「第四の壁」を突き破る、型破りヒーロー映画・第3弾!
マーベル・コミックで描かれた多くのヒーローコミックは、これまで数多く映像化されて来ました。
今でこそディズニー主導で製作される「アベンジャーズ」をはじめとする「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」の印象の強いマーベルのヒーローたちですが、2000年代は20世紀フォックスが映像化を主に推し進めていました。
そして2019年、ディズニーが21世紀フォックスを買収したことで、20世紀フォックスで製作されてきたマーベル作品の多くが「MCU」に合流することに。
今回はその先駆けとなる映画『デッドプール&ウルヴァリン』(2024)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『デッドプール&ウルヴァリン』の作品情報
【日本公開】
2024年(アメリカ映画)
【原題】
Deadpool & Wolverine
【監督】
ショーン・レヴィ
【脚本】
レット・リース、ポール・ワーニック、ライアン・レイノルズ
【キャスト】
ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマン、エマ・コリン、マシュー・マクファディン、モリーナ・バッカリン、レスリー・アガムズ、カラン・ソーニ、ステファン・カピチッチ、ブリアナ・ヒルデブランド、忽那汐里、ロブ・ディレイニー、ダフネ・キーン、アーロン・スタンフォード、タイラー・メイン、ジェニファー・ガーナー
【作品概要】
20世紀フォックスで製作されてきた「デッドプール」シリーズの3作目となる作品であり、ディズニー主導で製作される「MCU」の34作目となる映画。
『フリー・ガイ』(2021)『アダム&アダム』(2022)でライアン・レイノルズとタッグを組んだショーン・レヴィが監督を務め、「X-MEN」シリーズで主演を務めたヒュー・ジャックマンが出演を果たしました。
映画『デッドプール&ウルヴァリン』のあらすじとネタバレ
2018年、マーベル・ユニバースこと《正史》の世界「アース616」に足を運んだ「デッドプール」ことウェイド・ウィルソンは自分の力を世界に役立てるために「アベンジャーズ」の採用面接を受けていました。
しかし、ウェイドを面接するホーガンは彼を「世界を救うタイプではない」と判断し、アベンジャーズに選出されることはありませんでした。
6年後、ピーターとともに自動車販売店で働くウェイドでしたが、販売成績が芳しくないだけでなく《何者でもない自分》に対して強い焦燥感を抱く毎日を過ごしていました。
その日はウェイドの誕生日であり、彼を祝うためコロッサスやネガソニック、ユキオなど親交を深めた友人たちが駆けつけ、ウェイドは別れた元妻ヴァネッサに気おくれしながらも楽しい夜を過ごします。
パーティの最中、突然玄関に現れた「時間変異取締局(TVA)」を名乗る人間に拉致されたウェイドは、ウェイドの住む世界「アース10005」を担当するパラドックスと対面。
ウェイドはかつて、ケーブルが持っていたタイムマシンを使ってヴァネッサを死の運命から救っただけでなく、俳優ライアン・レイノルズまで殺害するなどやりたい放題をしていました。
連行されるに至るだけの心当たりは十分過ぎるほどありましたが、パラドックスはウェイドの素質を見込み「神聖時間軸」を守るエージェントととしてウェイドを誘います。
《マーベルの神》になれることにテンションの上がるウェイドは、20世紀フォックスとの契約を破棄しディズニーと契約を結ぶことにしますが、パラドックスの真の目的が「アース10005」の滅亡であることを知ってしまいます。
「アンカー」と呼ばれる世界の存亡を握る存在が死亡したことで、数千年後に終焉を迎える「アース10005」を看取ることがパラドックスの使命でした。
しかし、無意味に長い時間を過ごすことを嫌がったパラドックスは、上層部の意に背いて時間を加速させる「タイムリッパー」を稼働させることで、早々に「アース10005」を滅亡させようとしていたのです。
アンカーが生きていれば解決すると聞いたウェイドは、ヴァネッサや自分の大切な友人の住むこの世界を守るべく、パラドックスを殴り「タイムドア」を使用。アンカーである「ウルヴァリン」ことローガンの元に向かいます。
「アース10005」のローガンはすでに少女ローラを守るために死亡していたため、ウェイドは仕方なく別世界のローガンたちに次々と声をかけていきます。ところが、どのローガンも個性が強すぎるか、会話の成立しない相手でした。
唯一簡単に連れ帰れそうな、酒に溺れるローガンを連れてパラドックスの元へ戻ったウェイド。しかしパラドックスはこのローガンを「最悪の奴」と一蹴すると、ウェイドとローガンを「剪定(その世界からの消滅)」しました。
剪定された存在が集う「虚無」で目を覚ました2人は、ローガンを見て激怒したセイバートゥースを殺害。「ヒューマントーチ」ことジョニー・ストームとともにパイロに捕まり、「虚無」を支配するカサンドラの前に引き立てられます。
カサンドラは「X-MEN」のリーダーであるチャールズ・エグゼビアの妹でありながら人を殺すことに躊躇いがなく、ウェイドがジョニーの言った悪口をチクったら、ジョニーはあっさりとカサンドラの超能力で殺害されました。
強大なカサンドラの能力に成す術のないウェイドとローガンでしたが、「虚無」に巣食い人間を喰らう雲の獣アライオスの出現と混乱に乗じ、その場から逃亡。
ローガンはウェイドの「TVAの力を使えば自身の世界を救える」という言葉を信じ、「虚無」からの脱出のために力を合わせることを約束しました。
映画『デッドプール&ウルヴァリン』の感想と評価
ディズニー傘下でも決して怯まない型破りヒーロー
本作をもって「MCU」入りを果たし、「アベンジャーズ」シリーズにも加わった下ネタ全開のヒーロー「デッドプール」。
ディズニー傘下となったことで「悪ノリ満載の作風が弱まってしまうのでは?」とファンの間で危惧されていましたが、本作は開幕から「MCU」とは思えないほどの血塗れの過激な演出でスタートします。
その後も「一応」はディズニー傘下であることを気にしながらも、下ネタもグロテスクさも一切控えることなく展開。
一方で前作までも持ち合わせていた、悪ノリの中に心を打つ展開もあり、シリーズファンなら間違いなく楽しめる作品となっていました。
映画好きなら思わず反応な大量カメオ出演!
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)でも「X-MEN」シリーズでお馴染みのパトリック・スチュワートが「プロフェッサーX」としてカメオ出演してはいましたが、20世紀フォックスからの本格合流となる本作ではさらに多くの俳優が出演しています。
「MCU」内で「アベンジャーズ」の中核となるキャプテン・アメリカを演じたクリス・エヴァンスは、過去に20世紀フォックスで製作された『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』(2005)ではヒューマン・トーチを演じていましたが、なんと「MCU」である本作にヒューマン・トーチ役で登場。
さらに本作には、2014年に企画始動と報じられながらも、2019年に企画が頓挫した「X-MEN」シリーズのスピンオフ映画『ガンビット』で主演を務める予定だったチャニング・テイタムもガンビット役で出演しています。
他にも「過去」となってしまった作品から数多くの俳優がスクリーンに再登場。「もう一度スクリーンであの俳優が演じるヒーローを観たかった」というファンの想いを叶える作品となっていました。
まとめ
デッドプールとウルヴァリンが「MCU」の一員として映画での共演を果たし、本作でしか観ることの出来ない多くのカメオ出演によって彩られた『デッドプール&ウルヴァリン』。
しかし、本作は単なるお祭りムービーには収まらず、大小さまざまな後悔を抱える人間に刺さること間違いなしの物語が展開される、ドラマ性としてもシリーズ屈指の映画となっていました。
2人が過激すぎる喧嘩を繰り返し、「何のために世界を救うのか」を見出しながら敵に立ち向かっていく、異質でありながらも王道のヒーロームービーとして、アメコミファン以外の方にもぜひ鑑賞してほしい映画です。