ピュアな恋愛模様に癒される珠玉のラブコメディ
豊田悠原作の人気マンガを原作に、赤楚衛二主演、町田啓太共演でドラマ化し人気を呼んだ『チェリまほ』こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の劇場版。
童貞のまま30歳を迎え、“触れた人の心が読める魔法”を手に入れた主人公と、彼に思いを寄せる社内⼀のイケメン同期・黒沢の恋模様がコミカルに描かれます。
浅香航大、ゆうたろうらドラマ版のキャストが続投するほか、松尾諭、遠山俊也、榊原郁恵、鶴見辰吾、松下由樹らが新たに参加しています。
とうとう心通じ合った魔法使いの安達と黒沢。彼らはいったいどんな将来を選び取るのでしょうか。
ときめきと切なさいっぱいの、心温まるラブコメディの魅力をご紹介します。
CONTENTS
映画『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【原作】
豊田悠
【監督】
風間太樹
【脚本】
坂口理子
【編集】
加藤ひとみ
【出演】
赤楚衛二、町田啓太、浅香航大、ゆうたろう、草川拓弥、佐藤玲、鈴之助、松尾諭、遠山俊也、榊原郁恵、鶴見辰吾、松下由樹
【作品概要】
200万部を突破した豊田悠によるマンガをドラマ化して大旋風を巻き起こした『チェリまほ』こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の劇場版。監督は『チア男子!!』(2019)の風間太樹。
『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)の赤楚衛二と町田啓太が紡ぐピュアなBLストーリー。童貞のまま30歳を迎え、“触れた人の心が読める魔法”を手に入れたサラリーマンの安達と、優秀で人気者のイケメン同期・黒沢を描くラブ・コメディです。
浅香航大、ゆうたろうらドラマ版のキャストに加えて、松尾諭、遠山俊也、榊原郁恵、鶴見辰吾、松下由樹ら豪華俳優陣が新たに参戦しています。
映画『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のあらすじとネタバレ
童貞のまま30歳を迎え、“触れた人の心が読める魔法”を手に入れたサラリーマンの安達清は、同期の爽やかイケメン・黒沢優一と心通じ合い、晴れて恋人となりました。
黒沢は安達の魔法の力を知っても何も変わることなく、安達を思い続けていました。
一緒に新しい年を仲良く迎えたふたりは初詣に行き、互いにずっと一緒に過ごせるようにと祈ります。
しかし年明け早々、安達に突然長崎への8カ月間の転勤話が舞い込みます。それは新店舗の立ち上げという大仕事への大抜擢でした。
黒沢が自分を思って後押しするだろうということを思い、彼に辛い思いをさせたくないと安達は思い悩みます。
彼は黒沢に打ち明けられないまま、浦部に相談。そのことを知った黒沢は、会えなくなるわけではないのだからと言って、安達に転勤話を受けるように話します。
彼の本心を知りたい安達はつい手をのばして黒沢に触ろうとしましたが、その前に黒沢に気づかれてしまいました。黒沢は、安達にとっていい話は自分も嬉しいと笑顔でいいます。
悩んだ末、安達は転勤を決意しました。
映画『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の感想と評価
消えた魔法と生まれた覚悟
赤楚衛二演じる朴訥とした安達と町田啓太演じるスマートな黒沢の魅力が炸裂し、大旋風を巻き起こした大ヒット作『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の待望の劇場版です。
彼らが大きな支持をされた理由が、魅力的な容姿だけではなく、そのピュアな愛情と温かな人柄にあることを改めて感じさせてくれる一作です。
幸せに新年を迎えた2人でしたが、その後安達は長崎に転勤することとなります。心がすれ違ったまま長崎へ異動した安達は疲労をためこみ、事故に遭ってしまいました。
ケガをせず済んだ事実を知らない黒沢は、心配して一目散に駆け付けます。久しぶりに会った2人は互いの胸の内を語り合います。
この事故が2人の関係を変える大きなきっかけとなります。ひとつ目の大きな変化は、心身が結ばれたことで安達の魔法が消えたことでした。
こんな大きな変化が起きても「黒沢がいるから大丈夫」と、安達は事態を受け止めます。
魔法が消えたことによって、魔法がなくても自分の言葉で思いを伝えられることに気づく安達。彼の素晴らしい人間性が魔法の喪失によって際立ちます。
もう一つの大きな変化は、2人が互いの大切な人たちに、自分たちの関係を伝える決心をしたことです。それはゲイカップルならではの厳しい現実を突きつけられたことによるものでした。
事故に遭った安達は、自分が一番大切に思う黒沢に連絡がいかなかったことを通して、自分たちの置かれている状況を改めて理解します。
このままではもし逆に黒沢に何かあっても、自分に知らされることはないであろうことを考えた安達は覚悟を決めました。
彼は自分が強くなって堂々と彼を自分の一生の相手だと宣言することで、お互いを守ることができると考えたのです。
好きだから一緒にいるというのはごく当たり前のことのはず。まるで日陰の身かのように隠さねばならない現状の方がおかしいのです。ともに過ごすことのために覚悟を必要とする同性カップルを取り巻く環境の厳しさを改めて思い知らされます。
初めは動揺した家族でしたが、自分の息子を信じ最後には祝福しました。
それぞれの父の言葉は胸に迫るものでした。安達の父は「意志を持って選んだ選択は貴いものだ」といい、黒沢の父は「幸せな人が増える。これ以上のことはない。君たちの人生は君たちのものだ」といって喜びます。
黒沢の実家の帰り道、「魔法がなくなっててよかった」と話す安達。魔法があったらきっと相手に気に入られる言葉だけを言おうとしてうまくいかなかっただろうと。魔法があるからこそ、逆に自由を奪われていたことが浮き彫りになるシーンです。
安達と黒沢は、自分ひとりでは越えられなかった壁を越えさせてくれた互いの存在に心から感謝していました。その強い思いと互いの存在の大切さを真摯に伝えたからこそ、両親は彼らの幸せを信じることができたのでしょう。
「片方が弱ったときは、もう片方が強くなって支えればいい」と話す安達は、頼りがいある人間へと間違いなく成長していました。黒沢の存在によって生まれた強さだったに違いありません。
安達と黒沢の貴いラブシーンに癒される
骨太なメッセージ性を持つ本作ですが、ファンの期待にこたえるほのぼのラブシーンも健在です。
2人のピュアな恋愛模様から物語がスタートします。クリスマスイヴの夜、いい雰囲気になりつつも初々しくかたさがとれない2人。そんな中、空腹の安達のおなかが鳴って一気に緊張が解けます。一緒にラーメンをすする笑顔はまさに無敵です。
いつもエプロン姿で微笑む黒沢と、どてら姿であどけなく笑う安達。幸せそうなふたりを見ているだけで心が癒されます。
長崎でのキスシーンと、一夜を過ごした後ベッドで白Tシャツ姿で微笑み合う2人の姿は、サービスショットですが、生々しさはなくまるで天使のようです。
魔法が消えたと気付いた安達の慌てっぷりと、それを確かめようとベタベタ触った後にバックハグまでしてしまう黒沢の姿に胸キュンする方もきっと多いはず。
長崎から安達が帰った後、2人は安達のアパートで暮らし始めます。黒沢が住んでいた部屋の方が広くておしゃれだったのも関わらず、安達の好きなものに囲まれて暮らしたいという理由で移り住むのですから、その情熱は見事です。
安達のために選んだパジャマや服を持ち込み、着た姿を撮影して安達に叱られる黒沢。このほのぼのしたいちゃいちゃシーンがチェリまほ最大の魅力です。
安達に作ってもらったオムライスがもったいなくて食べられない黒沢の姿に笑ってしまいます。
浜辺での指輪交換や、お揃いの白いモーニングでの挙式姿など、見どころ満載の一作です。
ラストでは、人の大勢いる公園の中をごく自然に手をつないで歩く2人の姿が映し出されます。これからは堂々とともに手を取り合って生きていくのだという彼らの覚悟が伝わって来て、胸が熱くなるシーンです。
もう一組のピュアなゲイカップル、柘植と湊の恋模様もキュンキュンさせる場面が出てきますのでご注目ください。
まとめ
絶大な人気を誇るドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の待望の劇場版は、切なさと笑いが交じり合った最高の一作です。
魔法をなくした安達は、愛する人を絶対自分が守るのだという強い決意を抱くようになります。そんな安達に引っ張られるように、黒沢も2人の将来を輝かしいものにするために立ち上がりました。
互いを思う気持ちが強くなるほど、自分の持つ責任に目覚めていく安達と黒沢。同性カップルならではの強い覚悟の目覚めと、深まっていく愛情に心奪われます。
前を向いてお互いの幸せのために手を取り合って歩んでいく2人から、大きな希望をもらえることでしょう。