銀行強盗の思わぬ「相乗り客」との逃走劇の結末は?
マイケル・ベイが放つノンストップ・カーチェイスムービー!
止むを得ない事情により、銀行強盗に加担した元軍人の主人公。ところが計画は狂い続け、挙げ句の果てに逃走のため慌てて乗った救急車には「瀕死の警官」が乗っていた……。
映画『アンビュランス』は、銀行強盗たちの想定外の「相乗り客」との逃走劇を描いたノンストップ・カーチェイスムービーです。
クラッシュの連続のカーチェイスや爆破シーンの多さで、ハリウッド映画の魅力を作り上げてきたマイケル・ベイ監督。「ベイ・ヘム」と呼ばれる造語が作られるほどとなった彼のド派手な演出は、画面を観ているだけでも楽しめる、まさにエンタメのための演出といえます。
今回はそんなマイケル・ベイが監督した映画『アンビュランス』(2022)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『アンビュランス』の作品情報
【日本公開】
2022年(アメリカ映画)
【原題】
Ambulance
【監督】
マイケル・ベイ
【脚本】
クリス・フェダック
【キャスト】
ジェイク・ギレンホール、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、エイザ・ゴンザレス、ギャレット・ディラハント、A・マルティネス
【作品概要】
「バッド・ボーイズ」シリーズや「トランスフォーマー」シリーズを手掛けたマイケル・ベイが、デンマーク産映画『25ミニッツ』(2005)をハリウッドでリメイクした作品。
『ナイトクローラー』(2015)のジェイク・ギレンホール、『シカゴ7裁判』(2020)や『マトリックス レザレクションズ』(2021)などの話題作への出演を続けるヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)に出演したエイザ・ゴンザレスの3人が主演を務めました。
映画『アンビュランス』のあらすじとネタバレ
ロサンゼルス、退役軍人のウィルは傷病保険も降りず仕事も見つからない中、妻のエイミーの癌の治療費のために20万ドルを越える大金を必要としていました。
エイミーはウィルが兄のダニーと接触することに反対していましたが、ウィルはエイミーの治療費のためにダニーのアジトを訪ねます。
ウィルはダニーの父親に養子縁組をされた血の繋がらない兄弟であり、幼少期は固い絆で結ばれていましたが、ダニーと亡き父親は銀行強盗を繰り返す犯罪者であり、ウィルは自身の良心から長いあいだ距離を置いていました。
ダニーはウィルとの再会を喜び、彼の置かれた状況の打開と称して、3200万ドルを銀行から奪う計画にウィルを勧誘。ウィルは犯罪に手を染めることに抵抗を示しますが、治療費の捻出のために仕方なく銀行強盗へと参加します。
一方、救急救命士のキャムは交通事故現場から搬送した少女リンジーを懸命な救護で無事に病院へと搬送。キャムは搬送中に患者を死なせないことのみを心情としており、その後に患者がどうなったのかには、興味を示さない薄情さに同僚たちからも陰口を叩かれていました。
その頃、ダニーとウィルは仲間たちと共に銀行を占拠し現金3200万ドルを奪取。しかし、窓口係のキムを口説きに来た警察官のザックを人質に取ったことで、ザックを外で待っていた相棒のマークに銀行強盗を悟られSIS(特別捜査課)へと通報されます。
ダニーの仲間たちは次々とSISに射殺され、逃走車両も行動不能となり、ダニーとウィルは屋内駐車場を彷徨う内にザックによる反撃にあい、咄嗟にウィルはザックに発砲してしまいます。
撃たれたザックを発見したマークは救急車を呼び、現場にはキャムの乗る救急車が駆けつけ病院への搬送を始めますが、ダニーは取り囲まれた駐車場からの脱出のためにキャムの乗る救急車から運転手を降ろし、ウィルに運転をさせます。
ザックは大量に出血しており、警察官の殺害が捜査の苛烈さに繋がることを知るダニーは、キャムを銃で脅し治療を続けさせます。
銀行の駐車場では市警のモンロー警部が救急車の運転手を見つけ事情を聞いており、逃走犯が乗る救急車を特定していました。
ヘリコプターと大量のパトカーから追跡を受けるダニーは、父親の犯罪仲間であるギャングのパピに電話し、警察官を巻くための準備を依頼。
キャムはウィルの血を輸血することでザックの延命を成し遂げてはいましたが、実はザックはウィルによって2箇所を撃たれており、彼女が気づいていないもうひとつの傷口から出血が続いていました。
救急車によるパトカーとのチェイスはニュースで取り上げられ、騒ぎを聞きつけたFBIの捜査官クラークが、モンローに合流。
クラークは学生時代に犯罪心理学をダニーと学んだ同期生であり、逃走犯のひとりがダニーと知ると救急車の無線を通じて連絡を取り投降を促しますが、ダニーはそれを拒否しました。
逃走が続く最中、ザックの脾臓へ繋がる銃創が発覚。延命のためには高度な医療技術による手術が必要不可欠でしたが、ダニーはキャムの元恋人である医者とテレビ通話を行わせ、指示を受けながらキャムに手術を行わせます。
ダニーが運転を代わり、元軍人で救命経験のあるウィルも手術に参加し、ウィルとキャムの協力でザックの延命に成功。
キャムは自身のスマホはダニーに奪われていましたが、ザックの携帯でクラークと秘密裏に連絡を取ることに成功しており、ウィルの存在も警察へと伝わっていました。
キャムは手術中のやり取りの中で、ウィルが止むなく犯罪に手を染めてしまった良心的人間であることを感じており、2人きりになった際にダニーを裏切るように説得しますが、ダニーを見捨てられないウィルは聞き入れませんでした。
映画『アンビュランス』の感想と評価
繰り返される緊張と怒涛のカーチェイス
監督として手がけた作品の多くでカーチェイスシーンを描いてきたマイケル・ベイ監督。2019年に製作した『6アンダーグラウンド』(2019)では、イタリアのウフィツィ美術館を車で破壊して回る場面に多くの観客が度肝を抜かれました。
そして本作『アンビュランス』ではタイトルの「Ambulance(救急車)」が指す通り、銀行強盗を犯したダニーとウィルが乗る救急車と、警察車両の壮絶なカーチェイスが繰り広げられます。
警察による完全包囲、車両や道路の破損、車内でのトラブルなど、繰り返される絶望的な状況下をとにかく派手にぶち壊していく、マイケル・ベイ監督らしさの詰まったカーアクションムービーでした。
名優によって描かれるいびつな愛と狂気の交差
『ブロークバック・マウンテン』(2006)でアカデミー助演男優賞へノミネート後、『プリズナーズ』(2014)で犯罪検挙に執着を見せる刑事を演じた一方で『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)では誠実な顔の裏に邪悪な企みを持つヴィランを演じたジェイク・ギレンホール。
役のふり幅が大きく、さまざまな役を巧みに演じ分けることから、「カメレオン俳優」とも評価されるジェイク・ギレンホールの演技は本作でも健在。
妻の手術費用に困る弟のウィルの相談に乗り、ジェイク・ギレンホール演じるダニーは銀行強盗を計画します。しかし複数のトラブルによって計画が頓挫すると、2人は重傷を負った警察官と救急隊員を人質に救急車での逃走を敢行。
自身の身勝手な犯罪によって犠牲者を出したくないウィルに対し、ダニーはどんな犠牲を払ってでもその場を切り抜けようと暴走します。
その行動は、血の繋がらない兄弟に対する愛なのか、単なる保身なのか。俳優たちの演技によって生まれる緊張感と血の繋がらない兄弟の絆にも注目の作品です。
まとめ
都会の街並みを暴走する一台の救急車。愛する人のために、己が欲望のために、あらゆる物を破壊して進んでいくその救急車の爆走に、目が釘付けになること間違いなしの2時間。
マイケル・ベイが映画好きに贈る、大迫力のノンストッカーチェイスムービー『アンビュランス』は、ド派手な映画好きの人にオススメの1作です。
カメレオン俳優ジェイク・ギレンホールと今一番熱い俳優ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世の共演も必見です。