怪奇現象に襲われる飛行機の乗客を描いたフライトパニック・ホラー!
清水崇が監督を務めた、2014年製作のアメリカのフライトパニック・ホラー映画『7500』。
ロサンゼルスから東京に向けて飛び立った、ヴィスタ・パシフィック航空のジャンボジェット機7500便。
様々な事情を抱えた7500便の乗客たちは、突然の乱気流や怪奇現象に襲われながら、空の旅を続けていくしかない姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
謎の死が相次いで起こり、次第に異様な様相を呈していく機内にいる乗客たちを描いた、アメリカのフライトパニック・ホラー映画『7500』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『7500』の作品情報
(C)2014 CBS Films Inc. All Rights Reserved
【公開】
2014年(アメリカ映画)
【脚本】
クレイグ・ローゼンバーグ
【監督】
清水崇
【キャスト】
ライアン・クワンテン、エイミー・スマート、レスリー・ビブ、ジェイミー・チャン、スカウト・テイラー=コンプトン、ニッキー・ウィーラン、ジェリー・フェレーラ、ジョナサン・シェック、スカウト・テイラー=コンプトン、アレックス・フロスト、リック・ケリー、クリスチャン・セラトス
【作品概要】
「呪怨」シリーズや『犬鳴村』(2020)などを手掛けた、清水崇が監督を務めたアメリカのフライトパニック・ホラー作品です。
『ジョン・ディーの魔導書 ーエバーモアの戦いー』(2014)や『2067』(2020)などに出演する、ライアン・クワンテンが主演を務めています。
映画『7500』のあらすじとネタバレ
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アメリカ・ロサンゼルスから東京の羽田空港に向かって飛び立った、ヴィスタ・パシフィック航空のジェンボジェット機7500便。その飛行機には、様々な事情を抱えた乗客が乗っていました。
破局していることを隠しながら、友人夫婦と一緒に3週間日本旅行をする夫婦ブラッド・マーティンとピア、小さい赤ん坊を抱いている女性。新婚旅行に行く潔癖症で自己中な妻リズ・ルイスとその夫リック、2人の隣に座ったゴシック・ファッションに身を包んだヘビメタ女ジャチンタ。
木の箱を抱えたビジネスマンのランス・モレル、サーフィンをするために盗品の携帯電話を売って稼いでいるチャラ男ジェイク。はたから見て憎しみ合っているように見える夫婦。
そんな乗客の話で盛り上がっている客室乗務員スージー・リーとローラ・ボクスター。けれど2人もまた、ローラは機長のピート・ヘイニングと不倫関係にあり、スージーは婚約者ニックがいて幸せなはずなのに、初めての彼氏ショーンへの想いを断ち切れずにいました。
1万フィートに達した上空を飛行中、突然の乱気流に襲われ、機体が激しく揺さぶられます。
しばらくすると乱気流は収まりましたが、今度はランスが突如苦しみだし、口から血を吐きだしたのです。
救命士のブラッドはランスのそばに駆け寄り、突然苦しみだした原因を探ろうと声を掛け続けます。
ところが、ランスは「頼む、飛行機で死にたくない」と言った直後、上体をのけぞった状態でより一層激しく苦しみ悶えた末、絶命しました。
スージーたちから話を聞いたピートは、機内の混乱を避けるべく、ファーストクラスにいた乗客を下の階のエコノミークラスに移し、機内は東京に着くまでの間消灯。誰もいなくなったファーストクラスにランスの遺体を置くことにしました。
以下、『7500』ネタバレ・結末の記載がございます。『7500』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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ランスの死による乗客の混乱が落ち着きつつある中、ブラッドはペットポドルの蓋を開けようとした手の指が、突然青く変色していることに気づきます。
その直後、ブラッドが持つペットボトルが突如押し潰され始め、シートベルをしていなかった乗客が天井に叩きつけられるほどの激しい揺れが発生。さらに気圧が低下し、酸素マスクなしでは息できなくなりました。
ブラッドは酸素マスクを着けるのが間に合わず、気を失ってしまった乗客一人一人回り、助けに行きます。
やがて揺れは収まり、気圧も正常に戻りました。機内へアナウンスしたピット曰く、最初の揺れで気密が破れたせいで、機内の気圧低下を招きました。
ブラッドの爪が変色したのは、気圧低下による酸欠の状態に陥ったからです。機内の乗客が再び落ち着きを取り戻しつつある中、ピアは危険を顧みず、自分の酸素マスクを着けて助けようとしてくれたブラッドにある後悔を語ります。
「仕事ができる女に見られるのは気分が良かったけれど、心の底から願っていた夢は、あなたと子供がいる家庭を築きたかったことだった」
「2人で行ったカボ旅行を覚えてる?天気は快晴、ホテルも最高だったのに、自分たちが大喧嘩して4日間も口きかなかったせいで最悪なものとなった」「もう人生の無駄遣いは嫌」
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その頃ジェイクは、ファーストクラスへ足を運んで、ランスの遺体から高級腕時計を盗んでいました。
さらにジェイクは、SNSに載せる用の動画を撮影。ふざけてランスの顔に被せてあった布を撮った瞬間、彼が見ていない間に動き出したランスの顔を見て悲鳴をあげます。
その直後、ピットは東京管制塔に通信を試みますが、応答はありません。ブラッドが古い映画を観ていた画面も突如乱れ、ランスの顔が映し出されます。
ジェイクが長い時間席に戻っていないことに気づき、ローラとスージーは彼を捜しにファーストクラスへ足を運びましたが、ジェイクはおろか、ランスの遺体もありません。
そしてジェイクの隣に座っていた女性が、妊娠検査薬を持ってトイレに籠った際、突如足元から立ち込めた煙から伸びてきた手に足を掴まれ、悲鳴を上げていました。
その後、ローラたち客室乗務員によるランスの遺体と、行方不明のジェイクの捜索が開始されました。それを知ったブレイドはピアと、ランスの顔がノートパソコンの画面上に映ったと話すリズとリックと一緒に、ランスが何者か調べようとします。
そこで4人がまず最初に目をつけたのは、ランスが持っていた鞄です。ランスの鞄にはノートパソコンと身分証明書、発がん性のある薬品と女性たちの髪の毛が入った小瓶でした。
そこへ、ランスの遺体を興味津々で見ていたジャチンタが乱入。彼女はランスが抱えていた木箱を、4人に渡しました。
その木箱の中には、ランスが東京の顧客に売るつもりであったであろう、不気味な人形死神が入っていました。死神を知っていたジャチンタは、ブラッドたちにこう言いました。
「日本の神話で死神とは死の精霊のことを言う。人は急に命を奪われた時、この世の未練を絶たないと先に進めない」「その未練を絶てば、死神がその魂をあの世へ導く」
「何でこの死神を持っていたかは知らないけれど、1つ言えるのは、このランスって男はこの世に未練がある」
一方その頃、ランスの荷物を漁っているブラッドたちを咎めたローラは、彼らから貨物室にあるランスの荷物を調べたいと言われ、1人懐中電灯を持って貨物室へ向かいます。
ローラはランスのトランクを発見したものの、突然トランクの中から手が出てきて悲鳴をあげました。
同時刻。ローラに不倫関係の解消を告げられたピットは、自分との子を持つ母親である妻メグへの謝罪の言葉を呟きます。
そしてもう一度、ピットは東京管制塔へ通信を試みましたが、「人形デザイナーのモレル」「気密…緩み…」という謎の答えが聞こえてくるばかり。
するとふと、後ろのドアが開いた音に気づき、ピットが後ろを振り返ります。そんなピットは、後ろにいる何かを見ながら「そんな馬鹿な!」と叫びました。
貨物室へ向かったローラを待つ間、スージーはショーンへの想いから踏み切れずにいた婚約を解消する決心がついたのか、婚約指輪を外します。
その直後、スージーは異様な気配を感じて貨物室を覗き込むと、立ち込める煙から突如手が出てきました。
悲鳴をあげたスージーはファーストクラスへ逃げますが、彼女の悲鳴を聞いて駆けつけたブラッドたちの目の前で、ランスの遺体があった座席上の棚から伸びてきた何かに引き摺り込まれてしまいます。
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機内で起きる謎の異変の数々に、混乱するブラッドたち。突如激しい揺れに襲われる中、彼らはコックピットに足を運ぶと、操縦席に座るピットも副操縦士も死んでいることが発覚しました。
ファーストクラスの通路でしゃがみ込み、動けなくなってしまったジャチンタは、画面が乱れたモニターの近くに立つ自分の影に近づいていきます。
「死は命の一部よ。(ランスも自分が)死ぬなんて考えもしなかった」「そうすれば1秒も無駄にしない」
「こう考えなきゃ。あんたも私も誰もが、いつか必ず死ぬと」………リックに話したことと同じことを話す自分の影を、ジャチンタはそっと抱きしめました。
ブラッドたちはコックピットを後にして客室に戻ると、自分たちを含めた乗客と客室乗務員が全員、死んでいるのを目撃。4人はそれぞれ、酸素マスクを着けずに座席に座ったまま死んでいる自分の遺体を目の当たりにして、愕然とします。
そこで突如、乱れていたモニターの画面がニュース速報の映像を映しました。「ヴィスタ・パシフィック航空の7500便は今夜、予想外の乱気流に遭遇し、東京管制塔に伝達」
「しかしその後、7500便と連絡が取れなくなった」「恐らく乱気流で機内の機密が緩み、やがてそれが破れると、機体内部は急激に減圧された。酸素マスクもこの時故障したと思われる」
「減圧され酸素もない環境は、乗客や客室乗務員、機長たちには致命的だったと思われる」
「以降、7500便が東京管制塔からの連絡に応じる様子はない」「軍がF-16戦闘機を発進させ、7500便の機内の様子を見て貰ったが、動く者の気配はなかった」
「機内に生存者がいる可能性は0に等しいだろう」「7500便はこの5時間、自動操縦で飛んでいる。燃料が切れれば、太平洋に墜落するだろう」
実はブラッドたちは、最初の乱気流による激しい揺れで、酸素マスクが故障したため酸欠状態となり、そのまま皆死んでしまっていたのです。
ジャチンタが話していたように、急に命を奪われたブラッドたちは、この世の未練を残したままだったため、先に進めませんでした。
ランスの死後、ブラッドたちはそれぞれ内心抱えていた後悔、すなわちこの世の未練を自分の手で断ちました。
別れたことを内心後悔していたブラッドとピアは、もう二度と離れないことを約束し、抱き合いました。
この世の未練を断ち切ったブラッドたちは皆、死神にあの世へ導かれていったのでしょう。夜が明け、機内に陽が差し込む頃には、リズ以外は誰もいませんでした。
1人機内に取り残されてしまったリズは、異様な物音がするゴミ箱を覗いてみると、中から手が出てきて悲鳴をあげます。
映画『7500』の感想と評価
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機内で起きる謎の怪奇現象
ランスの死後、彼の死をきっかけに7500便の機内は謎の怪奇現象に襲われます。死んだランスの遺体とジェイク、ジェイクの隣に座っていた女性が姿を消したことや、ローラたちが見た謎の手の正体、死んだランスの顔が浮かび上がるなど…。
次々と起こる怪奇現象の数々に、ローラたち同様、観ているこちらまで悲鳴をあげたくなるほど怖いです。
ただ最初の乱気流による機体内部への減圧のせいで、乗客と乗務員が全員死んだのなら、ブラッドたちが見たこの怪奇現象は実際に起きたことなのかどうか、劇中では明らかにされていません。
もしかしたら、この世の未練を断ちきれずにいるブラッドたちを見かねた死神が、彼らをあの世へ導くために見せた幻だったのかもしれませんね。
衝撃的な事実
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何度も乱気流に遭遇し、機体を激しく揺れるほどの衝撃に耐え続けたブラッドたち乗客と乗務員たち。
物語の終盤、実はブラッドたちが、最初の乱気流による機体内部への減圧と、酸素マスクが故障してしまったせいで全員死んでしまったことが明かされます。
物語の終盤まで、ブラッドたちが本当に生きているかのように描かれているため、この衝撃的な事実に誰もが愕然とすることでしょう。
ブラッドたちが自分の遺体を目にしていることから、それまで動いていたのはブラッドたちの彷徨える魂だと考察できます。
まとめ
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ロサンゼルス発、東京の羽田行きのフライト7500便に乗る乗客と乗務員が、謎の怪奇現象に襲われてしまう姿を描いたアメリカのフライトパニック・ホラー作品でした。
謎の怪奇現象の数々と、ランスの突然死には背筋が凍りつくほどの恐怖を感じ、怪奇現象の謎を解こうとするブラッドたちの姿を見て、ひやひやさせられるほどハラハラドキドキするスリルを味わえます。
ブラッドたち主要人物の後悔は劇中で描かれていますが、最初に死んだランスと、最後に機内に取り残されてしまったリズの後悔が何だったのか、7500便はこれからどうなってしまうのかは劇中で明らかにされていません。
謎の手に襲われるなどの怪奇現象の謎と一緒に、それらの謎を観た人それぞれが考察する楽しさがあります。
飛行機に乗るのが怖くなってしまうほどの恐怖を体感できる、和製ホラーが組み合わさったフライトパニック・ホラー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。