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Entry 2020/02/15
Update

映画『サンキューフォーカミング』ネタバレあらすじと感想。吉田真由香が描く女性の生き方と親子の関係性

  • Writer :
  • 村松健太郎

『サンキューフォーカミング』は2020年2月15日(土)より新宿 K’s cinemaにて1週間限定ロードショー。

子どもが親を選べないと思ってたんだけど違うみたい。

不倫をきっかけに初めて自分の人生と向きあう28歳の女性を通して描かれる大きな決断とは。

2020年2月15日(土)〜2月21日(金)に新宿 K’s cinemaにて1週間限定ロードショーされる映画『サンキューフォーカミング』

女性にとっての本当の幸せを問う、新鋭女性監督吉田真由香の待望の長編デビュー作品です。

映画『サンキューフォーカミング』の作品情報

(C)ニューシネマワークショップ

【日本公開】
2020年(日本映画)

【脚本・監督】
吉田真由香

【キャスト】
ぎぃ子、長岡明美、金井妙子、富岡大地、今谷フトシ、尾形美香、今村有希、兒島京汰、竹本みき、鈴木正子、逢坂由委子、高橋あゆみ、ほりかわひろき、星野ゆうき、車地瑞保、河内莉奈、鏑木悠利、下石知美、中野健冶、田中愛梨、冨田智、鳥居みゆき(友情出演)

【作品概要】
これまで数多くの短編映画を監督してきた吉田真由香監督が待望の長編デビューを飾る本作は、今何かと話題に挙がる“不倫”を経験する女性の物語。

主演はNHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』の戸塚洋子役で注目を浴びた“ぎぃ子”。本作が長編映画初主演作品となります。

映画学校ニューシネマワークショップが新たに始動させる『ニューシネマウィーク東京2020』でのロードショー上映作品となっています。

映画『サンキューフォーカミング』のあらすじとネタバレ

(C)ニューシネマワークショップ

実家住まいのOLの芽衣は厳しい門限もあり、自分から何かするタイプの人間ではありませんでした。

親の言いなりでいいのかと言われる芽衣ですが、自分はそれで満足をしていると言い切ります。

そんな時、学生時代のサークルの飲み会に誘われ、乗り気がないようにふるまいますが、服を選んだりと少し浮かれる芽衣。

セクハラ気味な会社の上司に頼まれ、友人のいるコンビニにタバコを買いに行った芽衣は、タバコなどに加えて避妊具を買わされます。

友人はそのことを芽衣の両親に相談、結果芽衣は仕事を辞めることになります。

改めて就職活動をすることになった芽衣。偶然通りがかったブティックで半ば強引にアルバイトを始めることに。

外でお弁当を食べてていたとき、偶然サークルの先輩の及川と出会います。

最近引っ越してきたという及川。ここに来れば会えるのかと言われ、芽衣は思わず笑みがこぼれます。

再会が続き、仲が深まる二人は食事に行くことに。仕事が見つかったらご飯をおごると言われた芽衣は嬉しさを隠せません。

そして、門限を伸ばしてもらえないかと両親に頼みます。

ところが、及川は妻帯者だったんです。

就職活動に苦戦する芽衣ですが、及川との逢瀬が生きがいとなり、気が付くとおしゃれにも気を使う女性に変わっていきました。

面接の帰り道、二人はすぐ近くまでのドライブのはずがさらに深い関係にはまっていくことになります。

芽衣はあくまでも不倫の恋だとわきまえるつもりでしたが、大きくなる気持ちを抑えきれません。

及川の子どもを妊娠していることが判明したものの、そのことを切り出せない芽衣。

後日、二人でいることを目撃した知り合いに及川が妻子といるところを見られ、芽衣が不倫をしていることを感づかれてしまいます。

一方、厳格で包容力があるように見えた芽衣の両親ですが、父親は外に別の女性を作り、母はストレスのためか万引きをしていました。

そして、周囲に不倫を知られたことで、芽衣に別れを切り出す及川。芽衣は彼に妊娠を告げますが、堕ろして欲しいと言われます。

一方、母親は万引きがばれて店員に捕まってしまいました。

以下、『サンキューフォーカミング』ネタバレ・結末の記載がございます。『サンキューフォーカミング』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
数日後、芽衣のバイト先に急な電話がかかってきます、母親が階段から落ち、足を怪我したとのこと。

芽衣は自分の不倫と妊娠が母親のストレスになったのではと感情を爆発させてしまいます。

ブティックの店長だけが芽衣を優しく支えてくれます。店長は実の娘との関係が上手くいっておらず、芽衣を重ねて見ている部分もありました。

及川に最後に一度だけ会うことにした芽衣。及川はお金を差し出して頭を下げます。

芽衣は子どもを産みたいと訴えますが、芽衣のことは好きではないとはっきりと言われ、走り去りました。

芽衣は及川の自宅に押しかけ、妻子がいる前で妊娠していることを告げ、騒ぎを起こしてしまいます。

店長の家に逃げ込み、泣きつく芽衣に、店長は全力で支えると励まし、芽衣の妊娠と出産を両親に伝えます。

両親と喧嘩別れになった芽衣は店長の家に転がり込むことに。

友人は芽衣を応援する一方で、子どもの誕生は望まれているのか?及川の妻はどう思うのか?という疑問を投げかけます。

実家に帰ると、そこには荒れ果てた家と疲れ果てた母親の姿がありました。父親はかえって来ていないとのこと。

母親は今までの芽衣への束縛を謝り、自分の好きなように生きるように勧めました。

翌朝、芽衣は中絶を決意し、及川に同意書のサインを求め別れを告げます。

病院に母親と共に向かった芽衣。そこで、幸せそうなカップルと、中絶を待つ女性との口論の場に居合わせてしまいます。

芽衣の母は綺麗ごとだと言ったうえで、そうでもないと親もやっていられないとこぼします。

数日後、芽衣はブティックに顔を出します。結局、芽衣は手術はしませんでした。

どこか清々しい表情でミシンを動かす芽衣の姿がありました。

映画『サンキューフォーカミング』の感想と評価

(C)ニューシネマワークショップ

受動的な人生を送ってきた女性。

彼女が初めて積極的に動くことのきっかけになったのが妻帯者との不倫という、とてもタイムリーな題材となりました。

だからと言って、特段スキャンダラスな物語にするのではなく一人の女性の自立への足掛かりとして描かれている本作。

女性監督ゆえの優しさと厳しさに満ちた視点がぶれることなく、物語は進んでいきます。

また、この一件で、周りの人間の人生が良くも悪くも動き出す流れも、無理のない展開で見ることができました。

終盤の子どもと親の関係性の在り方の根源的な部分についてのやり取りはとても考えさせられます。

子どもは親を選べるのか?はたまたそんなことはただの綺麗ごとなのか?

映画の中で芽衣は芽衣なりの答えを出しますが、それが完全に正解では無いとも映画は語っているように感じました。

人が人と交わるときにはできるだけ、健やかな心持でいたいと考えさせられる作品です。

まとめ

吉田真由香監督はこれまで数多くの短編を監督し、『FRESH MINT』(2015)では「あいち国際女性映画祭」短編部門で準グランプリと観客賞を受賞するなど高い評価を受けました。

また、映像制作集団「愛しあってる会(仮)」に所属し、多くのインデペンデントの長編作品にも携わってきた吉田真由香監督。

2019年に女児を出産、現在子育てにも奮闘する母親でもあります。

映像制作集団「愛しあってる会(仮)」の多くの長短編映画を見てきましたが、かなり突飛な作品も多い中で、吉田真由香監督がここまで落ち着いたトーンの長編を手掛けてくるとは思わず、嬉しい裏切りでした。

監督自身が母親となったことで、作品についての捉え方もまた大きく変わっているのではないでしょうか。

『サンキューフォーカミング』は2020年2月15日(土)〜2月21日(金)に新宿 K’s cinemaにて1週間限定ロードショーです。



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