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『大巨獣ガッパ』あらすじと感想評価。日活唯一の怪獣映画にして“怪獣の親子”の先駆的作品|邦画特撮大全61

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第61章

今年2019年11月22日から24日までの3日間にかけて開催される、第2回熱海怪獣映画祭。

そのプレイベントとして、今月9月29日(日)に熱海が登場する怪獣映画『大巨獣ガッパ』(1967)が上映されます。

今回の邦画特撮大全は『大巨獣ガッパ』を紹介します。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

映画『大巨獣ガッパ』の作品情報


(C)日活

【公開】
1967年(日本映画)

【原作・特技監督】
渡辺明

【監督】
野口晴康

【脚本】
山崎巌、中西隆三

【キャスト】
川地民夫、山本陽子、小高雄二、和田浩治、藤竜也、桂小かん、山田禅二、雪丘恵介、町田政則

【作品概要】
青春映画やアクション映画で知られる日活が「怪獣ブーム」の中で製作した唯一の怪獣映画。監督は赤木圭一郎主演の映画『拳銃無頼帖』シリーズの野口晴康。原案と特技監督を務めた渡辺明は、円谷英二の片腕として『ゴジラ』(1954)をはじめとする東宝特撮映画の特殊美術を数多く手掛けた人物です。

脚本は小林旭主演の『渡り鳥』シリーズなどを手掛けた山崎巌と、その後アニメ『フランダースの犬』のシリーズ構成や『小公女セーラ』などを手掛ける中西隆三によるものです。

主人公の雑誌記者・黒崎役には日活時代の鈴木清順監督作品や『まむしの兄弟』シリーズで知られる川地民夫。ヒロインの小柳糸子には山本陽子。生物学者の殿岡には小高雄二。また探検隊のメンバーには和田浩治や藤竜也といった面々が出演しています。

映画『大巨獣ガッパ』のあらすじ

雑誌社プレイメイトは大型レジャーランドの開発を計画。社長の船津の命を受けた記者の黒崎、カメラマンの小柳糸子、東都大学の生物学助教授・殿岡らは探検隊を結成して、南太平洋へ生物採集と現地人のスカウトを目的として旅へと向かいます。

一行は火山が噴火しているキャサリン諸島のオベリスク島に上陸。そこには謎の石像がありました。現地の住民から厚い歓迎を受ける一行。一方、黒崎は例の石像の事が気になり、島の少年・サキに案内させます。

地震が発生し問題の石像は倒れてしまいました。石像の奥に洞窟の入り口を発見した黒崎と糸子は、サキが止めるのも聞かず中へ入ります。洞窟の中には地底湖と巨大な骨、巨大な卵がありました。その巨大な卵から怪獣ガッパがふ化してしまいます。

黒崎たちはふ化したガッパの子どもを捕獲し日本へ持って行こうとしますが、ガッパの怒りを畏れる島民は反対。しかし黒崎たちは反対を押し切って子どものガッパを日本へ連行してしまいます。

子どもを連れ去られた2体の親ガッパは怒り狂い、やがて日本へやって来るのでした……。

怪獣ブームをめぐる当時の状況

参考映像:映画『怪竜大決戦』(1966)予告編

本作が公開された1967年当時は、いわゆる「怪獣ブーム」の最中にありました。

1966年に円谷プロダクションの『ウルトラQ』の放送が開始。東宝はすでに『ゴジラ』をシリーズ化しており、正月映画として毎年製作されていました。大映も『ガメラ』シリーズを製作しており、1967年には第3作目『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』が公開されています。東映も怪獣を前面に押し出した作品ではありませんが、怪獣が登場する忍術映画『怪竜大決戦』(1966)を同時期に製作しています。

参考映像:映画『宇宙大怪獣ギララ』(1967)予告編

これらの状況から松竹と日活も怪獣映画、特撮映画の製作に着手。1967年に松竹は『宇宙大怪獣ギララ』を、日活が本作『大巨獣ガッパ』を公開しました。

松竹は翌年も『吸血鬼ゴケミドロ』(1968)や『吸血髑髏船』(1968)、『昆虫大戦争』(1968)といった怪獣映画ではない怪奇特撮映画をいくつか製作しています。しかし残念ながら日活による怪獣映画は本作『大巨獣ガッパ』のみにとどまりました。

『大巨獣ガッパ』の見どころ

参考映像:映画『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)予告編

ガッパの一番の特徴は物語の核に「家族」を置いていることです。夫婦のガッパが日本に上陸した原因は、日本の探検隊に子どものガッパを捕獲されたことです。子ども恋しさに怒り活動する怪獣というのは、それまでの怪獣映画には見られませんでした。ゴジラシリーズにゴジラの息子・ミニラが登場するのも同年末に公開された『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)からで、「怪獣の親子」というアイディアは本作『大巨獣ガッパ』の方が先行していました。

またガッパのもう一つの特徴に「積極的に建物を破壊しない」というものがあります。ガッパの目的はあくまで連れ去られた子どもを探すことであり、破壊衝動のある怪獣ではありません。あくまでガッパの破壊活動は自衛隊から攻撃された場合の反撃や、進行方向にある建物の破壊にとどまります。これは子どもが観る映画として「怪獣による破壊活動を痛快に描くのはどうなのか」という意見から生まれた演出で、他社が製作した怪獣映画への皮肉ともいえるものとなっています。

その他にもガッパの巨大な目が水中で光るビジュアルや、ガッパが怒っている際は目が赤く光るなどユニークな趣向が凝らされています。熱海の温泉地などのミニチュアセットも丁寧に作り込まれています。

ちなみに「ガッパ」という名前や緑色の体表、棲み処が地底湖という点から「河童」がモチーフなのかと思ってしまいますが、ガッパの背中には甲羅ではなく大きな翼があり、飛行能力を有しています。羽や口ばしといった特徴は河童より烏天狗に近いですし、特に顔は興福寺の乾漆八部衆立像の1つで国宝の迦楼羅(カルラ)像に似ていることが、そのモチーフを探るヒントとなるかもしれません。

まとめ

『ゴジラ』や『ガメラ』に続けと日活が世にはなった怪獣映画『大巨獣ガッパ』。結果的に日活が製作した怪獣映画は本作のみとなりましたが、他社の怪獣映画にも負けない独特な魅力も詰まった作品です。「マイナーだから」などと簡単に切り捨てずに、一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。

次回の『邦画特撮大全』は…

次回の邦画特撮大全は、放送から10周年を迎えた『仮面ライダーW』(2009~2010)を特集します。

お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら



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