Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アクション映画

Entry 2022/11/30
Update

映画『BAD CITY』あらすじ感想と評価解説。小沢仁志が還暦記念作アクションで魅せる“強くも弱くもある背中”

  • Writer :
  • 河合のび

ケリをつけてやる。──小沢仁志、最後の無茶。

2022年12月9日(金)より福岡での先行上映後、2023年1月20日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開される映画『BAD CITY』

「Vシネマの帝王」の異名を持つ俳優・小沢仁志が《還暦記念作品》として製作総指揮・脚本・主演を務め、自身の生き様のすべてをぶつけた渾身のアクション映画です。

小沢仁志が「俳優人生で最後の無茶」という覚悟で挑んだ本作。

本記事では、本作最大の魅力といえる「還暦」とは思えぬ大迫力のアクションシーン、そして映画作中のセリフに込められた俳優・小沢仁志からのメッセージなどを紹介いたします。

スポンサーリンク

映画『BAD CITY』の作品情報


(C)2022年「BAD CITY」製作委員会

【公開】
2023年(日本映画)

【脚本・製作総指揮】
OZAWA

【監督・アクション監督】
園村健介

【キャスト】
小沢仁志、坂ノ上茜、勝矢、三元雅芸、諏訪太朗、島津健太郎、友和、桐生コウジ、浜田晃、松永有紗、許秀哲、圭叶、桑田昭彦、福田健次、中野英雄、小沢和義、永倉大輔、山口祥行、本宮泰風、波岡一喜、TAK∴、壇蜜、加藤雅也、かたせ梨乃、リリー・フランキー

【作品概要】
「顔面凶器」「Vシネマの帝王」などの異名を持ち、映画・ドラマ・バラエティなど数々のフィールドで活躍する俳優・小沢仁志が、《還暦記念作品》として「俳優人生で最後の無茶」を繰り広げるアクション映画。自身が手がけたオリジナル脚本(製作総指揮・脚本は「OZAWA」名義)のもと、CGなし・スタントなしのアクションに挑んだ。

共演には坂ノ上茜、勝矢、三元雅芸のほか、壇蜜、加藤雅也、かたせ梨乃、リリー・フランキー、山口祥行、本宮泰風、波岡一喜、TAK∴、小沢和義、中野英雄という実力派キャスト陣が集った。

監督・アクション監督は、海外映画祭でも評価されたデビュー作『HYDRA』(2019)、アクション監督を務めたロングランヒット作『ベイビーわるきゅーれ』(2021)で知られる園村健介。

映画『BAD CITY』のあらすじ

ある夜、「犯罪都市」の異名を持つ開港市に縄張りをもつ桜田組の組長が死体となって発見された。それは、韓国マフィアの仕業であった。

その韓国マフィアの幹部・金数義が密談していたのは、巨大財閥である五条財閥の会長・五条亘。

五条が無罪となった判決には必ず裏があると踏んでいる検察庁検事長の平山健司は、公安0課の小泉香を使い、秘密裏に特捜班を結成。

メンバーは熊本、西崎、野原、そしてもう一人……ある事件を起こした罪で刑務所に服役中の元強行犯警部・虎田誠(小沢仁志)である。

果たして虎田たち特捜班は、五条を検挙することができるのか?

「真の悪の存在」や「裏切り者」は誰なのか?

欲望が渦を巻くこの街で繰り広げられる、欲望の果てに見える景色とは──。

スポンサーリンク

映画『BAD CITY』の感想と評価


(C)2022年「BAD CITY」製作委員会

俳優・小沢仁志、“全身全霊”のアクション

本作最大の魅力は、やはり小沢仁志による渾身のアクションシーンです。

スタントマンをほとんど使わないアクション俳優」としても知られている小沢。本作の撮影にあたっても自身の肉体を鍛え上げ、「還暦」という言葉が嘘に聞こえてくるほどの身体能力を作中で披露しています。

映画後半部での総勢100人以上の敵を相手にした迫力の乱闘戦はもちろんのこと、特筆すべきはクライマックスでのアクションシーン

同場面で小沢と相対するのは、自身が主要キャストとして出演する「日本統一」シリーズでは本宮泰風とW主演を務め、《ネオVシネ四天王》の一人と称される山口祥行「《還暦記念作品》を飾るクライマックスでの“死闘”を、自身とともに繰り広げてくれる者」という役目を託すにはこれ以上ない相手といえるでしょう。

なお本作には、山口と同じく《ネオVシネ四天王》の本宮泰風、中野英雄も出演。記念作品に華を添えています。

肉と肉、意地と意地、世代と世代がぶつかり合う肉弾戦は、観る者に俳優・小沢仁志の“全身全霊”……猛き“魂”の姿を魅せてくれるはずです。

闘い続けてきた“背中”そのもの


(C)2022年「BAD CITY」製作委員会

映画前半、特捜班に選ばれた新人刑事・野原(坂ノ上茜)は、虎田が刑務所に入れられていた理由と事件の真相を先輩刑事たちに尋ねます。

その質問に対して、「班長」こと虎田を信じ続ける刑事・熊本(勝矢)は「班長の背中だけ見てろ」「それが真実だ」とだけ答えます。

背中だけ見てろ」「それが真実だ」……それは、決して野原だけに向けられた言葉ではありません。

元強行犯警部・虎田誠という男の背中を、そして虎田を演じる俳優・小沢仁志という男の背中を見つめ続けるのは誰か……それは他でもない、映画『BAD CITY』を観る人々です。

ドラマ『スクール☆ウォーズ』(1984)の水原亮役で本格的に俳優デビューを果たしたのち、多くの「伝説」を残しながら数々の作品で闘い続けてきた俳優・小沢仁志。

己を語るのに言葉は要らない」「ただ作品を観てくれたらいい」……小沢が自ら脚本・製作総指揮を手がけた映画『BAD CITY』は、まさに闘い続けてきた彼の「背中」そのものと呼べる作品なのです。

まとめ/強さも弱さも“真実”の一部


(C)2022年「BAD CITY」製作委員会

《還暦記念作品》という名の通り、俳優・小沢仁志の集大成的作品といっても過言ではないであろう映画『BAD CITY』。

背中だけ見てろ」「それが真実だ」……その言葉の通り、俳優・小沢仁志の「背中」そのものといえる本作を観た人々は、彼が映画に込めた「真実」を目の当たりにするはずです。

映画作中では、自身の命を賭してでも真実を明らかにすべく闘い続ける虎田が、闘い続けるがゆえに痛感してしまう人間の「弱さ」を語る場面も描かれます。

もしそれもまた、虎田を演じる小沢の「背中」の一部なのだとしたら、還暦に至ったからこそ知れる俳優・小沢仁志の姿はそこにあるのかもしれません。

映画『BAD CITY』は2022年12月9日(金)より福岡での先行上映後、2023年1月20日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開!

ライター:河合のびプロフィール

1995年生まれ、静岡県出身の詩人。

2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、映画情報サイト「Cinemarche」編集部へ加入。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける。


photo by 田中舘裕介



関連記事

アクション映画

日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』あらすじ感想評価と解説レビュー。映画で蘇るスーパーマリオネーションの伝説的作品が完全新作で再び!

日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』は2022年1月7日(金)劇場上映開始、1月8日(土)オンライン上映開始 操り人形とは思えない細やかな動きと表情が印象的なスーパーマリオネーションという手法 …

アクション映画

007私を愛したスパイ|ネタバレあらすじ感想と結末の感想評価。ボンドカーはロータスエスプリで“悪役ジョーズ”登場も必見!

大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第10作! ルイス・ギルバートが監督を務めた、1977年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/私を愛したスパイ』。 「007」こ …

アクション映画

映画『ランボー ラスト・ブラッド』感想評価と解説レビュー。“完全結末”とタイトルの意味に込めたスタローンの真意とは

映画『ランボー ラスト・ブラッド』は2020年6月26日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー! 元グリーンベレーのエリート戦闘員ランボー。ベトナムで背負った戦う宿命は、いつまでも彼に付 …

アクション映画

映画『居眠り磐音』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。松坂桃李が演じたニュー時代劇のヒロイズム

映画『居眠り磐音』は2019年5月17日(金)より全国公開! 「平成」の大ベストセラーが新たに「令和」を向かえ堂々の映画化。 切ないほど、強く、優しい“ニューヒーロー”坂崎磐音が活躍する映画『居眠り磐 …

アクション映画

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ|ネタバレ感想レビュー。前作あらすじも合わせて紹介

映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は、2018年11月16日(金)より全国ロードショー! アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に麻薬・誘拐・人身売買・殺人などの暗黒のビジネスの実態を描きだしたド …

U-NEXT
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
山田あゆみの『あしたも映画日和』
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学