Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2017/11/22
Update

三浦しおん原作映画『光』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も【井浦新×瑛太共演作品】

  • Writer :
  • 村松健太郎

「まほろ駅前」シリーズでタッグを組んだ三浦しをん&大森立嗣監督がん再タッグを組んだサスペンス。

25年前に犯した罪がもとで、周囲の人間も巻き込みながら再び不穏な空気の中に身を投じる男女の姿を演じる主演は井浦新、共演には井浦が熱望していいた瑛太が務めます。

また過去を知る女優に長谷川京子、井浦新の妻役に橋本マナミ、ほかにベテランの南果歩、平田満の豪華キャスト!

1.映画『光』の作品情報


(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

【公開】
2017年(日本映画)

【原作】
三浦しをん 

【脚本・監督】
大森立嗣

【キャスト】
井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミ、梅沢昌代、金子清文、中沢青六、足立正生、原田麻由、鈴木晋介、高橋諒、笠久美、ペヤンヌマキ、福崎那由他、紅甘、岡田篤、早坂ひらら、南果歩、平田満

【作品概要】
人気作家の三浦しをん原作「まほろ駅前」シリーズの映画化を手がけた大森立嗣監督が、ふたたび三浦原作小説に挑んだサスペンス映画。

2.映画『光』の配役とキャスト


(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

黒川信之(井浦新)
現在は地方公務員として家庭を持っているが、常にどこか醒めています。

黒川南海子(橋本マナミ)
信之の妻、一女の母。生活な生活を埋める為に輔と不倫関係に。

篠浦未喜(長谷川京子)
人気女優。本名中井実花。信之とともにある原罪を背負っています。

黒川輔(瑛太)
信之・未喜の幼馴染で罪を目撃。突然に2人の前に現れます。

3.映画『光』のあらすじとネタバレ


(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

25年前。

東京都内ではあるものの、都心からはるか離れた原生林が生い茂り、椿が美しく咲きほこる小さな島美浜島。

島の中学生信之と美花のカップル。すでに2人は情交をするまで深い仲となっています。

そのことを知っていたのは小学生の弟分輔(タスク)でした。

美花の実家は民宿・ロッジを経営しています。そこに来た客は気味が悪いといって、夕食を届けるときに付き添ってほしいとねだる美花。

しかし信之は約束の時間に遅れてしまいます。

慌てて駆け付けた信之が見たのは美花に追いかぶさる男の姿でした。

美花に誘われたという男の声を無視して襲い掛かる信之、その信之の姿をみて美花の「殺して」と囁き、信之はさらに激情ににかられ殴りかかり、男の命を奪ってしまいます。

一部始終を目撃していた輔はこっそりとその惨状をカメラに収めました。

自分たちの犯した罪に戸惑う2人、後を追ってきた輔。そんな彼らの目の前に迫ってきたのは島を覆いつくす大津波でした。

25年後。

信之は地方公務員として働いていて、妻の南海子、娘の椿と慎ましくも幸せそうな過程を築いていました。

しかし、妻の南海子は育児につかれ、住まいの団地の閉そく感に辟易して素性も知らない男のもとに通い体を重ねます。

ある日、信之の元に突然、輔が現れます。輔は昔と変わらぬ無邪気さを見せながらもどこか不穏さを漂わせる男になっていました。

輔も事件を経て、どこか変わってしまっていました。そして南海子が密会を重ねる男は輔でした。

信之はその輔の不穏な笑み不安感を覚えます。

密会の相手が夫と因縁深い輔であること知らない南海子は密会を続けますがが、地元を離れていた好きに椿が変質者にいたずらされるという事件が起きます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『光』ネタバレ・結末の記載がございます。『光』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
戸惑い悲しむ南海子に対して信之がどこか醒めて淡々と接しているように見えます。

そのことを責める南海子ですが、信之の様子は変わりません。

実はこの時、すでに南海子と輔の関係を信之は知っていました。

それでもなお感情を表に出さない信之。信之もまた自身の犯した罪により深い闇と暴力性・狂気性を秘め続けていました。

さらに輔の前に父の洋一が現れます。

子供ころと同じように輔に暴力を振り続ける洋一。

いつもは不敵な態度を見せる輔も幼いころからの虐待の体験から洋一には逆らうことができません。

そして洋一は津波から生き残った島の古老から信之と美花の罪を聞き強請を輔に強要します。

現在、美花は篠浦未喜の芸名で女優として大活躍していました。

彼女は自身の罪につながる美浜島のことも含めたすべての経歴を頑なに隠し続けるミステリアスな女優と呼ばれていました。

美花もあの事件の後、に大きな穴が開き何事にも深く感じることができない人間になってしまっていました。

美花が売れっ子の女優になっていることを知った輔は強請の対象を信之から未喜=美花に変えます。

美花が頼ったのは信之でした。

信之はいまだ心に大きく残り続ける美花の願いを受けて、逆に輔に積極的にかかわり始めます。

そんな中で輔が今も洋一の存在に悩まされていることを知ります。

洋一に怯える輔の姿をみて信之の狂気が動き始めます。

信之は輔にそっと囁きます「脅迫の材料すべてを差し出せば、自分が洋一を殺す」と。

輔はこの信之の誘いに乗ってしまいます。気が付けばかつての島のころのように信之は輔にとって絶対的な存在になりました。

信之の指示で洋一に薬を盛り始める輔。やがて洋一は命を落とします。

一方、信之は輔のアパートの下の階の床をはがし巨大な穴を掘り洋一をそこに埋めようとしていました。

しかし洋一の死は自然死として扱われその穴は必要のないものになりました。

洋一の死の確認と脅迫の材料の回収を済ませた信之は自分の掘った穴に輔を誘います。

自分のために信之がここまで汗を流してくれたことを無邪気に喜ぶ輔。

信之はそんな輔にスコップを振り下ろします。

信之の中では輔もまた愛し続ける美花の不安材料でしかなかったのです。

すべてを終えた信之は美花を強く求め、美花もまたそれに応えます。

信之は南海子の元に戻らず美花に溺れる日々を過ごします。

信之の不在が続く中。南海子は思わず椿に手を挙げてしまいます。

そんな彼女のもとに輔から郵便が届きます。

そこにはこの郵便が届く頃には自分は死んでいるだろうということ、そして25年前の信之と美花の犯した罪の全て、そして信之には紛失したと言い張っていた事件現場の写真のネガが納められました。

自身の夫信之と不倫相手の輔、そして篠浦未喜こと美花の関係と、信之の抱える深い闇をしった南海子。

一方、信之に求められ続ける美花は自分を追い詰める相手が輔から信之に変わっただけだと信之をなじり拒みます。

輔を殺め、美花に拒絶された信之がたどり着いた先はすべてを知った南海子と椿が過ごす団地でした。

南海子の目を見てすべてを悟った信之。

そんな彼の帰還を素直に喜ぶ愛娘の椿が呼び続ける声に向かって信之は一歩また一歩と歩を進めていきます。

4.映画『光』の感想と評価


(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

メインキャストと大森監督が登壇した、プレミア試写会で登壇者が異口同音に言っていたとおり、魂の削りあいの作品と言っていいでしょう。

137分の長尺でたっぷりと描かれると消えることのないに人間の暴力性

そして罪に取りつかれた人間の姿。まさしく“業”というべきものが実増化されている作品

原作者の三浦しをんは、「ものすごい映画」と語り、監督とメインキャストが「元気がないと見続けられない」と語るこの映画は確かに、見る人を選ぶかもしれません。

しかし、そこまで映画を追い込んだ結果、強烈な見ごたえのある作品に仕上がりました。

もう一つの見どころ(聴きどころが)テクノサウンド(デトロイトテクノ)のベテラン、ジェフミルズを映画音楽に招いたことでしょう。

デトロイトテクノ独特のノイズ満載の音楽が映画137分間途切れることのない緊張感を映画に与えています

まとめ


(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

大森立嗣監督の本作『光』は過去の忌まわしい記憶に翻弄される男女3人の幼馴染の姿を通して、人間の心の底にひそむ“業”を描いた作品です。き出す。

大人になった黒川信之役を井浦新、そしてその弟分の輔役を瑛太。井浦新が熱望した共演が見どころになっています。

また、美花役を長谷川京子の艶やかな演技にも注目です。

大森立嗣監督『光』は、2017年11月25日より劇場公開となっています。

ぜひ、原作者三浦しおんが述べたように、観る者に挑んでくる大森監督渾身の137分に体調万全でご鑑賞ください!

お見逃しなく!

関連記事

サスペンス映画

映画『十二人の死にたい子どもたち』12番ユキ役は竹内愛紗。演技力とプロフィール紹介

『天地明察』で知られるベストセラー作家の冲方丁(うぶかた・とう)の小説を原作とした映画『十二人の死にたい子どもたち』が2019年1月25日に公開されます。 メガホンをとるのは、『イニシエーション・ラブ …

サスペンス映画

映画『8人の女たち』ネタバレあらすじと感想。ラスト結末も【ファッションに隠された意味と本格ミステリーで女性心理を活写】

聖なる夜に一家の主を殺したのは誰・・・?女たちの愛憎がうずまく! 映画『8人の女たち』は、1950年代フランス、片田舎の女系家族の屋敷が舞台です。雪が降りしきるクリスマスに、この家の主が何者かに殺害さ …

サスペンス映画

【ネタバレ】沈黙の艦隊|映画あらすじ評価感想と結末解説。続編は?“どこまでも続く戦争”ד2020年代の孤独”という現在の世界を描く

《日本初の原子力潜水艦》は、“核ミサイル”とともに逃亡した── 1988~1996年に講談社の週間漫画誌『モーニング』で連載され、作者である漫画家・かわぐちかいじ自身が「実写化は無謀」と感じていた名作 …

サスペンス映画

映画『トレーニングデイ』ネタバレ結末感想とあらすじ解説。刑事バディムービーの定石を打ち破る刺激的な傑作!

新米刑事の命を懸けた訓練日(トレーニング・デイ)を描くアカデミー賞主演男優賞受賞作! 血気盛んな新人刑事がベテラン刑事の指導のもとで、予想つかない事態に巻き込まれる映画『トレーニングディ』。 人口が増 …

サスペンス映画

映画『復讐者たち』ネタバレ結末感想と考察評価。“復讐プランA”とユダヤ人旅団ハガナーとは⁈

ホロコーストを生き延びたユダヤ人たちによる復讐計画の行方を描いたサスペンス映画『復讐者たち』 “目には目を、歯には歯を”家族を殺されたユダヤ人たちの癒えない苦しみと、驚くべき復讐計画「プランA」。 実 …

U-NEXT
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学