連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile157
1999年に公開され、世界で大ヒットを記録したSF映画『マトリックス』(1999)。SF映画の一時代を築き上げただけでなく、「バレットタイム」と呼ばれる多数のカメラを使った演出でアクション映画の流行をも作り上げました。
そして2021年、監督と主演を続投させたシリーズ最新作が公開されました。
今回は「マトリックス」シリーズ最新作となる映画『マトリックス レザレクションズ』(2021)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『マトリックス レザレクションズ』の作品情報
(C)2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
【公開】
2021年(アメリカ映画)
【原題】
The Matrix Resurrections
【監督】
ラナ・ウォシャウスキー
【脚本】
アレクサンダー・ヘモン、デイヴィッド・ミッチェル、ラナ・ウォシャウスキー
【キャスト】
キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ニール・パトリック・ハリス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ジェシカ・ヘンウィック、ジョナサン・グロフ、ジェイダ・ピンケット・スミス
【作品概要】
1999年に公開された映画『マトリックス』の監督の1人であるラナ・ウォシャウスキーが制作したシリーズ4作目。
キアヌ・リーブスとキャリー=アン・モスが続投し、新たにモーフィアス役として『アクアマン』(2019)や『シカゴ7裁判』(2020)に出演したヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世が参加しました。
映画『マトリックス レザレクションズ』のあらすじとネタバレ
(C)2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
機械たちの作り出した仮想空間「マトリックス」の更に深層のシミュレーション空間「モーダル」に潜入したバッグス。
救世主“ネオ”の影響で「現実世界」に帰還した彼女は、ネオの恋人である“トリニティー”の逃走シーンの再現に見入りますが、このシミュレーション空間に違和感を覚えます。
仮想空間の敵対者を排除する「エージェント」に発見されたバッグスは逃走を試みますが、“スミス”と呼ばれるエージェントに捕縛されます。
しかしそのスミスも、この空間に違和感を覚えていました。そして彼は自身の名前を“モーフィアス”と名乗ると、バッグスの提示した真実を求める「赤いピル」、この空間に留まる「青いピル」の選択で赤いピルを選択し、バッグスと共にモーダルの世界を脱出します。
その頃、ゲームクリエイターのトーマス・アンダーソンは、自身の製作したサイバー空間への侵入を検知します。
機械の作り出した仮想空間を軸に機械と人間の戦いを3部作で描いた「マトリックス」シリーズは大ヒットを記録し、知らぬ人はいないほどの地位も名誉も手に入れたアンダーソンでしたが、望まぬ4作目を社長と親会社の「ワーナー・ブラザーズ」に強制されており日々心労を重ねています。
それだけでなく、「マトリックス」の物語をまるで本当にあった物語と感じるデジャヴ現象を繰り返しており、アナリスト(精神分析医)の診断で精神安定剤として青いピルを飲み続けていました。
職場近くのカフェで既婚者のティファニーと出会ったアンダーソンは彼女が自身のゲームのキャラクターのトリニティーと瓜二つであり、お互いに既視感を覚えますがはっきりと思い出すことはありませんでした。
ある日、職場でモーフィアスと名乗る人物と自身の会社の社長がスミスとして覚醒し戦う光景を見たアンダーソンは、この光景を「妄想」と断定。
「人に迷惑をかけないように」というアナリストの言葉で絶望したアンダーソンは、泥酔したのちビルから飛び降りようとしますが、そこにバッグスが現れます。
彼女の案内で再びモーフィアスと出会ったアンダーソンは「マトリックス」の物語が真実であり、自分こそが本物のネオであると言われた上で赤いピルと青いピルの選択を迫られ、赤いピルを選択。
全身がプラグで繋がれた現実世界で目を覚ましたネオは、「マシン・シティー」での戦いで死亡したはずのトリニティーが、自身と同じくプラグに繋がれた状態で昏睡している姿を目撃。
バッグスたちによってプラグを抜かれ回収されたネオは、マトリックスの空間から現実への拒否反応を抑えるために閉鎖的な仮想空間に接続されます。
その空間でネオを待ち続けていたモーフィアスは、自身がネオによって作り出されたモーフィアスとスミスの合成体であることを話し、ネオの力を引き出そうと戦いを挑みます。
モーフィアスとの戦いで力を一部取り戻したネオは、現実世界に帰還するとバッグスたちに暖かく迎え入れられます。
現実世界では「マシン・シティー」での戦いから60年が経過していましたが、機械の脅威は未だ収まってはおらず、人類たちは隠れながら生きています。
マトリックスの“創造主”と「機械と人類の不戦の盟約」を結んだはずのネオは落胆しますが、バッグスはネオの行動で人類の味方になった機械の仲間を紹介し、意味はあったと元気づけます。
バッグスの船で「ザイオン」に変わる新たな人類の居住地「アイオ」に案内されたネオは、その街を統治する女性と会います。
彼女は60年前の戦いで共に戦った“ナイロビ”であり、ネオとの再会を喜ぶ一方でバッグスたちが街を危険に晒したことに怒りました。
ナイロビはマシン・シティーの戦い後、人類と機械の間に平穏が訪れたものの、人体を使い電気を得ていた機械の電力不足が原因で機械同士での戦争が多発したと語ります。
その余波によってマトリックスは過去以上に厳重な監視体制にあり、ネオがプラグに接続されていた場所への再接近は難しく、トリニティーの救出を断ったナイロビはネオを窓のある大きな部屋へ連れて行き幽閉します。
ネオが窓を眺めていると、バッグスたちの船が接近してネオを回収。ネオの求めるトリニティーへのマトリックス内での再対面を果たすべく、今一度マトリックスへと潜入します。
潜入先ではネオの宿敵であり、「エージェント」としての管理下を離れたスミスが待ち構えていました。
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映画『マトリックス レザレクションズ』の感想と評価
(C)2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
長い月日を経て甦る「マトリックス」のその後の物語
自分の生きる世界が「仮想現実」なのではないかと言う、技術の進化によって生み出された都市伝説を題材とした「マトリックス」シリーズ。
3作目となる『マトリックス レボリューションズ』をもって完結した本シリーズは、長い月日を経て復活を果たしました。
キアヌ・リーヴスやキャリー=アン・モスなど初代俳優を続投させたことで話題となった本作は、シリーズの軸と言える部分をしっかりと抑えて作られており、ワイヤーとカンフーを取り入れた激しいアクションを多量に取り入れています。
銃弾を避け、多数の敵を捌いていく爽快さを見せる一方で「救世主」として死亡したはずのネオのその後の物語を丁寧に描いていました。
メタ発言を連発するファン向け要素も充実な“続編作品”
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「スター・ウォーズ」や「バッドボーイズ」、「ハロウィン」など旧作俳優を続投させた新作で話題を呼ぶシリーズが増えてきた昨今の映画業界。
過去作の「リメイク」や「リブート」作品も多く、嬉しい一方で「またか」と言う想いを秘めているファンも多くいるはずです。
本作ではそんなシリーズ作品に対するファンの気持ちを仮想現実内のキャラクターたちがはっきりと口にし、「完結した映画の続編を作ること」にも言及しています。
そう言った批判を重々承知の上で本作を制作しているという意気込みを感じさせるシーンでもあり、その後に繰り広げられる多くのシーンの数々が本作が「ファン向け」作品であることを意図しているかのようでした。
シリーズを彩った多くのキャラクターたちの再登場ゆえに、シリーズの再鑑賞後の鑑賞をオススメしたい作品です。
まとめ
(C)2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
主人公のネオがキリスト教における「キリスト」を意味していることでも知られる「マトリックス」シリーズ。
4作目となる本作はキリストの復活を意味する言葉でもある「レザレクションズ」が題されており、死後復活した救世主を思わせる物語展開が繰り広げられます。
キアヌ・リーヴスの演技と併せて、ファン垂涎のシーンが連発される最新映画『マトリックス レザレクションズ』をぜひ映画館で鑑賞してみてください。