったけれども、共犯だとバレないために他人のフリをしなければならなかったからです。
どんな仕打ちを受けようとも決して相手を裏切らない、そんな男同士の熱き友情に胸が熱くなります。
まとめ
(C) 1968 Greenwich Films Productions. All rights reserved.
ひょんなことから行動を共にすることになった軍医と傭兵が、事件の真相を暴いて自分たちを罠に嵌めた女たちを追い詰めていく、フランス・イタリア合作のサスペンスアクション作品でした。
本作の見どころは、バランとプロップの男同士の熱き友情と、事件の黒幕であるモローとアウステリッツの恐ろしい犯罪計画です。
金庫の番号がワーテルローの戦いがあった日だったのは、おそらく会社の社長が娘のあだ名から設定したのでしょう。だからアウステリッツは、金庫の番号を容易に知ることが出来たのだと考察できます。
盗んだ2億1300万フランはどこにあるのか、また心筋梗塞で倒れたアウステリッツの父の行方はどこなのか、作中でそれを示唆する描写はありません。
ただ分かるのは、モローはアウステリッツの父の居場所を知っており、彼に会わせることを条件に、アウステリッツを操り悪事に手を染めさせたことだけでした。
アラン・ドロン演じるバランと、チャールズ・ブロンソン演じるプロップの犯罪に生きる男たちの姿。そして美しい顔の裏にはとんでもない計画を企てていたオルガ・ジョルジュ=ピコ演じるモローと、ブリジット・フォッセー演じるアウステリッツ、それぞれ違った友情と愛を魅せてくれます。
アラン・ドロンと共に、いぶし銀の演技を魅せて一躍有名となったチャールズ・ブロンソンの出世作であるサスペンスアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。