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Entry 2021/06/22
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映画『エスケーピング・マッドハウス』ネタバレ結末の感想とあらすじ解説。クリスティーナ・リッチが19世紀後半の女性ジャーナリストを熱演|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー43

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第43回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第43回は、映画『エスケーピング・マッドハウス』です。

19世紀後半のアメリカに実在した、潜入取材を得意とする女性記者ネリー・ブライ。彼女が追ったのは、悪名高いニューヨークのブラックウェル島精神病院の闇です。本作はネリー・ブライがブラックウェル精神病院に、10日間潜入した実話が基になっています。

ネリー・ブライ役には「アダムス・ファミリー」シリーズや『キャスパー』(1995)の子役で人気を得て、『スリーピー・ホロウ』(1999)、『モンスター』(2003)などの注目作品にも出演した、クリスティーナ・リッチが演じます。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『エスケーピング・マッドハウス』の作品情報

(C)2021 A&E Television Networks. All Rights Reserved.

【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
Escaping the Madhouse: The Nellie Bly Story

【監督】
カレン・モンクリーフ

【脚本】
ヘレン・チルドレス

【キャスト】
クリスティーナ・リッチ、 ジュディス・ライト、 ジョシュ・ボウマン、アンニャ・サヴィッチ、マーク・ヒルドレス、ニッキー・デュヴァル

【作品概要】
精神病院のグラディ寮長役には、2011年から2012年にかけてブロードウェイで上演された「Other Desert Cities」でシルダ役で、初のトニー賞を受賞した、ジュディス・ライト。

ネリーの主治医ジョサイア医師を演じたのは、海外ドラマ「リベンジ」のメインキャスト、ダニエル・グレイソン役で一躍人気を得た、ジョシュ・ボウマンです。

本作は女性向けドラマを多く手掛ける、アメリカ合衆国の有料テレビ局“Life Time”で、2019年に放映されたドラマ映画です。

映画『エスケーピング・マッドハウス』のあらすじとネタバレ

(C)2021 A&E Television Networks. All Rights Reserved.

1887年ニューヨーク「ブラックウェル島精神病院は、一度入ったら最後…人間用ネズミ捕りだ」

「私はネリー・ブラウン…」彼女は、心神喪失状態で街中をさまよっていたところを保護され、ブラックウェル島精神病院に連れて来られました。

巷では彼女を“ブラックウェル島の謎の女”という呼び名で、ゴシップ記事が広まっていました。なぜなら覚えているのが名前だけの記憶喪失で、新聞の尋ね人欄に写真付きで載せても、身内や知人が名乗り出ないからです。

そんな彼女の元には行方不明になった妻ではないか?という男が、新聞を見てネリーに面会しにきます。

主治医のジョサイアが彼女は完全に記憶を失っている。と、説明すると男は新聞に書かれていた“美しい女”という部分に、興味をひかれ来てみたという感じに「人違いだと」言って帰っていきます。

面会が終わるとネリーは、何かを感じたとイングラム医師に話しますが、医師はそれは記憶とは違う言います。

ネリーとジョサイアが施設を出ると、対岸に見えるニューヨークの街並みを見て、ネリーは自分の住んでいた街に戻れば、何か思い出すかもしれないと彼に言います。

ジョサイアは記憶が戻るまで、施設にいるよう諭しますが、ネリーは地獄に落とされたタンタロスのように、もがき苦しいだけで記憶が戻るとは思えないと訴えます。

イングラム医師に言った“感覚”についてネリーは、ある男性に向けた愛情だと話し、それが誰なのか顔も思い出せず、懐かしい感覚と“バット”という言葉を発したと伝えました。

ジョサイアは記憶を取り戻す突破口となる、“言語連想”かもしれないと、ネリーに希望を持たせます。

ジョサイアはイングラム医師の後任で精神病院に赴任してきた医師で、ネリーの主治医でもありました。

ネリーは足枷がきつくて記憶回復に集中できないと訴えます。ジョサイアは精神病院の寮長をしているグラディと面会したとき、彼女の足枷を緩めるよういいますが、特別扱いはできないと拒否します。

ジョサイアは健康は心と身体が関係していると説得し、自らの手でネリーの足枷を緩めてあげます。

新しい入寮者を入浴させる時間がきました。ネリーはそこで名家“ホリスター”の出身だという、女性と出会いネリーは再び、断片的な記憶を思い出します。

新聞を広げ記事に書かれた、“ホリスター”の名前を読み上げ、髭をたくわえた紳士の顔と水中にいる自分です。

ホリスターの人間だというロッティは、産後うつを発症しているのか、乳飲み子を残したまま収容されたと訴えます。

ネリーは施設に来る前、自分に会ったことはないか聞きますが、ロッティははじめて会ったと言います。

ネリーは寮での劣悪な扱いや環境について、記憶回復の邪魔になるとジョサイア医師にぶつけます。

先天性や加齢による精神障害の人もいれば、ほとんどの患者は正気なのに、寮での虐待で壊れていくと訴えますが、ジョサイアは訝しく彼女の話を聞きます。

そして、記憶喪失の原因の多くは、心の奥に潜むトラウマが影響すると言い、グラディ寮長の“治療”のおかげで、ネリーは正気に戻っていると諭します。

ネリーは“ホリスター”の名前で、自分の姿やいる場所の雰囲気までを思い出しますが、はっきりとした居場所まではわかりませんでした。

彼女は足枷がきつすぎて、思考が霧散するというとジョサイアは、鍵を見せながら毎日受診にくれば、緩めてあげると言いますが、鍵を持っていることは秘密だと約束させます。

“バット”というキーワードから野球のバットを使い、ジョサイアは素振りをしてみたりしますが、ネリーの記憶には変化はありません。

ジョサイアには妻子がいます。ネリーは乳飲み子を恋しがるロッティを励ますために、揺り椅子に座らせてほしいと頼みます。

誰でも自由に座れるはずの椅子を、グラディが使用を禁止し、自分は患者の前で椅子に座る、残酷なことをすると教えました。

ジョサイアは憤慨し彼女の望みを叶えますが、寮内はそのことで統制が崩れ、患者と看護師達で混乱しはじめます。

以下、『エスケーピング・マッドハウス』ネタバレ・結末の記載がございます。『エスケーピング・マッドハウス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2021 A&E Television Networks. All Rights Reserved.

混乱しているすきにネリーはグラディの部屋に入り、ライティングデスクの中を物色します。目的は没収されたロッティのブランケットと、自分の私物を取り戻すためです。

ネリーは自分の名札の付いた日記帳をみつけ、中を確認します。そこには寮内の様子が書かれ、ネリーの断片的だった記憶を一致させていきます。

しかし、その様子を看護師のフェントンにみつかってしまい、彼女は日記帳を見てネリーが“謎の女”で、記憶が戻ればどこにでも行けると言います。

ネリーはフェントンにブランケットを隠してほしいと頼み、部屋に戻ってきたグラディからかくまってもらいます。

ネリーは日記帳をジョサイアに見せ、患者が連れて来られた状況を示す内容は、治療される前に書いたものと信じてもらえません。

それどころか黙って日記を持ち出したことを責め、グラディの行き過ぎた行為も患者達のためだと言い出し、日記は診察に来れば自由に読めるとジョサイアが預かります。

その日の就寝時、ロッティのブランケットを他の患者が奪い取り、みつかってしまいます。

ロッティが盗みんだのかと詰め寄られ、覚えていないと言うと、“しつけ”をして思い出させると告げます。“しつけ”と聞いたネリーは、観念して自分がしたことだと白状しました。

グラディは病の原因となったブランケットは、ロッティに“苦悩”を与えたといい、医者にでもなったつもりなのかと責めます。

そして、ネリーのそぶりは妻子のいるジョサイアを誘惑し、奪い取ろうとする魂胆だと言います。

“しつけ”はネリーに行われました…。拘束し地下室へ連れて行くと、グラディは自分が幼い頃にうけた、性的虐待の苦しみに比べたらマシだと、蛭を使って辱めを与えました。

次の日、ジョサイアはネリーが時間になっても受診にこないため、キッチンにまでやってきて、作業をするネリーに彼女と似た症例がフランスにあったと話し始めます。

その患者は溺れて救出された女性で、脳への酸素欠乏症で記憶を失くしたというものでした。ネリーは看護師達の監視の目を察知し、ジョサイアの話を遮りました。

夕食の時間を知らせに来たフェントンにネリーは「帰らないの?」と聞きます。フェントンは寮が自分の家だと話し、漁をしている弟が時々船で会いに来ると言います。

翌日の朝食時、ロッティに異変がありました。おどおどした無表情をして、目からは涙があふれています。

席に着いても身体を前後に揺らして落ち着きません。看護師が鞭でテーブルを叩き怒鳴っても、やめようとせずネリーは「坊やのことを思い浮かべましょう…」と食事を促します。

ロッティは一旦落ちつき、皿をみつめると手づかみで食べ始め、奇声を発し笑い出します。ネリーは慌てて患者達に腕を組むよう叫び、身体を前後に揺らし始めます。

グラディは落ちつきがないのは、“シラミ”が発生したせいだと、ロッティの髪の毛を調べるふりをして、シラミと卵がびっしりあると嘘を言います。

ネリーが不審がるとグラディは全員の髪を切ると、手始めにネリーを椅子に座らせます。

そこにジョサイアがやってきて、女性にとって大切な髪を切るというのは何ごとかと聞きます。

シラミを大発生させない予防と聞いても、ネリーの髪にハサミが入るのを嫌ったジョサイアは、油で洗い流す方法があると提案します。

患者たちは順番に油で髪を洗い、ロッティは無邪気にはしゃぎ、油をたくさんあびて喜び、服までも油で滴ると、ロッティは突然グラディの持っていたパイプを奪います。

ネリーはロッティにパイプを返すように言いますが、彼女は何もかも命令してくるネリーにうんざりし、こうなったのも彼女のせいだと罵倒します。

グラディもブランケットと引き換えにパイプを返すよう諭しますが、その命令口調に気高さと自尊心が目覚めたロッティは、パイプの火を頭からかぶり自死しました。

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ロッティの死は自分の責任だと感じているネリーは、ジョサイアに島から出なくては…と、つぶやきます。

ジョサイアはそんなネリーを思い入れの強い患者だが、好意を抱いていると誤解を与えていないかと聞くと、グラディのでっちあげで惑わされていないと否定します。

ジョサイアはグラディに対して、患者としての立場をわきまえ、まともに相手にしないようアドバイスします。

夕飯時、ネリーはフェントンに島を出たいと話し、弟の船で逃がしてくれれば、あなたも有名になれるとけしかけます。

また金曜日の午後、ネリーに面会人が来るという通知がジョサイアの元に届き、1人の紳士が精神病院を訪れます。

ドリスコルと名乗る紳士はジョサイアに、“謎の女”の話しを聞き訪ねたと言います。

ジョサイアは“ネリー・ブラウン”のことかと訊ねると、捜し人の名は“ネリー・ブライ”で似ていて、失踪時期が重なるため気になったと言います。

更にどこにでも大勢いる名前だが、人生で最愛の女性だとドリスコルは言います。

ジョサイアが捜し人の特徴を聞くと、茶色い瞳に黒髪、独学で教養を身につけ、ギリシャ神話に詳しいと話します。ジョサイアは“ギリシャ神話”というワードに反応します。

ドリスコルは続けて探求心が強く、行動力もあり願いは弱き人を助けること…と、一通り伝えると、ジョサイアもネリーのことだとと感じ始めます。

ジョサイアは彼にファーストネームのバーソロミューと呼んでいいかと聞くと、ドリスコルは「友人からは“バット”と呼ばれている」と言うと、確信に変わります。

ところがジョサイアは話しを聞く限り、その女性は記憶喪失ではないのでは?と聞くとバットは、望みは薄くても自分の目で確かめたいと食い下がります。

そして、ジョサイアは名簿をめくりながら、「ネリー・ブラウンは昨日、家族が迎えに来て退所した」と、嘘をつきました。

バットは仕方なく診療室を後にしますが、ネリーは寮の窓からバットの顔を見て、一緒にいた男性で名前はバットだと思い出します。

そのことをジョサイアに訴えますが、彼は金の無心に来た旧友だと嘘をつきます。

ネリーは日記を返すよう求め、彼女に施した“治療”こそが、それまでの記憶を消したのではと推測します。

ジョサイアは被害妄想が発症したらしいと告げ、身近な幸せを探そうと言うと、ネリーは猜疑心をあらわにして彼をみつめ「今の私にそんなものはない」といい部屋を出ます。

寮では恒例となっている舞踏会が催され、ロッティが着てきたドレスを身にまとわされ、会場に登場したジョサイアとダンスを踊ります。

彼は徐々にネリーの体を自分に引き寄せていきますが、そこにフェントンがやってきて、グラディが呼んでいると言います。

そして、ネリーには弟が船着き場で自分達を待っていると告げ、2人は脱走を試みます。

ところが船着き場に到着すると、船など来ておらずフェントンは「私はここでしか生きられないの!許して!」と叫び、ネリーが脱走したと監視を呼びます。

そこにはグラディや他の看護師も集まり、ネリーを陥れるための作戦だったと知ります。また、グラディにはもう1つ陥れる相手がいました。それはジョサイアの存在です。

グラディはジョサイアの過去を調べ上げていました。彼はロンドンの施設で、何人もの思い入れの強い患者に手を出し、解任させられていました。

グラディはジョサイアに仕事を失いたくなければ、ネリーの処遇を一任するよう、書類にサインさせようとします。

そして、彼女が差し出したペンは、ネリーがバットからプレゼントされたもので、彼女の記憶は一気に蘇ります。

彼女は精神病院の潜入取材をワールド紙に提案し、偽名を使って旅行者を装い、心神喪失のふりをして潜入したことを思い出します。

一方、バットの元にはネリーの出した書簡が届きます。そこにはワールド紙から、極秘の仕事を受けたということが書かれていました。

バットはワールド紙のピュリッツァー氏に、真相を聞くため出向き、競合新聞社にネタを渡すと脅し、潜入取材がブラックウェル島精神病院だったと知ります。

施設で行われていることを日記に記していたネリーは、看護師にみつかり治療と称した、水攻めで酸素欠乏症となり記憶を失っていました。

しかし、記憶が戻りつつあるネリーから、施設のことが世間に広まることを恐れ、グラディは再び水攻めをし、今度は亡き者にしようとします。

施設に駆けつけたバットはジョサイアと出くわし、協力しないとただではすまないというと、ネリーを裏切ったことを悔やんだフェントンが、地下の仕置き室にいると案内します。

バスタブに沈められたネリーは危機一髪で助け出され、バットとの再会を果たします。

ネリーはグラディに対して、幼い頃のことは同情するけど、ここでの行いは許されないと言い施設を後にします。

ネリーは「マッドハウスでの10日間」という著書を出版し、一躍時の人となり女性ジャーナリストとして、数々の偉業を重ねその名を世界に広めます。

映画『エスケーピング・マッドハウス』の感想と評価

(C)2021 A&E Television Networks. All Rights Reserved.

映画『エスケーピング・マッドハウス』は実在した女性記者、ネリー・ブライが実際に精神病院に潜入取材をした実話をもとに、制作されたドラマ映画です。

本作を観て感じたことは、この作品内の精神病院は入浴もできて、食事も与えられている、比較的まともな施設だったのでは?という印象でした。

また、ジョサイアのように職権を乱用し、お気に入りの患者に手を出す行為も、実際にあったのではと想像できるため、女性患者をそういう輩から守ってもいました。

この映画を観終わって、ネリー・ブライの暴いたことは、本当に弱者を守ることに繋がったのか?少々疑問も残ります。

「ブラックウェル島精神病院」は本当に悪名高かったのか?

グラディは施設へ運ばれてきたころの患者は、他人に危害を加えたり、自傷行為をする自我を失った者ばかりだったが、矯正のおかげで穏やかに過ごせるようになっていると話します。

言って聞かせることのできない患者に、ある程度の刺激を与えて、制御できるように統制していたということです。

つまり、食事を与えなかったり、不衛生な環境で管理はしておらず、“しつけ”や“治療”と称した行為が、強引かつ乱暴だったということです。

グラディが鳥籠の扉を開けても、鳥が飛び出さないシーンがあります。鳥はそこにいれば食べ物や寝る場所に困らず、安穏に暮せることを知ってしまったからです。

それは言葉の通じない移民者や生活力のない老人が、それまで寝食に困らなかった環境から、精神疾患がない健常者として世の中に戻された時、どうなるのかという心配に繋がります。

つまり、施設がなくなることで、居場所を失う者もいると想像ができ、グラディは精神病患者であろうが、事情の違う人間であろうが、入所した者には、最低限の生きる糧を提供していたともいえるのです。

また、グラディに強烈な悪意を感じなかったのには、没収した患者の私物の一つ一つに、名札が付けられ、箱の中に奇麗に保管されていたという一面を見たのもあります。

回復する見込みのない患者ばかりの物であれば、全て自分の物として独り占めしてもおかしくはありません。

“暴露”はネリー・ブライの過ちではないか?

この潜入取材はある意味、ネリーの独りよがりによって、施設の行き過ぎた行為が誇大して、暴露されたのかもしれません。

例えば専門医でもないネリーが、ロッティがなぜ精神を病んでしまったのかもわからず、ブランケットを渡したり、乳飲み子を思い出させる行為は、グラディのいう通り“苦悩”を与え、逆効果になったとも考えられます。

ロッティの息子は生まれてまもなく、亡くなってしまい精神的に病んでしまったとしたら、緩やかに忘れさせるのが癒しともいえるからです。

ネリーは自分が有名紙の記者であるという自負から、特ダネを得るためにあらゆることをしてきました。

彼女が出版した「マッドハウスでの10日間」は逆に10日間の潜入取材だけで、何がわかったというのか?とも取れるのです。

つまり、ネリーの潜入取材は正義のためというより、単に売名行為のための取材だったともいえます。

一方グラディは40数年間、精神病院で患者を見続けた経験があり、患者の扱いや守り方も熟知していたとはいえないでしょうか?

ネリーの暴露本は逆に多くの患者を劣悪な環境に追いやり、宿無しの患者を路頭に迷わせ、職員の生活や人生を壊したかもしれません。

まとめ

©2021 A&E Television Networks. All Rights Reserved.

『エスケーピング・マッドハウス』は、女性ジャーナリストとして名を馳せた、ネリー・ブライの栄誉ある業績を紹介した作品です。

彼女のサクセスストーリーは華々しいものでしたが、その陰に散ったものも見えた気がしまいました。

ともあれ先駆者は成功するためにはなんでも試みます。そして、若さゆえに後先のことも考えずに行動してしまうものです。

したがってネリーを讃えるだけの作品ではなく、グラディにモデルとなる人物がいたとすれば、彼女にも偉業があったと感じさせたドラマでした。

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