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Entry 2021/09/16
Update

映画『ハート・ロッカー』ネタバレ感想とあらすじ結末の考察解説。最後に監督キャスリンビグローが描き出す爆発物処理班が知る生と死

  • Writer :
  • 秋國まゆ

アメリカ軍・爆発処理班の過酷な任務を映し出した戦争アクション!

キャスリン・ビグローが製作・監督を務めた、2008年製作のアメリカの戦争アクション映画『ハート・ロッカー』。

870以上の爆発物を処理した型破りの班長と、彼率いるアメリカ軍・爆発物処理班がイラク戦争中ののイラク・バクダッドに駐留し、爆発物処理に従事する姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

イラクに駐留する米軍爆発処理班の過酷な任務をリアルに映し出し、第82回アカデミー賞9部門にノミネートされた映画『ハート・ロッカー』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介させていただきます。

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映画『ハート・ロッカー』の作品情報


(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

【公開】
2010年(アメリカ映画)

【脚本】
マーク・ボール

【監督】
キャスリン・ピグロー

【キャスト】
ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ、デビッド・モース、エバンジェリン・リリー、クリスチャン・カマルゴ

【作品概要】
本作は、『悪魔の呼ぶ海へ』(2000)や『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012)、『デトロイト』(2017)などを手がけたキャスリン・ピグローが製作・監督を務めたアメリカの戦争アクション作品です。

主演は「アベンジャーズ」シリーズや『ザ・タウン』(2010)、『ボーン・レガシー』(2012)などに出演するジェレミー・レナー。本作は第82回アカデミー賞では9部門にノミネートされ、作品賞をはじめ6部門受賞した他、史上初の女性による監督賞受賞をも果たしました。

映画『ハート・ロッカー』のあらすじとネタバレ


(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

イラク戦争中の2004年、イラク・バグダッド。アメリカ軍の爆発物処理班(EOD)と、後方支援及び爆発物を捜索する歩兵小隊で構成された部隊「ブラボー中隊」は、戦時下のバクダッドに駐留し、路上に仕掛けられた「IED(即席爆発装置)」と呼ばれる爆弾の解体・爆破処理に従事していました。

その任務中、起爆装置を乗せた遠隔ロボットの荷台が壊れてしまったことで、EODの班長マシュー・マット・トンプソン二等軍曹が防爆スーツを着用し、代わりに爆破処理用の起爆装置を爆発物にセットすることになりました。

無事起爆装置をセットし、トンプソンはEODの上級隊員J.T.サンボーン軍曹と、EODの下級隊員オーウェン・エルドリッジ技術兵の元に戻ろうとします。

その途中、エルドリッジとサンボーンは、近くの肉屋の店長の不審な動きを目撃。彼らが危険を察知し、肉屋の店長を止めようとした瞬間、肉屋の店長が携帯電話によってIEDを起爆させてしまいました。

その結果、IEDの近くにいたトンプソンは死亡。その後、殉職したトンプソンの後任として、爆発物処理の専門家ウィリアム・ジェームズ一等軍曹がEODの班長に赴任します。

ジェームズはこれまで、873個以上の爆発物を解体したベテラン。しかもジェームズは、アメリカ陸軍の精鋭歩兵部隊「第75レンジャー連隊」の第3大隊出身であり、アフガニスタンでの任務経験がありました。

ブラボー中隊、任務明けまであと38日。トンプソンの死に責任と恐怖を感じているサンボーンとエルドリッジは、防爆スーツを着用し1人でIEDの解体に挑んでいくジェームズの姿に、気が気ではありませんでした。

2人の不安は的中し、歩くジェームズの横の路地から1台のタクシーが爆走し、咄嗟に銃を抜いた彼のすぐそばで停車。歩兵小隊とサンボーンたちが警戒を強めていく一方、ジェームズは冷静にタクシー運転手に銃口を突きつけ、後退するよう命じました。

終始だんまりを決め込んでいたタクシー運転手でしたが、しばらくすると、これ以上はヤバいと察知したのか、ゆっくりと後退していきます。タクシー運転手はその後、駆けつけた歩兵小隊によって身柄を拘束されました。

ジェームズは、路上に落ちているもの全てに気を配りながら前進し、小さな瓦礫の中へ巧妙に隠されていたIEDを発見。そのIEDを解体した後、彼はIEDからのびたワイヤーの先を辿っていきます。

そのワイヤーは、少し離れた場所に仕掛けられていた複数のIEDと繋がっていました。1つのIEDが起爆した途端、ワイヤーで繋がった複数のIEDも続けて起爆するよう配置されていたのです。

ジェームズがそれらも全て解体したのち、複数のIEDからのびた1本のワイヤーを再び辿っていくと、ある建物から1人の男が飛び出してきました。ジェームズが解体したIEDの部品を見た男は、無言でその場を立ち去っていきます。

この男こそがジェームズが解体したIEDを仕掛け、起爆させようとした爆弾魔でした。その証拠に、男はジェームズから離れた後、ズボンのポケットに隠し持っていた起爆装置を捨てて、逃走しました。

その後、ブラボー中隊は車輌(ハンヴィー)に乗えい、自分たちが寝泊まりしている基地「ビクトリー基地」へ帰還。

軍の精神分析医ジョン・ケンブリッジ軍医中佐は、トンプソンの死で士気の落ちたエルドリッジにカウンセリングを行いました。エルドリッジはケンブリッジに助言を貰っても、否定的な発言をしてしまいます。

ブラボー中隊、任務明けまであと37日。サンボーンは、チームワークや危険を顧みないジェームズと反発しました。

「また現場に出る前に行っておく、昨日のような危険を顧みない行動はやめろ」心配ない」「俺は7年諜報部にいて、お前のような危険を顧みない、死に急いでいる奴を見たことがある」「お前の道は正しいのか? 楽しみだな」

その後、ブラボー中隊は、国連ビルの敷地内に不法に停められた車に、爆発物が積んでいないか確認しに行きます。防爆スーツを着用したジェームズが車に近づいた瞬間、国連ビルのすぐ隣にある建物の屋上から、武装した男が銃を発砲し炎上させます。

歩兵小隊が車を炎上させた男を無事確保。ジェームズは炎上し続ける車を消火器で消火した後、車のトランクにぎっしり積まれたIEDの解体処理をしていきます。

エルドリッジがジェームズのそばに、サンボーンが国連ビルの屋上に配置につき、周囲の警戒にあたりました。

ジェームズは「死ぬなら気持ちよく死にたい」と言い、地獄の炎天下でも着ていたはずの防爆スーツを脱ぎ、無線を切ってヘッドホンを投げ捨てます。

ジェームズが車内をくまなく探した結果、車のインパネ中央部にある、センタークラスター(エアコンなどのスイッチやナビゲーションなどが取り付けられている部分)の中に隠されていた起爆装置を発見。

ジェームズは慎重に取り出し、解体作業を開始。この間、サンボーンとエルドリッジが、国連ビルが見渡せる場所にある尖塔に、こちらを監視する男3人がいるのを発見します。

3人のうち1人の男が、ずっとジェームズたちの様子をカメラで撮影していたカメラマンに、何か合図を送ります。それを見たサンボーンたちが警戒を強め、ジェームズに撤退を促したその時、ジェームズは無事IEDの解体に成功します。

ハンヴィーに乗り込み、ビクトリー基地に撤収しようとした時、サンボーンは安全対策を取らず、挙げ句の果てに無線を切ったジェームズの顔を1発殴りました。しかし怒るサンボーンとは対照的に、歩兵小隊を率いるリード大佐は、炎上車を消火しただけでなく、IEDの爆発も防いだジェームズを賞賛しました。

リード大佐はジェームズと握手し、彼に「爆弾を処理するのに、1番大切なことは?」と尋ねます。これに対しジェームズは、「死なないこと」と答えました。

以下、『ハート・ロッカー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ハート・ロッカー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

ビクトリー基地へ帰還したジェームズは、基地の前で兵士たち相手にDVDを売るサッカー好きの少年ベッカムからDVDを買ったことをきっかけに、彼と親交を深めていきました。

一方のエルドリッジは、軋み音がする自分たちのハンヴィーを修理しながら、ケンブリッジのカウンセリングを受けていました。

彼は命知らずなジェームズへの皮肉を交えつつ、EODの任務に対し否定的な発言をします。さらにエルドリッジは、爆発物の処理したことがないケンブリッジに「一度でも爆弾の前に立ってからものを言え」と挑発しました。

ブラボー中隊、任務明けまであと23日。砂漠に仕掛けられたIEDの爆破・解体処理を行っている最中、サンボーンはジェームズへ日頃募らせていった不満を爆発させ、起爆装置の誤爆による事故に見せかけ、彼を殺そうとまでしました。

サンボーンは本気でジェームズを殺そうと、起爆装置に手をかけましたが、エルドリッジの説得で踏みとどまりました。

IEDの爆破・解体処理を完了させ、ビクトリー基地へ帰還しようとするジェームズたち。その道中、四輪駆動車のタイヤがパンクし立ち往生している、アメリカ軍の味方にあたる民間軍事会社(PMC)の分隊と遭遇しました。

ジェームズたちがハンヴィーを降り、PMC分隊を手助けしていたその時、姿の見えない敵から突如襲撃を受けます。PMC分隊が敵の居場所の特定に手間取っているうちに、5人のうちPMC分隊長を含む3人が敵の狙撃を受け命を落とします。

サンボーンはジェームズを観測手に、850m先にある建物の屋上にいる敵2人と、建物内の窓から銃口を向ける敵1人を、対物ライフルで正確に狙撃します。その際、恐怖に震えるエルドリッジは、ジェームズに励まされながら、2人のサポートをこなしていきました。

しかし、なかなか最後の1人が姿を見せず、かといってこちらを攻撃する素振りも見せません。

いやな静けさが続く膠着状態の中、エルドリッジは線路が敷かれた近くの橋の上に、黒い山羊の群れに紛れてこちらを狙う敵が1人いるのを目撃。ジェームズたちは動けないため、代わりにジェームズに敵の始末を任されたエルドリッジが、初めて敵を撃ち殺しました。

陽が沈んでいってもなお、最後の敵に動きはありません。ジェームズたちは諦め、陽が完全に沈む前にビクトリー基地へ撤退することにしました。

ビクトリー基地へ帰還した夜、ジェームズたちは酒を飲み、互いに本音をぶつけ合い、親睦を深めていきました。その際、ジェームズのベッドの下に置かれた私物を見たサンボーンは、彼が結婚して子供もいることを知りました。

ジェームズは「本国に離婚後もそのまま一緒にいる妻と、幼い息子がいる」と答えました。また彼に恋人の有無を聞かれ、サンボーンは「彼女がいるが、ずっと赤ん坊を欲しがっていて困っている」と答えます。

ジェームズの私物を漁るサンボーンは、私物が入った箱の中に、爆弾の部品が入っているのを知りました。これを咎められたジェームズは、「この箱には、死にそうな思い出が詰まっている」と答えます。

「結婚指輪とかこれまで解体してきた爆弾の部品とか、人を殺しかけた物を集めるのが好きなんだ」……そう言うジェームズの体には、左半身の腹から胸にかけて、爆発によると思われる傷痕が残っていました。


(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

ブラボー中隊、任務明けまであと16日。不発弾の回収をしに行くEODに、エルドリッジの挑発に乗ったケンブリッジが同行することになりました。

床がほぼ水浸しになっている廃墟の中を捜索するEOD。その廃墟の中には、EODがこれまで爆破・解体処理してきたIEDの部品と、爆弾に「加工」されてしまったベッカムと思われる死体がありました。

EODが回収する不発弾とは、恐らく人間爆弾と化したベッカムのことのようです。人間爆弾の解体処理完了後、ビクトリー基地へ撤収しようとなった時、今度は路上に仕掛けられたIEDによってケンブリッジが死んでしまいました。

ビクトリー基地へ帰還後。いつもは冷静なジェームズも、人間爆弾にされたベッカムの死に激しく動揺し、彼と一緒にDVDを売りに来た男を「テロ組織に攻撃場所を教えている」と言い、衛生兵に追い出すよう訴えます。

さらにジェームズは、ベッカムの死を受け入れたくない一心で、男を脅迫してベッカムの家に案内させましたが、そこは全く別の人間が住む家でした。

ジェームズが徒歩でビクトリー基地へ帰還後、EODは緩衝地帯でタンクローリーが爆発した現場を調査しに向かいました。

大勢の死傷者が出たタンクローリーの爆発現場に到着後、EODは燃え盛る現場をくまなく調査していきます。その結果、自爆テロによる犯行だと判明しましたが、その犯人の死体は見つかっていませんでした。

ジェームズは、「犯人は爆発領域の外で、遠隔操作でタンクローリーを爆破し、この騒動をゆっくりと眺めていたに違いない」と推測。利口な爆弾魔を追跡しようとするジェームズとエルドリッジを、サンボーンは「爆弾魔の追跡は歩兵小隊に任せよう」と説得するものの、ベッカムと大事な仲間を殺された2人の怒りを抑えることは出来ません。

EODはヘルメットに着けた懐中電灯を消し、暗闇の中を歩き、爆発現場から近い市街地へ向かいます。

格子状になっている路地を別れて歩き、交差点で合流することにしたEOD。しかし、エルドリッジがいる方で銃声が聞こえ、サンボーンとジェームズは合流したのち、彼の捜索に向かいます。

ジェームズたちは、路地にいた2人組の男に拉致されそうになったエルドリッジを無事救出。ビクトリー基地へ帰還後、ジェームズは2人を危険に巻き込んだこと自分を責めました。

翌日、ジェームズは基地を出発する際、サッカーボールとDVDを持ったベッカムと再会します。姿なき利口な爆弾魔によって人間爆弾にされてしまったのは、ベッカムとよく似た別の少年だったのです。しかしジェームズは、ベッカムの生存を喜ぼうとしないどころか、声を掛けてきた彼を避けてしまいます。

ジェームズの誤射により、大腿骨が9ヶ所砕けてしまうほどの大怪我を負ったエルドリッジは、本国に帰還することに。ヘリで本国に移送される彼は、サンボーンと一緒に見送りに来たジェームズに悪態をつきましたが、内心では恐怖でしかない戦場を離れられたことに安堵していました。


(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

ブラボー中隊、任務明けまであと2日。ブラボー中隊は、何者かにぎっしり爆弾が入れてあるベストを着させられたイラク人の救出任務に向かいます。

防爆スーツを着用したジェームズは、通訳を介してイラク人に指示を出し、彼の体に巻きつけられた時限爆弾の解体を行おうとしました。サンボーンはそんなジェームズを止めます。

「俺たちは、色んなことでよく喧嘩した。だが、それらを全て水に流す」「これは自殺しようとしているイラク人の芝居だ。だからお前が行く必要はないし、あのイラク人は起爆する前に射殺するべきだ」

サンボーンの説得もむなしく、ジェームズは時限爆弾の解除に向かってしまいます。

タイムリミットまで残り3分、サンボーンは30秒でカッターをジェームズに手渡し、時限爆弾の解体に挑む彼のサポートに回りました。

タイムリミットまで残り2分。時限爆弾からのびるワイヤーがカッターでは切れない、鉄鋼製のものであることが判明。しかし、この場に鉄鋼製ワイヤーを焼き切れるバーナーはありません。

タイムリミットまで残り1分半。ジェームズはカッターだけでどう解除するか考え、試行錯誤していく中、サンボーンは解除は諦め、撤退することを進言します。

タイムリミットまで残り45秒。ジェームズは時限爆弾の解除を諦めず、サンボーンだけでも逃げるよう命令しました。しかし、時限爆弾に取りつけられた鍵の数が多かったため、ジェームズはやむを得ず諦めるしかありませんでした。

ジェームズはイラク人の目を見つめ、時限爆弾を解除できないことを心から詫び、退避しました。その直後に時限爆弾は起爆し、イラク人は命を落としました。

ビクトリー基地へ帰還する際、サンボーンは初めて、ジェームズに弱音を吐きました。

「まだ死にたくない。あと5センチで、爆弾の破片が喉を切り裂き死ぬところだった」「だが誰も気にしない。俺が死んだら、両親の他に誰が泣いてくれるんだ? 息子もいない」

「子供が欲しい、男の子が欲しい」「皆気づいている、現場に出れば生きるか死ぬかしか選択肢がないことに」

後日、アメリカに帰国したジェームズは、同居する元妻コニー・ジェームズと幼い息子と向き合い、穏やかな日々を過ごしていました。

平穏な日々の中、どこか物足りなさを感じたジェームズは、「やはり爆発物処理をする戦地こそが、自分が生を感じる唯一の場所なのだ」と自覚しました。

さらに後日、ジェームズは戦場に戻り、デルタ中隊と合流。再びEODとして1年間、防爆スーツを着用し路上に仕掛けられた爆発物の処理任務を行っていきます。

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映画『ハート・ロッカー』の感想と評価


(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

「苦痛の極限地帯」に赴くEODメンバーの心情

『ハート・ロッカー』という映画のタイトルは、アメリカ軍のスラングで「苦痛の極限地帯」または「棺桶」を意味します。

イラク戦争中のイラク・バクダッドでは、反米組織・反政府組織によって手製の簡易爆弾「IED(即席爆弾装置)」が数え切れないほど製造・配置され、その解体・爆破処理を担ったアメリカ軍のEOD(爆発物処理班)は、常にもたらされる緊張と死の恐怖という「苦痛」を強いられました。

爆弾を無事解体できれば、生きて帰れる。しかし失敗すれば、爆発によって即座に死へ至る。生と死、いずれの結果だけが必ず訪れるという「極限」の状況下で、EODの隊員はそれでも任務を遂行します。

しかし、訓練され心身を鍛えられた兵士とはいえ、彼らもまた「人間」に他なりません。いつも死と隣り合わせの戦場に派兵され、そこで次々と仲間たちが命を落としてゆく様を見て、恐怖に震えないわけがありません。

相次ぐ仲間の死に負い目と恐怖を感じるエルドリッジとサンボーンが、ケンブリッジとジェームズに対して言葉は違えど、「死にたくない」「生きたい」とそれぞれ弱音を吐きだす姿は、観ているだけで胸が苦しくなります

対極する2人の関係性と「死」への認識


(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

防爆スーツや仲間と連絡を取る命綱でもある無線など、安全対策をきちんとせずに爆発物処理へと向かう、命知らずなEODの班長ジェームズ。危険を顧みずスタンドプレーが目立つ彼に対して、彼を援護するサンボーンは反発します。

ジェームズの生き急いだ行動をサンボーンは何度も注意しますが、ジェームズは全く聞く耳を持ってくれません。いつしかサンボーンのジェームズに対する不満は爆発。時には彼を殴ったり、あまつさえ事故に見せかけての殺害すらも考えてしまいます。

しかしのちに、砂漠での狙撃手からの襲撃の場面にて、撃たれたPMC所属の狙撃手に代わってサンボーンが敵兵の狙撃に対抗した際には、ジェームズが観測手兼支援役となり、サンボーンのために弾の装填や水分補給などを担います。

そして危機的な状況を協力して乗り切り基地へ帰還した後、EOD隊員たちのジェームズの部屋での酒盛りを通じて、ジェームズが決して「命知らず」でも「『死』を忘れてしまった人間」でもないことをサンボーンが知ったことで、2人の関係性は変化します。

それ以降、エルドリッジの救出時やエルドリッジ不在の最後の任務でも、2人は素晴らしいコンビネーションを見せました。背中を預け合い、互いに協力して任務をこなしていくジェームズとサンボーンの姿は、まるで幾多の困難を一緒に乗り越えてきた相棒のように見えます

しかし映画の終盤では、2人の関係性を良い方向へと変化させたはずの「死」への認識が、2人の間では大きく異なることが無情にも描かれるのです。

まとめ


(C)2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

ジェームズたちアメリカ軍・爆発物処理班が戦時下のイラク・バクダッドにて、至るところに仕掛けられた爆発物を解体・爆破処理していく、アメリカの戦争アクション作品でした。

本作の見どころは、ジェームズたちアメリカ軍・爆発物処理班の過酷な任務と、苦痛と恐怖を伴う極限地帯に赴く彼らの心情です。

死の恐怖が付き纏う戦場で、ジェームズが爆弾を解体していく場面は、観ているこちらも緊張します。また爆発によって多くの死傷者が出る場面、少年が人間爆弾にされてしまう場面など、ショッキングな映像も相まって、ジェームズたちが味わう「ハート・ロッカー」を追体験することになります。

そして物語の冒頭には、「戦場での高揚感は、ときに激しい中毒となる」「戦争とは麻薬である」というテロップが流れます平穏な日々を取り戻したのにもかかわらず、死と隣り合わせの戦場で生を実感するようになったジェームズは、まさに戦争という麻薬の中毒になってしまったのでしょう。

死と隣り合わせの戦場を駆け回りながら爆発物処理に従事する、命知らずな班長率いる米軍爆発物処理班の過酷な任務を描いた戦争アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。




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