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『港に灯がともる』あらすじ感想と評価レビュー。富田望生の熱演が根強く残る在日韓国人の問題を想起させる

  • Writer :
  • 桂伸也

2025年1月17日(金)より、映画『港に灯がともる』全国順次公開!

「在日」と震災。社会にはびこる問題、課題をさまざまな要素を絡めたドラマで描いた『港に灯がともる』。

阪神大震災をきっかけに崩壊寸前となった在日韓国人一家の目線を通じて、人それぞれが持つアイデンティティーの在り方を問います。

富田望生、青木柚らの若手実力派に要注目の伊藤万理華、山之内すずが現代に迷う若者の姿を熱演。

さらに渡辺真起子、麻生祐未、甲本雅裕らベテランが名を連ねるなど、個性豊かなキャスト陣が出そろい、この重要なテーマをより深みのある物語として仕上げました。

映画『港に灯がともる』の作品情報


(C)Minato Studio 2025

【日本公開】
2025年(日本映画)

【監督・脚本】
安達もじり

【脚本】
川島天見

【出演】
富田望生、伊藤万理華、青木柚、山之内すず、中川わさ美、MC NAM、田村健太郎、土村芳、渡辺真起子、智山中崇、麻生祐未、甲本雅裕ほか

【作品概要】
阪神淡路大震災の翌月に神戸に生まれた在日韓国人家族を中心に、その次女の視線より自身のアイデンティティーに対する葛藤と模索の日々を描いたドラマ。

NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』『カーネーション』など、テレビドラマを中心に手がけてきた安達もじり監督が作品を手がけました。主演は、『ソロモンの偽証』(2015)『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(2017)『あさひなぐ』(2017)などの富田望生。さらに伊藤万理華、青木柚、麻生祐未、甲本雅裕といった面々が在日韓国人一家を演じます。


映画『港に灯がともる』のあらすじ


(C)Minato Studio 2025

1995年の震災で甚大な被害を受けた当時、神戸市長田区に暮らしていた在日韓国人一家であった・金子家。震災の年に娘として生まれた灯(あかり)は、両親からたびたび自身が韓国人であるという家族の歴史や、震災当時の話を常に聞かされうんざりしていました。

震災で仕事を失った父・一雄は家族との衝突が絶えず、家にはいつも冷たい空気が流れており、灯はその話からは実感を持てず、孤独と苛立ちだけを募らせていました。

そしてその立場に我慢できなくなった姉・美悠は日本への帰化を決意、父以外の家族に足並みをそろえるように即していくことで、家族はさらに傾いていくのでした。

映画『港に灯がともる』の感想と評価


(C)Minato Studio 2025

関西と在日韓国人という関係。特に大阪市生野区には日本最大のコリアンタウンが存在するなど、非常に密接な関係がある場であります。

しかし一方で、そのアイデンティティーに対するさまざまな課題が長く叫ばれている場でもあり、この物語はその「在日韓国人」というアイデンティティーに関する社会的課題に対して言及しています。

さらに1995年に発生した阪神淡路大震災、そして現在というポイントに焦点を当て、その歴史における在日韓国人らが背負うさまざまな宿命を深掘りした物語となっています。

かつては「在日」と偏見の呼ばれ方で屈辱的な人生を歩んできた彼らですが、日本に長く存在することで若い世代にその「偏見を受けている」という意識は薄れ、いつしか自分は「日本人と変わらない」と胸の内で無意識に感じ日々を過ごしていきます。

ところがその歴史はいつまでも彼らに付きまとい、戸籍上の扱いという形式ばったものから社会において消え切っていない偏見、親の記憶、教えという記憶まで、さまざまな形で「自分が選んだわけではない」というルーツに対し苦しめられていくわけです。


(C)Minato Studio 2025

この作品では彼らが背負ってきた在日韓国人としての苦しみ、そして震災にて背負わされた苦しみが重なって描かれます。

その苦しみは両方とも、時が過ぎるとともに人々の記憶から薄れ、忘れ去られながらもどこかにしっかりとその傷跡を残している様子も映し出されていきます。

本作は、かつて震災による被害で家族関係に大きな亀裂を生じ崩壊寸前にある一つの在日韓国人家族を中心とした物語。

災害が彼らの家庭に不幸をもたらし、そこに在日韓国人というアイデンティティーが追い打ちをかけていたわけですが、それでも父は子供たちに自分たちが韓国人であることの大切さを訴えていきます。

その矛盾を打破すべく姉は日本人への帰化を積極的に進める一方で、「帰化するということが本当に問題の解決になるのか」「父の訴えはわずらわしいが、果たして彼の意見は間違いなのか」と、主人公・灯はどちらの考えも理解できず自身の苦しみを深めていくわけです。

この苦しみはある意味いつまでも日本の社会に残り続けるわけですが、その問題を社会は、そして彼らはどのように受け止め生きていくべきか、物語はそんな問題提起を訴えているようでもあります。

まとめ


(C)Minato Studio 2025

本作の説得力を最も強く表しているのは、主演を務める富田望生の演技、存在感。

自身も複雑な幼少、青春時代を過ごしたという彼女だからこその演技であるとも見え、灯という女性そのものを表しているようでもあります。

父や家族の不条理な言葉でアイデンティティーにまつわる苦しみを押し付けられ、泣け叫びながら苦しむ灯の姿は、見ているだけでも胸を締め付けられるような苦しみをおぼえることでしょう。

ベテランの域にも達しつつある甲本雅裕との対峙でも、一歩も引かない存在感を醸しているそのたたずまいは魅力的でもあります。

またその特徴的なポイントでうまく使われている長回しのシーンにも非常にうまく対応しており、演技力の高さが堪能できる作品であります。

映画『港に灯がともる』は2025年1月17日(金)より全国順次公開!




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