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映画『マーシー・ブラック』ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。実在する都市伝説と事件がオーウェン・エガートン監督に与えた影響とは⁈|未体験ゾーンの映画たち2022見破録7

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」第7回

映画ファン待望の毎年恒例の祭典、今回で11回目となる「未体験ゾーンの映画たち2022」が今年も開催されました。

傑作・珍作に怪作、都市伝説を題材にしたホラーなど、様々な映画を上映する「未体験ゾーンの映画たち2022」、今年も全27作品を見破して紹介、古今東西から集結した映画を応援させていただきます。

第7回で紹介するのは、子供たちが信じた魔物の正体に挑む映画『マーシー・ブラック』

かつてこの世のものでは無い存在を信じ、他人を傷つけてしまった少女。彼女は長期の入院生活を経て、故郷に帰ってきました。

しかし事件を引き起こした存在は、今や都市伝説になっていました。新たな生活を始めようとする彼女の周囲で、奇妙な事が起こり始めます…。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2022見破録』記事一覧はこちら

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映画『マーシー・ブラック』の作品情報


(C)2019 Bright Moon Entertainment,LLC All Rights Reserved.

【日本公開】
2022年(アメリカ映画)

【原題】
Mercy Black

【監督・脚本】
オーウェン・エガートン

【キャスト】
ダニエラ・ピネダ、オースティン・アメリオ、エル・ラモント、マイルズ・エモンズ、リー・エディ、ジャニーン・ガラファロー

【作品概要】
まだ若き日に想像上な怪物を信じ、生贄として友人を捧げた少女。成長した彼女は、かつて自分の心を支配した物の正体を暴こうと動きます。しかし彼女の周囲に確実に何かが迫っていました。果たしてその正体は。

この都市伝説を題材にしたホラー映画を、『モンスター・フェスティバル』(2018)のオーウェン・エガートンが監督し、主演を『ジュラシックワールド 炎の王国』(2018)、ドラマ『カウボーイビバップ』(2021~)のダニエラ・ピネダが務めました。

共演には『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(2016)のオースティン・アメリオ、『オルタネイト・リアリティ』(2014)のエル・ラモント。

ドラマ『ダーティ・ジョン 秘密と嘘』(2018~)のマイルズ・エモンズ、『この世に私の居場所なんてない』(2017)のリー・エディ。

『ロミーとミッシェルの場合』(1997)や『200本のたばこ』(1999)、『レミーのおいしいレストラン』(2007)でヒロインの声を演じ、ドラマ『ウェット・ホット・アメリカン・サマー あれから10年』(2017~)のジャニーン・ガラファローが出演しています。

映画『マーシー・ブラック』のあらすじとネタバレ


(C)2019 Bright Moon Entertainment,LLC All Rights Reserved.

“マーシーを知ってるかい? 彼女の名前を知ってるかい? 彼女はお前の痛みをとってくれるよ もしお前が 彼女に痛みを差し出すと約束するなら…”

3人の少女が森に向かい、歌を歌いながら草原を歩いていました。そして森の中で、彼女たちの間で惨劇が起きました。

その後、少女の1人マリーナは、精神科医のワード博士(ジャニーン・ガラファロー)と面談していました。あなたは「見えない家」に行き、そこには「読めない本」があったと証言した、と指摘する博士。

混乱したり孤独になると、人はイマジナリー・フレンドを作ることがある。そしてそれは、とてもリアルに見えることがある…と博士はマリーナに語ります。

クマのぬいぐるみを抱いたマリーナは、「彼女の名は”マーシー”だ」と博士に告げました。

彼女は友人と共に、1人の少女を襲い傷付けたようです。太い枝も切断できる、剪定バサミを持ち出して…。

15年後。精神病院に入院中のマリーナ(ダニエラ・ピネダ)はワード博士と面談します。彼女は博士に最近は、悪夢もあまり見なくなったと答えます。

あなたは入院した時には、若年性統合失調症の傾向があり、自己暗示による幻覚に襲われていた、と説明する博士。

しかし今は良くなったと語る博士に、マリーナは何かを強く信じこめた少女時代が、時々懐かしくも思えますが、おかしな考えでしょうかと尋ねました。

博士はそれを否定し、人は皆何かを信じる必要がある、それが宗教や他のものであれ、それは人間の一部だと説明します。

そして博士は退院許可の申請を提出した、とマリーナに伝えました。病院を出て新たな人生を歩むよう告げるワード博士。

こうして15年ぶりに退院するマリーナを、姉のアリス(エル・ラモント)が迎えに来ます。アリスは妹の退院を心から歓迎していました。

マリーナは少女時代を過ごした家に戻って来ました。2人を飼い犬のロルフが迎えます。

昔と同じ部屋を使うよう案内されたマリーナ。部屋のロッカーの中に、アリスの8歳の息子ブライス(マイルズ・エモンズ)が隠れていました。

彼は近くに住む友人サムとかくれんぼをしていました。勝手に押しかけて来るサムを、ブライスは少々疎ましく思っている様子です。

母と2人暮らしだったブライスは、父はNASAで秘密のミッション遂行中で不在だと説明します。姉は家庭を捨てた夫を、息子にそう説明していると悟るマリーナ。

浴槽につかった彼女は、何者かに頭を掴まれたと感じました。落ち着いて目を閉じ5つ数えるマリーナ。そして目を開き、それは幻覚だと確認します。

しかし目の前に何かが現れ、彼女は悲鳴を上げ目覚めます。それは今も彼女を苦しめる悪夢でした。

ベットの脇にブライスが立っています。彼は悪夢にうなされる叔母を心配し、自分の大切なぬいぐるみを持ってきたのです。喜んでそれを受け取るマリーナ。

目覚めたマリーナは姉に仕事を探したい、求人広告は無いかと尋ねます。今はネットの検索で探せるとアリスは教えました。

入院中ネットに触れる事の無かったマリーナは、ブライスに手伝ってもらい検索します。ロンドンの美術学校にネットは無いの、と聞かれ彼女は戸惑います。

アリスは息子を守ろうと、妹が不在の理由を嘘で説明していました。それを受け入れる事にするマリーナ。

家族が囲む食卓に、現在アリスが付き合っている男ウィル(オースティン・アメリオ)が招かれます。話し上手で陽気なウィルは、ブライスにも好かれているようです。

ブライスが先に休むと、マリーナに15年前の出来事を尋ねるウィル。それは話したくないと彼女が言うと、謝って自分は犯罪マニアだと告げるウィル。

彼はアンドレア・イエーツ(5人の子を溺死させた母親。事件は精神疾患や産後うつの犯罪者をどう裁くべきか、全米に大きな議論を巻き起こした)や、テッド・バンディやブラック・ダリア事件に興味があると説明します。

2人の女の子が、”マーシー・ブラック”のために誘い出した友人を、7回も刺した事件に興味を持ったと語ります。その名は聞きたくない、と答えるマリーナ。

しかし事件の後、”マーシー・ブラック”は広く知られる存在になった。ウィルスの様に人々の間に広まり、あなたは世界に新しい悪夢、一つの都市伝説を与えたとウィルは告げました。

その夜、物音に気付き目覚めたマリーナが、2階の寝室を出て階段を降りると、突然ガラス窓を突き破り吊るされた人形が飛び込んできます。

悲鳴を上げたマリーナ。人形には彼女を罵る文字が書いてあります。外には走り去る車が見え、何者かの悪質なイタズラと思われました。

翌朝、アリスは学校に送るブライスと共に出勤します。妹に仕事が終わったら、図書館に待たせたブライスと共に帰宅する、と告げたアリス。

車に乗ったブライスは、母親に”マーシー・ブラック”は誰かと尋ねます。その名をどこで聞いた、その件は話したくないとアリスは息子に告げました。

その日、学校を終え図書館にいたブライスに、司書のベローズ(リー・エディ)が声をかけます。するとベローズに”マーシー・ブラック”を知ってる、と尋ねるブライス。

彼女は僕の家に住んでいると思う、と言い出したブライスに、困惑した表情のベローズは司書は調べ物をするには、ネットを使うと教えました。

2人は”マーシー・ブラック”を検索します。彼女は幽霊では無く、子供を守る守護天使のようなものと説明するベローズ。しかし彼女に血肉を捧げるとの記述を見つけ慌てます。

これは作り話だ、人々はあらゆる物を知り尽くすと、答えの無い新たな謎を作るもの、と説明するベローズ。

検索画面の中には、不気味な仮面を付けた”マーシー・ブラック”の姿、そして15年前マリーナが起こした事件の新聞記事もありました。

1人留守番中の家で、工具を使い木製の階段板を磨いているマリーナ。突然現れたウィルに驚きます。

アリスに妹の様子を見るよう頼まれた、と告げたウィルは15年前の事件、レベッカがマリーナを操り女の子を刺させた事件の詳細を聞きます。レベッカは自分より先に社会復帰したと聞いて驚くマリーナ。

ウィルは、事件について話すべきだと言い出します。誰かが始める前に自分と共に発表しよう、もう事件から利益を得ても良い時期だ、と説得するウィル。

彼の提案は耐えがたいものでした。作業に戻ったマリーナは、しつこく迫るウィルの手を工具で傷付けます。帰宅したアリスとブライスに、彼女は異常だと叫んだウィルは出て行きました。

その夜、姉の恋人を怪我させたと謝るマリーナに、アリスはあの男こそ馬鹿者だと言います。しかし、私は多くの人の人生を壊した、とマリーナはつぶやきます。

ゴミを捨てに出たアリスは奇妙な物音に気付きます。同じ時、家の中でマリーナが感じた怪しい気配は幻覚でしょうか。そして飼い犬のロルフが殺されていると気付いたアリス。

きっとウィルかその仲間の仕業だ、と怒ったアリスは1人で抗議に向かいます。残されたマリーナに、ブライスは本当に美術学校に行ってたの、と尋ねました。

“マーシー・ブラック”を検索したブライスは、事件に関する記事に叔母の名が出ていると気付いていました。まだ私が女の子だった頃、母親がひどい病気になったと語るマリーナ。

母を病苦から救いたいと願った時、頭の良いレベッカという子が現れ、それを叶えるゲームを教えてくれた。彼女が”マーシー”の物語を作り、私はそれを信じた。

私がそれを信じたのは悲しかったから、そして少し頭の中が病気だったから、マリーナは甥にそう説明します。

結局母は良くならず、あなたも”マーシー”も見る事はない、と語るマリーナ。見えない物が見えたら目を閉じ、5つ数えて目を開けば消える、私はそうしていると教えます。

しかしブライスは、彼女をパソコンの前に連れて行きます。”マーシー・ブラック”を検索し、どうしてこんなに多くの人が信じているの、と問うブライス。

ウィルの家に乗り込んだアリスは、彼が妹の起こした事件の資料を集めていると知り、言葉を失います。

犯罪を出版すれば金になる、と説明するウィル。”マーシー・ブラック”の都市伝説は世界に広まり、様々な事件を引き起こしている、必ず売れると主張するウィル。妹の人生を無視した言い分に、アリスは怒って家を後にしました。

アリスは帰宅しましたが、マリーナの事件の書籍化を諦めきれないウィルは、何者かの気配を感じます。マリーナを驚かせた人形が目の前に吊るされ、何者かに殺されるウィル。

同じ頃、目覚めたブライスはベットの下に気配を感じます。何かを目撃しますが、それは5つ数えると姿を消します。しかし、ダクトから”マーシー”が彼を覗いていました。

悲鳴を上げ、パニック状態になったブライスの前にアリスとマリーナが駆け付けます。ダクトには何もありません。しかしマリーナは、壁に赤く大きな文字で「Promise(約束)」と書かれていると気付きます。

15年前のあの日、彼女は横たわる少女から流れ出す血を、レベッカの指示で手に染めていました。まだ息をしている少女の命は、もう長くないようでした。

湖に入り、その手を水に浸すよう命じたレベッカは、剪定バサミを取り出し少女の指を切断します。

切り取った指を持ったレベッカも湖に入ります。これがレベッカとマリーナが信じ実行した、”マーシー・ブラック”に生贄を差し出す儀式でした…。

翌朝、甥は私が見たように”マーシー”を感じている、と告げたマリーナは、真実を探すと言い出して姉を困惑させます。

森には見えない家も読めない本も無く、私は頭がおかしくなったと言われた。だが真実ならどうなる。アリスが私や夫の不在をブライスに偽って説明したように、見なかったふりは出来ないと主張するマリーナ。

心配するアリスを置いて、彼女はブライスのためにも、あの日の真相を知る決意を固めて家を出ました…。

以下、『マーシー・ブラック』のネタバレ・結末の記載がございます。『マーシー・ブラック』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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彼女が向かったのは、レベッカの家でした。レベッカの母親は喜んでマリーナを迎え入れました。

娘の父親は娘の帰って来る前に亡くなった、それで良かったのだと彼女は語ります。そしてマリーナと娘が会うことを許します。

レベッカは毛布を被り、うつろな目をしていました。家に戻った娘は自殺を試み首を吊ったが、私が救ったと語るレベッカの母。

マリーナが話しかけてもレベッカは反応しません。当時の自分たち3人の少女が写る写真を手に取ったマリーナは、隠されていた地図に気付きます。

それは15年前、レベッカとマリーナが”マーシー・ブラック”を呼び出す儀式を行った場所を示す地図でした。

彼女がそれを手にしたと気付いたのか、這ってしがみついたレベッカは叫びながらマリーナを襲います。地図を手に家から逃げ出すマリーナ。

彼女は15年前の儀式を思い出します。少女の血で染まる手を水に浸し、レベッカが切断した指を湖に入れた時、マリーナは何かを目撃し叫んでいました。

同じ日、図書館にいたブライスは癇癪を起したように本を引き裂いていました。心配した司書のベローズが、彼を車で家まで送り届けます。

声をかけたベローズに、自分のママは良いママだと答えるブライス。彼が帰宅すると、そこには母のアリスと近所に住む友人サムがいました。

ブライズがサムと遊び始めると、妹の身を案じたアリスはワード博士に電話します。厚かましく口の悪い友人に、ブライスは納屋である遊びを提案します。

マリーナはまた幻覚や幻聴に襲われれていると思う、とアリスは博士に相談します。同じ頃、言葉巧みにサムの首にロープをかけたブライズ。

身の危険を覚えたサムは、恐ろしくなりブライスの母を呼びました。気付いたアリスは電話を切り納屋に向かいます。

納屋の扉を開けようとするアリス。ロープは扉と結ばれ、開くとサムの首が締められる仕掛けになっていました。

サムは苦しみ、ブライスの傍らには”マーシー・ブラック”の絵があります。やがて「我に返ったブライズは、ナイフでロープを切断します。

サムを救った母に、「”彼女”がこれをしろと言った」とつぶやくブライス。

手に入れた地図を頼りに、15年前凶行が行われた場所を目指すマリーナ。確かに記憶と一致する場所がありました。

落ち葉に埋もれた地面に、地下に通じる扉がありました。これがかつて自分が語った「見えない家」だ、と確信するマリーナ。

そこは冷戦時代に誰かが作り、放棄された核シェルターで電気が通じていました。ここで”マーシー・ブラック”を信じたレベッカと彼女は、様々な儀式を行っていました。

そこにはギリシャ語の絵本がありました。これが「読めない本」だったのです。

2人はここで不気味な仮面を作り、”マーシー・ブラック”の像を作り上げます。それにレベッカは父が、マリーナは母が身に付けていた物を与えました。

少女たちは親を苦しみから救おうと、”マーシー”の存在を信じ儀式をおこなったのです。

そこに仮面が落ちていました。私の見たものの正体はこれだ、とつぶやくマリーナ。

夜になると家では、アリスが電話で今日の一件について、サムの母親と言い争っていました。

その隙にブライスが姿を消します。机の上に残された、不気味な”マーシー・ブラック”の絵を手に取るアリス。

すると警察から電話がかかります。ウィルの死体が発見された、事情を聞きたいので警察署に来て欲しいとの内容でした。

アリスがブライスの行方を探すと、息子はベットの上に立ち、ダクトに向かい何かつぶやいていました。誰と話しているのとアリスは尋ねます。

“彼女”と話している、とブライスは答えます。そんな者はいないと言い聞かせる母に、”彼女”はドアのすぐ外にいる、と告げるブライス。

その場所に移動して誰もいないと示すアリス。しかし彼女は窓の外にいる何かを目撃し、驚きのあまり階段から転落しました。

夜遅くマリーナが自宅に戻ると、家の前に救急車とパトカーが停まっています。負傷し搬送されるアリスを見送るマリーナとブライス。

同じ頃、ワード博士は15年前の事件を確認していました。一方マリーナは「見えない家」=地下シェルターから持ち帰った仮面をブライスに見せます。

これが私たちの作った”マーシー・ブラック”だ。彼女は嘘の存在で、私たちを傷付けることはできないと、マリーナは甥に言い聞かせました。

2人は眠りますが、マリーナが目覚めるとブライスの姿がありません。探すと1階に”マーシー”の面を付けたブライスがいます。

あなたが様々な物を見て、聞いている事を私は知っている。私も昔、同じだったと語るマリーナ。

私はそれを訴えても誰も信じないと知っていたので、手遅れになるまで誰にも言わなかった。でも、あなたは私に何を言っても良い。

何でも話して欲しい、私はあなたを信じると告げたマリーナに、ブライスは彼女が15年前に草原で仲間と歌った、あの歌を口ずさみます。

背後に気配を感じたマリーナは、何者かに襲われ倒れます。驚いたブライスが外に逃げ出すと、何故かそこに司書のベローズがいます。

彼女に”マーシー”が自分の家族を手に入れようとしている、と訴えるブライス。ベローズはあなたを助けると語りかけました。

そして、指が1本切断された手をブライスに差し出したベローズ。

彼女はブライスをマリーナが見つけた「見えない家」、地下シェルターに連れて行きました。

自分と約束した通りに行動すれば、あなたの母には何も起きない、そう言い聞かせると彼女はブライスをシェルター内に送り込みます。

気を失っていたマリーナは、現れたワード博士に声をかけられ目覚めます。リリーにやられたのか、と彼女に尋ねたワード博士。

15年前のあの日、マリーナとレベッカと共にいた3人目の少女はリリーです。リリーはあの日レベッカの指示で、自分が身に付けたリボンを”マーシー・ブラック”に差し出していました。

リリーは名を変え戻って来ていたと話す博士に、彼女と甥がどこにいるか知ってると告げるマリーナ。

助けに向かおうとする彼女を博士は止めますが、マリーナは1度だけ私の話を信じて欲しいと告げました。

シェルター内のブライスは、奥にある手作りの像を見つけます。ベローズに指示されたのでしょうか、像にマリーナの持ってきた仮面を被せ、大切に持っていた宇宙飛行士の人形を与えるブライス。

マリーナとワード博士はシェルターの入り口に現れました。これが15年前話した「見えない家」かと驚く博士を残し、マリーナは中に入ります。

博士はスマホで警察に通報しようとしますが、背後から現れたベローズに喉を描き切られました。

ブライスを見つけると、ここから出なければいけない、と言い聞かせるマリーナ。そこにベローズが現れます。

彼女こそ15年前に2人の少女に殺されかけ、指を切断されたリリーです。あなたに当時を思い出させ、もう一度信じさせたかったと告げるベローズ。

彼女は2人の少女の犠牲者でしたが、同時に2人以上に”マーシー・ブラック”の存在を強く信じていました。

自分が儀式の生贄になる契約を結んだ、しかしマリーナは儀式をやり遂げなかった。だからあなたの母は死んだ。

儀式を完遂させるために、あなたに思い出させねばならなかった。だからマリーナの家に侵入した、と語るベローズ。

マリーナは彼女を殴りブライスを逃がします。立ち上がってナイフで襲ってきたベローズに、あれは現実ではないと必死に説得するマリーナ。

しかしベローズは彼女をナイフで刺しました。15年前のあの日、マリーナは最後に怖気づき、生贄役のリリーを殺さなかったのです。

15年の歳月は、彼女をより狂信者に変えていました。あなたは約束を守らなかった、今こそブライスの喉を切り、儀式をやり遂げると告げるベローズ。

あなたが止めない限り実行する、しょせんあなたは十分な信仰心を持っていない。ベローズはそう言い残してブライスを追って行きました。

深手を負ったマリーナに”マーシー・ブラック”の像が倒れかかります。這って出口に向かう彼女は気配を感じ振り返りました。”マーシーの像は身を起こし、こちらに向かって這ってきます。

立ち上がった”マーシー・ブラック”は宙を舞い、彼女に襲いかかりました。

湖の前でブライスはベローズに捕らえられます。自分に迫る”マーシー”に、あなたに会うたびに目を閉じてきたと語りかけるマリーナ。

私は痛みからあなたを作り出した、しかし今、その痛みを取り返す。そう告げて仮面に切りつけたマリーナ。”マーシー・ブラック”の像は倒れました。

助けを求めるブライスを押さえつけ、あなたのためにこれを行う、と繰り返し叫ぶベローズ。

そこに現れたマリーナが彼女に飛びかかり甥を助けます。そのまま馬乗りになると、マリーナはベローズの首を締めました。

その手を緩め、私に殺して欲しかったのかと問うマリーナに、ベローズは腰抜けと言い返します。

まだ生贄の供物になりたいのかと聞かれると、私たちが”彼女”に血肉を与えた、あなたは私と”彼女”に約束した、と叫ぶベローズ。

その彼女に、15年前リリーが”マーシー”に捧げたリボンを返すマリーナ。「全て終わった、リリー」、とベローズに告げます。

そのベローズの目に、ブライスがいきなりナイフを突き立てます。彼女は倒れ、「僕も約束したんだ」とマリーナに語るブライス。

少年の背後には”マーシー・ブラック”が立っていました。血肉を与えられた仮面の中で、見開かれた目が光ります…。

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映画『マーシー・ブラック』の感想と評価


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都市伝説を扱ったホラー映画には、古くはオリヴィア・ハッセー主演の『暗闇にベルが鳴る』(1974)…北米で有名な都市伝説「ベビーシッターと2階の男」を元にした作品…があります。

暗闇にベルが鳴る』は現在までに2度リメイクされ、同じ都市伝説を元にした映画も多数誕生しました。

そして都市伝説そのものズバリを題材にした『ルール(原題は都市伝説を意味するUrban Legend)』(1998)や、クライヴ・バーカーが小説内で創造した都市伝説の映画は何本も誕生、その中の『キャンディマン』(2021)は記憶に新しい作品です。

邦画にも都市伝説を題材にした作品は多数あります。『学校の怪談』(1995年)シリーズを懐かしいと感じる方も増え、今やネットを中心に広がる都市伝説を題材とした映画が続々製作・企画されています。

さて『マーシー・ブラック』は、映画の中で新たな都市伝説を創造した作品です。未知の題材を扱う作品だけに、どう転ぶか判らぬ展開…登場人物に危害を加えるのは幽霊か、怪物か、それを騙る人間か…、が楽しめる作品です。

本作を製作したプロダクション・ブラムハウスを設立したのが、低予算ホラー映画『パラノーマル・アクティビティ』(2007)を大ヒットさせたジェイソン・ブラム。

彼はその後、世界的なホラーメーカーとなり『ハッピー・デス・デイ』(2017)、『ザ・スイッチ』(2020)など多数のホラー映画を製作しています。

今回、彼の元で本作を監督したのがオーウェン・エガートン。ジェイソン・ブラムと彼の会社のスタッフが、以前監督が書いた脚本を読み興味を抱いたのがきっかけでした。

ホラー映画の第一人者が認めた作品


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今やホラー映画製作の第一人者、ジェイソン・ブラムは早い段階で、こんなアドバイスをくれたと語るエガートン監督。

「良いホラー映画とは、ジャンプスケア(ビックリ箱の様に観客を驚かす演出)や視覚効果を全て除いても、魅力的で探求したいキャラクターが描かれており、それが観客の興味を引きつける作品だ」

「作品がサンダンス映画祭で上映されるようなものであれば、その映画は正しい道を歩んでいるのだ」。これは本当に有益なアドバイスだった、と監督は語っています。

本作の脚本をリサーチしていた当時、アメリカで2009年にネット上で画像が誕生して以来、爆発的に広まった「スレンダーマン」の都市伝説が話題だったと振り返る監督。

同時に彼は、子供の犯した殺人事件について調べます。あるイギリスの事件、子供の頃友人と子供を殺害し、刑務所に服役した女性の事件です。

この女性は20代で出所後、合法的に名前を変え生活していたが、彼女の娘が12歳位になった頃、マスコミが訪れる…。この件に思いを巡らせたと監督は語りました。

「12歳の頃に行った行為に、どこまで責任を負うのか?当時の私は私でありながら、私で無かった。そこにグレーゾーンがあると思います」と監督はインタビューに答えます。

都市伝説、未成年犯罪への考察を元にした物語をどう描くべきかを本作のエグゼクティブ・プロデューサーのライアン・テュレックら製作チームと話し合った監督。

物語の中心的存在の怪物をどう描くかなど、議論を尽くした上でブラムハウスは、自分に大きな権限と裁量を与えてくれたと説明しています。

女性たちが恐怖の物語を紡ぐ


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主演のダニエラ・ピネダは、『ジュラシックワールド 炎の王国』の撮影を終えてから、本作の撮影に入ります。しかし髪型を大きく変えないよう配慮が必要でした。

「なぜならまだ、『ジュラシックワールド 炎の王国』のピックアップ(追加撮影)が残っていたからね」と監督は舞台裏を話しています。

そして、自分はジャニーン・ガラファローの大ファンだと告白した監督。脚本を送ると彼女が飛びついてくれたおかげで、彼はこの撮影は楽しくなると確信しました。

「ワード博士の役柄は他の人物が演じたら、温かみの無いものになったと思う」。そう語った監督は撮影監督に助監督、クルーの中にも多くの女性がいると気付きます。

例えば子供が「こんな事があった、こんな物を見た」と訴える時、大人が「そんな事はない」とか「信じないぞ」と答えるのはどうだろう。女性たちは様々な反応や、子供にかけるべき言葉を教えてくれたと語る監督。

実にクールだと感じているが、本作に出演している大人の男性は1人だけ。この映画には本当に、多くの協力的な女性に参加してもらえて良かった、と振り返っています。

まとめ


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都市伝説の誕生と広まり、その思わぬ影響と物語の意外な結末を描いてみせた『マーシー・ブラック』。

主要キャストが女性であるホラー、という一面が他の作品に無い魅力を本作に与えています。女性の共感力の高さが救いであり、同時に恐怖を産むという事でしょうか。

最終的にアレが登場して終わるのは、ありがちなラストと感じる方もいるでしょう。これはホラー映画の様式美、どうか受け入れてあげましょう。

何かと話題の「都市伝説」に興味をお持ちの方なら、「スレンダーマン」の流行を本作がどう参考にしたか調べて下さい。

監督は言及を避けているのかもしれませんが、本作と2014年にアメリカで発生した「スレンダーマン刺傷事件」には、大きな関連性があります。

噂は子供に影響を与え、その噂はネットで広まり、より大きく成長する。お遊びで始まった「スレンダーマン」伝説がもたらした未成年犯罪は社会に衝撃を与え、映画・ドラマに多くの関連作品を生みました。

誰かが想像し、想像した怪物や物語は、いつしか一人歩きを始めるものです。”マーシー・ブラック”は実在の都市伝説だ、現実に起きた事件を忠実に描いた映画だ…なんて噂が、もう広まりつつあるかもしれません。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」は…


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次回の第8回は、超高層ビルのエレベーターに監禁される!繰り返す急降下に耐えられるのか!アトラクション・脱出スリラー映画『アクセル・フォール』を紹介いたします。お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2022見破録』記事一覧はこちら






増田健(映画屋のジョン)プロフィール

1968年生まれ、高校時代は8mmフィルムで映画を制作。大阪芸術大学を卒業後、映画興行会社に就職。多様な劇場に勤務し、念願のマイナー映画の上映にも関わる。

今は映画ライターとして活躍中。タルコフスキーと石井輝男を人生の師と仰ぎ、「B級・ジャンル映画なんでも来い!」「珍作・迷作大歓迎!」がモットーに様々な視点で愛情をもって映画を紹介。(@eigayajohn

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星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学