Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ファンタジー映画

Entry 2022/09/18
Update

実写『アダムスファミリー』ネタバレ結末あらすじと評価解説。クリスティーナ・リッチらが演じるお化けファミリーが繰り広げるブラック・コメディ

  • Writer :
  • 谷川裕美子

魅力たっぷりのお化け一家から目が離せない

チャールズ・アダムスによるひとコマ漫画を、本作が監督デビューとなるバリー・ソネンフェルドが映画化したホラー・コメディ。

古い洋館に住むお化けのアダムス一家が繰り広げる騒動がブラックユーモアたっぷりに描かれる楽しい一作です。

観たことがないけれど、印象的なテーマ曲とお化け一家のシルエットはなんとなくわかるという方もきっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

アンジェリカ・ヒューストン、ラウル・ジュリア、クリストファー・ロイド、クリスティーナ・リッチら人気俳優がモンスターファミリーを魅力的に演じます。

彼らが遭遇する驚きの罠とはいったいどんなものだったのでしょうか。

ワクワク感とシニカルな笑い満載の楽しい作品の魅力についてご紹介します。

スポンサーリンク

映画『アダムス・ファミリー』の作品情報


(C)1991 by Paramount Pictures. All rights reserved.

【公開】
1992年(アメリカ映画)

【脚本】
キャロライン・トンプソン、ラリー・ウィルソン

【監督】
バリー・ソネンフェルド

【編集】
デデ・アレン

【出演】
アンジェリカ・ヒューストン、ラウル・ジュリア、クリストファー・ロイド、エリザベス・ウィルソン、ジミー・ワークマン、クリスティーナ・リッチ、カレル・ストライケン、ダン・ヘダヤ、ダナ・アイビ

【作品概要】
チャールズ・アダムスによるひとコマ漫画を原作に映画化。映画『ミラーズ・クロッシング』(1991)の撮影を務めたバリー・ソネンフェルドの監督デビュー作。

不気味なお化け一家に巻き起こる騒動を描くブラック・コメディです。印象的なテーマ曲も人気となりました。

『グリフターズ/詐欺師たち』(1991)のアンジェリカ・ヒューストン、『蜘蛛女のキス』(1986)のラウル・ジュリア、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのクリストファー・ロイドら名優が顔を揃えます。

スリーピーホロウ』(1999)のクリスティーナ・リッチが当時11歳の子役として少女ウェンズデー役で出演しています。

映画『アダムス・ファミリー』のあらすじとネタバレ


(C)1991 by Paramount Pictures. All rights reserved.

クリスマスに湧く街。ある不気味で巨大な屋敷に、裕福なお化けのアダムス一家が住んでいました。

当主のゴメズ、魔女の血を引く美しいモーティシア夫人、子どものウェンズデーとバグズリー、夫人の母のグラニー、執事のラーチ、そして手だけのハンドが一緒に暮らしていました。ゴメズは行方不明の兄のフェスターの身を案じています。

借金を抱えているアダムス家の顧問弁護士のタリーは、金を得ようとアダムス家を訪れてゴメズに新事業を提案しますが、却下されてしまいます。

高利貸しのアビゲイルに借金の催促をされたタリーは、彼女の息子のゴードンが行方不明のフェスターにそっくりなことに気づき、彼をフェスターに仕立ててアダムス一家の金庫を狙う計画を立てます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『アダムス・ファミリー』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『アダムス・ファミリー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク


(C)1991 by Paramount Pictures. All rights reserved.

ゴメズはゴードンをフェスターだと思い込み、大喜びで迎え入れます。しかし、ウェンディーだけはゴードンを疑っていました。

秘密の暗号を思い出せず、夜もぐっすり眠れるという以前と違う兄にゴメズは腹を立て、信じてよいものかと悩みます。

一方、アダムス一家に疑われているのではないかとおびえたゴードンは母に相談します。彼女は医者のふりをしてゴメズの気持ちをうまくなだめました。

子どもたちがゴードンに懐くようになる中、ゴードンは屋敷を去ることになり、彼のためのお別れパーティーが開かれます。

その最中、ウェンディーはアビゲイルとゴードンが今夜金庫破りをすると話しているのを聞いてしまいます。彼女は墓場に逃げ込みました。

あやしまれないためにパーティーに戻ったゴードンは、ゴメズと息の合ったダンスを披露します。

アダムス一家はいなくなったウェンズデーを総出で探して見つけ出しましたが、その間にタリーとアビゲイルの企みで裁判所の差止命令が下され、屋敷から締め出されてしまいます。

裁判でも兄のフェスターに全財産が渡る判決が下され、一家は屋敷を出ていくこととなります。

落ち込む夫と家族のために、ひとりでアダムス邸を訪れたモーティシアは、アビゲイルたちに捕らわれてしまいました。

その様子を見たハンドから知らせを受けたゴメズは、妻を助けに屋敷に駆け付けます。

アダムス夫妻をかばおうとするゴードンに、アビゲイルはお前なんか拾わなければよかったとつい口にしてしまいました。

怒りに燃えたゴードンはハリケーンの本を書棚から取り出し、タリーとアビゲイルに向かって本を開いて嵐を起こして墓穴へ吹き飛ばします。ウェンズデーとパグズリーのふたりが彼らを埋葬しました。

7か月後のハロウィーン。嵐に一緒に巻き込まれ稲妻が頭に落ちたゴードンは記憶を取り戻します。ゴードンは実は本物のフェスターでしたが、25年前、マグロの網にかかっていたところを助けてくれたアビゲイルの養子となっていました。

ゴメズらアダムスファミリーは再び屋敷に戻り、ゴードンと子どもたちは楽し気に死者を掘り起こして回ります。

ゴメスとお腹に新しい命を宿したモーティシアは幸せを胸に抱き合い、熱いキスを交わしました。

スポンサーリンク

映画『アダムス・ファミリー』の感想と評価


(C)1991 by Paramount Pictures. All rights reserved.

個性派キャラが生きる独特の世界観

アニメ化、ドラマ化を経て初めて映画化された『アダムス・ファミリー』は、楽しい仕掛けがたくさん施されたワクワク満載のホームコメディです。

本作の魅力はなんといってもその完璧な世界観でしょう。登場人物の衣装から屋敷、墓地など、全てがゴシック様式で描かれています。

少し薄暗い映像はホラー感たっぷりながら、その美しさは洗練されとてもスタイリッシュです。このテイストはティム・バートン監督など後進の多くの人々に大きな影響を与えました。

個性あふれるアダムス一家の中でもひときわ目を引くのは、アンジェリカ・ヒューストン演じる素晴らしく魅力的な妻のモーティシアです。

真っ白い肌にしっかり入れたアイシャドー。それでいて品のある美しさは、どこか極妻の岩下志麻にも通じるド迫力を感じさせます。黒いロングドレスでの立ち姿は思わずみとれてしまう美しさです。

彼女にぞっこんな夫のゴメズのメロメロぶりもチャーミング。わざと芝居くさい切ない猫なで声で「モーティシア」と呼び掛ける声を聞くたびに笑ってしまいます。

濃いカップルの濃厚なラブラブぶりはなかなかヘビーな味わいですが、演じている当人たちが一番楽しんでいる様子が伝わって来ておかしさが倍増するのです。

スリーピーホロウ』(1999)などで知られるクリスティーナ・リッチが、当時11歳でウェンズデーを演じています。

いつもツンとしているのにたまらなくキュートな女の子で、ママに注意されて悪い言葉に言い直したり、がんばってお行儀悪くふるまう姿はたまらないかわいさです。

後年出演し、高い演技力を認められた『バッファロー’66』(1999)でも、アンジェリカ・ヒューストンと共演しています。

本作のファンだと公言していた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのドク役で知られるクリストファー・ロイドが、行方不明のフェスターのふりをするまぬけなゴードン役を好演

トレードマークのギョロギョロ目玉は、ゴメス役のラウル・ジュリアにもよく似ており、ふたりのリアルな兄弟感がさらに物語を盛り上げます。

ウェンズデーとパグズリーの血まみれ学芸会などの爆笑シーンをはじめ、クスリと笑わせる小ネタも数限りなく仕込まれている最高に楽しい一作です。手だけの姿で走り回るハンドの活躍も必見ですよ。

まとめ


(C)1991 by Paramount Pictures. All rights reserved.

ゴシック様式美を背負った最高にチャーミングなお化け一家の楽しいドタバタコメディ『アダムス・ファミリー』。

演じているのは皆超一流の俳優ばかり。個性あふれるキャラクターへのあふれる愛を感じさせる息の合った素晴らしい演技を見せています。少女時代のクリスティーナ・リッチも見られる貴重な一作です。

個性あふれるキャラクターたちにふたたび会いたいという声に背中を押され、翌年1993年にはモーティシアのかわいい赤ちゃんを交えての大騒動を描くシリーズ2も製作されています。

どうぞこちらも合わせてご覧になり、大笑いしながら楽しんでください。






関連記事

ファンタジー映画

映画『ゆれる人魚』あらすじとキャスト。上映館と公開日情報も

映画『ゆれる人魚』は2月10日(土)より新宿シネカリテほか全国順次公開! 1980年代の共産主義下にあったポーランドを舞台に、新鋭監督アグニェシュカ・スモチンスカがアンデルセン童話にツイストを加えた新 …

ファンタジー映画

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団|ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説。ダンブルドアがハリーに冷たくする理由がわかった⁈

J・K・ローリングの世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズ映画化第5作! デヴィッド・イェーツが監督を務めた、2007年製作のアメリカの大ヒットファンタジー映画『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士 …

ファンタジー映画

【ネタバレ】プーと大人になった僕|あらすじ感想とラスト結末評価解説。泣ける映画な理由は名言にこもった“大人になった子どもたち”への言葉

映画『プーと大人になった僕』は2018年9月14日(金)全国公開! 世界中で時を超えて愛され続ける物語『くまのプーさん』。 「プーさんの冒険の物語とともに育ってきた」という方も少なくないのではないでし …

ファンタジー映画

映画『ゆれる人魚』感想解説と評価考察。ラスト結末に見た姉妹の成長の真意とは

映画『ゆれる人魚』は2月10日(土)より新宿シネカリテほか全国順次公開! 2016年にサンダンス映画祭「ワールドシネマコンペティションドラマ部門」の審査員特別賞をはじめ、海外の映画祭で多くの映画賞の獲 …

ファンタジー映画

【ネタバレ】鋼の錬金術師(2022映画実写2)あらすじ感想評価と結末解説。完結編/復讐者スカー新キャストの魅力とラスト後編への布石とは

国家や錬金術に仕込まれた巨大な陰謀、全ての謎が繋がり始める完結編前編! 全世界で累計発行部数が8000万部を越えるヒットとなった、2001年連載開始の人気漫画『鋼の錬金術師』。 ASIAN KUNG- …

U-NEXT
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
山田あゆみの『あしたも映画日和』
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学