Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2021/05/28
Update

映画賭ケグルイ2|ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説。キャスト浜辺美波×藤井流星が絶対絶命ロシアンルーレットで魅せた狂気

  • Writer :
  • 糸魚川悟

大人気実写化シリーズの劇場版第2弾!

河本ほむらと尚村透による大人気漫画『賭ケグルイ』。

2018年に浜辺美波主演で実写ドラマ化した本作は2019年には劇場版第1作が公開され、人気キャラクター早乙女芽亜里を主人公としたスピンオフドラマ『賭ケグルイ双』も制作されるなど、高い人気を博しています。

そして2021年、前作に引き続き完全オリジナル展開で描かれる劇場版第2弾『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』(2021)が遂に公開されます。

今回は「賭ケグルイ度」が益々進化した本作を、ネタバレあらすじを含めその魅力をたっぷりとご紹介させていただきます。

映画『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』の作品情報


(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

【公開】
2021年6月1日(日本映画)

【監督】
英勉

【キャスト】
浜辺美波、藤井流星、高杉真宙、森川葵、中村ゆりか、柳美稀、松村沙友理、岡本夏美、三戸なつめ、松田るか、池田エライザ

【作品概要】
シリーズ累計620万部もの発行部数を誇る大人気漫画『賭ケグルイ』を映像化したシリーズの劇場版第2作。

浜辺美波や高杉真宙などシリーズお馴染みのキャストに加え、ジャニーズWESTに所属する藤井流星が本作でヴィランを演じたことで話題となりました。

映画『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』のあらすじとネタバレ


(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

ギャンブルを推奨する「私立百花王学園」では異変が発生していました。

生徒会に対する上納金の額が少ない生徒は「家畜」と呼ばれ奴隷のような扱いを受けるものの、逆転のチャンスとして無条件かつあらゆるルールよりも優先される「公式戦」と呼ばれる青天井のギャンブル勝負を生徒会役員に対し挑む権利を有しています。

生徒会役員の西洞院と夢見弖は連日、多数の家畜から公式戦を挑まれ続け疲弊しており、生徒会長の桃喰綺羅莉の秘書である五十嵐は生徒会の権威が失墜していることを危惧します。

転校生蛇喰夢子が西洞院と夢見弖、そして生志摩と豆生田を立て続けに破ったことが全ての元凶であると確信した西洞院と夢見弖は、桃喰に相談せずに最強のギャンブラーを呼び寄せ、夢子にぶつけることを宣言します。

呼び出された視鬼神は2年前に学園内の生徒の半数を家畜にし、学園を混乱に陥れたとして停学処分を受けていた生徒であり、黄泉月は警戒を強めます。

視鬼神の起用を桃喰が認めたことで五十嵐は、復学を条件に夢子と夢子の一派である皇伊月と早乙女芽亜里を潰すようにと命じます。

夢子の友人である鈴井は早乙女が「生徒代表指名選挙」で大金を手にしたはずにも関わらず、運に見放されほぼ全ての財産を失い途方に暮れている様子を目撃します。

さらに早乙女は「開拓地」と呼ばれる学園内の強制労働場を指揮する討嶋に勧誘を受けており困窮していましたが、一方で夢子は迫り来る体育祭に憂鬱になるばかりでした。

帰り道、早乙女は皇から「ある男」とのギャンブル勝負を持ちかけられます。

鈴井は必死に早乙女を制止しようとしますが、種銭を皇が出すと言う提案を受けた早乙女は意気揚々と指定の場所へと向かいます。

学園の端にある小部屋には視鬼神が待ち構えており、視鬼神は家畜である葱韮を早乙女と勝負させ、早乙女が勝てば1000万円の賞金、負ければ200万円の負け金と言う破格の勝負を提案します。

勝負の内容はサイコロをカップの中で積み上げる「ダイススタッキング」を用いたものであり、「ダイススタッキング」を得意とする早乙女は勝負を有利に進めます。

しかし、この勝負に負けると家畜である葱韮は、視鬼神によって校舎から突き落とされることが分かります。

最低でも骨折は免れない状況から、早乙女は皇に負け金の200万円を負担させ勝負を降りようとしますが、既に視鬼神に負け全財産を奪われている皇にその資金はなく、この勝負は始めから200万の借金を背負い家畜となるか、葱韮を見捨てるかを選択させるために、視鬼神が皇を使い用意したものだと分かります。

目の前の人間を見捨てることができなかった早乙女は降参し、視鬼神によって家畜へと落とされてしまいます。

勝利を生徒会に報告する視鬼神は次に夢子を潰すことを宣言すると、桃喰が直々に夢子に招待状を送ることになります。

鈴井は、家畜に落ち体育祭の準備という肉体仕事を強要される開拓地へと送られる早乙女を助けるように夢子に掛け合いますが、生粋のギャンブラーである早乙女がそれを望まないと拒否し、純粋なギャンブルとして桃喰からの招待状の場所へと向かいます。

招待状の場所には視鬼神が待ち構えており、2人は全財産である30億円のほかに夢子は「2度とギャンブルをしないこと」、視鬼神は「学園を去る」ことを賭け金として、トランプのスペードとクラブのみを使った特殊ルールの「テキサスホールデムポーカー」を始めます。

第1ラウンド、夢子は視鬼神が場札を十字の形に置くことに違和感を覚えますが、ブラフを交えた勝負で10億円を勝ち取りました。

夢子は、視鬼神を「狂気を演じてはいるが実は全てを準備する用意周到な人間」であると言い、視鬼神が家畜に金を渡し西洞院と夢見弖に連日「公式戦」を挑ませ、自身の存在を知る西洞院に自身を呼び戻させるように仕向けたことを推理します。

すると校舎の一部が突如爆発。

夢子は十字に置かれた場札と夢子自身が試合中に完成させたペアが爆発する場所を示しており、視鬼神は最初からギャンブルでの勝負を行うつもりなどなくペアを作ることで人が死ぬかもしれないリスクを夢子に負わせ降参に追い込む算段であることを見抜きます。

視鬼神は勝負を続行し、夢子は使われていない教室や部室が爆破するように誘導しながら勝利を収め視鬼神を追い詰めます。

最終ラウンドとなる勝負で、夢子は今は使われていないと考えた体育準備倉庫が爆破するペアを揃え勝利を確信し、全てのチップをベットします。

しかし、視鬼神は夢子に開拓地へと送られた早乙女が、体育祭の準備のために体育準備倉庫に向かっているライブ映像を見せ、夢子は手を見せることなく敗北を認めてしまいました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』のネタバレ・結末の記載がございます。『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

夢子を倒したことで復学を認められた視鬼神でしたが、視鬼神は復学だけでなく生徒会長の座を明け渡すように求めます。

五十嵐は強く反対しますが、視鬼神の奸計にまんまとハマった西洞院と夢見弖は視鬼神の提案に反対することが出来ず、視鬼神に勝負を挑もうとした五十嵐を止めるため、桃喰は自ら生徒会長の座を明け渡すことを認めます。

生徒会長交代の式典が近づき、新会長を名乗る視鬼神は上納金の最低額を1億円に引き上げ、水準を満たさない生徒を一律で家畜に落とすと発表。

鈴井はギャンブルを奪われた夢子に声をかけようとしますが、彼女はギャンブルが出来ないことよりも体育祭が近づいていることを憂い、体育祭の準備を行う早乙女に会場の破壊を頼む手紙を書き始めます。

式典の日、桃喰から会長の座を奪った視鬼神は生徒会長特権で桃喰を家畜へと落とします。

そこに早乙女が現れ、生徒会長となった視鬼神に早乙女の「公式戦」の特権を使い勝負を挑み、代打ちを夢子に頼みます。

「公式戦」はあらゆるルールより優先されるものであり、夢子は再びギャンブルの場へと着くことになります。

同じく自身が家畜になり、視鬼神が生徒会長になる瞬間を待ち望んでいた桃喰も視鬼神に「公式戦」の権利を行使し、視鬼神はペアで行う「指名ロシアンルーレット」を提案。

夢子は鈴井と、桃喰は五十嵐と、そして視鬼神は生志摩とペアを組み、実弾を使いカードで「撃つ人」と「撃たれる人」そして「装弾数」を決めるギャンブルが始まります。

「撃たれる人」に指名されながらも弾が発射されなかった場合、大量の勝ち点を手に出来るこのゲームでしたが、視鬼神は自分が「撃たれる人」に指名された時だけ引き金が引かれても何も起きない偽の弾を部下に装填させることで、リスクなく勝ち点を稼いでいきます。

視鬼神がディーラーである部下にカードを「撃たれる人」を夢子、「撃つ人」を鈴井に操作させ勝負からの降参を促そうとしますが、夢子の叱責で覚悟を決めた鈴井は6発中3発が実弾である銃の引き金を引き切ります。

さらに「撃つ人」も「撃たれる人」も、桃喰にしたラウンドでは6発中4発が実弾の状況下である中、桃喰が連続して自分に向けて2回引き金を引き、視鬼神を2年前に停学した理由は「つまらないから」と言い切ります。

最終ラウンド、誰も死者が出ない状況かつ勝ち点でも負ける視鬼神は特殊カードを使い「撃つ人」を夢子と視鬼神、そして桃喰を指名し、「撃たれる人」に自身を指名させます。

偽の銃弾を使っていることからノーリスクでの勝ちを確信する視鬼神は、自身と夢子の発砲ターンを余裕の表情で乗り越え残るは桃喰の番だけとなります。

夢子は視鬼神の傍に寄ると、偽の銃弾のイカサマを見破っていることと、早乙女を使い1発だけ偽の銃弾を本物の銃弾にすり替えたことを話します。

実は夢子は招待状を受け取った際に、かつて視鬼神が停学になった際に桃喰に渡した銃弾を桃喰から受け取っており、その銃弾を早乙女に手渡していました。

狂気が飾りである視鬼神は、4分の1が実弾である状況に怯え始めますが、夢子に身体を掴まれ、目の前に立った桃喰に引き金を引かれます。

爆音をたて実弾が発射されますが、視鬼神は咄嗟に銃口を逸したことで助かり、桃喰は「つまらない」と切り捨てます。

勝負は視鬼神の敗北で終わり、視鬼神は学園を去り、奪われたものすべてを取り戻した夢子、鈴井、早乙女はいつも通りに過ごします。

一方、生徒会は生志摩と視鬼神の策に乗せられた西洞院と夢見弖を開拓地へと送り、桃喰は百喰一族を学園に招くことを宣言。

桃喰から新たな招待状を受け取った夢子は指定の場所へと赴くと、並んだ百喰一族の人間を見て「賭け狂えそう」と微笑みました。

映画『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』の感想と評価


(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

「賭ケグルイ」たちの壮絶な演技合戦

漫画やアニメならではのぶっ飛んだキャラクターを実写化として、違和感なく演じきったキャスト陣の怪演が、人気シリーズへと押し上げた「賭ケグルイ」シリーズ。

主演の浜辺美波を始め、本作で狂気の裏に計算高さを隠すギャンブラー視鬼神を演じた藤井流星の「狂気を演じる」本作の戦いはシリーズの中でも究極と言える演技合戦であり、キャスト陣の怪演にただただ圧倒されます。

人生や大金を賭けた運否天賦のギャンブルをこよなく愛する「賭ケグルイ」の蛇喰夢子でしたが、今までの物語では人生を賭けたことはあれど、直接命を賭けた勝負はありませんでした。

しかし、本作で描かれるのは死に直結する狂気の「ロシアンルーレット」。

果たしてこの戦いに蛇喰夢子はどのような表情で挑むのか、俳優陣の狂気の演技に要注目です。

シリーズファン必見の「オールスター映画」


(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

本作は「劇場版作品」として実写シリーズファンに向けた要素が散りばめられています。

スピンオフドラマ『賭ケグルイ双』の登場人物が随所に登場し、物語の繋がりを感じさせてくれるだけでなく、蛇喰夢子と敵対した人物たちがしっかりと再登場を果たします。

さらに今までギャンブルの舞台に立つことのなかった生徒会長の桃喰が、遂に舞台に立つというファン垂涎の「オールスター映画」と言っても過言ではない作品となりました。

物語から退場し再登場のタイミングにない豆生田を演じた中川大志は、別の登場人物を演じ登場するなど、どこまでもファンを意識した作品作りを行う「賭ケグルイ」シリーズ。

作品のクオリティに満足が出来るだけでなく、ファンとして安心して追うことの出来るシリーズでもあります。

まとめ


(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

ドラマシリーズで描かれた物語の後、原作では桃喰と百喰一族の壮絶な戦いに夢子たちが巻き込まれていく物語が展開されます。

本作ではシリーズが原作と同様に百喰一族との戦いに向かっていくことが示唆されており、映像化シリーズはまだまだ続けていこうという意気込みが感じられます。

俳優たちの狂気に満ちた演技合戦と、手に汗握る読み合いの連続に目が離せなくなること間違いなしの映画『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』。

セットや衣装にもとことんこだわり抜いている本作をぜひ劇場でご覧になってください。



関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『スパゲティコード・ラブ』ネタバレあらすじ感想。結末ラストの評価解説。13人の登場人物の中に“アナタ”の心情に重なるキャラがいるはず!

「イタイね」「ヤバっ」「分かんない」「何のために生きてんの?」 「どこへ行けばいいの?」みな、迷子。 数々のトップアーティストのMVや、ブランド広告を手がけてきた映像クリエイターの丸山建志監督による初 …

ヒューマンドラマ映画

映画『祈りの幕が下りる時』あらすじネタバレ感想とラスト結末の考察解説。加賀恭一郎の新参者シリーズ完結編を描く

阿部寛主演「新参者」シリーズ、完結! 映画『祈りの幕が下りる時』は、東野圭吾の同題ベストセラーを映画化。 東野圭吾のデビュー作から続く加賀恭一郎シリーズの日本橋辺の完結編で、原作・映画ともに本作で加賀 …

ヒューマンドラマ映画

映画『よりよき人生』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。ラストの逃避行の賛否について解説

セドリック・カーン監督と主演ギョーム・カネのヒューマンドラマ、映画『よりよき人生』。 『倦怠』『ロベルト・スッコ』などで知られるセドリック・カーン監督が、『戦場のアリア』『フェアウェル さらば、哀しみ …

ヒューマンドラマ映画

映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』ネタバレあらすじと感想。実話を深く噛みしめる青春の物語

なぜ19歳の若者たちは国家を敵に回してしまったのか!? 1956年、冷戦下の東ドイツ。全ては、高校生たちのたった2分間の黙祷から始まった。   ベルリンの壁建設の5年前に旧東ドイツで起こった実話に基づ …

ヒューマンドラマ映画

映画『アキラとあきら』原作小説のネタバレあらすじ結末と感想評価。池井戸潤おすすめ作品が描く銀行員の青春と使命

小説『アキラとあきら』は2022年8月26日(金)に実写映画公開! 元銀行員の池井戸潤が描く経済小説『アキラとあきら』。 零細企業の息子の瑛と大海運会社経営者一族の御曹司の彬。2人のアキラの数奇な運命 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学