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Entry 2023/08/05
Update

実写『ゾン100』ネタバレ結末あらすじと感想評価の考察。Netflix映画で赤楚衛二×白石麻衣が“絶望の世界”を謳歌する若者を描く|Netflix映画おすすめ137

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第137回

いくつもの大手会社が告発され、働き方改革も世に浸透してきた現代においてもなお、ブラック企業の告発は止むことがありません。

多くの忍耐が必要とされるストレス社会では時に日常こそが「絶望」そのものであり、非日常が「希望」となることがあります。

ブラック企業に就職し追い込まれた青年が、「ゾンビ」パニックに陥った社会で「希望」を見つける映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』(2023)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』の作品情報


(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

【配信】
2023年8月3日(日本映画)

【監督】
石田雄介

【脚本】
三嶋龍朗

【キャスト】
赤楚衛二、白石麻衣、栁俊太郎、市川由衣、川﨑麻世、早見あかり、筧美和子、北村一輝

【作品概要】
ドラマ化された漫画「今際の国のアリス」の麻生羽呂が原作を務めた同名漫画を、多くの映画やドラマで演出を手掛けた石田雄介が映像化した作品。

ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』での主演以降、話題の俳優として勢いに乗る赤楚衛二が主演を務めました。

映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』のあらすじとネタバレ


(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

1年前、新入社員として映像制作会社に入社した天童輝は、小杉がリーダーを務めるCM部門に配属されます。

美人な先輩の鳳も居る理想の職場として胸を燃やす輝でしたが、その職場は初日から2日間も徹夜を強要されるいわゆるブラック企業でした。

仕事の話が原因となり、学生時代のアメフト部の親友・竜崎憲一朗(ケンチョ)とも喧嘩してしまった輝は、自殺願望を持つほどに追い詰められていきます。

1年後、会社に行きたくない気持ちを募らせる中で家を出た輝は、マンションの人間がゾンビとなっている様子を目撃。

飛行機が墜落し、街がゾンビに溢れ崩壊する様子を見た輝は、もう会社に行かなくて良いことに気づき歓喜しました。

1日目、初出社以来の休日が出来たことに喜ぶ輝は寝て過ごすことを勿体無いと考え、仕事中の唯一の癒しであった鳳のもとに向かうことにします。

マンションの階段を使うことができないため、雨樋を伝って階下に降りていく輝は下の階に住む香坂夫婦と会い、飲み物や雑誌を仕入れてくることを約束。

鳳の指定したマンションに着いた輝は鳳が職場の社長と愛人関係にあったことを知り、ゾンビ化した社長を鳳が撲殺しますが、既に噛まれていた鳳もゾンビ化してしまいます。

輝は鳳に好意を伝えるとマンションから出て自宅に戻りますが、香坂夫婦の家はゾンビに荒らされており、自身に残された時間が多くないことを痛感。

輝はゾンビになるまでにやりたいことを成就するため、自分がしたいことをノートに記します。

2日目、ゴミ部屋になっていた部屋を掃除した輝は驚くべき行動力で次々としたいことを成就していきます。

5日目、マンションの屋上でステーキを楽しむ輝でしたが、調味料が枯渇したことからコンビニへと赴きます。

武装した三日月閑(シズカ)と出会った輝は、シズカがゾンビの音につられる習性を見抜いていることに感心し食事に誘いますが、嗜好品のために外を出歩く輝を理解できないシズカは、リスクヘッジのために輝に深入りせず去って行きました。

家で喧嘩別れしたケンチョのことを思い出した輝は、電話で連絡をとります。

ケンチョは歌舞伎町のラブホテルの個室で孤立しており、その状況を聞いた輝は後悔しないために、ケンチョの救出へと向かうことにしました。

夜、歌舞伎町に着いた輝はスピーカーを使ってゾンビを揺動しつつ、持ち前の運動神経でラブホテルに突入しケンチョと再会。

喧嘩したことを謝りラブホテルを共に脱出した輝と和解したケンチョは、「みんなを救うスーパーヒーロー」を目指す輝を手伝うことを決めます。

6日目、都心部が深刻な状況になったことを知った輝は茨城の「マリンパラダイス水族館」に、サメに噛まれても歯が貫通しない「シャークスーツ」があることを知り、ゾンビに対抗するし得る手段として「シャークスーツ」を確保することを決意。

物資を集めるため「ドン・キホーテ」を訪れるケンチョと輝は、人が乗ったバスが事故に遭遇した様子を目撃。

生存者たちを「ドン・キホーテ」に招き入れた2人は、その中にシズカを見つけます。

生存者の中にゾンビに噛まれた人間が混じっていたことで生存者たちは襲われ、ケンチョも窮地に陥ります。

シズカはケンチョを見捨て逃げようとしますがゾンビに囲まれてしまい、逆に窮地を脱したケンチョと輝が花火を使った揺動でシズカを救い出し、店内から脱出。

キャンピングカーを手に入れた輝とケンチョはシズカを乗せると3人で「シャークスーツ」があるだけでなく、要塞化し安全地帯になったと噂される「マリンパラダイス水族館」を目指します。

7日目、輝とケンチョは道中も旅気分を楽しむために、躊躇するシズカを誘いサップヨガやパラグライダー、温泉などのアクティビティを行いながら茨城に移動。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』のネタバレ・結末の記載がございます。『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

10日目、「マリンパラダイス水族館」目前の道路に敷き詰められたスパイクベルトに引っかかりキャンピングカーがパンクし、頭を打った輝は昏睡してしまいます。

目を覚ますとそこには上司の小杉がおり、輝は小杉がリーダーとして運営している「マリンパラダイス水族館」を案内されます。

小杉は「マリンパラダイス水族館」でのCM撮影中にゾンビパニックに巻き込まれ、水族館を要塞化し噂を信じ集まってきた生存者を労働力として過酷に利用することで、絶対的な権力を手に入れていました。

水族館の周りには小杉が略奪者対策で意図的に配置したゾンビが彷徨いており、生存者たちは「追放」を恐れ、小杉たちの言いなりに成らざるを得ない状況でした。

小杉たちが豪華な食事を取る中、他の労働者は少ない食事を分け合って生きており、ケンチョとシズカの「追放」を避けるべく、輝は再び小杉のもとで奴隷のように働かされます。

ケンチョはその様子に怒りを募らせますが、ルールを侵せば班全体が「追放」となり、生き延びていた香坂夫婦を班に持つケンチョとシズカは行動に移る事ができませんでした。

物資運搬のバスにゾンビが紛れ込んでいたことで、水族館内は瞬く間にゾンビに制圧され始めます。

一方、ケンチョは秘密裏に資材を集めてキャンピングカーを修理しており、輝とシズカを連れ出し脱出計画を実行に移そうとしますが、輝は小杉によって共同生活至上主義の「洗脳」を受けてしまっており、ケンチョの誘いに乗りませんでした。

シズカはキャンピングカーの中にあった輝のノートを見つけると、「3人で日本一周する」と言う夢を目にします。

小杉たちの制止を振り切って輝と会ったシズカは、危機的な状況下でやりたいことを優先する輝とケンチョと会ったことで、「リスク」に囚われていた自分から解放されたと輝に伝えます。

自身を取り戻した輝は小杉に辞職を伝えると、ケンチョとシズカと共に水族館を出ることを決意。

その場に大量のゾンビが乱入し、輝とケンチョとシズカは自身を危険に晒してでも小杉一派を含めた生存者を助けながら避難を行いますが、小杉は自身の部下を囮にし避難します。

避難した部屋をゾンビとなったサメが食べた人間の足を生やして襲撃。

真っ先に逃げた小杉のみが次の避難部屋にたどり着くことができていない状況で、輝は自身を奴隷のように扱っていた小杉を助けに行くことを決めます。

輝は部屋にあった「シャークスーツ」を着てサメゾンビに襲われる小杉を助けますが、小杉は奮闘する輝を置いて逃走。

ケンチョとシズカの助けによって電池を手に入れた輝は、鋼素材のスーツで電池を放電しサメの弱点を殴りサメゾンビを倒します。

小杉は生き延びましたが仲間を盾にした小杉の人望は失墜し、生存者たちは輝の進言に従って車で水族館を出て行き、小杉は1人水族館に取り残されました。

キャンピングカーで旅を再開する輝たちは、それぞれがノートに自分の夢を記入します。

輝は「スーパーヒーロー」になること、ケンチョは「お笑い芸人」になること、シズカは「医者」なることを書き込み、3人の旅は続いて行きます。

映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』の感想と評価


(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

「絶望」の世界で「希望」を見つける物語

人が人を喰らい、知性を持たない異形の姿へと変えてしまう「ゾンビ」が蔓延した世界。

加速度的に「ゾンビ」が増殖する世界は「絶望」でしかなく、「ゾンビ」を主題とした作品の多くでは「絶望」の世界を何とか生き延びる人たちに焦点が当てられています。

しかし、本作はブラック企業に就職してしまったことで自殺を考えるほどに「絶望」していた輝が、「ゾンビ」パニックが発生したことで「絶望」から解放され生き生きとしていく様子が描かれていました。

暗い世界観に相反する「希望」に満ちた物語は、日々に鬱屈した気持ちを抱える人にオススメです。

ノリは軽いが「ゾンビ」への想いは重い


(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

「ゾンビ」映画とは思えないほどにノリの軽い本作ですが、「ゾンビ」の演出に一切の妥協はありません。

ギャグにはできないほどに生気のない「ゾンビ」のメイクから始まり、恐怖演出や演技にもこだわり持っている本作。

物語の終盤に登場する「サメゾンビ」は、サメが「ゾンビ」になるという海外のサメ映画では定番となっている要素を邦画で見ることが出来ただけでなく、そのあまりにもおぞましい姿には、「ゾンビ」への強い想いを感じることが出来ました。

まとめ


(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

「ゾンビ」を題材としながらも「希望」に満ちた物語が展開され、何かを始めようと考える人に前向きな気持ちを与えてくれる映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』。

グロテスクな要素はもちろん存在するため、誰にでもはお勧めできない本作ですが、少しでも耐性のある方には見ていただきたい作品。

そして、物語の終盤に登場する「サメゾンビ」のビジュアルはコアな「ゾンビ」映画ファンには必見であると、自信を持って言えるほどの、演出面において強いこだわりに溢れた映画となっていました。

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