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Entry 2020/10/29
Update

ルパン三世カリオストロの城|ネタバレあらすじ感想とラスト結末の考察解説。宮崎駿監督の作画/作劇で“映画の醍醐味”を生む演出

  • Writer :
  • 河合のび

宮崎駿監督の映画初監督作にして、時を超え人々の心を彩る名作アニメ!

2020年11月、日本テレビ系列「金曜ロードSHOW!」にて放送が決定された特集「2週連続ルパン三世」。モンキー・パンチ原作のアニメ「ルパン三世」シリーズにて初のフル3DCGで製作された『ルパン三世 THE FIRST』が2020年11月27日に地上波初放送を予定しています。

そして『ルパン三世 THE FIRST』に先んじて2020年11月20日に放送されるのが、日本のみならず国外でも数多くの人々からも「不朽の名作」と称される長編アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』です。

スタジオジブリ作品で知られる宮崎駿の映画初監督作でもある『ルパン三世 カリオストロの城』。1979年に劇場公開され40年以上を経た現在も、テレビ放送などを通じて世代を超え多くの人々に愛され続ける作品です。

映画『ルパン三世 カリオストロの城』の作品情報


原作:モンキー・パンチ/(C)TMS

【公開】
1979年(日本映画)

【原作】
モンキー・パンチ

【監督】
宮崎駿

【脚本】
宮崎駿、山崎晴哉

【作画監督】
大塚康生

【音楽】
大野雄二

【キャスト】
山田康雄、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、納谷悟朗、島本須美、石田太郎

【作品概要】
モンキー・パンチ原作のアニメ「ルパン三世」シリーズの劇場映画第2作、そしてスタジオジブリにて数々の名作アニメ映画を手がけてきた宮崎駿の映画初監督作にある長編アニメ映画。

公開当時の興行収入は劇場映画における前作『ルパン三世 ルパンVS複製人間』に及ばなかったものの、業界内での評価は非常に高かった。またのちに日本テレビ系列でのテレビ放送、上映会が繰り返されたことで人気が高まり、2020年現在に至るまで「国民的アニメ映画」と称されるまでの知名度を確立した。

映画『ルパン三世 カリオストロの城』のあらすじネタバレ


原作:モンキー・パンチ/(C)TMS

天下の大泥棒において怪盗アルセーヌ・ルパンの孫であるルパン三世(以下:ルパン)、その相棒であり銃の達人の次元大介(以下:次元)は、ある晩、モナコの国営カジノから大量の金を盗み出します。

追っ手を見事に撒いた二人は、大量の札束でギュウギュウの車内で成功を祝います。しかし紙幣をよく見た瞬間、ルパンは紙幣が“幻の贋札”と称される精巧な贋札「ゴート札」だと気づきます。そして次の狙い「ゴート札の秘密」を追うべく、その出処と噂されるカリオストロ公国へ向かうことにします。

変装によって公国へと入国した二人。パンクした車のタイヤの修理をしていると、ひとり車で逃走する花嫁衣装姿の少女・クラリス、彼女を同じく車で追う謎の男たちと遭遇します。

ルパンは車を走らせます。謎の男たちが素人でないと察しながらも、ルパンはトンデモな運転技術で男たちの車をまくり、次元の狙撃によって男たちの撃退に成功します。しかし、運転中に頭を打ってクラリスは気絶していました。

ルパンは急ぎクラリスの車に乗り移り、崖から落ちようとする車から彼女を助け出します。ところが思わぬアクシデントで二人は崖から落下。クラリスを庇ったため気絶してしまったルパンを、クラリスは優しく介抱します。

やがて目を覚ますルパン。彼が気絶している間にクラリスは船に乗った別の追っ手らに連れ去られていました。しかしルパンは、彼女が偶然残していった指輪に気づきます。


原作:モンキー・パンチ/(C)TMS

指輪に刻まれたヤギの紋章を見て何かを思い出したルパンは、次元とともにある場所へと向かいます。そこはかつて大火事によって焼け落ち、その際に亡くなってしまったとされているカリオストロ公国大公の屋敷跡でした。

やがてルパンは公国の摂政を務めるカリオストロ伯爵(以下:伯爵)の城を見ながら、クラリスは伯爵の手下に追われていたこと、自身がかつてゴート札の謎を探ろうとしたものの、返り討ちに遭ってしまった過去を次元に明かします。

一方その頃、伯爵は城に再び監禁されたクラリスの元に訪れた際に、彼女が身に付けていたはずの指輪を失くなっていることに気づきます。そしてクラリスの逃亡を手助けしたというルパンたちに公国の特殊部隊「カゲ」を放ちます。

宿で休んでいたルパンたちに襲いかかるカゲたち。次元の拳銃が放つマグナム弾をも弾く仕込み鎧に苦戦しながらも、二人は何とかその場を逃れました。

その後ルパンは、一味の一員であり名刀「斬鉄剣」の使い手である剣客・石川五ェ門(以下:五ェ門)を呼び寄せた上で、ルパン逮捕に全てを懸ける国際警察の銭形幸一警部(以下:銭形)も城へ訪れるように仕向けます。

夜になり、ルパンは城と大公の屋敷跡を今でも繋いでいるローマ水道を通じて城内へと侵入。銭形に変装することで衛士隊の目をかいくぐり、さらに内部へと潜り込みます。

そして使用人として先んじて城に潜入していたルパン一味の謎多き美女・峰不二子(以下:不二子)からクラリスの居場所を聞き出し、彼女が監禁されている塔へと向かいました。


原作:モンキー・パンチ/(C)TMS

クラリスと再会したルパンは、自身の運命を悲観する彼女に「泥棒の仕事」を語りながらその心を慰めますが、伯爵に見つかったことで地下牢獄へと通ずる穴へ落とされました。

しかし、ルパンは本物とすり替えた偽の指輪に仕込んでいた通信機によって、伯爵の目的は先祖の財宝であること、財宝の「鍵」であり、自身が持つ「金」のヤギの指輪と対となる「銀」のヤギの指輪を持つクラリスと無理やり結婚し、指輪を我が物にしようとしていたことを知ります。

地下牢獄に着いたルパンは、自身を追っていた最中に同じく落とし穴に落ちてしまった銭形と再会。翌朝、本物の指輪を回収するため再び襲撃してきたカゲたちを協力して返り討ちにし、地下牢獄から脱出します。

逃走中、二人は地下にあった贋札工房を発見。世界各地の膨大な数の贋札を目の当たりにし義憤を覚える銭形に対し、クラリスを城から救い出したいルパンは「城から脱出するまで」という条件で一時休戦を約束します。

ルパンと銭形は贋札工房に火を放ったのち、伯爵愛用のオートジャイロを奪取。城から撤退しようとしていた不二子の協力も得てクラリスを城から連れ出そうとしますが、伯爵の執事ジョドーの操る機関銃によって胸を撃ち抜かれてしまいます。

銭形と不二子の助け、そしてクラリスの必死の行動によって、ルパンは辛くも城から脱出。しかしクラリスの救出は失敗に終わりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ルパン三世 カリオストロの城』ネタバレ・結末の記載がございます。『ルパン三世 カリオストロの城』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


原作:モンキー・パンチ/(C)TMS

銭形は城を脱出後、工房から持ち出した贋札を証拠として国際警察に提出。城への出動要請をしますが、上層部は今回の事件を「高度に政治的な問題」と判断。国際警察は今回の事件から手を引くことを言い渡されます。

一方、昏睡状態を経てようやく目覚めたルパン。彼は城からの脱出後、以前大公の屋敷跡で出会った老庭師に「誰にも懐かない老犬がそばから離れない」という理由から介抱され、彼の家に匿われていたのです。

目を覚ましたルパンはやがて、初めて会ったはずの老犬の「カール」という名を知っていた理由、クラリスが残した指輪を見て彼女が大公家の娘であることに気づいた理由を明かします。

かつてルパンがゴート札の秘密を探るべく城に潜入した際、彼は今回同様に重傷を負い、何とか逃げ延びたものの、火事に遭う前の大公の屋敷の庭で力尽きてしまいました。そして諦めかけていたその時に、まだ幼い少女だったクラリスと出会い、彼女に命を救われていたのです。

翌日、予定されていたクラリスと伯爵の結婚式が始まります。しかし「誰も偽者だと疑おうともしない人物」に変装し城に潜入していたルパンは、指輪を奪いクラリスを救出します。

城内は大混乱。また騒ぎに乗じ警官隊と城内へ突入した銭形は、彼に入れ知恵をした不二子と地下へ走り、衛星テレビ中継で贋札工房の存在を全世界へ暴露しました。

次元と五ェ門が結婚式の護衛役として紛れていたカゲたちとの応戦を引き受け、ルパンとクラリスは時計塔へと逃げ込みます。追っ手を撒こうとしますが、思わぬ隙を突かれ再び伯爵にクラリスを奪われてしまいます。

ルパンは、クラリスがくれたヒントで分かった指輪の謎「時計塔の文字盤に彫り込まれたヤギの両眼に二つの指輪をはめ込んだ時、財宝が姿を現す」を明かします。そして指輪と財宝を引き換えに、クラリスを引き渡すよう求めます。


原作:モンキー・パンチ/(C)TMS

伯爵は要求に応じたフリをした上でとんでもない不意打ちを浴びせ、ルパンは窮地に陥ります。伯爵がルパンにトドメを刺そうとした瞬間、クラリスは時計塔から飛び降り伯爵を道連れにしようとします。

必死な伯爵は自身の手を離さないクラリスを足蹴にし、遥か下の湖へと叩き落とします。ルパンはためらうことなくその身を投げ、クラリスを庇いながら湖へと落ちていきました。

一方、ルパンの言う通りヤギの両眼に指輪をはめ込んだ伯爵。すると時計塔の内部、そして時計塔の巨大な短針と長針が急速に動き出します。逃げ場を失った伯爵は動き続ける針の間に挟まれ、ついには押し潰されてしまいました。

時計塔が崩壊したことで、湖から大量の水が吐き出されていく様を見つめる城内の人々。そして無事に湖岸へと辿り着いていたルパンとクラリスは、水の引いた湖底から姿を現した古代の遺跡群を目にします。

実は湖の正体は「ダム」であり、沈められていた財宝とは、かつてローマ人がその地を追われた際に密かに隠した「古代ローマのポリス」そのものでした。時計塔の仕掛けは「その時」に備えて湖の排水を行うための装置、指輪はその起動装置だったのです。

銭形の隠蔽のしようがない暴露によって、ついに重い腰を上げた国際警察の飛行機が上空を飛んでゆきます。それは、世界史の裏で暗躍してきたゴート札と公国の終焉を意味していました。

クラリスは泥棒になってでもルパンについてゆくことを望みますが、ルパンは彼女との別れに葛藤を抱きながらも「お前さんの人生はこれから始まる」「俺のように薄汚れちゃいけない」と諭します。

クラリスはカール老庭師に再会。その隙に、ルパンはその場を立ち去ります。またルパンを追ってきた銭形も、クラリスに「ルパンが盗んでいったもの」を伝えると「泥棒」のルパンを捕まえるべく再び彼を追いかけ始めます。

「爽やか」な別れとともにルパンとの再会を願うクラリス。そして逃げるルパンたちの車とそれを追う銭形たちのパトカーは、やがて彼方へと消えていくのでした……。

映画『ルパン三世 カリオストロの城』の感想と評価


原作:モンキー・パンチ/(C)TMS

作画・作劇に組み込まれた「緩急」の妙技

本作を手がけた宮崎駿監督は本作について、「テレビアニメ『ルパン3世』第1シリーズや、東映アニメーション時代にやってきたことの大棚ざらえ(商品整理のため、在庫品を安く売りさばくこと)」と自虐的ともいえる言葉で評しています。

それは限られた構想・制作の期間ゆえに、時には絵コンテを書き直さざるを得なかった「やり残し」が生じてしまったからこその評価かもしれません。しかしながらその評価は、『ルパン三世 カリオストロの城』が宮崎監督にとって、それまでに培ってきた『ルパン三世』という作品に対する思い、そして作画や作劇におけるノウハウの一つの集大成的作品でもあると示しているとも受け取れます。

その「ノウハウ」が最も大きく表れているのが、作画・作劇の両面を支えている「緩急」の演出でしょう。

作中冒頭の「大胆不敵」なカーチェイスからの、公国の特殊部隊「カゲ」の襲撃に苦戦を強いられる夜のカーチェイス。クラリスの監禁されている塔へルパンが向かう際の、誰もが笑い驚く大ジャンプの連続からの、月の光の下で静かに心を通わせる二人の姿……作画のアクションとして、作劇の物語としての「緩急」が一体となった形で演出されています。

またさらに視野を広げてみると、その「緩急」は場面ごとの演出にとどまらず、作品/物語全体を通じて「緩急」の演出が施されていることが分かります。

徹底された「緩急」。作画と作劇、作品と物語に通底するその演出が、映画を観る人々の心を「波」のようにうねらせ、映画を観終えた時のその心には映画の醍醐味の一つといえる「心踊る体験」が刻み込まれている。宮崎監督は初の映画監督作であるはずの本作の時点で、映画の醍醐味の一つを表現し得ていたのです。

まとめ

映画『ルパン三世 THE FIRST』(2019)予告編

2019年に公開された映画『ルパン三世 THE FIRST』を手がけた山崎貴監督も少年時代から『ルパン三世』が大好きで、その中でも『ルパン三世 カリオストロの城』を観た記憶はよく覚えているとのこと。山崎監督もまた、宮崎監督の「緩急」の演出によって「心踊る体験」を得られた人間の一人だったわけです。

またシリーズの初の3DCGアニメーションで製作された『ルパン三世 THE FIRST』についても、少年時代からの思い出の作品である『ルパン三世 カリオストロの城』へのオマージュを多数盛り込んでいることを明かしています。

若き日の宮崎監督が手がけた『ルパン三世 カリオストロの城』を観た後に、同作によって「心踊る体験」を得て、ついには同じ「作り手」の人間となった山崎監督が手がけた『ルパン三世 THE FIRST』を観る。

作中で描かれるオマージュを見つけ出すのも勿論楽しいですが、『カリ城』に感動した少年が大人になって描く『ルパン三世』に思いを馳せることもオツかもしれません。



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