連載コラム『光の国からシンは来る?』第3回
2016年に公開され大ヒットを記録した『シン・ゴジラ』(2016)を手がけた庵野秀明・樋口真嗣が再びタッグを組んで制作した新たな「シン」映画。
それが、1966年に放送され2021年現在まで人々に愛され続けてきた特撮テレビドラマ『空想特撮シリーズ ウルトラマン』(以下『ウルトラマン』)を基に描いた「空想特撮映画」こと『シン・ウルトラマン』です。
連載コラム第1回記事と第2回記事に続き、本記事では2021年1月29日に公開された『シン・ウルトラマン』特報予告を考察・解説。
「動く姿」をあらわにしたウルトラマン、そのウルトラマンへの「変身」が描かれていると思われる場面から、その内容を予想していきます。
CONTENTS
映画『シン・ウルトラマン』の作品情報
【日本公開】
2022年(日本映画)
【監督】
樋口真嗣
【企画・脚本】
庵野秀明
【製作】
塚越隆行、市川南
【音楽】
鷺巣詩郎
【キャスト】
斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり、田中哲司、西島秀俊、山本耕史、岩松了、長塚圭史、嶋田久作、益岡徹、山崎一、和田聰宏
映画『シン・ウルトラマン』特報予告の考察・解説
『シン・ウルトラマン』特報予告・第1弾
斎藤工が構えた銃は誰に向けられた?
特報予告00分25秒、他映像で見受けられる胸元の「流星バッジ」から科特隊員の一人と思われる主演・斎藤工が、車内にて「隣の何者か」或いは「隣の何か」に向けて拳銃の銃口を向ける様子が映し出されています。
テレビドラマ『ウルトラマン』作中では「通常の警察組織では対処不可能な怪事件・異変の捜査」と「他の惑星からの襲来した侵略者に対する防衛」、そして「怪獣との戦闘」がその任務内容とされている科特隊。
その銃口の先にいるのは、第1回記事内にて「出現」の可能性を言及したものの、2021年1月29日に公開された『シン・ウルトラマン』特報予告内では登場していない「人間大の宇宙人」なのか。
或いはその銃口が「人間」が向けられているのだとすれば、ウルトラマンへと変身し人々を守ろうとする主人公がなぜ・どのような経緯で、人間に銃口を向けなくてはならなくなったのか。特報予告内ではあまりにも一瞬の場面ですが、そこにはウルトラマンの根幹を揺るがしかねない謎が潜んでいるといえます。
斎藤工はなぜ「ベーターカプセル」で変身できる?
特報予告00分25秒にて描かれる、木々の中を走り抜けてゆく斎藤工の姿。その手には、『ウルトラマン』の主人公ハヤタがウルトラマンへ変身するために使用する機器にして、『シン・ウルトラマン』特別ビジュアルにも描かれ、流星バッジと同じくよりスタイリッシュなデザインへと改変された「ベーターカプセル」が握られています。
これなくしてはハヤタのウルトラマンへの変身ができないという、『ウルトラマン』においては重要不可欠なアイテムであるベーターカプセル。そもそも斎藤工が演じる『シン・ウルトラマン』の主人公は、どのようにウルトラマンと接触した、或いはベーターカプセルを入手したことで、ウルトラマンへと変身できるようになったのでしょうか。
『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」にて、同作の主人公である科特隊員ハヤタはパトロール任務中、宇宙の墓場への護送中に脱走した「宇宙怪獣」ことベムラーを追って地球に飛来したウルトラマンと運悪く衝突。
一度は命を落としてしまうものの、ハヤタを死なせてしまったことに対し罪を感じ、「地球の平和を守るために戦う」と決意したウルトラマンに彼の命を分け与えられたことで、ハヤタはウルトラマンと一心同体となり変身が可能になりました。ベーターカプセルは、その際にウルトラマンから託されたアイテムでもあります。
『シン・ウルトラマン』の斎藤工演じる主人公も、『ウルトラマン』第1話と同じ経緯でもってウルトラマンへの変身が可能となるのでしょうか。或いは『ウルトラセブン』におけるウルトラセブン/モロボシ・ダンの「宇宙人の仮の姿として、斎藤工演じる主人公の姿を変えている」という経緯、そうした想像をも超えてしまう『シン・ウルトラマン』ならではの独自の経緯が描かれるのかもしれません。
ついに「動いた」ウルトラマン
特報予告00分27秒にて立ち上がり、その瞳をもって前方を見据えるウルトラマン。これまでのビジュアル画像のみでは知ることができなかったウルトラマンの「動く」姿が、とうとう人々のもとへと届けられました。
『シン・ウルトラマン』公式サイトで公開されている「庵野秀明コメント」や既出のビジュアル画像の通り、「瞳の覗き穴」「スーツ着脱用ファスナーを隠す背ビレ」、そして「カラータイマー」が存在しないウルトラマン。「始動」という言葉にふさわしい、神々しささえ感じさせる姿を特報予告内にてあらわにしました。
その一方で、同じく特報予告内に登場した怪獣たちなどとの「戦闘シーン」は、今回の特報予告でも明らかにされませんでした。
『シン・ウルトラマン』におけるウルトラマンは、出現する怪獣たちとどのような戦闘を繰り広げるのか。そして、ウルトラマンを象徴する往年の必殺技「スペシウム光線」などの光線技も描かれるのか。ウルトラマンを愛する者の多くが注目する「戦闘シーン」が、今後の公開を控えるであろう本予告映像では解禁されることを願うばかりです。
まとめ
『シン・ウルトラマン』特報予告にて、怪獣たち同様にとうとう「動く」姿を見せたウルトラマン。ウルトラシリーズのファン待望の映像に、戦闘シーンやスペシウム光線の描写などさらなる期待が人々の間で高まり続けています。
その一方で浮かび上がってきた、斎藤工演じる主人公のウルトラマンへの「変身」の謎。ベーターカプセルという『ウルトラマン』では変身には欠かせないアイテムも登場する中、『シン・ウルトラマン』の主人公はどのような経緯でウルトラマンへと変身できるようになるのか。次なる情報の解禁が待たれます。
次回の『光の国からシンは来る?』は……
次回の連載コラム『光の国からシンは来る?』は、特報予告とともに公開された『シン・ウルトラマン』特別ビジュアルから作品内容を考察・解説。
その画像内に映っている、『シン・ウルトラマン』作中にて重要な役割を果たすであろう3つのアイテム。そしてそれらのアイテムに添えられた「ある言葉」に触れていきます。
編集長:河合のびプロフィール
1995年生まれ、静岡県出身の詩人。2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、2020年6月に映画情報Webサイト「Cinemarche」編集長へ就任。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける。
2021年にはポッドキャスト番組「こんじゅりのシネマストリーマー」にサブMCとして出演(@youzo_kawai)。