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Entry 2021/06/14
Update

アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード|ネタバレ感想とラスト結末のあらすじ。涙腺崩壊必至の胸熱映画が参上!|未体験ゾーンの映画たち2021見破録40

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第40回

世界各地のホラー、ゾンビ映画など様々な映画を発掘する「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第40回で紹介するのは『アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード』。

ホラー映画に登場するモンスターたちには、お約束のルールが存在します。それを利用してモンスターから逃げのび、いかに退治するのか。またそのルールを破る方法を探すのも、物語の幅を広げるアプローチです。

そんなモンスターの一つ、ゾンビのお約束が「噛まれるとゾンビになる」です。ゾンビになるまでの時間に何をするか、ゾンビになった時にどうするのか。このシチュエーションが様々なドラマを生んできました。

これから紹介する作品もそんなゾンビ映画の一つ。残された時間を希望を求めて爆走!ゾンビロードの先に、果たして何が待っているのでしょうか…。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2021見破録』記事一覧はこちら

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映画『アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード』の作品情報


(C)K.A.O.S., an Entertainment Co., Ltd.

【日本公開】
2021年(タイ映画)

【原題】
The Driver

【監督・原案・撮影・製作】
ウィッチ・カオサナヤンダ

【出演】
マーク・ダカスコス、ジュリー・コンドラ、ノエラー二・ダカスコス、ケイン・コスギ

【作品概要】
ゾンビに支配された世で、生存者が暮らすコミューンで治安を守る男”ザ・ドライバー”。ゾンビに噛まれた男の残された時間を描くサバイバルアクション映画。

アントニオ・バンデラス主演の『バリスティック』(2002)を”カオス”名義で監督し、ハリウッドデビューを遂げたウィッチ・カオサナヤンダ監督の作品です。

小池一雄と池上遼一が手掛けたコミックを実写映画化した、『クライング・フリーマン』(1996)のマーク・ダカスコスが主演。その後もアクション俳優として活躍し、『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)ではキアヌ・リーブスを追いつめる殺し屋を演じました。

マーク・ダカスコスと『クライング・フリーマン』で共演し、その後彼と結婚したジュリー・コンドラ、そして2人の娘ノエラー二・ダカスコスが出演した、家族での共演を果たした作品です。

映画『アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード』のあらすじとネタバレ


(C)K.A.O.S., an Entertainment Co., Ltd.

最近、あまり眠れていない。最後にぐっすり眠れたのはいつか思い出せないと語る”ザ・ドライバー”(マーク・ダカスコス)。

あの日以来誰もが同じ状態で、善良な人々は死に絶え嫌な人間だけが生き残ってしまった。俺のパートナーのような奴だ。ドライバーは今、パートナーのジョーの乗せ彼の愛車の青いBMWを運転していました。

ジョーは車のトランクから響く物音に気付きます。トランクに押し込まれたトニーが、何の罪を犯したかジョーは尋ねますが、リーダーから説明されていないと答えるドライバー。

実際にはドライバーは、トニーが密造酒を作るために人々が暮らすコミューンから水を盗んだと知っていました。彼は人の好いトニーが好きですが、リーダーの命令には忠実に従うしかありません。

ドライバーは林の中の開けた場所に車を停めます。2人は拳銃を手に車を降り、トランクの中からトニーを出しました。

猿ぐつわを取るとトニーは叫びますが、ジョーは突き飛ばして黙らせます。トニーに自由な身になり逃げるか、それとも射殺されるかを選ばせるジョー。

トニーが逃げることを選ぶとドライバーは運転席に戻ります。ジョーは別れを告げ空に向け発砲します。

ジョーが乗り込むと車は走り出します。助けてくれと叫んで車を追うトニー。彼は銃声を聞いて集まったゾンビに囲まれます。トニーの絶叫が響き渡りました。

2人は車を停め外に出ます。自分は罪人に運命を選ばせるのが好きだと話すジョー。

それは運命を選ばせる行為ではなく、ジョーの悪趣味な遊びだとドライバーは知っていました。ゾンビで溢れた世界でコミューンの外で生きるのは不可能でした。ジョーは嫌な奴だ、とドライバーは思い知ります。

野外に建てられたスピーカーから放送が流れ、周囲に音楽が鳴り響きます。それを聞いたゾンビがスピーカーの周囲に集まります。音に引きつけられるゾンビは2人に興味を示しません。

ゾンビに噛まれた者は死んでゾンビになります。一度でも噛まれれば多くの者は12時間以内に死に、長く持ってもせいぜい1日でした。

感染者はまず発熱し徐々に動きが鈍り、水を求めやがて死にます。死ぬとすぐに目覚めてゾンビ化します。

世界にゾンビが満ち溢れましたが、騒音が彼らを引き付けます。理由は判りませんが、それが残された人々に生き残るチャンスを与えました。

暗くなる頃にドライバーとジョーの車は、バリケードで囲まれたコミューンに戻ります。車から降りると発電機は順調に運転中で、燃料も半年は持つ報告を受けたドライバー。

コミューンの生活には電力と水と食料が不可欠で、ゾンビやよそ者の襲撃に備え見張りが立っています。ドライバーが念入りに整備する愛車のBMWには、ナンバープレートの代わりに「ユニコーン」の手書き文字が描かれていました。

内部で野菜など作物を栽培しているコミューンは、充分な食事を住民に提供していました。しかし妻と娘以外で信用できる人間は、2人だけだとドライバーは語ります。

1人は寡黙だが頼りになる男リー、もう1人はゴキブリの様に逞しく善良な心を持つ男DJ。器用なDJは外部と連絡を取ろうと無線装置を組み立てます。しかし外部にコミューンの存在を知らせるのは良い行為か、その結論は出ていません。

DJはトニーの死を惜しんでいました。トラブルを起こす奴だがそれでも好きだったと語るDJ。

コミューンのルールには従うしかない、と答えるドライバー。前向きなDJは、今後も短波放送で生存者に呼びかけるつもりです。

セキュリティの責任者であるドライバーは、コミューンのリーダー・ガブリエルに面会します。処刑したトニーを神の名の下に断罪するガブルエル。

外部との交流より現状維持を望み、ルールで住民を縛るリーダーのやり方にドライバーは不満を持っていました。

我々は冷酷になったと訴えるドライバーに、家族と会い幸せな時間を楽しめと告げるガブルエル。勝手なことをするなと警告し、コミューンの生活を少しでも長続きさせようとドライバーに訴えます。

自分は子供たちにもう一度平和な世界を与えたいと祈るだけだ、と答えるドライバー。

リーダーのやり方に疑問を覚えつつ、兵士のように感情を殺し行動するドライバーも、希望を求める信仰だけは棄てずにいました。

しかしドライバーはトニーの母親に責められます。彼の立場を理解する者もいましたが、冷たい目を彼に向ける者も多く心は晴れません。

彼の食事を持ってきたジョーは、トニーとトニーの母に悪態をつきますが、ドライバーは深く語らず自室に向かいます。

部屋には彼の妻シャロン(ジュリー・コンドラ)と、1人娘のブリー(ノエラー二・ダカスコス)がいました。絵を描くのが好きで、犬の見た事のない子供のために犬の絵を描いているブリー。

シャロンから父の絵はどうなったと聞かれ、ブリーはもうすぐ完成だと答えます。しかしコミューンを守る仕事に追われる父は、中々モデルになってくれないとこぼします。

家族で食事をしたいと言う娘に、母はコミューン全体が一つの家族だと言い聞かせます。それはリーダーのガブリエルの言い草と同じだ、と反論するブリー。

そこにドライバーが現れます。親娘3人は共に食事をとり、久々に家族だけの時間を過ごします。部屋の壁にはブリーの描いたユニコーンの絵があり、ドライバーの愛車のプレートもブリーの描いたものでした。

食事を終えると、ドライバーは後でブリーの絵のモデルになるので、5分だけ母と2人で話させてくれと頼みます。

2人になるとシャロンは、処刑されたトニーはコミューンの住人に好かれていたと話します。ドライバーに対する恨みの視線は、私や娘にも向けられると話すシャロン。

コミューンを棄て北にある楽園、ヘブンを目指そう。そのために車と水、食料に銃も準備したとドライバーは語ります。

ドライバーの語るヘブンとは、行き倒れの見知らぬ男が口にした場所でした。ユニコーンを信じる12歳のブリーのように、夢物語を信じられないとシャロンは反論しました。

DJも信じていると言っても彼女は納得しません。夫婦は黙ったまま見つめ合い、ドライバーは謝罪の言葉を口にします。その後キスを交わす2人。

そこにブリーがやって来ます。冗談めかして良いタイミングで来た、とドライバーは語り娘のために絵のモデルになります。

シャロンがもうお父さんを休ませましょう、と言いに来ました。続きは明日にして、娘にキスをしてお休みと告げるドライバー。

その夜コミューンに襲撃者の一団が迫ります。彼らをジョーが手引きしていました。密かに迫る襲撃者は、見張りの男をボウガンで射殺します。

続いて機関銃が掃射され、爆発が起き見張り台が破壊されます。眠っていたドライバーは目覚めました。

爆発は襲撃者のリーダーにも計算外の出来事です。妻にブリーと共に荷物を持ち逃げるよう告げ、部屋から飛び出すドライバー。

爆発音はスピーカーに引きつけたゾンビたちの注意を引きました。ゾンビはコミューンを目指し走り出します。

襲撃者はコミューン内に乱入し住民を襲います。無線放送していたDJも騒ぎに気付き、襲撃を受けたとマイクに叫びます。ここには近寄るな、北にあるヘブンを目指せ。私はヘブンを信じていると叫ぶDJ。

襲撃者は抵抗する住民を殺害します。拳銃を抜いたドライバーは、確実に襲撃者を射殺しました。

騒音で集まったゾンビはコミューン内に侵入します。襲撃の報告に現れたリーに、自分を守れと叫ぶリーダーのカブリエル。

娘の寝室に現れ、逃げるため荷物をまとめるシャロン。ブリーは父がどこか尋ねますが、必要な場所にいるとしかシャロンには答えられません。

リーは住民の避難を誘導しますが、襲撃者との銃撃戦となります。ゾンビがコミューンの施設内に侵入し混乱は増していきました。

コミューンと襲撃者とゾンビの三つ巴の戦いが続き、ジョーはガブリエルの前に現れ銃を突き付けます。裏切者と叫ぶガブリエルを、お前の神はどこにいると叫び射殺するジョー。

逃げ出したジョーを見て裏切りを悟り、彼を追うドライバー。シャロンは娘をかばって逃げていました。

ジョーはゾンビに襲われますが、そのゾンビをドライバーが射殺します。ゾンビに噛まれたジョーに、ドライバーはなぜ裏切ったと叫びます。

お前が車を運転させてくれなかったからだ、と叫ぶジョー。あまりに身勝手な理由に怒りを覚え、ジョーを射殺したドライバー。

リーは襲撃者と銃撃戦を交え、ドライバーは格闘で敵を倒します。そこへゾンビが乱入してきました。

ドライバーを押さえつけた男がゾンビに襲われ、逃れたドライバーはリーの元に駆け付けますが、既に彼は噛まれていました。暗黙の了解の上でドライバーはリーを射殺します。

シャロンと逃げるブリーは、親とはぐれた子供を助けました。しかしゾンビが迫って来ます。娘を先に逃がしゾンビに抵抗するシャロン。

ドライバーが駆けつけますが、シャロンはゾンビに首を噛まれていました。ブリーは止血しなければと泣き叫びますが、彼はもう手遅れだと告げます。

シャロンは自分のブレスレットを形見として娘に渡します。別れを惜しむブリーに、もう行く必要があると告げたドライバー。

ブリーは愛していると母に告げ、その場から離れます。ドライバーとシャロンも別れを終えました。ブリーは鳴り響く銃声を耳にします。

ドライバーは娘を抱え通路を進みます。周囲には多くの死体が散乱していました。ガレージについた彼は愛車のBMWに娘を乗せました。

裏切者のジョーに死は生易しい、ゾンビの餌食にするんだった。奴を撃った時は気分が良かったが、と振り返るドライバー。

これまで自分は生活のため人を殺してきた、今後は生きるために死者を殺すのだ、と自らの運命を嘆きます。バリケードを撤去し、ゾンビを殺し彼は車を走らせます。明るくなった林の間を進む青色のBMW。

人々は北にある楽園ヘブンは、噂に過ぎないと語っていましたが、彼は存在を信じていました。コミューンの外で事故を起こし死んだ家族を見た。家族の男は、息を引き取る前にヘブンを目指していたと言い残します。

ドライバーは娘のためにヘブンを目指し車を走らせます。それは噂かもしれないが、それが私たちの希望だと信じるドライバー。

彼は川の側に車を停めました。息を潜めて川に向かうと父娘は体を水で拭きます。襲撃者が現れた理由を聞かれ、ドライバーはジョーが裏切ったと教えます。

ブリーには理解できない行為でした。奴は報いを受け死んだと告げますが、友人や多くの人々、そして母も死んだと叫ぶブリー。

大声を出すとゾンビを引き寄せる、とドライバーは注意します。ブリーは父の左腕の傷に気付きます。ドライバーは銃弾がかすめた傷だと説明します。

娘をその場から去らせると、ドライバーは傷口を確認します。それはゾンビに付けられたものでした。

彼は自分の運命を悟ります。しかし戻って来たブリーには笑顔を見せました。

近くにゾンビがいるので、親娘は音を立てぬように車に戻ります。ブリーは母は死なれ、自分もいずれゾンビになる、それは12時間後か、もう少し先だと考えるドライバー。

残された時間でヘブンを見つけ、娘に生きるチャンスを与える。それが自分の最期の使命だ、銃弾の最後の1発は自分のために取っておこう、と彼は自分に言い聞かせます。2人を乗せたBMWは走り出しました…。

以下、『アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード』のネタバレ・結末の記載がございます。『アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)K.A.O.S., an Entertainment Co., Ltd.

ドライバーと娘のブリーは、走る車の中で笑顔で食事をとります。北を目指すBMWの車内で、ブリーは母の形見のブレスレッドをもて遊びます。

走る車の中で武器の扱いを教えるドライバー。少しずつ教えると言い拳銃を渡します。ペッツのキャンディの同じ要領だと説明し、弾倉への銃弾の装填方法を教えました。

安全状態から射撃可能な状態まで操作させると、狙いの付け方を教えます。自分は他人にこれを教えていたと話すドライバー。

ブリーはその言葉の意味を尋ねます。ドライバーはかつて人を殺す仕事をしていたと娘に認めました。

どんな銃も安全に操作できると言うブリーに、そうは思うなと告げる父。銃は常に慎重に扱うように教え、操作を繰り返させます。

車を停めると車外に出て水を飲み干すドライバー。ゾンビ化の初期症状が現れたようです。彼は助手席に移ると娘を運転席に座らせました。

次は運転を教えるとドライバーは言います。このBMWは自分の宝物だと慎重に扱うよう釘を刺し、シートベルトをしろと促すドライバー。

どこに行くのか尋ねるブリーに、彼はヘブンだと告げました。それは作り話だと思っていたと答えるブリー。

恐る恐る車を動かしたブリーも、徐々に運転に慣れていきます。ドライバーは誕生日おめでとうと娘に告げますが、その日は明日でした。それを指摘されると、何も待つ必要はないとドライバーは言いました。

シャロンを亡くしたばかりのブリーに、誕生日を祝う気はありません。ヘブンに到着すれば母のために悲しもう、しかし今は互いの幸せを確認しようと語るドライバー。

納得した娘に、ドライバーは誕生日を祝う歌を歌います。しかしブリーは車を急停止させます。目の前の道路は封鎖され、凶器をも持つ3人の男が立っていました。

車から降りたドライバーは問答無用で2人を撃ちました。残る1人に道路上の障害物を撤去させ、終わるとすぐさま射殺します。

運転席についたドライバーにブリーが謝りますが、彼は良くやっていると言って責めません。

相手が何者か尋ねた娘に、盗賊のクズだと告げるドライバー。彼らのような人間を信用してはいけないと教えます。

ではヘブンの人々は信用できるのかと問う娘に、彼らが噂通りの人たちであれば、互いに信頼せねばならないと答えるドライバー。

ブリーは、父がひどく汗をかいていると気付きます。先ほどのトラブルでアドレナリンが出たせいと説明し、ドライバーは水を求めました。

その水を飲もうとした娘に、母から開封したペットボトルを共有するなと教わったはずだ、と告げるドライバー。父の様子にブリーは疑念を抱いたようです。

「Mart(市場)」の看板を出した家の前に車を停めたドライバー。周囲に遺体が転がっていました。最近殺されたものと告げた彼は、娘に銃を持たせました。

銃は慎重に扱い自分に向けず、目と耳をフルに働かせて周囲を警戒し、何かが来れば引き金を引けとドライバーは言って、自分にはお前の助けが必要だと話し外に出ます。

娘に周囲を警戒させ、ドライバーは手回しポンプでガソリンを汲み愛車に給油します。そこに現れたゾンビに銃を向けるブリー。

しかし彼女は引き金を引けません。ドライバーがゾンビを射殺すると、2人は車に乗り立ち去ります。

慰める父にこれでは母と同じ様に、死んでいたかもしれないと語るブリー。初めてでは仕方なかい言うドライバーに、奴らを殺すことを学ぶ必要があるとブリーは言いました。

自分には銃と弾薬はたくさんある、しかし時間は残されていないと考えたドライバーは、見晴らしの良い開けた場所に車を停めます。

最初は標的と距離がある方が良いと告げ、BMWのトランクからスコープ付きのライフルを出し娘に持たせるドライバー。

慎重に扱うことを強調し、ライフルの操作法と射撃時の注意を伝えたドライバーは、周囲の警戒を怠らないよう告げて発砲します。

その音を聞いて現れたゾンビを撃つブリー。しかし走って迫り来るゾンビは、簡単に仕留めることは出来ません。

ゾンビは数を増します。娘が対処しきれぬゾンビはドライバーがショットガンで撃ち、ブリーは近くまで迫ったゾンビを拳銃で倒します。頃合いを見て車に戻る2人。

銃をトランクにしまうドライバーをめまいが襲います。彼は運転席に座り車を走らせました。

青いBMWは一本道を走り抜けます。ドライバーは荒い息遣いで水を飲み干すと、次のペットボトルを求めます。

ブリーは父がゾンビに噛まれ、徐々に死に至りつつあると悟りました。車を停めるよう強く告げるブリー。

停車するとブリーは父に嘘を付いたと指摘します。父が死にかけているのを知っていたと告げる娘に、お前を安全な場所に届けねばならなかったと、ドライバーは語りかけます。

両親のいない安全な場所かと涙を見せ問うブリーに、彼はそれでも目指すべき場所だと言い、そして娘に謝りました。

今後どうべきか迷う娘に、生きて幸せになれとドライバーは言い聞かせます。その方法は判らないが、お前はきっと見つけると語るドライバー。

彼は涙ぐみ抱きしめようとしたブリーを拒絶します。自分の血や汗が感染を引き起こさないと確信が持てないからでした。

過酷な現実を突き付けられ、車から飛び出した娘の後をドライバーは追います。

ブリーは草木に覆われた道を走り、廃墟を抜けた先でゾンビに出会い射殺します。銃声の方へと走るドライバーは、激しく咳き込みました。

ドライバーは娘に掴みかかるゾンビを射殺し、銃声を聞き次々現れるゾンビを撃ち倒していきます。

しかし数は多く、彼は飛び掛かってきたゾンビに噛まれました。そのゾンビをブリーが射殺しました。

自分と共に動き銃口は前に向けろと叫び、ゾンビの群れから父娘で脱出しようと試みるドライバー。

しかし体調を崩した彼は転倒し、2人はゾンビの群れに囲まれます。手持ちの弾薬も少なくなり、覚悟を決めたドライバーは銃口を娘に向けました。

突然銃声がします。荷物を背負った2人の若い女がゾンビを始末してくれました。ドライバーは2人を車のある場所に案内します。

父娘を救った2人はローズとシルビアと名乗ります。2人もヘブンを目指し旅する途中でした。4人が乗った「ユニコーン」のプレートが付いた青いBMWを、シルビアが運転しました。

ローズもシルビアも、ドライバーがやがて死にゾンビになると悟ります。その時はローズがあなたを撃つと、ドライバーに話すシルビア。

それはドライバーもブリーも覚悟していることです。ドライバーは承諾し娘を彼女らに託します。

意識を失いかけた父を止血しようとするブリーに、彼は無駄だと言いました。しかし彼女の判断は正しいと言うローズ。

言葉に従い新たに噛まれた傷を止血するドライバー。ブりーは自分のせいだと謝ります。ドライバーはそれ以前にも噛まれたとローズとシルビアに説明します。

走り続ける車の中で、ドライバーは放送を受信できるか試そうと提案します。ラジオを入れると女の声が聞こえてきました。

この放送が聞こえるなら道をそのまま北に進み、川沿いに進めと案内していました。ただし周囲には何百、何千のゾンビがいるので注意しろと放送は警告します。

生存者の楽園、ヘブンは存在したと一同は喜びます。放送は罠かもしれない疑念はありますが、信じて進むしかありません。

しかしドライバーの命は尽きようとしていました。ヘブンに医者や特効薬があるかもとブリーは訴えますが、残念だが治療法は存在しないとローズとシルビアは告げ、その言葉を認めるドライバー。

ドライバーの愛車のBMWは進めるだけ進み、ついに停まります。父はいずれ娘を手放すものだ、自分はブリーに充分なこと伝え、妻シャロンが娘に与えたものも知っていると振り返ります。

お前は母の様に美しくスマートで強い、そして私のお気に入りの娘とブリーに言い聞かせるドライバー。

ブリーも父を愛していると答え、自分に与えてくれた事は決して忘れないと答えます。ドライバーは苦痛に耐え、娘に2人と共に行けと告げました。

ローズとシルビアは彼にうなずくと、ブリーと共に林の中に進みました。ドライバーは空に向け発砲し、愛車に乗り込みクラクションを鳴らします。

ゾンビが続々と集まります。できるだけ多くのゾンビを引き付け、手榴弾の安全ピンを抜くドライバー。彼の脳裏に家族と過ごした時間が甦ります。

彼の命が尽きようとした時、爆発が起きました。その音を聞くブリーとローズとシルビア。3人は目の前に立ちふさがるゾンビに発砲します。

ブリーも1人の戦士としてゾンビを倒しました。3人は必死に走り、銃を射ち洞窟へ駆け込みます。

しかしゾンビの大群が洞窟になだれ込んできました。ついに銃弾は尽き、覚悟を決めたローズとシルビアはナイフを抜き身構えます。

その時、洞窟の入り口の方からサイレンの音が響き渡ります。ゾンビたちは動きを止め、そちらに移動して行きます。そのゾンビたちを倒してゆく1人の男(ケイン・コスギ)。

その男は仲間と共に、ゾンビをすべて始末しました。ブリーたちの前に現れた男はこう告げます。「ようこそ、ヘブンへ」。

ブリーは究極の犠牲を払ってくれた、決して完璧な男ではなかったが、素晴らしい夫で自分には最高の父、そして自分に生きるチャンスを与えてくれたドライバーに感謝しつつ、ヘブンに向かいました…。

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映画『アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード』の感想と評価


(C)K.A.O.S., an Entertainment Co., Ltd.

ゾンビに噛まれやがて尽きる命。残された時間は我が子のために使う。という胸熱展開のゾンビ映画です。

邦題が『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)みたいな本作、調べると製作費は『マッドマックス~』の1/100以下だと怒ってはいけません。

『マッドマックス~』との共通点の検証はさておき、本作の見どころはマーク・ダカスコス、ジュリー・コンドラ、ノエラー二・ダカスコスの実の親子が、ゾンビ・アポカリプスの世を生きる家族を演じる事にあります。

泣ける家族の話を本物の家族が演じた、究極の「ゾンビ・ファミリー・ムービー」の登場です。さあ、映画の展開を思い出してもう一度泣きなさい!

ゾンビ映画にダカスコス・ファミリーが結集!


(C)K.A.O.S., an Entertainment Co., Ltd.

インタビューで妻と娘との仕事は楽しかった、まるで浮気してるような気分だった、と笑いながら答えたマーク・ダカスコス。

もちろん映画の中の登場人物は実際の人物と違いますが、それでも娘と妻の関係を演じるのは簡単で、楽しく貴重な経験だと振り返っています。

親友でもある監督、ウィッチ・カオサナヤンダ(カオス)の映画に参加するために、ロケ地のタイに向かったダカスコス一家。脚本を読んだ彼は、本作の娘役は自分の娘が出来ると提案し監督もそれを了承しました。

ジュリー・コンドラとの共演は『クライング・フリーマン』以来、しかも彼女にとって映画出演は10数年ぶりです。妻の復帰作での共演は、本当に光栄だとダカスコスは語っています。

実に微笑ましいお話で、その家族愛の姿は劇中でも発揮されました。低予算映画だからのキャスティングだとの指摘はごもっとも。

この低予算映画ならではの”アットホーム感”、時には”いい加減感”とも呼ぶべきムードは、本作の様々な部分で発揮されています。

ダカスコス・ファミリー以外にも気になる人々が出演!

参考映像:『Paradise Z(Two of Us / Dead Earth)』(2020)

本作にはカオサナヤンダ監督の常連俳優が多数出演しています。例を挙げるとリーを演じたチャーリー・ルドポカノンはスタントマンとして監督の作品を支える人物で、本作では少し大きな役に抜擢されています。

コミューンの指導者、ガブリエルを演じたアダム・ザカリー・スミスは、カオサナヤンダ監督作品を何本も製作したプロデューサー。頼まれれば出演もする人物です。

唐突に現れる助っ人美女2人、ローズを演じたアリス・タンタヤノンと、シルビアを演じたミレーナ・ゴラムは、同じカオサナヤンダ監督の映画、なぜか複数題名が存在する楽しそうなゾンビ映画『Paradise Z』(2020)に、本作と同じ役名でダブル主演しています。

本作のDJ役のマイケル・S・ニューも、同じ役名で『Paradise Z』に出演しています。この映画は『アンデッド・ドライバー』の姉妹編か、ひょっとするとニコイチでまとめて撮影した作品でしょうか?

予告編をご覧の方は、全員同じ疑問を抱くでしょう。ミレーナ・ゴラムはホラーコメディ映画『ブラック・ルーム』(2017)で、エッチな夢魔として有名な”サキュバス”を演じ、好事家の注目を集めています。

マーク・ダカスコス主演・カオサナヤンダ監督作『One Night in Bangkok』 (2020)には、アリス・タンタヤノンとチャーリー・ルドポカノン、マイケル・S・ニューが出演しており、製作はアダム・ザカリー・スミスです。

B級映画人脈による、別の意味の”アットホーム感”が漂ってきました。こうした発見もB級映画の楽しみでしょう。

まとめ


(C)K.A.O.S., an Entertainment Co., Ltd.

以上、B級映画的見どころを中心に『アンデッド・ドライバー 怒りのゾンビロード』を解説してきました。

とはいえストーリーを純粋に楽しめる方なら、ゾンビ溢れる終末世界で描かれた家族愛の姿に、それを演じた実の家族の姿に、ハートを大きく揺さぶられるでしょう。

と感動的に紹介を終えたいのですが、本作は唐突に助っ人美女2人が登場した後に、さらに大本命の助っ人が登場します。そう、ケイン・コスギです。

映画館で鑑賞した際、最後の最後に現れた彼の姿に気付いた場内の全員が、「やっと登場かよ!」と思わず吹き出しました。この愉快な一体感、映画館でしか味わえません。

やはり、映画は映画館で観たいものです。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」は…


(C)Vodorod Pictures LLC, (C)Art Pictures Studio LLC, (C)Hype Film LLC, (C)NMG Studio LLC, 2020

次回第41回、最後の作品として紹介するのは旧ソ連の宇宙開発の現場に、地球外から現れた恐るべき生命体が現れた!SFサバイバルアクション映画『スプートニク』を紹介します。お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2021見破録』記事一覧はこちら






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オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学