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Entry 2021/08/18
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映画『マリグナント』あらすじ/公開日/上映館。ジェームズ・ワン最新作の見どころは過去のホラー作品へのオマージュ!

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  • 20231113

『マリグナント 狂暴な悪夢』は2021年11月12日(金)全国ロードショー!

死霊館』『ソウ』シリーズで知られるジェームズ・ワン監督の最新作『マリグナント 狂暴な悪夢』

全世界のホラー映画ファン待望のジェームズ・ワンよる完全オリジナルストーリーかつ、監督自身による新作『マリグナント 狂暴な悪夢』のUS版ポスターと予告編の動画が全世界同時に解禁されました。

そして、併せて日本での劇場公開日も2021年11月12日(金)に決定いたしました。

映画『マリグナント 狂暴な悪夢』とは?

サンダンス映画祭で注目された『SAW ソウ』(2004)


(C)2004 Saw Productions, Inc.

マレーシアで生まれ幼少期にオーストラリアに移住、映画監督を志し大学在学中に盟友リー・ワネルと知り合い、共同で低予算かつ18日間の撮影期間で、ソリッド・シチュエーション・ホラーの傑作『ソウ』(2004)を監督したジェームズ・ワン

世界的ヒットを記録した『ソウ』はシリーズ化され、これも共にシリーズ化される『インシディアス』(2011)、『死霊館』(2013)を監督し、新世代のホラー映画メーカーとしての不動の地位を築きます

のみならず『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)、『アクアマン』(2018)を監督、『モータルコンバット』(2021)の製作など、大作娯楽映画を手掛け始めます。

2022年12月米公開を目指し、『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム(原題)』を製作・監督中のジェームズ・ワン。

しかしホラー映画を監督することはもう無いのか、とファンが思い始めた時、彼の最新監督作ホラー映画『マリグナント 狂暴な悪夢』の公開日が発表されました。

映画『マリグナント 狂暴な悪夢』の作品情報


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

【日本公開】
2021年(アメリカ映画)

【原題】
Malignant

【製作・監督】
ジェームズ・ワン

【脚本】
アケラ・クーパー

【出演】
アナベル・ウォーリス、ジェイク・アベル、ジョージ・ヤング、ジャクリーン・マッケンジー、マッケナ・グレイス

【作品概要】
死霊館 エンフィールド事件』(2016)以来の、ジェームズ・ワン監督作となるホラー映画です。脚本はドラマ『GRIMM グリム』(2011~)、『ハンドレッド』(2014~)の脚本を手掛けたアケラ・クーパー。

出演は『アナベル 死霊館の人形』(2014)や『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(2017)のアナベル・ウォーリス、そして『ザ・ホスト 美しき侵略者』(2013)のジェイク・アベル。

エリック・クー監督の『イン・ザ・ルーム』(2015)のジョージ・ヤング、ドラマ『4400 未知からの生還者』(2004~)のジャクリーン・マッケンジー、『アナベル 死霊博物館』(2019)そして『キャプテン・マーベル』(2019)のマッケナ・グレイスも共演しています。

映画『マリグナント 狂暴な悪夢』のあらすじ


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

漆黒の姿で突如出没する、謎の影が人を襲う悪夢に悩まされているマディソン(アナベル・ウォーリス)。

あまりにもリアルな体験に戸惑った彼女は、凄惨な殺人の現場を疑似体験しているかのような感覚に襲われます。

夢の中では神出鬼没の殺人鬼が、次々と犠牲者を襲っていました。ある日彼女は繰り返される自分の悪夢が、現実の殺人事件になっていると知り驚きました。

彼女を捕えて離さぬ幻覚のような悪夢は、マディソンを隠された過去へと導いていきました。

少女時代、彼女は身近に”ガブリエル”と呼ぶ存在を感じていました。やがて彼女の前に、夢の中の殺人鬼が現実のものとして姿を現します…。

完全オリジナルストーリーで描かれた恐怖を、ジェームズ・ワンが自ら監督して描いたことで、全世界のホラー映画ファンから注目されている作品です。

期待充分の予告編から恐怖を解析


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

『ソウ』で鮮烈なデビューを遂げ、監督・プロデューサーとして活躍し、ホラーメーカーの地位を築いたジェームズ・ワン監督。しかし彼の手腕は大手スタジオの目に留まり、超大作娯楽映画の監督としても活躍しています。

このサクセスストーリーを応援したいところですが、ホラー映画ファンの心境は複雑でした。『エルム街の悪夢』(1984)シリーズや『スクリーム』(1996)シリーズを生んだウェス・クレイブン監督亡き後、ホラー映画の第一人者となったジェームズ・ワンが、別ジャンルの大作映画を作り始めたのですから。

その思いは監督自身も抱えていました。10代の頃には、ブライアン・デ・パルマ監督や、ダリオ・アルジェント監督のホラー映画をこよなく愛していた、ワン監督はインタビューでこのように答えています。

「自分が愛したホラー映画を監督する機会は、いったい何時あるのだろう?『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム』の製作開始まで時間がある今がチャンス、この期間を利用し今の境遇では中々作れないと思われる映画を作る時だ」。

ジェームズ・ワンが渇望して止まなかった、ホラー映画を監督したいという望み。その機会が訪れた時に製作された作品こそ、『マリグナント 狂暴な悪夢』です。

過去のホラー映画へのオマージュ

参考映像:『キャンディマン(リメイク版)』(2021)

悪夢の中に登場する殺人鬼が現実の物となる、という設定を聞けば、誰もが『エルム街の悪夢』の殺人鬼”フレディ”を思い浮かべるでしょう。本作の予告編には、明らかに『エルム街の悪夢』を意識したシーンがあり、ホラー映画ファンならニヤリとさせられるでしょう。

『エルム街の悪夢』は間違いなく傑作ホラー映画ですが、当時の技術で夢の世界が現実を侵食する光景を映像化するのは、やはり限界がありチープに描かれた感もあります。それもまた、愛すべき魅力と呼ぶべき要素ですが。

しかし『マリグナント~』では、それを最新の技術で描いています。言うなれば”贅沢なB級映画”、そして”ジェームズ・ワンが描いた悪夢”が楽しめる作品になりました。

主人公マディソンが鏡の前に立つシーンがあります。そして彼女に迫る、現実のものとは思えない存在である殺人鬼の影。これは幻想的なスラッシャー・ホラーとして、カルト的人気を持つ映画、『キャンディマン』(1992)を思い出させます。

『キャンディマン』は虐げられ殺された黒人の魂が、鏡の前でその名を5回唱えると現れ、その者を惨殺する…、という都市伝説の設定を与えられた作品です。この映画はBLM運動が巻き起こった現在、新たな意味を持つリメイク版が製作されました

なお、『キャンディマン』を監督したバーナード・ローズはイギリス出身で、ホラー映画から文芸映画まで幅広く手掛ける職人監督です。近年佐藤健主演の日本映画、『サムライマラソン』(2019)を手がけ話題になりました。

ホラー映画はヒロインに注目

参考映像:『ハードカバー 黒衣の使者』(1989)

意外にも本作の予告を見て最初に思い浮かべたホラー映画は、今まで紹介したものとは別の作品。現在もB級映画やTV映画で活躍する、ティボー・タカクス監督の『ハードカバー 黒衣の使者』です。

『ハードカバー~』にも黒ずくめの、現実か超自然の存在なのか不明の人物が登場します。しかし夢の中に現れたり、都市伝説に登場する殺人鬼ではありません。主人公の女性が手にした、とある小説の中に描かれた異様な姿のサイコキラーでした。

設定こそ『マリグナント~』と異なりますが、黒ずくめで異様な姿の神出鬼没の殺人鬼が、狭い家の中に現れ犠牲者に迫る姿は、本作の予告編と実に良く似ています

ラストでやや残念な姿のモンスターが登場する点が、実にB級映画的な『ハードカバー 黒衣の使者』。しかしジェームズ・ワン監督が愛するホラー映画全盛時代の、忘れられない作品の1つに挙げて良いでしょう。

ジェームズ・ワンはインタビューの中で、『マリグナント~』はいくつかのジャンルをブレンドした映画だと説明しています

「この映画はホラーであると同時に、スリラーでもあります。そして心理的な題材を扱い、シリアルキラーが登場しますが、潜在的にはモンスター映画とも呼べるのです」。

なお、1992年版『キャンディマン』には『サイドウェイ』(2004)や『最高の人生のはじめ方』(2012)に出演するヴァージニア・マドセン、『ハードカバー~』にはキャスリン・ビグロー監督作『ニア・ダーク 月夜の出来事』(1987)に出演のジェニー・ライトが出演しています。

どちらも犠牲者や目撃者の枠に収まらない、自身に迫る殺人鬼の謎を暴き、超自然的な悪に挑み対決する”力強いヒロイン”が登場します。『マリグナント~』のアナベル・ウォーリスも、その系譜に連なるスクリーム・クイーンを演じました。

まとめ


(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

ファンにとっても監督自身にとっても、待望のホラー映画である『マリグナント 狂暴な悪夢』。

ワン監督はこの新作を「単なるジャンプスケア映画、ビックリ箱のような映画では無い」と説明しています。

「ホラー映画の作家として古くならないように、私は自分自身をリニューアルする方法を常に模索しています」とも話す監督。この映画では、従来の自身の作品で見せた”ジャンプスケア映画”としての手法を封印しようと、非常な努力を払ったと語っていました。

「現在ホラー映画ファンたちは、私を「悪魔のアイテム」や「お化け屋敷」が登場する映画を作る人物だ、と認識していると思います。私はその思い込みを利用して、大いに遊んでみたいと考えていました」と話すワン監督。

その上で、「私は『マグリナント~』で、正体がよく判らない悪役を作る事を目標にしました」と説明している監督。従来のジェームズ・ワン作品のファンこそ彼の思惑通り、新たなスタイルで作られた新作ホラー映画に遭遇して驚くことになるでしょう。

予告編に登場する、『マグリナント~』でヒロインに迫る殺人鬼”ガブリエル”の正体について、インタビューで様々な可能性を提示しているワン監督。しかしその正体を明かしません。

はたして旧約聖書に登場する、大天使の名を持つ謎の存在の正体とは?

どうやらホラー映画ファンは、ジェームズ・ワンが新作映画に仕掛けた罠に、喜んでハマるしか道は残されていない模様です…

『マリグナント 狂暴な悪夢』は2021年11月12日(金)全国ロードショー予定







『ソウ』『死霊館』シリーズのジェームズ・ワン監督最新作は、悪夢を題材にした激ヤバホラー!『マリグナント』最新情報を紹介

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