伝説の爆破強盗犯の最後の恋と怒りが燃え上がるリベンジ・アクション!
マーク・ウィリアムズが原案・脚本・製作・監督を務めた、2020年製作のアメリカのリベンジ・アクション映画『ファイナル・プラン』。
全米各地の銀行を襲い、あらゆる金庫を破ってきた爆発と戦闘のプロである伝説の爆破強盗犯が、運命の女性に出会い、彼女のために自首を決意。
そこへ、2人の冷酷なFBI捜査官の陰謀が立ちはだかる! 愛する女性を傷つけられた爆破強盗犯が、FBI捜査官に復讐する姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
「96時間」シリーズでリベンジ・アクションの礎を築いた名優リーアム・ニーソン主演で贈る、映画『ファイナル・プラン』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『ファイナル・プラン』の作品情報
【公開】
2021年(アメリカ映画)
【原案・脚本】
スティーブ・オルリッチ、マーク・ウィリアムズ
【監督】
マーク・ウィリアムズ
【キャスト】
リーアム・ニーソン、ケイト・ウォルシュ、ロバート・パトリック、アンソニー・ラモス、ジェフリー・ドノバン、ジェイ・コートニー
【作品概要】
『ファミリー・マン ある父の決断』(2016)のマーク・ウィリアムズが原案・脚本・製作・監督を務めた、アメリカのリベンジ・アクション作品です。
「96時間」シリーズや『トレイン・ミッション』(2018)、『メン・イン・ブラック インターナショナル』(2019)、『アイス・ロード』(2021)などに出演する、名優リーアム・ニーソンが主演を務めています。
映画『ファイナル・プラン』のあらすじとネタバレ
全米各地の銀行を襲い、あらゆる金庫を破ってきた爆破強盗犯トム・カーターは、現場には一切痕跡を残しません。
死傷者もゼロで、カーターの素顔を誰も知らないため、警察は最初の犯罪から8年経った今でも捕まえることが出来ず、彼は全米犯罪史の伝説となりました。
そんなある日、カーターはオーロラ貸金庫の店長アニー・サンプターと出会い、恋に落ちました。
それから1年後。カーターは恋人となったアニーと新しい人生を歩もうと考え、過去の罪を償うべく、FBIに自首しようとします。
しかし、この9年間で伝説の爆破強盗犯だと騙る人からの通報が相次いでいたため、対応したFBI特別捜査官サム・ベイカーとショーン・マイヤーズは、カーターの話を信じようとしません。
そこでカーターは、ベイカーたちにある取引を持ち掛けます。「金は返すし報いも受ける。だからその代わり、ボストン近郊の軽警備の刑務所で、刑期は2年未満で頼む」
「自首する理由は、賢明で優しく、前向きで愉快な女性に出会ったから。彼女のことを心から愛している」
「彼女と一生離れたくないが、過去を隠したままでは無理だ」「彼女の前では金など無意味だ。罪を償いたい」
「“チャールストン・ホテル”というホテルの216号室に泊まっているから、そこに来てくれれば、俺が本物だと証明しよう」
そう話すカーターとの通話後、ベイカーは同僚のラモン・ホール特別捜査官と、ジョン・ニベンス特別捜査官に情報を渡し、カーターが起こした事件の捜査を引き継ぎました。
それから2日後。待てど暮らせど現れないFBIにしびれを切らし、カーターは催促の電話を入れます。
その時はベイカーが不在だったため、彼の相棒であるマイヤーズが対応し、すぐさま捜査を引き継いだニベンスたちが向かうとだけ伝えました。
未だにFBIに自分の話を信じて貰えないことにうんざりするカーター。彼が自らFBIに出頭しようとしたその時、ニベンスたちが部屋にやって来ます。
「話だけじゃ、伝説の爆破強盗犯だという証拠にはならない」と言うニベンスたちに、カーターは自分しか知り得ない、強盗の手口を明かしました。
「鍵となるのは、銀行選びとタイミングだ。1950年以前の金庫を使う地方銀行が標的だ。新型の再施錠機構は爆破が難しい」
「それに加え、壁を共有する隣のビルが空室なのも条件だ。あとで強盗の日程を調べてみるといい、俺は必ず3連休前の金曜日に強盗を行っている」
「排気口から銀行に侵入し、決して急がず、時間をかけて鋼鉄製の扉に穴を開ける」「爆薬は風船に入れたゼリグナイト、どんな扉も吹っ飛ぶ威力を持つ」
「侵入経路の排気口は埋めて、ペンキを塗る。痕跡は一切残さない」「盗んだ金は、ここから数キロ離れたオーロラ貸倉庫の173番にある」
カーターはそう説明し、貸倉庫へ同行しようとしますが、何故かニベンスたちは「自分たちだけで行く」と言い、カーターから渡された貸倉庫の鍵を持っていってしまうのです。
貸倉庫内を捜索した結果、ニベンスたちは箱に隠された300万ドルを発見。目の前の大金に目が眩んだのか、ニベンスは自分とホールの退職金として横領しようと企みます。
ホールは「それはさすがにマズい」と言って止めましたが、ニベンスに「最愛の息子たちをいい大学に行かせてあげたいと思わないか?」と唆され、結局彼の共犯者になってしまいました。
かつてCIAの隠れ家だった家に横領した金を隠したニベンスたち。その際、アニーにパトカーのトランクに運び入れているところを見られてしまいますが、咄嗟に「カーターの友人だ」と嘘をつき、上手く誤魔化しました。
その日の夜。ホテルの部屋に戻ったニベンスは、黒い手袋をはめて銃を持ち、カーターに銃を突きつけながら、残りの金の在り処を吐かせようとします。
カーターはニベンスが金を横領したことを瞬時に察し、「切り札を残しておいて正解だった」と言いました。
するとそこへ、マイヤーズから「カーターから電話があった」と聞いたベイカーが部屋を訪問。何故か銃を持つニベンスと、両手をあげているカーターの間に流れるただならぬ空気を感じ、彼はニベンスに事情を聞こうとします。
ところが、ニベンスは自らが犯した横領がバレることを危惧してか、ベイカーを射殺したのです。
ニベンスの凶行に戸惑うホールをよそに、カーターは自分の金を盗み殺そうとしたニベンスに掴みかかります。
揉み合いの末、2人は部屋の窓を突き破り、カーターに会いに来たアニーの目の前に転落。カーターはアニーを連れて、その場から逃走します。
何とかニベンスたちの追跡を撒いたカーターは、アニーに自身の過去と、FBIに追われることになった経緯を話すことにしました。
「母親は俺が戦地に行っている間に、肺炎で命を落とした。帰国すると、父は別人みたいに変わっていた」
「最愛の妻を失い、深い悲しみに暮れた父親は、35年間仕事一筋で勤めてきた配管工場の溶接工の仕事へ行く意味を失い、仕事に身が入らずクビになった」
「しかもその会社のCEOが、社員の年金を横領していた。だが、収入を失った父親には、裁判で争う気力も残っていなかった」
「代わりに愛車を飛ばし、時速100キロで木に激突。ブレーキ痕はなかった」「1ヶ月後、俺はCEOの口座がある銀行に行き、そこから父親の生涯の稼ぎを超える額、65万8000ドルを奪った」
「だが、その金は一切使っていない」「海兵隊でやっていた地雷処理と同じで、危険と隣り合わせな状況が、俺に生きている実感を与えてくれた」
「でも君と出会って、同じ感覚を俺に与えてくれたから、強盗を辞めることが出来た」「君と過ごすたびに気づかされる。俺に必要だったのは金やスリルではなく、愛を感じることだったんだと」
「貸倉庫に隠しておいた金を横領したFBI捜査官たちは、俺に別の捜査官を殺した罪をなすりつけてくるだろう。彼らがやったと証言したいが、俺の話を信じる裁判官はいない」
「捜査官が殺されたとなると、FBIは躍起になって俺をとことん追ってくるだろう。このままじゃ君も罪に問われてしまう」
「だからこの先で降ろすから、そしたら君はすぐに警察に“人質にされたが、何とか逃げ出した”と通報するか、バスに乗って遠くへ逃げるんだ」
2人で暮らそうとしていた一軒家は、カーターが軍人時代に貯めた金で購入したことと、この話を通じて伝わる自分への深い愛を知ったアニーは、「人を殺していないと証明して」と言ってニューヨーク行きの高速バスに乗り込みました。
一方二ベンスたちは、警察やマイヤーズたちFBIが駆けつけたホテルへ戻り、マイヤーズにベイカーが殺されたことについてこう供述しました。
「俺たちが部屋に来た時には、既にベイカーは殺されていた。俺たちも虚を衝かれて、カーターに襲われ、取り逃がしてしまった。しかも金を隠したという貸倉庫には何もなかった」
二ベンスたちの話を信じたマイヤーズは、カーターが自身の相棒であるベイカー殺しの犯人だと考え、カーターと彼と一緒に逃げたアニーの捜索に取り掛かりました。
翌朝。マイヤーズが現場に残された指紋を採取し、カーターたちについて調べた結果、カーターの本名はトーマス・ドーラン、元海兵隊の隊員で地雷の除去をしていたこと。
アニーは、元夫の借金で自己破産を申し出たことが判明。カーターが強盗を働いていたのは、アニーのためではないかと推測します。
だからといって、カーターがベイカーを殺す理由になるとは考えられず、マイヤーズはとりあえず、アニーを捜し出して事情を聞こうとしました。
アニーの捜索に買って出たのは、ニベンスたちでした。ニベンスはホールをパトカーに残し、1人で貸倉庫の店舗へ乗り込み、自分たちの犯行を目撃したアニーを殺そうとします。
その店舗には、アニーがカーターに渡そうとしていた、ニベンスたちの犯行を映した防犯カメラの映像がありました。
ニベンスはその映像を盗もうとしましたが、ホールに促され店から立ち去ります。アニーから電話を受けたカーターは、店舗内で倒れているアニーを見つけ、すぐさま盗んだ車で病院へ搬送しました。
最後まで付き添いたい気持ちは山々でしたが、病院内に警官がいたため、やむを得ず逃走するカーター。彼はFBIに連絡を取り、ニベンスの携帯に繋げるよう頼みます。
マイヤーズが逆探知をしようとする中、カーターは繋がったニベンスにこう言いました。
「俺は自首すると申し出て、お前たちに300万ドルを渡した。なのになぜ、無関係の彼女に手を出した?」
これに対しニベンスは、マイヤーズもこの会話を聞いている手前、知らぬ存ぜぬを貫こうとします。
そんなニベンスの態度に、さらに怒りの炎を燃え上がらせたカーターは、「ニベンス捜査官、覚悟しろ」と告げ、電話を切りました。
映画『ファイナル・プラン』の感想と評価
FBI捜査官へ復讐する伝説の爆破強盗犯
運命の女性に出会ったことで、長年やってきた爆破強盗から足を洗おうとした伝説の爆破強盗犯カーター。
FBIに自首するのを躊躇わない姿を見ると、本当にアニーのことを愛し、彼女と人生をやり直すために罪を償おうとする彼の強い覚悟を感じます。
そんなカーターの気持ちを踏みにじるかのように、欲に目が眩んだFBI特別捜査官ニベンスによって、証拠品として提出しようとした金を盗まれ、挙句の果てには最愛の恋人を殺されそうになってしまいました。
最後の恋とニベンスへの復讐の炎を燃やすカーターが、伝説の爆破強盗犯ならではのやり方で、意地でも自白しないニベンスを懲らしめていく様は迫力満点で楽しめますし、爽快感を感じます。
本当にニベンスを爆死させる気かと思いきや、起爆装置が最初からついていなかったという事実が発覚。
爆弾を使って懲らしめはするものの、これ以上罪を重くするわけにはいかないカーターが、ニベンスに最後の良心をかけたのでしょう。
金を横領したFBI捜査官
ニベンスは内心、毎日命を落とすかもしれない危険な現場に出なきゃならない、FBI特別捜査官としての仕事に嫌気がさしていたのでしょう。だからといって、横領も殺人もしていい理由にはなりません。
退職金として金を横領したニベンスは、己の私利私欲のために、自分の犯行がバレそうだったベイカーも、相棒のホールでさえ手にかけてしまいました。
目の前にある300万ドルという大金を目にした時から、ニベンスの中にあった良心や正義感は失われてしまったのでしょう。
仲間だったベイカーたちを手にかけたことについて、何の罪悪感も抱いていません。ある意味己の欲に忠実すぎたニベンスの暴走は、狂気すら感じるほどでした。
まとめ
愛する女性のために爆破強盗から足を洗いたい伝説の爆破強盗犯と、己の私利私欲のために金を横領し、FBI特別捜査官殺しの罪を着せたFBI特別捜査官が激突する、アメリカのリベンジ・アクション作品でした。
カーターがニベンスを懲らしめる復讐劇だけでも本作を充分楽しめますが、ニベンス逮捕に尽力したマイヤーズとアニーの活躍も見逃せません。
最初はカーターの話なんてこれっぽっちも信じていなかったマイヤーズが、直接カーターとニベンスと話したことで、大事な相棒を殺したのはニベンスだということに気づかされます。
そしてアニーも、カーターが爆破強盗犯だと知って一度は別れを考えましたが、彼の自分への深い愛を知って、防犯カメラの映像を使って彼の無実を証明しようと尽力するのです。
カーターの復讐劇の裏で、ニベンス逮捕に向けて動き出すマイヤーズたち。彼らという協力者がいたからこそ、カーターは思う存分、自分のやり方でニベンスを懲らしめることが出来ましたし、望み通りの条件で自首することもできました。
最後の恋とFBI特別捜査官への復讐の炎を燃やす伝説の爆破強盗犯が、最後の爆破を見せるスリリングなリベンジ・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。