連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第6回
マット・ラスキンが脚本・製作・監督を務めた、2017年製作のアメリカのノンフィクションドラマ映画『無実の投獄』。
冤罪で殺人罪に問われたコリン・ワーナーと、コリンの無罪を証明するために人生を捧げた親友カール・“KC”・キングが、正義を求めて悶え苦しんだ日々とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
米ラジオ番組『ディス・アメリカン・ライフ』のエピソードをもとに、1980年にブルックリンのクラウン・ハイツで起きた殺人事件で、冤罪で投獄され21年間刑務所で過ごしたコリン・ワーナーの実話を描いた、映画『無実の投獄』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
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映画『無実の投獄』の作品情報
Amazonプライム『無実の投獄』
【公開】
2017年(アメリカ映画)
【脚本・監督】
マット・ラスキン
【キャスト】
キース・スタンフィールド、ナムディ・アサマア、ナタリー・ポール、アマリ・シートム、マーシャ・ステファニー・ブレイク、ネスター・カーボネル、ザック・グルニエ、ジョシュ・パイス 他
【作品概要】
ファンタジーアドベンチャーテレビシリーズ「ライブラリアンズ」のマット・ラスキンが脚本・製作・監督を務めた、アメリカのノンフィクションドラマ作品です。
本作は米ラジオ番組『ディス・アメリカン・ライフ』のエピソードをもとに、1980年にブルックリンのクラウン・ハイツで起きた殺人事件で、冤罪で投獄され21年間刑務所で過ごしたコリン・ワーナーの実話を描いています。
主演を務めるのは、カナダのテレビドラマシリーズ「ヴァイキング~海の覇者たち~」や『ホワイト・ボイス』(2019)などに出演しているキース・スタンフィールドです。
映画『無実の投獄』のあらすじとネタバレ
Amazonプライム『無実の投獄』
1980年4月10日。真っ昼間のブルックリンのクラウンハイツで、マービン・グラントという人物が何者かに銃殺された事件が発生。
目撃者である15歳の少年クラレンス・ルイスの証言により、ニューヨーク警察67分署の刑事カッセルは、自動車学校に通う18歳の青年コリン・ワーナーをマービン殺害の容疑で逮捕しました。
しかし、コリンは知り合いの車を盗んでしまったことはあれど、人を殺したことはありません。
ましてやコリンは、そのマービンが誰なのかさえ知らないのです。冤罪で逮捕されたコリンは、無実を訴え続けましたが、カッセルたち警察は聞く耳を持ちません。
翌日。コリンが逮捕されたことを聞き、彼の親友カール・“KC”・キングは、すぐさまコリンがいる拘置所を訪れ、コリンと面会し事情を聞きました。
カールはコリンが無実であることを信じてくれました。コリンにとってカールは、同居する母親とトリニダードにいる祖母や父親ら家族以外で、初めて自分が無実であることを信じてくれた貴重な人物でした。
その日の夜。コリンは拘置所内で、マービン銃殺事件のことを話している受刑者がいることを知ります。
翌日。コリンは他の受刑者に聞き込みを行った結果、マービンと同じ建物に住んでいた受刑者チャールズが、マービン銃殺事件の話をしていたことが判明。
すぐに彼に声をかけたコリンは、衝撃的な事実を知りました。「スパングラーという男をマービンが殺した。スパングラーのいとこであるアンソニー・ギブソンが、その報復をした」
事件の真犯人を知っただけでなく、それを証言してくれる協力者を得たコリンは、カールに頼んでカッセルにそのことを伝えてもらいました。
しかし、チャールズが何故真犯人がアンソニーであることを知っているのか、その理由をカッセルに話さなかったため、コリンはすぐに無罪放免とはなりませんでした。
ただ、街中ではこんな噂がたっていました。「警察が別人を逮捕した」と。
それから6ヶ月後。マービン銃殺事件に関する裁判に、コリンとアンソニーが同時に召喚され、審問されました。
その際、コリンはアンソニーに助けを求めもしたが、アンソニーは「俺は関係ない」と言って拒絶します。
コリンが逮捕されてから2年後。コリンの顔写真を指さし、「コリンがマービンを撃った」と証言したクラレンスが所在不明なため、2週間の休廷となりました。
それから8日後。クラレンスは武装強盗で逮捕され、拘留されてしまいました。コリンの公選弁護人ブルースは、コリンにこのことを伝えた際、こう言いました。
「多数の事件を扱っている検察は、早く君を有罪にしたくて何でもするだろう」「だが今回あるのは目撃証言のみ、動機も凶器も物的証拠もない。だからこの裁判は勝てる」
数日後。1回目の審問が行われ、証言台に立ったクラレンスは、検察側の問いに対しこう証言しました。
「車を運転していたのはコリンだが、助手席に座っていたアンソニーが撃った」
これを聞いたブルースは、検察側から減刑と引き換えに、コリンが撃ったと嘘の証言をさせられたのではないかと、クラレンスに尋ねます。
ブルースの問いに対し、クラレンスの答えは全てYES。実はクラレンスは審問前、カッセルたち検察側から脅されていたのです。
「このまま有罪になれば、最長で懲役25年となる」「早く出所して故郷であるハイチに戻りたければ、法廷でコリンが犯人であると証言しろ。そうすれば懲役2年に減刑となるようにしてやる」
さらにブルースは、アンソニーに司法取引を持ち掛けます。「司法取引を受けるならば、君は第2級殺人では、恐らく最短の刑期となる懲役2~5年で済む。コリンは無罪放免になる」
しかし、アンソニーは司法取引を拒否し、引き続き無罪を主張することにしたのです。
続いて検察側は、マービンの弟を証人として召喚。コリンたちがマービンとよくつるむ関係にあり、マービンを殺す動機があったことを証言させます。
その結果、裁判長から、アンソニーは少年犯罪の最高刑である9年から無期の懲役、コリンには刑法の定める最低限の量刑である15年から無期の懲役という判決が言い渡されました。
「監房じゃありませんように」と審問前に願ったコリンの願いもむなしく、彼はニューヨーク州ダニモーラにある重警備州刑務所へ収監されてしまいました。
刑務所にいるコリンから、カール宛てに送った手紙には、こう記されていました。「自由を失って初めて、その神聖さに気づく」
「人間ではなくなった気分だ、誰にも愛されない。あがいても、もはや人生は俺の手にはない」
以下、『無実の投獄』ネタバレ・結末の記載がございます。『無実の投獄』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
Amazonプライム『無実の投獄』
コリンが逮捕されてから6年後。刑務所内での暮らしは、コリンにとって地獄でした。他の受刑者がしでかしたことのとばっちりを受け、受刑者と揉めて孤立。
さらに刑務官と揉めたせいで、コリンは複数の刑務官からリンチに遭い、独房へ2年間監禁されることになってしまったのです。
挙げ句の果てに、ブルースがした上訴が「証拠が弱い」という理由で棄却され、コリンはブルースから、上訴専門の弁護士を雇ったほうがいいと言われてしまいます。
一方カールは、自動車学校を卒業後、同じ黒人の女性ブリアナと結婚し、娘を授かりました。
カールは家庭を持った今でも、コリンの無実を証明するために、上訴費用を集めるために寄付を募っていました。
カールはシングルマザーとなったコリンの幼馴染アントワネットの家を訪ね、彼女にコリンの現状を伝えます。
カールはアントワネットを連れて、コリンと面会。アントワネットと6年ぶりに再会したコリンは、彼女たちにこう言いました。
「俺は逮捕されてから、一度も家に戻れていない」「トリニダードにいる祖母や家族にも、一切会えなくなった。俺の人生はあの時終わったんだ」
「刑務所にいる受刑者のほとんどは、犯した罪を内省するが、俺にはその慰めもない」
地獄の刑務所生活に、無実を訴え続けているのに釈放されないことへの絶望感に、徐々に人間性を失い始めるコリン。
そんな彼の元に、アントワネットが彼に宛てた手紙を届きました。「あなたの無実を信じている、そこから出してあげたい」「あなたは独りじゃない」
コリンが逮捕されてから12年後。コリンが刑務所に入った際に坊主にした頭は、元のドレッドヘアに戻りました。
そんなコリンの元に、ある訃報が届きます。コリンがずっと会いたがっていた祖母が、死んでしまったのです。
この時のコリンの心情を表すかのような手紙が、アントワネットの元へ送られました。「刑務所でキツいのは、肉体よりも精神だ」
「でもコントロールできることもある。俺は加害者にはならない、絶対にだ」「必ず勝つと、自分を鼓舞している」
「真実を永遠には隠せない」「目標は汚名を返上すること、そのために(どんなに辛く苦しくても)生きなければならない」
そう手紙に綴ったコリンの元に、カールから1本の電話が。「弁護士と話したが、“コリンの主張だけじゃ上訴には不十分だ”と断られた」
そう話すカールは別の弁護士に上訴を頼みましたが、お金がないと動いてくれそうにありません。
そこでカールは、上訴費用として貯めた1万ドルの他に、妻に内緒で5,000ドル借金してまで金を何とか集めました。
しかし、そうまでして雇った弁護士はちゃんと証拠を準備できておらず、せっかく上訴できたのに、法廷で裁判官にしどろもどろになりながら上訴理由を述べたのです。
結果、上訴は棄却され、新たな子をもうけたカールには多額の借金だけが残りました。
コリンが逮捕されてから15年後。カールは車で裁判所まで送った知人男性から、弁護士から裁判所へ送る書類を受け取り配達する「令状送達者」の存在を知り、早速令状送達者の試験を受けに行きました。
無事試験は合格し、令状送達者となったカールは、新たな弁護士探しに奔走します。その頃コリンは、アントワネットとの親睦を深め、長年の恋を実らせ獄中結婚しました。
その後、コリンの仮釈放の審理が行われました。「仮釈放の審理が済めば自由を得られる」そう希望を持つコリンは、自分は冤罪で投獄されたこと。
高校資格を得て大学で2年学び、今は指導助手として皆の勉強を見ていることを訴えました。
しかし、コリンの犯罪記録は1979年まで遡ることと、受刑者や刑務官への暴力や武器の所持があったという懲戒記録。
1284日にわたる独房監禁があったことと、管轄する裁判所の陪審が有罪だと言ったことが理由で、コリンの仮釈放申請は棄却されてしまったのです。
そもそも仮釈放委員会は、初めからコリンの主張を聞く気などありませんでした。「司法が無実だと認めない限り、君は殺人罪で有罪だと我々は判断する」
「だからここで君が何を訴えようが、誰の耳にも届かない」………この言葉に絶望し、自暴自棄になったコリンは、面会に訪れたアントワネットを、「もう面会に来なくていい」と拒絶してしまいます。
そしてコリンは、カールにも電話しこう言いました。「(連中は俺が殺したって言うまで出す気はないから)俺はもう二度と刑務所から出られない。だからもう面会にも来るな」
それでもカールは諦めず、コリンの無実を証明するために独自に調査し、弁護士を雇わず自分が上訴することにしました。
人生を捧げてでも、カールがコリンの無実を証明するために奔走するのは、「俺にも起こり得たことだ。お前が捕まったことが、まるで自分のように思えてくる」からでした。
そこでカールは、令状送達者として初めて仕事を請け負ったロベティー法律事務所の弁護士ビルに相談し、「タダで働くから、裁判記録の内容を見てくれないか」と頼み込みます。
その結果、走行中の車から撃たれたにも関わらず、検視報告書ではマービンの体にあった銃創は下向きであったと記されていること。
アンソニーは1度目の申請で仮釈放となり、既に出所していること。クラレンスも6年服役した後、ハイチに強制送還されていること。
それから、マービンの弟リオン・グラントが事件当時、マービンが銃撃された現場にいたこと。通称マサップと呼ばれているクレイトン・ベントンという人物が、警察に「現場にいたが、何も見ていない」と供述していることが判明しました。
カールはジムという男に頼み、クレイトンの犯罪記録と移民帰化局と陸運局のデータを調べてもらいました。
その結果、クレイトンは重窃盗罪で逮捕状が出されており、強制送還命令は未だ有効であるにも関わらず、裁判も保釈金もほったらかしにされていることが判明。
コリンが逮捕されてから20年後。リオンは、ロベティー法律事務所から届いた手紙を見て電話し、「裁判には協力できない」と言いました。
それに対しビルは諦めず、リオンにこう訴えます。「目撃者がついた嘘が、無実の男を監獄に送った」
「君には悪いが、これではお兄さんも浮かばれない」………その言葉が、リオンの心を突き動かしたのでしょう。
リオンは裁判に協力することを決め、翌日カールとビルたちの前で事件当時のことを語ってくれました。「高校の外にいたら、クラレンスが自転車でやって来た」
「そしてこう言った。“大変だ、君の兄貴が撃たれた。その現場を見た”」「俺は魂が抜けたように、呆然としてた」
「その時、警察に“犯人に心当たりは?”と聞かれたんだ」「“分からないが、友達が見た”と言うと、クラレンスは目撃者扱いになった」
「クラレンスと一緒に、67分署に連れて行かれて事情聴取を受けた」「奴は取調室の中で、写真を何時間も見せられ、最終的にコリンの顔写真を指さした」
「“銃を見たか?”と聞かれ、クラレンスが否定すると、“意味が分からない。射殺なんだ、銃を見たはずだろう”とカッセル刑事は怒鳴った」
「クラレンスは震える声で答えた、“た、たぶん見たよ。銃を持ってたと思う”。とにかくクラレンスは早く家に帰りたかったんだ」
「俺も次の日に、家に来た警察に、4枚の写真に写る男の中で、誰か知っているか聞かれた」
「俺は誰も知らないと答えると、警察はコリンの写真を前に押し出したんだ。“この男に見覚えはあるか?”と」
「あまりにもカッセル刑事がしつこかったから、“見たことがあるかも”と奴の聞きたい返事をした」
一方アントワネットは、嘘の証言をしたクラレンスについて調べていました。その結果、1988年に出所しハイチに強制送還されたクラレンスは、ポルトープランスで1994年に殺されていました。
その頃アンソニーは、リオンとは別の日にビルの元を訪れ、カールとビルたちにこう言いました。
「1980年4月10日のことは、昨日のように覚えている。数日前に殺されたいとこの仇を討つため、マービンを殺そうと銃を持って家を出た」
「仲間2人と歩いていたマービンを呼び止め、“スパングラーが殺された。誰の仕業だ?”と尋ねたが、奴は何も答えなかった」
「去ろうとするマービンの背後から、銃口を頭に突きつけ殺した」「クラレンスは現場にはおらず、マービンが殺されたところも見ていない。裁判での証言は全て嘘だ」
「実際の目撃者は黙っている」「コリンのことを知ったのは、コリンが逮捕された直後。67分署で写真を見せられて、警察に知っているか聞かれ、“見たこともない”と答えた」
それを聞いたカールは、リオンに頼んでブロンクスのアパートで暮らしているマービンの仲間マサップに会ってもらい、アンソニーの供述に説得力を持たせるために協力して貰おうとします。
マサップが実際の目撃者ですが、それを警察に言わないのもマービンが殺されたのを黙って見ていたのも、ただ地元の不良と揉めて自分も殺されるかもしれないと危惧したからです。
マサップの協力を得られないまま、カールは帰宅。すると家にいるはずのブリアナの姿がなく、連絡しても一向に繋がりません。
コリンの無実を証明するために奔走するあまり、カールはブリアナから愛想を尽かされてしまったのです。
Amazonプライム『無実の投獄』
コリンが逮捕されてから21年後、2001年。大陪審の証言を見直していたカールは、事件当時ハッサン・ウィルトンという人物が、クラレンスと一緒にいたことを知りました。
早速ジムに頼み、カールはハッサンについて調べてもらいましたが、ハッサンの記録はありませんでした。
カールは探偵に頼み、ハッサンを見つけ出すことに成功。リオンと一緒にハッサンの元へ行き、コリンの無実を証明するための助力を乞いました。
後日。協力することを決めたハッサンは、改めてカールたちに事件当時のことを話します。
「あの日はエラスムス高校の前で、クラレンスや地元の連中と遊んでいた」「建物の陰だったから、銃撃が見える場所ではなかった」
「事件から2週間後に、警察が家に来て事情聴取を受けた。その時、警察はコリンの写真を出して“こいつが犯人だ”って言っていた」
「67分署に呼ばれ、そこに行く前に、気がついたら大陪審の前にいた」「コリンとは会ったこともない。でも警官は、まるで俺が犯人であるかのように責めた」
「だから俺は命令された通りに、“コリンが殺した。その現場を目撃した”と証言したんだ」
これで、コリンの無罪を証明するための証拠は全て揃いました。カールはアンソニーたちから聞いたことを書面にまとめ、ニューヨークタイムズ紙の記者に送りました。
カールはメディアの力を使い、地方検察に事件の再調査をするよう求めます。その結果、事件を再調査した地方検事は、コリンの起訴と有罪判決を取り消すと言ってくれたのです。
アメリカ・ニューヨーク州にある、地域情報の放送に特化した24時間ケーブルテレビ局向けのニュース専門放送局「NY1」のニュース番組で見て知った他の受刑者たちに祝福されながら、コリンは荷物をまとめて出所。
ブリアナと仲直りしたカールと、アントワネットたちと刑務所の外で喜びを分かち合いました。
「監房じゃありませんように」そう願ってきたコリンの願いはようやく叶い、コリンはアントワネットと我が子がいる家で目を覚ましました。
映画『無実の投獄』の感想と評価
Amazonプライム『無実の投獄』
21年間冤罪で投獄されたコリン
会ったことも見たこともないマービン殺しの犯人として、有罪判決を受けて投獄されたコリン。
ただ無情にも時だけが流れ、親友は結婚し家庭を持ち、会えない間に大好きな祖母が死んでしまうという、疎外感と悲しみをコリンは痛いほど味わいました。
受刑者や刑務官からも暴行を受け、さらに仮釈放の申請時には非情な言葉を告げられるという、コリンが心身ともに傷つき絶望した姿には、見ているだけで辛く悲しいです。
まさに地獄のような生活を送るコリンにとって、自分の無実を信じ続けてくれた母親やカール、アントワネットの存在は心の支えになったことでしょう。
警察によって隠された真実
Amazonプライム『無実の投獄』
カールが自分の人生を捧げてでも、コリンの無実を証明するために事件を調査した結果、衝撃的な真実が明らかになりました。
カッセルたち警察が、本当は現場にいなかったクラレンスとハッサン、リオンに執拗に問い質し、何時間も拘束して「コリンが犯人だ」と言わせるように圧力をかけていたのです。
犯人のように責められたハッサンも、怒鳴られ警察が望む回答をしなければならなかったクラレンスは、その時まだ15歳の少年でした。なので思わず、噓の証言をしてしまうほど怖かったことでしょう。
また、アンソニーも正直に答えたにも関わらず、カッセルたちは聞く耳を持たなかったのでしょう。
事実、チャールズがコリンに話してくれなければ、アンソニーが犯人であることは誰も知りませんでした。
まとめ
Amazonプライム『無実の投獄』
目撃者たちが話した真実を捻じ曲げた警察の思い込みで、21年間冤罪で投獄されてしまったコリン・ワーナーと、その親友カール・“KC”・キングの正義を求めた長い闘いを描いたノンフィクションドラマでした。
エンドクレジット前の映像には、無事釈放されたコリンと、カールのそれぞれの後日談が描かれています。
コリンとアントワネットは、子供2人と一緒にジョージアに移住。「NY1」のニュース番組のインタビューに対し、コリンは「誰も恨んでいない、皆が重荷を背負っている。これから力強く人生を歩み出したい」と答えました。
カールは妻と子供たちと一緒に、ブルックリンに移住。冤罪救済を続けているカールは、「NY1」のニュース番組のインタビューに対し、こう答えていました。
「長い闘いだったが、ついに勝利を得た。無実で投獄された人々に、決して諦めるなと伝えたい」
この後日談の最後に、「米国の受刑者数は240万人、そのうち12万人が無実だと推定されています」というテロップが流れました。
冤罪で投獄されてしまった絶望と苦悩、刑務所の外と中で正義を求め闘い続けた男たちの姿を描いたノンフィクションドラマ映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。
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