Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2019/09/09
Update

デニス・ホッパー映画『ラストムービー』4K修復版がリバイバル上映!公開日は12月20日に決定

  • Writer :
  • 石井夏子

ハリウッドの異端者にして鬼才デニス・ホッパーによる革命的傑作。
31年ぶりの劇場公開!

1969年にアメリカ文化の記念碑ともいえる初監督作『イージー★ライダー』を発表したデニス・ホッパー。

監督第2作であり“呪われた映画”あるいは“革命的な傑作”ともいわれる『ラストムービー』(1971)が2019年12月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーとなることが決定しました。

1988年以来31年ぶりの上映、オリジナルネガから4Kスキャン/4K修復が施された最新素材での上映となります。

映画『ラストムービー』について

©1971 The Hopper Art Trust, All Rights Reserved

本作『ラストムービー』は、インディペンデント映画史上空前の興行収入を叩き出した初監督作『イージー★ライダー』(1969)でカンヌ映画祭・新人監督賞受賞、アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされ一躍時代の寵児となったデニス・ホッパーが、最終編集権を含む完全なクリエイティヴの自由を得て念願の企画を映画化した渾身の監督第2作

映画撮影のために南米ペルーの村に赴いたスタントマン、カンザス(デニス・ホッパー)が、撮影後ドラッグに溺れ、放蕩にふけるうち、映画作りを模した村での奇妙な儀式に巻き込まれ、やがて虚構と現実の境目を飛び越えためくるめく世界へと突入していく姿を描きます。

当時ユースカルチャー市場を取り込むために、予算100万ドル以内で監督に最終編集権を保証するかたちでピーター・フォンダの『さすらいのカウボーイ』(1971)、モンテ・ヘルマンの『断絶』(1971)、ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』(1973)とともにユニヴァーサルが製作した一本です。

脚本はホッパーが“兄貴”と慕ったジェームズ・ディーン主演の名作『理由なき反抗』(1955)を書いたスチュワート・スターン。

ホッパーは次第に正気を失い狂気に陥る主人公カンザスを自ら演じ、ベテラン女優ジュリー・アダムス、映画監督のサミュエル・フラー、先日惜しくも他界した盟友ピーター・フォンダ、ロックの殿堂入りも果たしたママス&パパスのミシェル・フィリップス、本作の音楽も手がけたシンガーソングライターのクリス・クリストファーソンなど錚々たる面々が共演しています。

なぜ呪われた映画といわれるのか

©1971 The Hopper Art Trust, All Rights Reserved

編集作業が1年にわたるという狂気に満ちたその創作は混迷を極め、1971年ヴェネツィア国際映画祭で好評を博すものの、難解な内容と前衛的な構成に困惑したユニヴァーサルのトップの再編集指示をホッパーが断固拒絶、映画は短期間での公開後ほぼお蔵入りとなってしまいました。

この騒動でハリウッドから干されたホッパーは酒とドラッグに溺れ、映画監督としてはその後約10年間の空白期間を迎えることとなります。

本作は1971年当時ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの3都市で小規模の上映が行われましたが、2018年のリバイバル公開まで全米で公開されることはありませんでしyた。

日本では1988年、当時アメリカ国外で初めて劇場公開されるもその後のVHS発売以降一度もDVDやブルーレイ化、テレビ放送もなされていません

映画『ラストムービー』の作品情報

©1971 The Hopper Art Trust, All Rights Reserved

【製作】
1971年(アメリカ映画)

【4K版日本公開】
2019年

【原題】
THE LAST MOVIE

【監督】
デニス・ホッパー

【製作】
ポール・ルイス

【撮影】
ラズロ・コヴァックス

【脚本】
スチュワート・スターン

【キャスト】
デニス・ホッパー、ジュリー・アダムス、ロイ・エンジェル、サミュエル・フラー、ピーター・フォンダ、ミシェル・フィリップス、クリス・クリストファーソン

【作品概要】
エグゼクティヴ・プロデューサーはマイケル・グラスコフ、製作はポール・ルイス、監督・編集・主演はデニス・ホッパー。

ホッパーとスチュワート・スターンの原案を基に、スターンが脚本を書きました。

映画『ラストムービー』のあらすじ

©1971 The Hopper Art Trust, All Rights Reserved

ビリー・ザ・キッドの映画を撮るサミュエル・フラー監督一行を見つめるスタントマンのカンザス(デニス・ホッパー)は、毎夜繰り広げられるクルーの乱痴気騒ぎに嫌悪感を抱いていました。

撮影終了後も村に残った彼は、ペルー女性のマリア(ステラ・ガルシア)と平穏な生活を送りますが、金採掘にうつつをぬかす友人ネヴィル(ドン・ゴードン)を通じて知りあった金持ちのアメリカ人夫婦一行との酒とドラッグに溺れていきます。

次第にアイデンティティを失い、この腐敗の象徴とも言うべきアメリカ人の妻(ジュリー・アダムス)から侮辱されたことにより、不条理の世界へとはまってゆき…。

まとめ

©1971 The Hopper Art Trust, All Rights Reserved

映画作りをめぐる物語を幻想的に描き出した本作は、俳優、映画作家、写真家として活躍するハリウッドの異端者デニス・ホッパーだからこそ作ることができた過激な芸術映画です。

複雑なプロットや大胆な編集方法で当時のハリウッドを驚愕させたこの失われた傑作が、『イージー★ライダー』製作50周年にあたる本年、スクリーンによみがえります。

映画『ラストムービー』4K修復版は2019年12月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーです。

関連記事

新作映画ニュース

宇佐卓真&小西詠斗『追いかけてキス』シーズン2が配信中!亀山睦実監督の胸キュン必至なショートムービー

『追いかけてキス』第2シーズンは 2019年6月1日(土)よりTwitter公式アカウントほかにて随時配信中! 2019年のバレンタインデーからホワイトデーにかけて、全5話の短編ドラマをYouTube …

新作映画ニュース

長澤まさみ映画『MOTHERマザー』あらすじ/キャスト/予告動画。息子役は新人の奥平大兼(おくだいらだいけん)と発表!

長澤まさみの息子役に大抜擢された17歳の少年役が明らかに。 母と息子。ひとつの殺害事件。実話をベースに描く感動の衝撃作『MOTHER マザー』が2020年7月3日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全 …

新作映画ニュース

映画『ストレージマン』公開初日満席!池袋シネマロサで連下浩隆・瀬戸かほキャスト陣が舞台挨拶に登壇!

映画『ストレージマン』は2023年5月20日(土)より池袋シネマ・ロサ他で全国順次公開! コロナショックによる派遣切りによって職を失い、住む家も家族も失った男が、住むことを禁止されているトランクルーム …

新作映画ニュース

映画『シリアにて』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。内戦で子供を守るために母親たちは決断を下す

戦地シリアの今を、ある女性の視点で描く、生き残るための24時間の密室劇。 戦地シリアを舞台に自らの住むアパートの一室をシェルターにし、身を寄せる家族と隣人一家の緊迫の24時間を描いた密室劇『Insyr …

新作映画ニュース

『ザ・プレデター』4DX上映劇場情報!SFバトル超大作のアクションは危険度MAX

地球外最強ハンターが、4DXシアターを攻撃!?スリリングSFバトルを4DXで体感せよ! 「プレデター」シリーズの最新作『ザ・プレデター』が、9/14(金) より4DX上映決定。 究極のプレデターが出現 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学