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Entry 2021/04/30
Update

映画『2067』ネタバレ感想解説と結末考察のあらすじ。おすすめSFアドベンチャーは妻を救うために未来へ旅する男を描く|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー40

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第40回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第40回は、セス・ラーニー監督が演出を務めた、映画『2067』です。

セス・ラーニーが脚本・監督を務めた、2020年製作のオーストラリアのSFアドベンチャー映画『2067』。

2067年。酸素が急激に減少し、謎のウイルスが蔓延したせいで荒廃した地球で、ウイルスに感染し冒された最愛の妻を救うため、未来へ旅に出た男の姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

人工酸素を供給することで世界を支配した会社が、407年後の未来から受け取ったメッセージをもとに、最愛の妻を救うために未来を旅する男の姿を描いた、オーストラリアのSFアドベンチャー映画『2067』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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映画『2067』の作品情報


(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

【公開】
2020年(オーストラリア映画)

【脚本】
セス・ラーニー、デイブ・パターソン(追加の執筆)

【監督】
セス・ラーニー

【キャスト】
コディ・スミット=マクフィー、ライアン・クワンテン、リアンナ・ウォルスマン、アーロン・グレナン、デボラ・メイルマン

【作品概要】
『トンビルオ! 密林覇王伝説』(2017)を手掛けた、セス・ラーニーが脚本・監督を務めた、オーストラリアのSFアドベンチャー作品です。

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(2014)や『X-MEN:アポカリプス』(2016)、『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019)などに出演するコディ・スミット=マクフィーが、主演を務めています。

映画『2067』のあらすじとネタバレ


(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

西暦2067年。地球の酸素量が急激に減少し、動物や植物が死に絶え、世界各地で人類の環境破壊により自然災害が発生。

さらに謎のウイルスが蔓延したことにより、人類も絶滅の危機に陥っていました。

今や地球に生きる人類は、先端科学研究所を持つ「クロニコープ社」が供給する、人工酸素なしでは屋外を歩くこともできません。

しかし、その人工酸素に対する拒絶反応を起こす人々もおり、死に至る者も続出しています。

幼い頃にタイムマシン量子物理学者の父親が突如消息を絶ち、母親が死んで生涯孤独になったイーサン・ホワイトは、自分を助け育ててくれたジュード・マザーズと一緒に、唯一生き残ったオーストラリアの市の発電所でトンネル労働者として働いていました。

イーサンが連日昼夜問わず仕事に励んでいる理由は、ウィルスに冒された最愛の妻ザンティを救うために、高級酸素マスクを手に入れて症状を良くしようとしていたからです。

しかし、そんなイーサンの頑張りも虚しく、ザンティの症状は一向に良くなりません。

そんなある日、イーサンは後見人であり同僚でもあるジュードと一緒にある人物に呼び出されました。

その人物は、イーサンの疎遠になった父親リチャードと一緒に働いていた、クロニコープ社の素粒子研究の最高技術責任者(CTO)、レジーナ・ジャクソンです。

レジーナはリチャードと研究員のビリー・ミッチェルと共に、未来と過去を行き来するタイムマシン「クロニクル」の開発に取り組んでいました。

しかしリチャードは、クロニクルの開発直後に突然自ら命を絶ってしまい、レジーナたちは彼の遺志を引き継いで、2047年から20年間研究に取り組みました。

その結果、レジーナたちは見事、クロニクル経由で過去と未来を行き来することが可能にさせたのです。

そう説明するレジーナとビリーは、イーサンを呼び出した理由を述べます。

それは、クロニクル経由で最初に407年後の未来と次元をつなげた時、「イーサン・ホワイトをこちらに送れ」というメッセージを受信したからでした。

レジーナたちクロニコープ社は、イーサンが人類滅亡を防ぐ救世主かもしれないと考え、彼を未来にタイムトラベルさせ、送信者の正体と治療薬を探させようと考えました。

クロニコープ社から、「未来にいる協力者に会い、治療薬を持って帰る」という任務を命じられたイーサンは、ザンティを1人にしておけないと断固拒否。

父親が母親と自分を見捨てた過去を持つイーサンにとって、父親と同じ過ちを犯すことなど言語道断です。

しかも大量の電力を消費するため、1人しか未来にタイムトラベルさせることは出来ないばかりか、レジーナたちにはイーサンを過去に戻す方法を見つけていません。

そんなイーサンの気持ちを汲み取ったザンティは、1人でウイルスと戦いながら待つことへの不安を打ち明けるも、それでも人類のために未来へ行って欲しいとイーサンの背中を押します。

未来への出立当日、葛藤の末決心がついたイーサンは、「必ず戻ってくる」と彫った花飾りを眠るザンティの枕元に置き、ジュードに見送られて未来へ旅立ちました。

未来側の時間のずれを生き延び、イーサンは407年後の未来へ無事タイムトラベルしました。

イーサンが降り立ったのは、西暦2474年、文明が滅び人類が誰1人いない、緑が大地を覆い尽くした地球にある熱帯雨林です。

イーサンはクロニコープ社から支給された装置、「アーチー(システム分析とナビ、過去との通信に使える装置)」を使い、治療薬と協力者を探す旅に出ます。


(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

熱帯雨林を探索するイーサンは、熱帯雨林の中で唯一ある建造物を見つけ、その入り口の前に白骨化した死体を発見。

よく見てみると、その骸骨はイーサンが身に着けているネームタグや壊れたアーチー、父親に8歳の誕生日に無理矢理装着させられたデバイスを持っていたのです。

そう、これは未来のイーサンが、何者かに頭を銃で撃ち抜かれ、殺されてしまったことを意味する死体でした。

その証拠に、イーサンが音声認識によって起動させた壊れたアーチーには、こんな音声データが最後に残されていました。

「このほうが犠牲が減るかも」「何を犠牲にした?」「俺たちは家族だろ?」

「お前のためだ」「これが運命だ!」「呼吸するんだ、戦え!」「嫌だ、やめてくれ」

最後の銃の発砲音を聞き、自分が何者かに殺されたと悟ったイーサンは、あまりのショックで注意散漫になり、毒の木の実を1粒食べてしまうのです。

それによって、イーサンは倒れて死にかけます。荒天の中、轟く雷鳴と共に降ってきた謎の男が、倒れたイーサンに抗毒素が入った注射を打って蘇生させました。

その男の正体は、過去から来たジュードでした。彼は帰りを持っていたイーサンの容態が急に変化し、心肺停止になったことから心配して、余力分の電力を使って未来へやって来たのです。

イーサンはとりあえず、ジュードに未来で見た自分の白骨化した死体や、熱帯雨林の中で見つけた所有者不明の酸素補給機のことを話します。

そこからイーサンたちは、2人で協力して熱帯雨林の中を探索。すると今度は、クロニコープ社の研究所跡を発見しました。

イーサンが研究所のパソコンに記された指示に従い、キーボードのエンターキーを押した途端、彼の左手首にあるデバイスが赤から緑に点灯し、彼の血液からDNAを採取。

すると瞬く間に、研究所のシステムが復旧し、2067年と通じるクロニクルが起動準備に入りました。

クロニクルが2067年へ転送完了するまであと4時間。ようやく元の時代に帰れると喜ぶジュードとは裏腹に、イーサンは何かがおかしいと違和感を覚えます。

今のイーサンと同じ格好と装備をした未来の自分の骸骨。今までずっと色が変わらなかったデバイスの色が、骸骨と同じ緑色に突然変化したこと。

これらの違和感を踏まえ、イーサンはまだ未来でやることがあるのではと思い、研究所のシステムプログラム「RID」に、最後の研究データを見せるようお願いします。

研究所に残っていた最後の映像データ。それはリチャード博士が生前遺した、クロニクルの開発とその過程を記録したものでした。

ホログラムとして映し出されたリチャード博士は、2047年にクロニクルを完成させ、酸素を取り戻す方法を探るために未来へ電波を送信。

するとその直後、2474年の未来から「イーサンをこちらに送れ」というメッセージを受信し、リチャード博士たちは驚き言葉を失いました。

しばらくしてクロニクルは、未来側の電力不足によって通信が途絶えてしまい、リチャード博士たちもその映像を見るイーサンたちも、送り主が分からずじまいで終わってしまいます。

その映像が消えた直後、イーサンたちがいる研究所は、原子炉コアの給電に問題が発生。

電源に再接続させて給電しなければ、4時間後に核爆発が起きる事態に陥ってしまいます。

以下、『2067』ネタバレ・結末の記載がございます。『2067』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

「もし電力供給に成功すれば、30秒間だけ2067年と繋がることが出来る」

そうRIDから聞いたジュードは、すぐさま電力を復旧させて元の時代に帰るため、トンネルの第7セクションにある原子炉コア制御室へ向かおうとします。

一方イーサンは、もしかしてレジーナたちクロニコープ社は、未来側の電力不足によってシステムが不安定になり、荷電粒子によって核爆発が怒ることを予期していたのではないかと推測。

その証拠に、メッセージの送信元はクロニコープ社の研究所からとなっていました。

つまり、クロニコープ社は電源異常のことはもちろん、治療薬を持った送り主を知っているのではないか…。

そこまで考えたイーサンは、ジュードが未来に送り込まれた理由にも疑問を抱くようになってしまいます。

イーサンの代わりに治療薬を探すために、未来に派遣するなら、何もジュードではなくても、兵士や医師でも良かったはずです。

核爆発まで残り3時間50分。イーサンはとりあえず、ジュードと協力して原子炉コア制御室がどこにあるか調べるため、一旦街へ出ようとします。

しかしイーサンたちが見た街は、2067年の荒廃した街よりも酷く変わり果てた、緑に覆い尽くされて廃墟と化していました。

その廃墟には、必ず骸骨が転がっています。中には酸素補給機と酸素マスクがあるのにもかかわらず、死に絶えた骸骨もありました。

イーサンはそのまま奥へ奥へ向かっていくと、荒廃したザンティの勤め場所である学校と、椅子に座ったまま死んだ生徒の骸骨、そして花の飾りを握りしめたザンティの遺体を発見。

骸骨になったザンティの手に握られていたのは、「必ず戻ってくる」と彫ったイーサンの字の下に、彼女の字で「戻ってほしかった」という言葉が彫られていました。

イーサンはそれを見た瞬間、自分が父親にされたように、ザンティを1人にしたまま死なせてしまったのかと悟り、絶望と自分への怒りで錯乱してしまいます。

それを必死に宥めるジュード。その光景は昔、イーサンがジュードに助けられた時の光景と同じでした。

リチャード博士が家族を見捨てて逃げ去った後、行方を眩ませた彼と連絡を取ったイーサンの母親は、幼いイーサンを連れてどこかへ向かいました。

しかしその道中、謎の男に執拗に追いかけられ、イーサンの母親は彼を庇って男に殺されました。

男が去った後、息絶えた母親のそばで呼吸困難に陥って倒れたイーサンの元に、ジュードが駆け寄り助けたのです。

イーサンはジュードの励ましで気を取り直し、彼と共に未来を変えようと立ち上がろうとした瞬間、手を差し出してきた彼から衝撃的な言葉を告げられます。

それは、未来のイーサンが死の間際、自分を殺そうとする男と交わした会話の映像。そこで男が言っていた「このほうが犠牲が減るのかも」と全く同じでした。


(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

イーサンはジュードが自分を殺したのではないかと疑い、おもむろに懐から銃を取り出したジュードは、何故自分の声が壊れたアーチーから聞こえるのか分かりません。

核爆発まで残り2時間。互いに疑心暗鬼になりつつ、制御室に辿り着いたイーサンたち。

イーサンたちはRIDとアーチーの指示に従い、電源の回路の切り替えをレバーを下ろすことで試してみましたが、失敗してしまいます。

悔しがるジュードをよそに、天井や壁が崩落していくにつれて、制御室の扉が勝手に閉まりそうになりました。

イーサンは、これから行われる減圧のために、酸素がなくなる制御室から自分を助けようとするジュードを守るため、彼が鉄パイプで阻止していたのを自ら外します。

それによってイーサンたちは制御室の外の中で、扉によって隔たれてしまうのです。

イーサンは減圧によって酸素がなくなった制御室で、最後の力を振り絞って別のレバーを下ろしました。

それにより、無事電力が復旧し、原子炉コアが正常に稼働。ジュードは正常に戻ったことを確認後、すぐ倒れたイーサンを救出し、地上に帰還します。

2067年にタイムトラベルできるまであと37分のところで、研究所に戻ってきたイーサンたち。

イーサンは興味本位で研究所の奥にあった扉を開けてみると、そこには未来の自分の骸骨がいました。

これによってイーサンは、「自分たちが何をしても未来は変わらず、人類は絶滅してしまうのだ」と悲観します。

そしてイーサンは、このまま2067年に戻ったらすぐ、ジュードに何故か射殺され、400年間放置されるのだと悟りました。

最後までジュードを信じたいイーサンは、アーチーのバッテリーを壊れた方に入れ替え、自分の死の真相を知ろうと音声だけでなく、録画された映像を再生させます。

その映像には、銃を突きつけ、自分と戦うよう強要するジュードと、彼に命乞いするイーサンの姿が映っていました。

イーサンの願いも虚しく、彼はジュードによって射殺されたことが、その映像で推測から確信に変わってしまいました。

信じていたジュードに殺されただけでなく、ザンティが生きる未来があると嘘をつかれていたことを悟ったイーサンは再び錯乱。

ジュードは必死にイーサンを宥めようとした際、ついポロッと「計画」という単語を口に出してしまいます。

イーサンはジュードの失言を聞き逃さず、2047年の当時の映像を最後まで見たうえで、彼に詰め寄って詰問。

涙を流しながら開き直ったジュードは、イーサンに事の真相を明かしました。

事の発端は2047年。レジーナとビリーたちクロニコープ社は、酸素を手に入れるためなら人を殺す、ウイルス同然の人類なんて滅べばいいと考えていたのです。

そこでクロニコープ社は、自分たち以外の人類を全て滅ぼし、その犠牲を糧として荒廃した地球をリセットし、再スタートさせようと思いつきました。

クロニコープ社の人間は、クロニクル経由で400年後にタイムトラベルし、未来の研究所で備蓄された酸素を使って、新世界を築き生き延びようと秘密裏に画策していたのです。

レジーナたちの企みに勘づいたリチャード博士は、イーサンの8歳の誕生日の日。直接レジーナと対決する前に、RIDにイーサンに宛てたメッセージを遺しました。

「私は間違っていた。神を気取るなど…」「我々にそんな資格はない」

「いずれはお前に直接、話したいと思う。すべてはお前のためなんだ」

「幸せな人生を与えれば、私の愛に気づいてくれる。そう思った」

「恐れを認めるのは難しい。私には父がいない」

「お前のそばに居るべきだったが、そうはできず逃げてしまった。悪かった」

涙ぐみながらそう話すリチャード博士は、自宅に電話をかけ、妻に「今すぐイーサンを連れて家を出て、私と出会った場所に向かいなさい」とだけ伝えます。


(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

その後、リチャード博士は研究所に若いジュードを連れ、現れたレジーナを尋問。

リチャード博士は、自分はメッセージの送り主を探し、治療薬を探すためにクロニクルを開発したことを伝え、レジーナに計画を中止するよう懇願しました。

しかし、レジーナは聞く耳を持たず、「治療薬なんてありはしない、人類さえ滅びれば地球は再生できる」の一点張りでした。

そこでリチャード博士は、最後の悪あがきとして未来側の研究所のシステムをロックし、「解除し再起動させるには、デバイスを装着したイーサンのDNAが必要だ」と言いました。

レジーナとリチャード博士の交渉は決裂し、彼女は銃を使って、何か異議を唱えようとしたビリーを脅迫したのち、振り向きざまに後ろにいたリチャード博士を射殺。

レジーナは動揺しているジュードに、こう命じました。

「チームを作ってイーサンの保護者になり、彼を守りなさい。彼は全ての鍵となる存在よ」

これが、ジュードがイーサンを守るために、何としてでも隠したかった、リチャード博士の死の真相とクロニコープ社の陰謀でした。

衝撃的な真実に、激しく動揺するイーサン。そんな彼に掴みかかられたジュードは、治療薬がないこともレジーナたちの悪事も全て、真実だと告げます。

さらにジュードは、自分は何を犠牲にしてでも、兄弟のように大事に想っていたイーサンを救いたかったこと、それでも皆死んでしまう事実は変えられなかったことを話しました。

イーサンは、もうジュードのことが信用できず、家族や妻を死に追いやるクロニコープ社の陰謀を阻止するべく、クロニクルを破壊しようとします。

それを妨害するジュード。イーサンと彼は、アーチーに記録された未来の映像と、全く同じやり取りをして、激しく衝突してしまうのです。

ところが、ジュードはそこで、未来のイーサンを自分が本当に殺してしまったことに気づき、罪悪感に押しつぶされて自ら命を断ちます。

ジュードの死後、イーサンはクロニクル経由で、2047年に「イーサン・ホワイトをこちらに送れ」とメッセージを送信。

2067年には、熱帯雨林に生えた樹齢何百年の大木と、アーチー経由で報道局へレジーナたちの悪事が暴かれた、リチャード博士殺害時の映像を送りつけました。

それともう1つ。未来に残ることを決めたイーサンは、別れの印として、クロニクル経由でザンティに未来で咲く花を一輪贈りました。

イーサンの活躍により、すぐさまその映像はニュースで報道され、クロニコープ社は強制捜査が行われ、レジーナは逮捕されます。

さらに2474年の世界では、未来のイーサンの骸骨は消滅。

イーサンが送った植物によって、2067年から植物の生態環境の再生が行われました。

ジュードを弔った後、街を眺めたイーサンの目には、自然と共存した近未来の街の様子が映っています。

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映画『2067』の感想と評価


(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

本作の最大の見どころはただのトンネル労働者だったイーサンが、未来にタイムトラベルして以降、父親譲りの明晰な頭脳を駆使し、クロニコープ社の陰謀を暴いていくところです。

物語を通して、イーサンは妻のザンティや他の人類を救おうと思い、たった1人で未来へ旅をする孤独感と、未来で目にした衝撃的な真実を知った時の恐怖と戦っています。

その中でイーサンは、未来の自分の死体や亡き父親、リチャード博士が遺した過去の映像から、クロニコープ社の驚くべき陰謀を解き明かしていきます。この展開は、ミステリーサスペンス要素満載で面白いです。

もし自分がイーサンの立場だったら、とっくに心が折れてるかもしれないと思うところで、物語で同じようにイーサンが驚き困惑し、涙を流しながら錯乱しているので、登場人物の感情がリンクした感覚が味わえます。

そして、初めはレジーナに命じられて仕方なく、幼いイーサンを守る保護者として傍にいたジュードが、いつしか本当の兄弟のように大事に想ってくれているのが分かる場面も必見です。

物語の後半にはジュードの熱き兄弟愛、家族愛が描かれているので、それが紆余曲折あった末に、最後の最後でジュードの想いがイーサンに届いたのにとても感動します。

まとめ


(C)2020 WE ARE ARCADIA PTY LTD, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREEN AUSTRALIA

亡き父親譲りの明晰な頭脳を持つイーサンが、クロニコープ社の陰謀を暴き、過去を変え大切な人を命懸けで守るSFアドベンチャー作品でした。

未来へタイムトラベルした裏には、人類を滅ぼして荒廃した地球をリセットし、再スタートさせるという、レジーナたちクロニコープ社の陰謀が隠されています。

その陰謀を見事暴いたイーサンが、自ら彼らの悪事を明かすのではなく、クロニクルとアーチー経由で元の時代に知らせるという予想外の展開は本当に面白いです。

レジーナによってイーサンの保護者になったジュードですが、彼はクロニコープ社の人間なのか、イーサンの実の兄弟なのかは明かされていません。

さらに、イーサンの母親を殺した男が誰なのかも、明確には描かれていません。そういった未解決の謎を、観る人それぞれで感じたままに考察するのも楽しいです。

男同士の熱き家族愛によって紐解かれた、人類を絶滅させようとする会社の陰謀と未来への旅が描かれた、SFアドベンチャー映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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