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Entry 2019/08/21
Update

映画『復讐の十字架』感想と評価レビュー。衝撃的なラストに向けた男の破壊と再生|SF恐怖映画という名の観覧車63

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile063

新宿シネマカリテで4週間に渡り開催された「カリコレ2019/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2019」。

今回は前回に引き続き「カリコレ2019」おさらい第2弾として、「カリコレ2019」で上映されたオーランド・ブルーム主演映画『復讐の十字架』(2019)をご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『復讐の十字架』の作品情報


(C)WSG Film Romans Ltd 2016, All Rights Reserved

【日本公開】
2019年(イギリス映画)

【原題】
Romans

【監督】
ルドウィグ・シャマジアン、ポール・シャマジアン

【キャスト】
オーランド・ブルーム、ジャネット・モンゴメリー、チャーリー・クリード=マイルズ、アン・リード、ジェームズ・スマイリー

映画『復讐の十字架』のあらすじ


(C)WSG Film Romans Ltd 2016, All Rights Reserved

短気ではあるものの、同僚も彼女も心の底から愛し守ろうとする解体作業員のマルキー(オーランド・ブルーム)。

街に古くからあるカトリック教会の解体作業に人一倍熱心の取り組むマルキーは、かつて自身に深いトラウマを植え付けた男が後任の神父として街に現れたことを知ります。

やがてそのことがマルキーの復讐心に火をつけ、周囲の総てを蔑ろにしていき…。

原題「Romans」とは


(C)WSG Film Romans Ltd 2016, All Rights Reserved

映画の原題である「Romans」とは、新約聖書の一書である使徒パウロがローマの信徒たちに向けて執筆したとされる「ローマの信徒への手紙」を意味しています。

「復讐」をテーマにした本作では「ローマの信徒への手紙」が重要な意味を持つことになり、特に「復讐するは我にあり」の言葉が有名な第12章第19節は、劇中のクライマックスにおいてある人物の異常な行動を説明付ける重要な意味を持ちます。

愛する者よ、自ら復讐すな、ただ神の怒に任せまつれ。録して『主いひ給ふ、復讐するは我にあり、我これに報いん』とあり。

ある出来事で宗教心を捨てたマルキーがどのような決断に至るのか、「ローマの信徒への手紙」を知ることでより本作を楽しむことが出来ます。

名優オーランド・ブルーム


(C)WSG Film Romans Ltd 2016, All Rights Reserved

本作で主人公のマルキーを演じたのは「ロード・オブ・ザ・リング」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」などのシリーズへの出演で一躍有名となったオーランド・ブルーム。

眉目秀麗でありイケメン俳優と括られる彼ですが、『ケープタウン』(2013)では危険な匂いを振りまくアウトローな刑事を演じるなどふり幅の大きい演技派俳優としても知られています。

本作では人を想う心は人一倍強いはずの青年が「復讐」に身を狩られ、周りの人を傷つけながらもがいていく様を熱演。

劇中に漂うマルキーが何をするのか分からない恐ろしさと、彼の抱える巨大なトラウマを演技1つで表現していました。

物理的「破壊」と概念的「破壊」


(C)WSG Film Romans Ltd 2016, All Rights Reserved

本作のテーマが「復讐」であることは明白ですが、同時に「破壊」と言うテーマも見え隠れします。

職業として教会を「破壊」するマルキーはある事柄から自身の信仰心も「破壊」していました。

そんな彼のもとにトラウマの元凶なる神父が現れ、マルキーは自身の身を案じる様々な人との絆を「破壊」しながら復讐を成し遂げようとします。

物質的だけではなく概念的な「破壊」も繰り返し、彼の復讐の旅路は自分の中の「ある概念」の「破壊」を行う決断をすることで終幕を迎えます。

その決断は実に宗教的でありながらも、人生にとって大事なメッセージが込められているとすら言えるものでした。

「破壊」と「再生」をテーマにした作品


(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation, Demolition Movie, LLC and TSG Entertainment Finance LLC. All Rights Reserved.

やや後ろ向きにも思われがちな「破壊」と言う言葉ですが、古くなった建物を破壊し同じ場所に再建するように、もう一度始めるために「破壊」することは前向きであると言えます。

ジェイク・ギレンホールが主演した映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(2017)では、妻を事故で失った男が破壊衝動に狩られ、「破壊」の先に「再生」の道を見出していく様が情緒的に描かれていました。

人生の岐路に立つ男が「破壊」を伴う「再生」への道程を進む様子を描くという本作と同じテーマの作品であり、名優が主演する両作。

鬱屈とした想いを抱える人に鑑賞していただきたい作品です。


まとめ


(C)WSG Film Romans Ltd 2016, All Rights Reserved

「復讐」に憑りつかれた男がその先に辿り着く答えと、ショッキングかつ衝撃的なラストを迎える『復讐の十字架』。

キリスト教の教えや概念の強い作品ではあるものの、キリスト教の知識が無くとも充分に何かを感じ得ることが出来ること間違いなしの本作。

「カリコレ2019」で公開された『復讐の十字架』は前回のコラムでご紹介させていただいた『ガール・イン・ザ・ミラー』(2019)とは全く違う目線から「復讐」を描いた秀作映画でした。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…


Netflixオリジナル映画「バード・ボックス」
12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング

いかがでしたか。

次回のprofile064では、危険な映像の投稿を皮切りに全世界で話題となったNETFLIX独占配信映画『バード・ボックス』(2018)のネタバレあらすじをご紹介させていただきます。

8月28日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら


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