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Entry 2022/12/15
Update

『招かれざる客』ネタバレ結末あらすじと感想考察の評価。人種の差異を越えて愛し合う男女と“白人の両親が抱く葛藤”

  • Writer :
  • からさわゆみこ

その人は招かれざる客、けれど私の愛した、ただ一人のひと

今回ご紹介する映画『招かれざる客』は、1960年代のサンフランシスコが舞台です。黒人男性との結婚を承諾するよう両親に迫る娘に、白人の夫婦が半日で決断を迫られるという、人種差別問題をテーマにした映画です。

本作は1968年のアカデミー賞で10部門にノミネートされ、主演女優賞と脚本賞を受賞しました。また1937年と1938年のアカデミー賞で2年連続、主演男優賞を受賞した名優、スペンサー・トレイシーの遺作となりました。

サンフランシスコ空港に降り立った1組の若いカップルが、仲睦まじく到着ロビーを闊歩しています。しかし、2人に向けられた周囲の視線は好奇なものでした。

2人はそんな視線に気づかないほど堂々としています。なぜ、好奇な目で見られているのか・・・。男性は黒人で女性が白人のカップルだからです。

ハワイで知り合い意気投合した2人は、瞬く間に恋に落ちジョーイの熱烈な結婚願望で、彼女の両親がいるサンフランシスコに、“結婚の承諾”をもらうためにやってきたのですが・・・。

映画『招かれざる客』の作品情報

(C)1967 renewed 1995 Columbia Pictures Industries Inc. All Rights Reserved.

【公開】
1967年(アメリカ映画)

【原題】
Guess Who’s Coming to Dinner

【監督】
スタンリー・クレイマー

【脚本】
ウィリアム・ローズ

【キャスト】
スペンサー・トレイシー、シドニー・ポワチエ、キャサリン・ヘプバーン、キャサリン・ホートン、セシル・ケラウェイ、ビア・リチャーズ、ロイ・グレン、イザベル・サンフォード、バージニア・クリスティーン

【作品概要】
主演のスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンは、『女性No.1』で初共演して以降、9作品で共演した名コンビです。

スペンサーには妻がいて宗教上の理由で離婚しませんでした。しかし、キャサリンとは20年以上、ロサンゼルスで一緒にすごした、事実上のパートナー同士でした。

本作はスペンサー・トレイシーにとって最後の主演作となり、本作の終盤で語られる妻への思いが、キャサリン・ヘプバーンへの本心と重なってみることができます。

実際にキャサリンはスペンサーを思い出して辛いと、本作の完成版は見ていないと言われています。

ジョーイ役のキャサリン・ホートンは、キャサリン・ヘプバーンの実の姪で、本作が映画デビュー作です。

映画『招かれざる客』のあらすじとネタバレ

(C)1967 renewed 1995 Columbia Pictures Industries Inc. All Rights Reserved.

ハワイからの飛行機がカリフォルニアに着陸し、到着ロビーに笑顔で会話を交わす1組の若いカップルが現れます。空港からタクシーに乗り込みサンフランシスコに向かいます。

そんな2人の様子を周囲の人たちは、怪訝そうに見つめていました。その理由は黒人男性と白人女性のカップルだったからです。

タクシーの運転手もバックミラーで後部座席の様子を見ると、2人は抱擁しキスをしていて、理解しがたいという表情をします。

2人は10日前にハワイで出会い恋に落ちました。出会ってまだ間もない2人でしたが、結婚を真剣に考えるほどになっています。

女性は23歳のジョーイ・ドレイトンで、男性の名前はジョン・ウェイド・プレンティスといい、医学に携わる仕事をしています。彼はニューヨークへ渡りその後、世界保健機関の仕事でジュネーブに行く予定でした。

しかし、ジョンと片時も離れたくないジョーイはすぐに結婚し、スイスで挙式したいと考え一緒についてきました。

その前に2人はジョーイの両親に結婚の承諾を得ようと、サンフランシスコを経由してやって来ました。ところがその日の晩には、飛行機に乗らなければなりません。

ジョーイは画商を営む母、クリスのオフィスへ向かいましたが商談で留守でした。秘書のヒラリーはジョンを見て、怪訝そうに愛想をふりまきます。

ジョンは直感的にヒラリーの本心を見抜きますが、ジョーイの調子に合わせ冷静かつ真摯な態度を貫きました。

どちらかというとジョンは慎重に考えていて、ジョーイの両親に会うことは時期尚早だと思っています。しかも、黒人と結婚するという話しには、慎重になるべきだと考えていました。

ところがジョーイは楽観的に考えています。なぜなら両親ともに人種差別のない、リベラル思想だからです。

特に父親は新聞社を経営しており、差別問題を訴え長く闘ってきた人物でした。ジョーイが結婚相手に黒人を紹介しても、すぐに承諾してくれると思っていました。

しかし、ジョーイの家に到着して早々、黒人女性の家政婦ティリーは同じ黒人でありながら、ジョンの訪問に不快感を示し、ジョーイの婚約者と知るなり不満をあらわにします。

ティリーは黒人には高学歴であることで、思い上がる人物が多いと言い、医者のジョンもそれと同類にしか見えないとジョーイに言います。

ジョンは書斎で両親に電話をし、自分の両親に結婚を前提にした“恋人”の存在を知らせます。但し、結婚には“問題”もあると言うだけで、相手が白人だということを伝えません。

やがて、ヒラリーからジョーイのことを聞いたクリスが帰宅します。ジョーイはジョンのことを冷静で物静かな紳士だと、目を輝かせながら絶賛します。

ジョンは結婚歴がありましたが、妻と子を事故で失っていました。ジョーイが彼の名前をクリスに教えると、書斎から出てきたジョンを見たクリスの反応は困惑しました。

気づかないジョーイはジョンが黒人であることを、“両親が気にするのでは・・・”と言いかけると、ジョンは咳払いし彼女はジョンを紹介します。

クリスは正直に「驚いた」と言います。ジョーイはジョンの両親に婚約者が“白人”と伝えたか聞きますが、電話では“驚く”から伝えていないと話します。

ジョーイは10日前にハワイ大学で講演をしたジョンと、学長宅のパーティーで会い意気投合し、恋に落ちたことを話します。

ジョーイは父マットの帰りが遅いか聞きます。マットは親友のライアン司教とゴルフへ出かける予定でした。彼女は父とは夕食の時に会えると安心します。

ジョンは夜にニューヨークへ発ち、そのあと国際保健機関の仕事で3カ月ジュネーブに行く予定で、ジョーイも来週スイスへ飛んで、現地で結婚をすると報告します。

そして、“肌の色”を気にするジョンに、両親なら大丈夫だと安心させるために、自宅に連れて来たと話します。

ジョンはジョーイに父には“ただの友達”と紹介するよう言いますが、彼女はどっちみち話すのだからと、意見が分かれました。

そこに父のマットが帰宅し、ティリーが“大変”だと騒ぎだします。ジョーイと“ドクター”プレンティスが来ていると伝えると、マットはケガ人か病人が出たのかと勘違いします。

ジョーイは予定を切り上げて、ジョンと一緒にハワイを出たと言います。マットは来た理由について開業するためか尋ねます。

ジョンは熱帯医学の研究でアフリカに数年いたと話し、興味を引きますが、マットはゴルフの約束があると、続きは夕食時にと言って中座しようとします。

ジョーイが“大事な話”もあると言うと、マットは3人の様子がおかしいことに気がつき、大事な話をするよう言いました。

ジョンはハワイでの出会いから悩みつつも、ジョーイを愛し結婚を考えていると伝えます。マットは黒人のジョンとの結婚話に言葉を失います。

マットはクリスに“反対”と言ったのか尋ねます。ジョーイは両親からの“反対”という言葉に、戸惑いながらどんなに偉い人が反対しようとも、別れるつもりはないと断言します。

マットは冷静に“考える余裕”があってもいいはずだと、妥当な意見を求めるなら、時間をくれるのが当然だとジョーイをたしなめました。

クリスはジョーイの結婚計画を話すとジョーイは、“反対”がなければすぐにでも結婚したいと告げます。

マットはゴルフのキャンセルをするため書斎に行き、秘書に“ジョン・プレンティス”について調査するよう指示しました。

クリスはジョンを優秀な人柄だと認め、ジョーイの意向を好意的に考えるようになりますが、マットは簡単には考えていません。

彼はジャーナリストとして差別問題と真っ向から挑み、ジョーイにも“有色人種”が白人に劣るとか、黒人と結婚するなとも言っていないと自覚があります。

書斎で2人が結論に悩んでいると、ジョンが部屋を訪ねて、真意を語りだします。ジョンはジョーイが肌の色で人を差別せず、“1人の人間”として接する人間性に深く惹かれたと語ります。

そして、ジョーイには内緒にしているが、2人からの承諾が得られなければ、結婚を諦めるつもりであると伝えました。

ジョーイへの愛は偽りはないが、結婚することで彼女と両親との関係に亀裂が生じ、彼女が傷ついてしまうことを恐れていました。

クリスはジョーイがジョンとの出会いで、今まで見せたこともない笑顔を見ながら、彼女が両親の教育通り、人を差別せずまっすぐな女性に育ったことを誇りに思うと話します。

それでもマットは将来、2人の間の子供のことを考えると、心配は拭いきれませんでした。

以下、『招かれざる客』のネタバレ・結末の記載がございます。『招かれざる客』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)1967 renewed 1995 Columbia Pictures Industries Inc. All Rights Reserved.

マットは夕食までの間、ジョンと2人で話しをすることにします。会話を通してマットはジョンが頭脳明晰なだけではなく、人間としても優秀であることに感心していきました。

反面2人の間に子供ができれば、相当な困難が伴うと心配しました。ジョンはジョーとならそれを乗り越える覚悟があり、時代も変わると言います。しかし、マットは時代はそんなに速く変わらないと言い放ちました。

その時、ジョンの父親から電話があり、2人に会いに行くと言われます。ジョーイは相変わらず楽天的に両親も夕食に招くと決めてしまいます。

ジョンは自分の両親に結婚を考えている相手が白人であると伝え、どう承諾を得るか悩ませることにもなってしまいました。

そこにライアン司教が家にやって来ました。ライアン司教はジョンの活躍を知っており、高潔な人物であると評価していました。

両親が2人の結婚に難色を示していると知ったライアンは、早速マットとクリスの元に行きます。

マットがライアンに驚いただろうと聞きますが、司教として異人種同士の結婚に何組も携わった彼は、異人種同士の方が互いに慈しみあい、仲睦まじい夫婦になると2人の結婚に賛成すると言います。

マットはライアンから、ジョンは傑出した人物だと聞かされますが、それでも気持ちはと好転するどころか、ますます頑なになり“破談”を願う自分が情けないと嘆きます。

ライアンはマットの心の葛藤を「自由主義者が、己の主義に泣いている」と表現し、我がことになると“本音”が出るのだとからかいます。

クリスはライアンの言葉に納得し安心します。そして、二人の強い味方になったライアン司教も、夕食に招かれることになりました。

マットは夕食までの時間を利用して、夕食までに出す回答を整理するため、ドライブに行くとクリスを誘いました。

マットはドライブスルーのアイスクリーム屋に立ち寄り、お気に入りの味のアイスを注文しようとしますが、商品名を忘れウエイトレスを困らせます。

ウエイトレスがいくつか商品名を言い、“ボイゼンベリー”か聞くと、マットはそれだと注文しました。

しかし、届いてみて一口食べると、味が変わったのか“不味い”と落胆したり、食べ進めるにつれて「悪くない」と上機嫌になったりしました。

そんなマットを見ながらクリスは、かつて新聞社を立ち上げたばかりのマットを支え、喜びに浸っていた自分と、ジョーイの姿が重なると話し、クリスの言葉にマットの心は揺れます。

ところがドライブインを出ようと車をバックさせたとき、不注意で侵入してきた車にぶつかってしまいます。そして、運転していた黒人の若者に、汚い言葉でまくしたてられてしまいます。

このことでマットの気分は一気に下がってしまい、2人の結婚を承諾しないと怒りをあらわにしますが、クリスはジョーイの味方になると宣言します。

(C)1967 renewed 1995 Columbia Pictures Industries Inc. All Rights Reserved.

一方、ジョーイはジョンを親友に紹介するため、出かけていました。そこでジョーイは親友からなぜ、一緒にニューヨークへ行き、ジュネーブに向かわないのか聞かれました。

ジョーイは「なぜ」の理由がみつからず、来週、スイスに飛ぶ意味がないと納得します。

ライアン司教が一足早く家に到着しました。クリスはジョーイの結婚をめぐり、マットと意見が分かれたと悲しみ泣き出してしまいます。

クリスの苦しみを知ったライアンは、マットを説得するためこれまでの価値観が、今日一日で翻されたことに、怒りを覚えているだけだと核心を突いてきました。

この言葉はさらにマットを感情的にさせ、「父親の気持ちは君にわからない」とライアンに言い放ちます。

その頃ジョーイとジョンは両親を迎えに空港に行きます。そして、ジョンが予想した通り、両親はジョーイを見て言葉を失ってしまいました。

ドレイトン家には親族が全員揃い、夕食の前に二人の結婚について、両家の両親が意見を交わします。そして、父親同士、母親同士で分かれて考えを確認します。

父親たちは人種的な問題があると黙認し、その上に性急すぎると“反対”し、母親たちは大人の子供達を見守る形で賛成しますが、夫が強固に反対していることに困り果てました。

ジョンはテラスで母親と二人きりになると、8年前に妻子を失った辛さを語り再婚はしないと考えたが、ジョーイとの出会いで彼女に悲しみから救われたことを伝えました。

そして、次に書斎にいる父親が呼んでいるとマットがきます。書斎にはジョンと父親、テラスにはジョンの母とマットの2人になります。

ジョンの母親にはマットの心にある、2人の結婚に対する考えがわかります。自分の夫とマットには、黒人と白人の立場の隔たりが強くあることを前提に、涙ながらに語り始めました。

男というのは「反対だ」と言えば済むことを難しくし、男たちの想像以上に子供達を傷つけると訴えました。

男は愛や恋を語る年齢が過ぎると、若い頃の辛い時期を愛の力で乗り越えてきた情熱を、他人事のように忘れてしまうといいます。

強く求めあっているのを感じているのに、男たちは悪い部分だけをみて、子供達の気持ちを全く理解していないと訴えました。

一方、ジョンの父親は彼の才能や努力を支えるため苦労して稼ぎ、全てジョンの学費につぎ込んだのに、(白人の女性と結婚するとは)全てを無駄にすることと罵倒します。

ジョンは恩を振りかざし、自分の生き方を指図するのは違うと反論します。親が働き子供を養うことは義務であり、自分にも子供ができればその義務を負うと言います。

子供は親の言うがままに動く所有物ではなく、古びた信念を正しいと押し付けていては、後世も負の荷物を背負った人生のまま、自由になどなれないと主張しました。

父親は黙り込んでしまいました。ジョンは穏やかな表情に戻り「父さんを今までもこれからも愛している。僕は黒人としてではなく、人間として生きたい」と告げました。

テラスで1人考え込んでいたマットは、「自分としたことが・・・」と我に返ったように家の中へ戻ります。

マットはリビングに全員を集めティリーも呼び、今日はしんどい一日だったと振り返ります。

娘が結婚したい相手が見知らぬ黒人男性で、“なぜ、黒人?”という失望だったと、率直に感じたと話し始めます。

矢継ぎ早に話しが進み、ジョーイからは反対されても強行に結婚すると宣言され、ジョンからは反対されれば引き下がると言われたと話します。

クリスは現実問題から目をそらし、ロマンチックに流され理性を忘れようとしたこと、ライアンからはご託で侮辱されねじ伏せようとし、ジョンの父親からは正気かとなじられたと言います。

一番反論したいと思ったのが、ジョンの母親が言った言葉だったと続けます。女性への情熱を失くした“老いぼれ”、“男の燃えカス”と言われたのが唯一、反論に誘ったと言いました。

ジョンの情熱を理解しているし、クリスへの情熱はジョンに負けていないと反論しました。そして、老いぼれたが記憶は薄れておらず、死ぬまで忘れないと断言しました。

ジョンは両親の意向を重視しすぎで、肝心なのは当人同士の愛情の深さだと言い、「私たち夫婦の半分でもあればね・・・」と、涙ぐむクリスの方をみつめ微笑みます。

マットはジョーイとジョンの前に立ち、相当な苦労があるだろうが、止めはしないと言い、ジョンの父親は我々夫婦が説得すると約束します。

最後に他人の反感と嫌悪が、2人を容赦なく襲うことを覚悟するよう念を押し、互いの絆を強くし、何があっても負けないよう励ましました。

「人種の差を越え愛し合ったすばらしい人間だ。下らん奴のいうことを跳ね除け、堂々と結婚を貫け」と言い終えます。

マットはティリーに「食事はまだか?」と号令をかけ、クリスはジョンの母をエスコートし、マットはジョンの父をエスコートすると、和やかに食卓の席につきました。

映画『招かれざる客』の感想と評価

(C)1967 renewed 1995 Columbia Pictures Industries Inc. All Rights Reserved.

映画『招かれざる客』は人種の差を乗り越えて愛し合った若いカップルと、白人の両親が娘に抱く困惑と葛藤を描いた社会派ドラマでした

いまだに根絶したとはいえない“人種差別問題”ですが、公開された1967年にはアメリカの都市で、黒人たちの暴動が起きていました。

新聞社を経営しリベラリストを自負していたマットは、“差別反対”といいながらも、いざ当事者となったことで、戸惑い悩んだ姿が現在にも通じると感じます

作品概要でも記した通り、本作はスペンサー・トレイシーの遺作となった作品で、パートナーのキャサリン・ヘプバーンにとって、観ると辛くなるほど、互いの気持ちが込められた映画でした。

観賞前にこの情報がなくても、2人の間にある深い愛情のようなものが伝わり、演技とは思えない絆も感じました。

キャサリンはスペンサーを「男が男だった時代の人だった」「アメリカで理想の男性といえばスペンサー」と語りった通り、本作のマット役も演技の枠から彼の人間性がにじみ出ていたと感じました。

そして、キャサリン・ヘプバーン自身も“差別”には、強い反発を抱いていました。男女の性差別的な側面のある作品には、意見が対立したという逸話もあります。

映画黄金期の売れっ子スターででありながら、スカートよりもパンツルックを好み、自分の意思をファッション面から貫いた、先進的な女性です。

作中、マットは「急激には変わらない」といいましたが、1960年代半ばは、アフリカ系アメリカ人の急進的黒人解放運動が盛んな時代でした。

キング牧師やマルコムXなどの先導で、黒人アメリカ人に公民権が得られ、徐々に差別的なルールも撤廃されて行きます。

しかしその運動もキング牧師とマルコムXが暗殺される前までで、変動している時代に、人種を越えて結婚することは、“正気の沙汰”ではなかったのです。

ラストシーンにあった白人と黒人が同じテーブルにつくことは、キング牧師の語った“夢”でもありました

まとめ

(C)1967 renewed 1995 Columbia Pictures Industries Inc. All Rights Reserved.

今でも“LGBTQ”や“経済格差”からも差別は生まれています“うちの子にかぎって”という青天の霹靂のような事態に、心の葛藤を強いられる親がいることは昔も今も変わりません。

ジョーイとジョンのようなカップルがいるのは当たり前の時代になりましたが、愚かしい人間は次の“ターゲット”を作り、差別したり蔑むことで、優位に立ちたがります

映画『招かれざる客』は後に『ゲス・フー/招かれざる恋人』(2005)でリメイクされ、大ヒットホラー映画『ゲット・アウト』(2017)は、本作が元ネタではないかとも言われています。

映画『ゲット・アウト』は『招かれざる客』のような理想論ではなく、現実的な差別の姿をホラー仕立てにしたのかもしれません。





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