Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2018/06/23
Update

映画『ALONE/アローン』ネタバレ感想。地雷を踏んだマイクが結末で見たものとは

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

地雷を踏んでしまい、一切の身動きを封じられた米軍兵の、悪夢のような52時間を描いたワンシチュエーションスリラー。

今回は6月16日(土)より新宿シネマカリテほかで全国公開中の、映画『ALONE/アローン』をご紹介します。

映画『ALONE/アローン』の作品情報


(C)2016 Mine Canarias Aie Roxbury Enemy Sl Sun Film Srl Mine Film Llc

【公開】
2018年(アメリカ・イギリス・スペイン合作映画)

【原題】
Mine

【監督】
ファビオ・レジナーロ、ファビオ・ガリオーネ

【キャスト】
アーミー・ハマー、アナベル・ウォーリス、トム・カレン、ジェフ・ベル、ジュリエット・オーブリー

【作品概要】
砂漠の地雷原を舞台に、一歩も動けなくなった米軍兵士マイクが、極限の状況に追い込まれていくワンシチュエーションスリラー。

主演は『ソーシャル・ネットワーク』や『君の名前で僕を呼んで』などで高い演技力が評価されているアーミー・ハマー。

監督と脚本は、本作が長編デビューとなる、ファビオ・レジナーロとファビオ・グアリョーネ。

映画『ALONE/アローン』のあらすじとネタバレ


(C)2016 Mine Canarias Aie Roxbury Enemy Sl Sun Film Srl Mine Film Llc

テロリストの暗殺任務を進める、米軍の狙撃の名手マイク。

相棒のトミーと共に、暗殺直前までいきますが、事前情報と実際のターゲットに誤差があった事で集中力を乱し、敵のテロリストにも気付かれた為、暗殺任務に失敗します。

追手のテロリストから逃げながら、マイクはトミーと共に8キロ先の村へ避難する為に、砂漠の中を進む事にします。

歩いて約5時間の距離を進むマイクとトミーですが、目の前に地雷原を知らせる看板が現れます。

慎重になるマイクを置いて、「これはハッタリだ」と突き進むトミー、嫌な予感がしてトミーを止めようとしたマイクの前で、地雷が爆発します。

爆風と共に舞い上がった砂の中で、両足を失い倒れているトミーの姿がありました。

戸惑うマイクですが、自分も地雷を踏んでしまい、その場から一歩も動けなくなります。

重症を負い、取り乱すトミーを励ますマイクの声も届かず、トミーは所持していた銃で自ら命を絶ちます。

トミーの死にショックを受けたマイク、トミーが持っていた無線機を手繰り寄せ、救援を呼びます。

ですが、マイクの救援要請に応答した米軍から伝えられたのは、砂嵐でヘリコプターが飛ばせず、すぐには助けに行けないという事でした。

近くでテロリストと応戦している部隊が、マイクの救助に向かう事になりますが、順調に行って52時間後だと伝えられます。

また、古い地雷は7%の確率で爆発しないという情報と、限界が来た場合は、靴の底を切り取り圧力をかけながら脱出する方法を提案されます。

「体の一部は失うが、命は助かる」と伝えれたマイクは、見捨てられた可能性を感じながらも、救援を待つしか無い状態に追い込まれます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ALONE/アローン』ネタバレ・結末の記載がございます。『ALONE/アローン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
救援部隊からの連絡を待っていたマイクは、突然発生した砂嵐に巻き込まれ、無線機が遠くへ飛んでしまいます。

少し体を動かせば、無線機を掴む事ができますが、地雷が爆発する可能性から不用意に動く事ができません。

マイクは気を紛らわす為に、スマホで恋人のジェニーの写真を見たり、音楽を聞いたりして気を紛らわせていました。

すると、近くの村人と思われる、ベルベル人の男がマイクの前に現れます。

ジグザグに進む、奇妙な歩き方をする男に、マイクは地雷を踏んで動けなくなった状況を説明し、助けを求めます。

ですが、男は「何故、そこを動かない?」と不思議な回答をする為、話が全く噛み合いません。

それでも、空になったマイクの水筒を男は持って帰ります。

数時間が経過し、喉の渇きに耐えられなくなったマイクの前に、1人の少女が現れます。

マイクの水筒に水を入れて持ってきてくれた少女を、マイクはベルベル人の男の娘だと思い、感謝します。

マイクは、無線機を自分の近くまで運んでほしいと、少女に頼みますが、少女はマイクを見つめて動きません。

動かない少女に、マイクが怒鳴ると、少女は逃げるように立ち去ります。

マイクは自身の激しい気性を悔やみます。

日が沈み、小さな焚き木で体を暖めるマイク、そこへ狼の群れが現れマイクを取り囲みます。

マイクに次々と襲いかかる狼に、マイクは銃で応戦します。

日が昇り、狼との戦いで疲れ果てたマイクの前に、昨日のベルベル人の男が現れます。

「あんたは運が良い」と再び噛み合わない会話をしてくるベルベル人の男に、マイクはうんざりしますが、男はマイクの希望通り、無線機を拾い手渡して、その場を立ち去ります。

再び夜を迎えたマイクは、襲いかかる狼の群れと戦い、体の数カ所に傷を負います。

そして、ようやく迎えた朝、米軍から救援まで更に17時間がかかると報告され、マイクは絶望します。

体力も気力も限界に達し、意識が朦朧としてきたマイクは、過去の幻影を見るようになります。

暴力的な父親に殴られた幼い頃の恐怖、母親の死、ジェニーと初めて会った夜、ジェニーと喧嘩し父親のように暴力をふるいかけた夜、そして家を出て行ったマイクを見つめる、悲しそうなジェニーの顔。

マイクは、父親への過去のトラウマから、ジェニーとの結婚に踏み出せないでいました。

そこへ、マイクを探していたテロリストが現れ、マイクを攻撃してきます。

銃弾を受けながら応戦したマイクは、テロリストを全滅させますが、気力も体力も限界に達し倒れかけます。

ですが、ベルベル人の男がマイクを受け止め、地雷の爆発を防ぎます。

ベルベル人の男は、過去に地雷を掘り出して、兵士に売る商売をしていた際に、自分も地雷を踏んで足を失った過去を語ります。

そして、地雷を盗んだ事が気付かれないように、掘り出した地雷の代わりにブリキを入れていた自分の娘は、爆風に巻き込まれ亡くなってしまった事も。

「一歩を踏み出せ」そう言い残し、ベルベル人の男は去って行きます。

意識が朦朧とし限界を迎えたマイクは、ひざまずいた姿勢から動けなくなりますが、そこへ米軍の救援部隊らしき車両が見えます。

早く自分の居場所を知らせないと救援部隊は撤退してしまう状況ですが、発煙筒が遠くに飛ばされており、マイクは拾う事が出来ません。

「確率は7%、上等だ」そう呟いたマイクは、意を決して地雷から足を離します。

地雷が爆発しなかった事に安堵したマイクは、地雷が埋まっていた場所を掘り出すと、そこから出てきたのはブリキでした。

砂漠から無事に戻ってきたマイクは、出迎えたジェニーの前にひざまずいて、プロポーズをしました。

映画『ALONE/アローン』の感想と評価


(C)2016 Mine Canarias Aie Roxbury Enemy Sl Sun Film Srl Mine Film Llc
地雷を踏んでしまった米兵、マイクが遭遇する、悪夢のような3日間を描いたワンシチュエーションスリラー。

「主人公の行動が制限された状態で、どう物語を進行させるか?」が、このジャンルの見どころの1つではありますが、本作では砂嵐や狼の集団に襲われるというトラブルを交え、マイクが過去の幻影に向き合って苦しみ、文字通り新たな一歩を踏み出すまでを描いています。

映画後半は、死んだはずのトミーが現れ、マイクに助言を送ったり、父親にトラウマを抱くマイクの過去がフラッシュバックし、現実と入り乱れるなど複雑な構成となります。

本作の監督、ファビオ・ガリオーネとファビオ・レジナーロは、これが長編デビューの1作目となっています。

新たな一歩を踏み出した自分達とマイクを重なているのかもしれません、そして、この作品に込められたメッセージは、実にシンプルに「未来を見て踏み出そう」これだけで、そのメッセージはストレートに観客へ伝わってきます。

ストーリー運びに荒さを感じる部分もありますが、作り手の熱い信念が込められた、素晴らしい作品だと思います。

まとめ


(C)2016 Mine Canarias Aie Roxbury Enemy Sl Sun Film Srl Mine Film Llc
本作の主演、アーミー・ハマーは、2017年のアカデミー賞で話題になった映画『君の名前で僕を呼んで』に出演し、ゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされるなど注目株の俳優です。

本作では、過去の出来事が精神状態に及ぼす影響や、極限の脱水状態、同じ場所で静止を続けた際の肉体に及ぼす影響など、資料を読み込み、海軍に直接問い合わせるなどして、徹底的した役作りを行いました。

アーミー・ハマーは、製作総指揮も兼任しており、この作品への意気込みを感じますね。

絶望的な状況に追い込まれながらも、生きる為に徹底的に戦い続けるマイクの姿を通して、我々も明日への活力を得る事ができる、非常に熱い映画『ALONE/アローン』はオススメな作品です。

関連記事

サスペンス映画

映画『サイレント・トーキョー』ネタバレあらすじ解説とキャストの配役評価。最後まで誰が生き残るのか⁈

映画『サイレント・トーキョー』は2020年12月4日(金)より公開。 秦建日子の著作『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』が、佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊らの豪華キャスト …

サスペンス映画

ヒョンビン映画『スウィンダラーズ』あらすじと感想レビュー。どんでん返しの詐欺師たちに心地よく騙される

韓国映画『スウィンダラーズ』7月7日(土)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー。 詐欺師だけをダマすという詐欺師5人と、エリート検事の攻防を描いた、まったく予測不可能なケイパームービー。 駆け引き …

サスペンス映画

映画『依頼人』ネタバレ結末あらすじとのラスト評価。キャストのスーザン・サランドンとトミー・リー・ジョーンズが共演で描く法廷サスペンス

事件の鍵を握る少年と女性弁護士が巨大な組織に追い詰められていく法廷サスペンス。 ジョエル・シューマカーが監督を務め、ジョン・グリシャムの小説『依頼人』を映画化させた、1994年製作のアメリカの法廷サス …

サスペンス映画

映画『ダニエル』ネタバレ結末感想とラストあらすじ考察レビュー。“空想上の親友”が誘う耽美と狂気

2世俳優のマイルズ・ロビンスがシッチェス・カタロニア国際映画祭にて男優賞作『ダニエル』 自分だけに見える“空想上の親友”に翻弄される姿を描く本格スリラー映画『ダニエル』。 ハリウッド注目の二世俳優マイ …

サスペンス映画

映画『8人の女たち』ネタバレあらすじと感想。ラスト結末も【ファッションに隠された意味と本格ミステリーで女性心理を活写】

聖なる夜に一家の主を殺したのは誰・・・?女たちの愛憎がうずまく! 映画『8人の女たち』は、1950年代フランス、片田舎の女系家族の屋敷が舞台です。雪が降りしきるクリスマスに、この家の主が何者かに殺害さ …

U-NEXT
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学