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映画『最も普通の恋愛』ネタバレ感想と考察評価。韓国ラブコメの女王コンヒョジンが“酔っぱらいと恋”をコミカル魅せる

  • Writer :
  • 西川ちょり

大胆で新鮮さに満ちた2020年代のロマンチック・コメディー!

映画『最も普通の恋愛』が2020年7月31日(金)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋他にて全国順次公開されています。

元カノに未練たらたらの男と、転職して来たばかりの恋に幻想を求めない女。ノワール映画からラブロマンスまで幅広い役柄をこなすことで定評のあるキム・レウォンと、「ラブコメの女王」という異名を持つコン・ヒョジンが繰り広げるセンス溢れる2020年代のロマンチック・コメディです。

映画『最も普通の恋愛』の作品情報


(C) 2019 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ZIP CINEMA. All Rights Reserved.

【日本公開】
2020年(韓国映画)

【原題】
가장 보통의 연애 (英題)Crazy Romance

【監督】
キム・ハンギョル

【キャスト】
キム・レウォン、コン・ヒョジン、カン・ギョン、チョン・ウンイン、チャン・ソヨン。ユン・ギョンホ
【作品概要】
ラブコメの女王という名声を誇っているコン・ヒョジンと、多才なジャンルで、確かな演技力をみせるキム・レウォンが16年ぶりに共演。

未練を引きずる後悔いっぱいの男と、愛に幻想を抱かない女が繰り広げる、大胆で新鮮な2020年代のロマンチック・コメディー。

映画『最も普通の恋愛』あらすじとネタバレ


(C) 2019 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ZIP CINEMA. All Rights Reserved.

新居も整え、あとは無事結婚式をあげるだけ、という段階になって婚約が破談になりショックから立ち直れないジェフン。元カノに未練タラタラで、彼女にラインを送り続けますが、既読にさえなりません。

毎晩、浴びるように酒を飲んでは意識を失うジェフン。ある朝目覚めたら、家の中はとうもろこしだらけでした。いつ買ったのか、覚えがありません。2人で住むはずだった部屋は彼一人では広すぎ、掃除もしないので、散らかり放題になっていました。

ジェフンはビジュアル・ライジング社という中小広告代理店の映像デザイン室のチーム長を務めています。

その夜は、会社の飲み会で、新しい社員であるソニョンが紹介されました。ソニョンが挨拶を終えると、社員の一人が「彼氏はいるのかな?」と質問し、ソニョンは「今はいません」と応えました。すると、彼女のもとに花束を持った男性が突然現れ、プロポーズを始めるではありませんか。

それは別れたばかりの元カレでした。浮気をしたので、ソニョンも浮気を仕返して別れたはずなのですが、元カレは未練たっぷりで、翌日の出勤の際も彼女につきまといました。ソニョンは元カレに留めをさす一言を告げ、恋を終わらせます。彼女は恋に幻想を抱かない現実的なタイプでした。

ソニョンはジェフンの部下として配属され、早速企画書の仕事にとりかかりますが、同僚たちからは、ジェフンの破断話を聞かされます。

企画書を書き終えたソニョンはジェフンに報告しようとしますが、ジェフンは既に退社し、またも酒ビタリになっていました。電話を入れても返信がありません。

二日酔いで始まった朝、知らない番号の誰かと夜中に2時間も電話した履歴を見つけジェフンは動揺します。

あとになってその相手がソニョンだということがわかります。ジェフンとソニョンは出会ってわずか1日で仕事より互いの恋愛について詳しく知る関係となっていました。

一体何を話したかまったく覚えてないというジェフンに対してソニョンは「ずっと泣いていましたよ」と応えるのでした。

一緒に酒を飲む日も増え、2人は「情けない」だとか 「あきれた」などと互いに文句を言いながらも、次第に気になる存在になっていきます。

ある日、社長の思いつきで、忙しい最中、社員旅行として登山に行くことになり、社員のほとんどがいやいや参加しました。

ジェフンとソニョンは皆より遅れて歩き、ソニョンは過去の苦しかった恋の思い出を告白していました。

夜になって、社長に、子供が風邪をひいたから帰ってこいと奥さんから電話がかかります。社長が帰ったあと、社員は急に元気になって、大盛りあがりで歌い踊り始めました。

ジェフンはソニョンがいないことに気が付きます。外に出てみると、ソニョンは道路にうずくまっていました。

彼女は酔っていて、道路に飛び出しかけたのでジェフンはあわてて彼女を抱き寄せました。さもなければあやうく車に轢かれてしまうところでした。

「本当に酔っているのか?」とジェフンが尋ねると、ソニョンは、キスをしてきました。ジェフンも最初は驚きましたが、すぐに激しく唇を重ねました。

2人はホテルで結ばれましたが、朝、ソニョンは目覚めると、脱ぎ散らかしていた服を身に着け始めました。しかしどうしても下着がみつかりません。ソニョンは探すのを諦め、そのまま帰っていきました。下着はジェフンの背中に張り付いていました。

会社に出社したソニョンは既に出社しているジェフンを見て、どう声をかけたらいいか気まずい思いをしていましたが、ジェフンは「飲みすぎて何も覚えていない」と言い、ソニョンも「私も起きたら友だちの家でした」と応えました。

そんな中、ジェフンの元フィアンセ、スジョンが再び、彼の前に現れました。「連絡がないから最近は飲んでないのかと思っていたけれど、彼女が出来たのね。これでおあいこね。傷ついたわよね。でもあなたは私から離れられないわ」とスジョンは言うのでした。

ソニョンはジェフンと担当した案件がまだ出来上がっていないことで、社長から注意されてしまいます。

同僚たちは、ラインで、「忙しいときに登山を企画する社長が悪いのよ」と励ましてくれますが、ラインが間違って使われて、彼女たちが、ソニョンの過去の男性関係やそのせいで前の会社を首になったなどという噂をやり取りしているのをソニョンは知ってしまいます。

彼女が会社を辞めたと聞き、ジェフンは社長に怒鳴り込みにいきますが、既にあとのまつりでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『最も普通の恋愛』ネタバレ・結末の記載がございます。『最も普通の恋愛』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
ジェフンはソニョンを呼び出しました。ソニョンは同僚たちが噂していた、以前いた会社の上司との間に起こった出来ごとを告白し始めました。上司だからと断れずにいたら、相手の奥さんに誤解され、ネットでの中傷も受けたといいます。

話を聞いて「君は悪くない!」とジェフンは叫びますが、「私は悪くないといろんな人に弁明した。でもみんな、高い授業料だったと思え、女はおとなしく黙っていろと言ったわ。もう終わったの。あなたも何もしないで」とソニョンは応えるのでした。

「何か食べに行こう」とソニョンを誘うジェフン。ソニョンはキムチチゲを2人前注文し、一つは辛さ控えめにと付け加えました。「キムチチゲの話覚えているのか?」とジェフンは驚いたように尋ねました。あの夜、ジェフンは辛いのが苦手だという話をしたのです。酔って何も覚えていないというのは嘘だったのです。

立ち去ろうとするソニョンを追いかけて、「パンツは俺が持ってる!」とジェフンは大声をあげ、「強い女ぶっていたくせに逃げるのか!」と彼女の背中に向かって叫びました。

今日は社員全員で飲みに行く日だぞ、と同僚のビョンチョルがジェフンに声をかけました。ソニョンの送別会だと彼が言うので、「来るのか?」と大声をあげるジェフン。でもそれは彼の冗談でした。

飲み会の会場からジェフンはソニョンにメールを送りました。しばらくして、ソニョンが会場にやってきます。

「今日は私の送別会ですよね。しらふでは話せないことも話せるそれが飲み会ですよね」と彼女は不敵に笑うと、会社に在籍していた間に彼女が聞かされた社員の噂話を全て暴露し、大騒ぎとなります。

ジェフンはスジョンときっぱり別れ、部屋も引き払うことにしました。外に出た彼は、夜遅く屋台を出している老女のところにかけより、「おばあさん、こんな遅くまで駄目じゃないか」と声をかけました。

老女は「あんたか。どうしているのかと思ったよ」と言い、ジェフンは「みんなください」と言って、大量のとうもろこしを購入しました。

再会したジェフンとソニョン。「酔ってる?」と尋ねるジェフンに「ゲームをしよう」というソニョン。彼女は声を出さずに、口の動きだけで何かを言いました。それは「会いたかった」という言葉でした。ジェフンはそれを見て、「俺も会いたかった」と応えました。

映画『最も普通の恋愛』の感想と評価


(C) 2019 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ZIP CINEMA. All Rights Reserved.

『最も普通の恋愛』は、過去に何度か恋愛を経験し、時に苦い思いを抱きながらも、社会人として地に足をつけて生きている30代の男女を描いた恋愛コメディーです。

キム・レウォン扮する映像デザイン室のチーム長ジェフンは結婚式直前に婚約者に逃げられたショックから立ち直れず、毎晩酒をあおっては、未練たらしく相手の女性にメールしつづけています。彼はその傷ついた心を取り繕うことすら出来ず、誰もが彼の事情を知っている丸見えの状態にいます。

一方、コン・ヒヨジン扮するソリョンは、過去の恋愛をひきずらないドライなタイプに見えますが、実は心に大きな傷を負っており、それを見せないように強がって生きている女性です。2人は、まったく正反対の性格を持ったキャラクターといえるでしょう。

そんな2人が出逢って、互いに気になり始めるというストーリー自体は、映画のタイトルにある通り「最も普通」なのですが、その展開は一癖も二癖もあり、「最も普通」には逆説的な意味も込められていることがわかります。

性的な言葉があけっぴろげに使われるシーンが度々出てきますが、不快感はなく、軽やかに笑える洗練された“セックスコメディー”として仕上がっているのは特筆すべきことでしょう。

女性が、男性が起きないうちに部屋を出ようとして脱いだ下着を探すもみつけられず、そのまま履かずに帰ってしまう一連のシーンはコミカルで、このようなシーンが、これまでの韓国映画にあったでしょうか? まさに大人の恋愛映画として、抜群のセンスを感じさせます。

また、何より、「恋愛」と「酒」が濃密な関係におかれているところが本作の面白いところで、 “本当に酔っ払っていて記憶が飛んでいる”のか、“実は酔っ払ってなくて、酔っ払って何も覚えていないふりをしている”だけなのか、そんな「酔っぱらい」の様々なバリエーションが、ときに2人を近づけ、時に遠ざけ、右往左往させます。

知っていたのか、知らなかったのか、酒による恋の駆け引きが行われたり、酒の力を借りているからこそ言える言葉があったり、思わず「恋と酔っぱらい」、「酔っぱらいと恋」という副題をつけたくなるほどです。

「恋」と「酔っぱらい」という2つの要素が親密な関係で物語を突き動かし、人間の本音を飛び交わせる様は巧みで、非常に愉快なロマンチック・コメディーに仕上がっています。

まとめ


(C) 2019 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ZIP CINEMA. All Rights Reserved.

キム・レウォンは、『英雄都市』(2019/カン・ユンソン)では、国会議員を目指す人のいいヤクザを演じ、コン・ヒョジンは『スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班』(2019/ハン・ジュニ)でやり手の刑事を演じるなど、幅広い活躍を見せている2人ですが、共演するのは16年ぶりになるそうです。

キム・レウォンが演じたジェフンという人物は、漫画チックな失恋男という設定ですが、キム・レウォンはコミカルかつ人間味溢れる演技を見せ、ジェフンという男を豊かな感情を持った共感できるキャラクターに仕上げました。

一方、コン・ヒョジンは、心の内をなかなか見せない繊細な面と、威勢のよい大胆な面を持ち合わせるソニョンという女性を、細やかに、かつ鮮やかに演じています。

同僚役のカン・ギョンや、社長役のチョン・ウンインなど個性的な面々ががっちり脇を固めており、賑やかな作品になりました。

会社で社員が頭を突き合わせて、企画会議をしている部屋や机の狭苦しさなど、この会社の規模にあった舞台が提示され、アットホームな雰囲気をうまく表しています。

監督のキム・ハンギョルは、短編映画で認められ、本作で長編映画監督デビューを飾りました。『マルモイ ことばあつめ』(2019)のオム・ユナ監督や、『はちどり』(2018)のキム・ボラ監督など、昨今、韓国映画界は、女性監督が活躍する機会が増えていますが、キム・ハンギョル監督もその一人で、『最も普通の恋愛』では、恋の行方を繊細かつ大胆に描き、王道でありながら新鮮さに満ちたロマンチック・コメディーに仕上げています。



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