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【ネタバレ】ホワイトハウスの陰謀|あらすじ結末感想とラスト評価解説。おすすめ社会派サスペンス映画が描くのは“ホワイトハウス殺人事件”|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー92

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第92回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第92回は、ドワイト・H・リトル監督が演出を務めた映画『ホワイトハウスの陰謀』です。

ある日、アメリカ・ワシントンD.C.ペンシルヴェニア通り1600番地……すなわちホワイトハウスにて、官邸内職員の若い女性が惨殺されるという事件が発生。

大統領補佐官から事件の捜査を要請された刑事が、機密の厚い壁に阻まれてもなお捜査を諦めず、検察局のシークレット・サービスと協力し事件の裏に潜む陰謀に挑む本作は、どのような内容だったのでしょうか。

ウェズリー・スナイプスとダイアン・レイン主演の映画『ホワイトハウスの陰謀』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『ホワイトハウスの陰謀』の作品情報


Warner Bros. Productions Limited, Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment(USA), Inc.

【公開】
1997年(アメリカ映画)

【脚本】
ウェイン・ビーチ、デイヴィッド・ホッジン

【監督】
ドワイト・H・リトル

【キャスト】
ウェズリー・スナイプス、ダイアン・レイン、ダニエル・ベンザリ、デニス・ミラー、アラン・アルダ、ロニー・コックス、ダイアン・ベイカー、テイト・ドノヴァン、ハリス・ユーリン、ダグラス・オキーフ、トム・ライト

【作品概要】
『ラピット・ファイヤー』(1993)や『プリズン・ランペイジ』(2018)のドワイト・H・リトルが監督を務めた、アメリカのポリティカル・サスペンス作品です。

「ブレイド」シリーズや『ワン・ナイト・スタンド』(1999)のウェズリー・スナイプスと、『リトル・ロマンス』(1979)や『運命の女』(2002)のダイアン・レインが主演を務めています。

映画『ホワイトハウスの陰謀』のあらすじとネタバレ


Warner Bros. Productions Limited, Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment(USA), Inc.

アメリカ軍の兵士13人が北朝鮮に拉致されてから182日が経過し、アメリカのジャック・ニール大統領の政権の対応に世論の批判が高まりつつありました。

そんなある日、アメリカ・ワシントンD.C.ペンシルヴェニア通り1600番地……すなわちホワイトハウスで、官邸内の女性職員カーラ・タウンが惨殺されるという事件が発生。

国家安全保障問題担当大統領補佐官のアルヴィン・ジョーダンの要請により、官邸殺人事件を担当することになったワシントン警察の殺人課の刑事ハーラン・リージスと彼の相棒のステンゲル刑事ら特捜班が現場入りしました。

しかしアメリカ財務省秘密検察局(シークレット・サービス)の警備主任ニコラス・スパイキングスは捜査に非協力的で、カーラの情報を機密扱いとし、警察に一切情報を開示しません。

シークレット・サービスの女性局員ニーナ・チャンスが、特捜班の捜査に協力してくれることになりましたが、カーラの私物は既にシークレット・サービスに押収されていたのです。

そんな中、リージスとステンゲルは、カーラがニューヨークへ飛び、片道切符でバージン諸島へ行く計画を立てていたという情報を入手。

さらに検視の結果、カーラの死亡推定時刻は午後10時半から午後11時までの間、官邸内のトイレで発見された遺体からは、死ぬ前に性行為をした形跡が残っていること。そして犯人は左利きであることが判明しました。

その後、カーラに好意を抱いていたホワイトハウスの清掃係ルケイジが、カーラ殺害の容疑で逮捕されました。

それに伴い、官邸殺人事件の捜査は終わり、特捜班は解散となりました。

逮捕の決め手となったのは、ルケイジがカーラが死ぬ前後にどこで何をしていたのか分からないことと、事件現場に彼のシャツのボタンがあったから犯人に違いないという、シークレット・サービスの推理でした。

証拠不十分なのにも関わらず、ルケイジが逮捕されたことに納得がいかなかったリージスは、上司に許可を貰ったうえで、独自に捜査を開始。

するとルケイジの供述どおり、カーラの写真にシークレット・サービスの男が写っていることに気づきます。

ニーナから、その男はニール大統領の息子カイルの警護係のバートン・キャッシュと聞き出したリージスは、カイルが官邸で多くの女性と関係を持っていたことを突き止めました。

しかもカイルには、1人の女を父親と共有して楽しんだという噂もありました。

さらにステンゲルが調べた情報によると、カーラの叔父の会社「ブルックランド社」はニール大統領の資金調達の中心的存在であるといいます。

これらの情報をもとに、リージスは官邸殺人事件の黒幕はニール親子ではないかと推測。そしてカールが写っている雑誌を調べ、ニーナも彼の警護係だったことがあると突き止めます。

リージスは「このまま無実の者が刑務所にいても平気なのか?」と言い、カイルの警護係から外れた理由をニーナに尋ねました。

職務を盾に硬く口を閉ざしていたニーナでしたが、リージスの言葉で良心が痛んだのか、「彼の警護についていたある晩、彼が逆上して恋人を殴っているところを見た」「それを知った局はこの事実をなかったことにした。彼も局も醜いと感じ、自ら別の任務についた」と告白します。

そしてニーナは、シークレット・サービスに押収されたカーラの遺品である手帳と留守電メッセージを録音したテープをこっそり持ち出して、リージスに渡しました。そのせいでニーナは、シークレット・サービスから追われる身に………。

カーラの遺品である手帳から、カーラが名士の醜聞(スキャンダル)を高額で買い暴露することで有名なニューヨークの事務所と面会する予定だったことが判明。

リージスとニーナは、醜聞が暴露されるのを恐れたカイルが犯行に及んだと推理しました。

しかも事件当日の夜、家族と別荘にいるはずのカイルが官邸にいたという事実が、マスコミの報道により発覚。

リージスはカイルが犯人であると確信し、シークレット・サービスの監視の目を掻い潜って接触しますが、カイルは右利きでした。

以下、『ホワイトハウスの陰謀』ネタバレ・結末の記載がございます。『ホワイトハウスの陰謀』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


Warner Bros. Productions Limited, Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment (USA), Inc.

その頃ニーナは、事件当日の夜、大統領夫妻の愛犬が官邸にいたことを思い出します。

そしてリージスに、「事件当日の夜、大統領夫妻といつも一緒にいる愛犬が官邸にいたから、2人も絶対官邸にいた。家族で別荘にいたというアリバイは捏造なの」と言いました。

それを聞いたリージスは、カーラの遺体発見後に大統領夫妻が別荘に戻ったとしたら、2人が容疑者扱いされないように、スパイキングスが官邸から外へ連れ出したと推測します。

リージスはニール大統領が犯人ではないかと疑いましたが、彼と30年来の付き合いがあるジョーダンはそれを否定しました。

ニール大統領は今、北朝鮮に拉致されたアメリカ兵をどう救出するか、アメリカ副大統領とアメリカ軍の上層部と激しく対立し苦境に立たされています。

そんな状況下でニール大統領のスキャンダルが暴露されては、北朝鮮に弱みを握られて彼の政治的立場は余計に悪くなってしまうから、事件当日の夜に官邸にいたことを隠匿したと、ジョーダンは言いました。

そしてジョーダンはリージスに、「官邸殺人事件に関する記事の中で、どの記事を先に読むかで寿命が分かる」「漫画で長寿だ」と意味深なアドバイスをしました。

リージスは帰宅後、郵便物の漫画記事の後ろに封筒が挟まっていることに気づきました。その封筒の中には、リージスが入手できなかった事件当日の官邸内の監視カメラの映像を印刷した紙が入っていました。

その写真には殺される前のカーラが写っており、事件当日の夜10時49分まで生きていたという確固たる証拠でした。

さらに捜査を進めていくと、カーラは死ぬ前日にゴミの圧縮器を注文していたことが発覚。

カーラは何故ニューヨークに行ったあとの月曜日に、ゴミの圧縮器を自宅に配達するようにしたのか気になったリージスは、彼女の手帳を筆跡鑑定にかけてみました。

その結果、大統領親子の醜聞を暴露するためにニューヨークに行く予定は、何者かがカーラの筆跡を真似て捏造したものだということが判明。

一方スパイキングスは、事件当日の夜の官邸内の監視カメラのビデオテープを回収しました。

そのことを知ったジョーダンは、リージスにスパイキングスの事情聴取をお願いしました。

スパイキングスは自身の事情聴取をしに来たリージスに、大統領を警護してきた自分の容疑を晴らすべく、回収したビデオテープを渡そうとします。

しかし真実を明かす前に、スパイキングスは何者かに狙撃されて死んでしまいました。襲撃犯を撃退後、リージスたちはビデオテープの中身を調べました。

その結果、事件当日の夜8時16分、ジョーダンがスパイキングスを襲った男を連れて官邸に入ったことが判明。

カーラとスパイキングスを殺した犯人は、事件当日官邸にいた30名のリストには載っていない、31人目の謎の男でした。

リージスたちは、官邸殺人事件は全て、ニール大統領を息子のスキャンダルで窮地に追い込んで失脚させ、北朝鮮への侵攻を目論むジョーダンと副大統領たち政権内部の強硬派の陰謀だったと推理しました。

一方ジョーダンは、ニール大統領に「スパイキングスがカイルをカーラ殺害の犯人とする証拠を残して死んだ」と報告。

さらに、「スパイキングスが官邸殺人事件を調査し、カーラ殺害の数分前にカイルとカーラの姿が監視カメラの映像に残っていたことを知った」、「スパイキングスはカイルのスキャンダルを売って金を得ようとした」と伝えました。

そしてジョーダンは「あなたの行動力の欠如は犯罪だ」と言い、ニール大統領の辞任を要求します。

ニール大統領は「北朝鮮から武力で人質を取り返せると言いたいのか」と言うと、ジョーダンは「次第に軍事行動も取れないほどに臆病になったあなたに、大統領を務める資格はない」と叱責しました。

そしてこれまでの不満を爆発させるかのように、ジョーダンは「“敵地に味方は残さない”という昔からの鉄則をあなたは無視した」「人質は救出すべきだ、必要とあらば死傷者が出ても軍事力を使って」「国民を敵の餌食にする大統領なんて、元首として不適格」とニール大統領に罵詈雑言を浴びせました。

ニール大統領はジョーダンからの辞職勧告を受け、大統領の辞任を発表するための記者会見を開こうとします。

ニュース速報でその情報を知ったリージスたちは、ステンゲルにも協力を仰ぎ、関係者しか知らない秘密の地下道から官邸内へ侵入。

その地下道で、カーラとスパイキングスを殺した男がリージスたちを襲撃。ステンゲルが銃撃を受けて倒れ、2人は力を合わせて犯人を倒しました。

しかしニール大統領の元まであと一歩のところで、リージスたちはジョーダンが指揮するシークレット・サービスの局員たちに取り押さえられてしまいます。

ですが身柄を拘束された状態で、リージスは「ジョーダン。カーラとスパイキングスの謀殺容疑でお前を逮捕する」と宣言するのです。

続けてリージスは、「カーラを殺した男とお前の姿がビデオテープに映ってた。そして同じ男がスパイキングスも殺した」「スパイキングスはそのテープを見て消された」と言い、ニール大統領にそのビデオテープを見て欲しいとお願いします。

ビデオテープを見なくても、リージスの話が真実であると直感してか、ニール大統領はジョーダンを逮捕するよう、シークレット・サービスの局員たちに命じました。

ジョーダンは逮捕に抵抗し、最後の悪あがきとしてニール大統領に銃口を向けますが、ニーナが盾となったため、ニール大統領は無事でした。

その直後、シークレット・サービスの局員たちによってジョーダンは射殺されました。

その後、地下道で倒れたステンゲルと、ジョーダンの弾を受けたニーナは病院に救急搬送されましたが、2人とも命に別状はありませんでした。

ニール大統領はニーナとリージスに感謝を伝えました。ニール大統領が「刑事さん、どうやって恩返しすれば……」と言うと、リージスは自宅マンションの立ち退きを迫る州際通商委員会へのアポをお願いしました。

映画『ホワイトハウスの陰謀』の感想と評価


Warner Bros. Productions Limited, Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment(USA), Inc.

官邸内のトイレで遺体となって発見されたカーラ。彼女は、ジョーダンたち政権内部の強硬派の陰謀に利用された悲しき被害者でした。

彼女と関係があった大統領の息子カイルもその1人。彼も暴力的な一面がありましたが、「死んだカーラのことが忘れられない」と作中でリージスに語っていたことから察するに、カーラのことは本気で愛していたのでしょう。

そんなカイルとカーラの醜聞を、ジョーダンたちはニール大統領自ら辞任を表明させるために利用しました。

物語の後半までリージスたちに容疑者として疑われていたスパイキングスですが、彼とシークレット・サービスはただ、この官邸殺人事件でカイルたちの醜聞が暴露されることと、最も警護すべき大統領の立場を守ろうとして、捜査に必要な情報を隠匿しようとしたのでしょう。

事実、スパイキングスは大統領を警護するという自身の職務を全うするため、最後の最後でリージスたちに重要な情報を託して死んでいます

カーラとスパイキングスを謀殺し、無実であるルケイジやカイルを犯人に仕立て上げてまで目的を達成しようとしたジョーダン。

物語のラストで、リージスがニール大統領の目の前でジョーダンたちの陰謀を暴き、彼を逮捕すると告げた場面は、本当に罰すべき悪が裁かれる時が来たと歓喜しスカッとします。

それにビデオテープを確認せずとも、それまでのジョーダンの言動からリージスの話が真実であると確信したニール大統領が、「まだ私は大統領だ」と言って彼を断罪する姿もとても格好良いです。

事件を解決し、ホワイトハウスの陰謀を暴いてニール大統領が現職に留まることが出来たのは、全てリージスが執念深く事件を捜査したおかげでしょう。

まとめ


Warner Bros. Productions Limited, Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment(USA), Inc.

突如ホワイトハウス内で起きた殺人事件の捜査をすることになった1人の刑事が、協力者のシークレット・サービスの女性局員と共に、事件の裏に隠された恐るべき陰謀を暴く、アメリカのポリティカル・サスペンス作品でした。

まさか殺人事件の裏に、現アメリカ大統領を失脚させ、アメリカ兵を拉致した北朝鮮への侵攻を企む政権内部の強硬派の陰謀が隠されていたなんて、登場人物も視聴者も予想だにしなかった展開に大きな衝撃を受けたことでしょう。

確かにニール大統領が人質救出に及び腰だったのは事実ですが、それは13人の人質全員を死傷させることなく、彼らを救出するにはどうしたらいいかと悩み続けたが故です。

ジョーダンたち政権内部の強硬派は、「敵地に味方は残さない」と言っていたはずのニール大統領が「臆病者」になったと失望し、それならば自分たちと同じく人質救出のために北朝鮮への侵攻を考えている副大統領を新たな大統領にしようと考えてしまいました。

その結果、政権内部の対立と何の関係もない人間が利用され、謀殺されることに………大統領を失脚させることに躍起になったせいで、ジョーダンたちは良心を捨ててしまったのでしょうか。

事件を捜査する刑事と、大統領一家を警護するシークレット・サービス、政権内部の強硬派それぞれの思惑が交錯する殺人事件を描いたポリティカル・サスペンス映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら




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