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『死霊院 世界で最も呪われた事件』あらすじネタバレと感想。実話ホラー映画の真相をおすすめ作品とともに解説

  • Writer :
  • 映画屋のジョン

世界各国から集めた選りすぐりの危険な映画たちを上映する、「モースト・デンジャラス・シネマ・グランプリ2018[MDGP2018]。

第2弾となる作品が『死霊院 世界で最も呪われた事件』です。

ルーマニアで起きた実際の事件を基に、悪魔祓いを描いた映画なのです。

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映画『死霊院 世界で最も呪われた事件』の作品情報


Copyright (C) 2016 Crucifixion Holdings, LLC. All Rights Reserved.

【公開】
2017年(アメリカ・イギリス・ルーマニア映画)

【原題】
The Crucifixion

【監督】
ザヴィエ・ジャン

【キャスト】
ソフィー・クックソン、コーネリウ・ウリチ、エイダ・ルプー

【作品概要】

2004年、ルーマニアの修道院で23歳の修道女が、教会の関係者によって悪魔祓いと称して3日間絶食状態で磔にされ、死亡するという事件が発生した。

この事件で関係者は逮捕され裁判となり、ロイター通信によると2007年4月に主犯とされた被告に禁固14年、その他の人物にも実刑判決が下されたのだった。

この謎の多い不可解な事件を基に、『死霊館』『アナベル』シリーズの制作陣、そして『ヒットマン』『コールド・スキン』の監督ザヴィエ・ジャンが手掛けたホラー映画が、『死霊院 世界で最も呪われた事件』なのです。

映画『死霊院 世界で最も呪われた事件』のあらすじとネタバレ


Copyright (C) 2016 Crucifixion Holdings, LLC. All Rights Reserved.

2004年にルーマニアで起きた悪魔祓いによって修道女、アデリーナ(エイダ・ルプー)が死亡した事件は、テレビのニュースとなって世界に報道されていた。

この事件に関心を持ったニューヨークのジャーナリスト、ニコール(ソフィー・クックソン)は、宗教の名の下に起きた殺人に強い憤りを感じ、真相を明らかにしようと現地に向かうのであった。

ルーマニアに着いたニコールは、早速悪魔祓いを行い殺人の罪で逮捕されたディミトリ神父との面会し、アデリーナは医師の手に委ねるべきではなかったのか、と詰問した。

しかしディミトリ神父は薬では悪魔は追い払えない、そして彼女に憑りついていた悪魔の名は「アガレス」であると語り、彼女の死は悪魔の仕業であり、悪魔祓いが中断させられなければ彼女は救えたと主張する。

と同時に彼はニコールに、「神は、君が力になると語っている」と告げるのであった。

ニコールはアデリーナの葬儀が行われているルーマニアの寒村に向かう。その場でアデリーナの友人であった修道女のバトゥバに取材を申し込むが拒否される。

バトゥバは悪魔祓いには参加していなかったが、その場には立ち会っていたのだ。彼女も、そして周囲の人間の多くも、アデリーナを殺したのは悪魔であると固く信じている様子であった。

ほど近い街に宿をとったニコールは、葬儀の場にいたアントン神父(コーネリウ・ウリチ)と話す機会を得る。彼から悪魔祓いを行ったディミトリ神父は、ブカレストの司教の下に所属していた事を告げられる。

翌日ブカレストの司教を訪ねたニコールは、教会は今回の悪魔祓いは止めており、ディミトリ神父は擁護しない立場であると知る。

そして司教はルーマニアにおけるキリスト教の現状を彼女に教えるのだった。共産主義政権が崩壊した後、急速に拡大した教会に聖職者の育成が追い付かず、知識や経験の乏しい者が多いという事実を。

そして多くの貧しい信者が病院に行けない故に、何かあると悪魔祓いなど協会に救いを求めに訪ねてくるという状況を彼女に伝えたのであった。

改めて悪魔祓いの行われた教会を訪れたニコールだが、アデリーナの部屋で剥がれ落ちた爪を見つける。そして怪しい気配を感じたが、その正体は奇妙な行動をとる1人の少年であったのだ。

教会を後にしたニコールは、アントン神父に悪魔祓いについて説明を受ける。まず第一の段階は「存在」、憑依された者にいかなる悪魔が憑りついたか知る事であるのだと。

次の段階は「決壊」。憑依された者は幻視などを体感しパニックを起こす。さらに次の段階が「対峙」。聖職者と悪魔が直接、激しく対決する。

これに成功すれば最後の段階、悪魔の「排除」となるのだが、アデリーナの悪魔祓いはその前の段階で止められた。不要となった彼女は死に、悪魔は別の人間に憑りついた可能性をアントン神父は指摘するのだった。

翌日ニコールは改めて葬儀で取材を拒否されたバトゥバと、アデリーナの兄ステファンを訪ねる。2人は彼女に対してアデリーナの中には、確かに何かが存在していたと強く語るのであった。

またアデリーナは悪魔に取りつかれる前にドイツで子守りの職に就いていた事、その際に受けた心理状態の試験では問題が無かった事をニコールに伝える。

さらにアデリーナが帰国した直後彼女らを子供の頃から世話してくれた、父親代わりの存在であったゲイブリエル老神父が、彼女の目前で教会の鐘楼から飛び降りた事実を告げる。

ゲイブリエル神父はアデリーナの腕の中で息を引き取った。彼女は強いショックを受けたのか、それ以降様子がおかしくなってしまったのだ。

その夜ニコールはアントン神父と信仰について言葉を交わす。実はニコールは母が死の間際に、彼女の薦める治療を断り、運命を神に委ねて闘病より死を選んだ事が許せず、それ以来神への疑念を抱いていたのだった。

その事でアントン神父と意見の対立したニコール。彼と別れた直後、教会に出会った不思議な少年と再度出会い、彼の名はダビアンと知る。そして部屋に戻ったニコールは、怪奇現象に遭遇するのだった。

次の日改めてバトゥバを訪ねたニコールは、アデリーナがドイツにいた際に男と不幸な結果に終わる関係を持った事実と、そして彼女が悪魔に憑りつかれてからその身辺に起きた不可解な現象について聞かされる。

この取材から宿に戻ると、突如停電に見舞われたニコール。昨日の気まずい別れを詫びに訪れたアントン神父と共に過ごしても、決して心休まる一夜とはならなかったのである。

翌日はアデリーナが入院していた病院を訪ねたニコールは、医師の診断では彼女は統合失調症であったと聞かされる。

実はアデリーナは子供の頃に父親の自死を経験しており、ドイツでの心労を重ねた後に、帰国後ゲイブリエル神父の自死に遭遇した事が引き金となり、発症したというのが医師の見解であった。

その帰途、怪奇現象に襲われたニコールは、アントン神父に助けを求める。

やって来たアントン神父は、「悪魔は弱った人間に憑りつく。逃げては思う壺である」と語り、死別した母と再会する為にも神を受け入る事をニコールに薦めるが、彼女はそれを拒絶する。

もはや精神的に追い詰められたニコールは、取材を切り上げ帰国する事を決断するのであった。

以下、『死霊院 世界で最も呪われた事件』ネタバレ・結末の記載がございます。『死霊院 世界で最も呪われた事件』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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空港に向かうニコールは、雲間から太陽の光が差している事に気付きます。それに導かれるように進んだ彼女は、自殺したゲイブリエル神父の墓の前に立ちます。

墓碑に書かれた「神の腕に抱かれる」という言葉に、何か気付いた彼女は急ぎ引き返しゲイブリエル神父の部屋を訪ねます。

そして彼女は神父が自殺する前に悪魔祓いの儀式を行っていた事、その相手があの不思議な少年、ダビアンの父である事を知ります。

ダビアンは神に選ばれた特別な子供であり、故に彼を殺そうと悪魔はその父に憑依した。そしてその悪魔祓いの最中に、ゲイブリエル神父は悪魔に憑りつかれたのではないか。

そしてゲイブリエル神父が自死した際に、彼を抱きかかえ精神的に弱っていたアデリーナに、悪魔は乗り移ったのではなかったのか。

それを確かめるべくニコールはダビアンの家に向かいます。ダビアンの父に尋ねても当時の記憶は全く無いとの返事でしたが、この場所であの悪魔の名前である「アガレス」の文字を見つけるのです。

しかしここで、ついに悪魔が襲い来たのです。そして信仰を持たず精神的に弱っていたニコールは、悪魔に憑依されてしまいます。

ニコールの連絡で駆け付けたアントン神父と、悪魔との最後の対決が行われます。ダビアン親子の力も借りて、悪魔祓いの儀式を行う神父。

ついに悪魔はニコールの体から去りました。それは彼女が信仰を取り戻し、母の死別の際の自責の念を許す事が出来た証でもあったのです。

こうして物語は終わりましたが、最後にテロップでその後が紹介されます。

「ディミトリ神父と関係者4名は殺人で有罪となった。7年間服役し出所した神父は、悪魔祓いを続けている」と。

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映画『死霊院 世界で最も呪われた事件』の感想と評価


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「事実」に基づく物語である…⁈

ホラー映画に限らず、「この映画は事実に基づく物語である」と謳っている映画が多数存在します。

しかし中にはその謳い文句が製作の段階から、あるいは宣伝の段階から全くの嘘である作品も多数存在するので、映画ファンは心して鑑賞しましょう

しかし本作『死霊院 世界で最も呪われた事件』は間違いなくルーマニアで、(2004年ではなく)2005年に実際に起きた事件を基に製作されている映画なのです。

無論映画化するにあたり様々な脚色が加えられ、作品はフィクションとして成立しています。

実際の事件はルーマニア正教会の司祭と修道女が起こし、関係者が逮捕され有罪となったのですが、配慮されたのか劇中では宗教・宗派的な要素は、多少ボカして描いたものと思われます。

同時にそれによって他の宗派のキリスト教圏の人のみならず、縁遠い一般的な日本人にも理解し易い物語になっているのです。

ところでルーマニアと言えばドラキュラや、様々な怪物の伝説で名高い土地。そういった歴史的背景、また映画の中でも紹介されている近年の国内状況が、この基となった事件の背景にある事は言うまでもあるません。

日本人にも分かり易い作風

『死霊院 世界で最も呪われた事件』は、悪魔の存在を前提に描かれたホラー映画ですが、同時に現実に悪魔祓いが必要とされる状況を、一般的に馴染みの無い観客に丁寧に解説し教えてくれる映画でもあるのです。

その意味では1976年にドイツで実際に発生した、同じく悪魔祓いで死亡した女性の事件を描いた、演じたジェニファー・カーペンターを一躍有名にした映画『エミリー・ローズ』と同じ性格の作品である、と言う事もできるのです。

参考映像:『エミリー・ローズ』(2005)

どちらの事件も裁判となり、不幸にして誤認された精神疾患と宗教的ヒステリーの実例、として関係者は実刑の判決を受けています。これを皆さんはどう受け止めるでしょうか?

ともあれ悪魔祓いというテーマが、『エクソシスト』以降魅力的なホラー映画の題材である事は言うまでもありません。

そして本作『死霊院 世界で最も呪われた事件』も極めて良質な「エクソシスト映画」の1本である、と評して差しつかえ無いでしょう。

同時に本作はホラー映画にとって魅力的な土地、『死霊館のシスター』の舞台でもあるルーマニアで、本格的なロケを大々的に行って製作された作品なのです。

ご鑑賞の際はそれを意識しながら、雰囲気をかもし出すルーマニアの風景を楽しんで下さい。

まとめ


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映画に限らずオカルトな話題には、「信じて楽しむ」方「疑う事で楽しむ」方が存在していると思います。

ここで紹介した『死霊院 世界で最も呪われた事件』には、このオカルトを別の視点で楽しむ両者を納得させる、テーマを深く追求した姿勢が見て取れます。

この描き方は確かに『死霊館』『アナベル』シリーズに通じるものがあるのではないでしょうか。

ホラー映画でもこの様な傾向の作品を好む方には特に、『死霊院 世界で最も呪われた事件』をお薦めいたします。

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