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Entry 2022/06/21
Update

007ダイヤモンドは永遠に|ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。ジェームズボンドが挑む密輸事件と黒幕の正体

  • Writer :
  • 秋國まゆ

大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第7作!

ガイ・ハミルトンが監督を務めた、1971年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/ダイヤモンドは永遠に』。

ある日、南アフリカで発掘される200万ポンドにのぼるダイヤモンドが、何者かに盗難・密輸されてしまい、闇市場にも出ずに消失してしまった事件が発生。

その調査に向かった「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、謎の陰謀と巨悪な黒幕に挑む物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役に復帰した、「007」シリーズ第7作『007/ダイヤモンドは永遠に』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『007/ダイヤモンドは永遠に』の作品情報


(C) 1971 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

【公開】
1971年(イギリス・アメリカ合作映画)

【原作】
イアン・フレミングの小説『007/ダイヤモンドは永遠に』

【監督】
ガイ・ハミルトン

【キャスト】
ショーン・コネリー、ジル・セント・ジョン、チャールズ・グレイ、ラナ・ウッド、ブルース・キャボット、ジミー・ディーン、ノーマン・バートン、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン、パター・スミス、ジョー・ロビンソン、ジョセフ・ファースト、レナード・バー、デビッド・バウアー、ローラ・ラーソン、トリナ・パークス、エド・ビショップ、マーク・ローレンス、ボブ・シモンズ

【作品概要】
007/ゴールドフィンガー』(1965)のガイ・ハミルトンが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。

原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『007/ダイヤモンドは永遠に』をもとに描かれた、「007」シリーズ第7作目です。

「007」シリーズのショーン・コネリーが、本作の主人公ジェームズ・ボンド役に復帰しています。

映画『007/ダイヤモンドは永遠に』のあらすじとネタバレ


(C) 1971 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドは、日本やエジプト・カイロなど世界中を飛び回り、宿敵「スペクター」のボスであるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドの足取りを追っていました。

その結果、ついにボンドは、ブロフェルドとその替え玉を殺害し、長きにわたるブロフェルドとの戦いに終止符を打ちました。

後日、イギリス・ロンドンにあるMI6の本部。MI6の部長であるMは、ブロフェルドとの戦いを終えたボンドに休養を兼ねて、地味で堅実な任務を与えます。

その任務とは、南アフリカの鉱山で発掘された大量のダイヤモンドが何者かによって盗難・密輸され、闇市場に出ずに消失した事件の調査です。

ボンドは早速、捜査線上に浮上した密輸業者ピーター・フランクスが密輸活動を行うオランダ・アムステルダムへ向かいました。

アムステルダムに到着後、ボンドたちMI6はフランクスを捕らえます。そしてボンドは、フランクスとしてダイヤモンドの密輸に関わっている集団の1人、ティファニー・ケイスに接触しました。

しかしティファニーからダイヤモンドの隠し場所を聞き出すよりも先に、フランクスが脱走。そのままティファニーに接触しようとしたため、ボンドは彼女のアパートのエレベーター内での格闘の末、フランクスを殺害します。

さらにボンドは、フランクスの懐に自分の身分証を忍ばせ、「ボンドは尾行していたフランクスに殺された」ことにしました。

この一件でボンドを本物のフランクスだと完全に信じ込んだティファニーは、小さな老婦人からダイヤモンドを預かり、シャンデリアにして隠していることを明かします。

その後、ボンドはフランクスになりきり、彼の遺体にダイヤモンドを隠して、ティファニーと一緒にロサンゼルスへ密輸しました。

一方殺し屋のミスター・ウィントとミスター・キッドは、南アフリカ産のダイヤモンドの密輸に関わった者たちを計画的に殺害していきます。

1人目は、作業員にダイヤモンドを盗ませ、小さな鞄に集めていた鉱山に常駐する歯科医タイナン。

2人目は、タイナンからダイヤモンドを受け取り、次の密輸業者へヘリで運ぼうとした密輸業者のジョー。

3人目は、アムステルダムで教鞭を執っている小さな老婦人。彼女はジョーから受け取ったダイヤモンドを、次の密輸業者であるティファニーに渡す役目を担っていました。

彼らを殺したウィントたちが狙うのは、ロサンゼルスへの密輸を任されたティファニーです。

それを知らないボンドはロサンゼルス空港へ到着後、税関職員に扮した盟友、CIAのエージェントのフェリックス・ライターと合流。

フランクスの遺体にダイヤモンドを隠したことを伝えた後、ボンドはフランクスの遺体を「スランバー葬儀社」という葬儀社へ運び、火葬しました。

火葬が終わり、スランバー葬儀社のスランバーとその部下から骨壷を受け取ったボンドは、中身がダイヤモンドであることを確認した上で、納骨室にそれを納めました。

しかしその直後、ボンドはウィントたちに後頭部を殴られ昏倒し、棺の中に閉じ込められて火葬されそうになりました。

それを助けてくれたのは、スランバーたちでした。しかし彼らは、骨壷の中身がダイヤモンドの模造品であることについてボンドを糾弾します。

逆にボンドは、納骨堂にあったダイヤモンドの代金は偽札だったと責め、「本物のダイヤモンドは、本物の金と交換だ」と要求しました。

その後、ボンドは宿泊先のトロピカル・ホテルで寛ぎながら、ライターに連絡をとり、MI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQに本物のダイヤモンドを持ってこさせるよう指示を出しました。

Qが来るのを待つ間、ボンドは億万長者のウィラード・ホワイトが所有するカジノホテル「ホワイト・ハウス」へ足を運び、スタンドアップコメディアンであるシェイディ・トリーのショーを楽しむことにしました。

ショーが終わり、ボンドは控え室にいるトリーに会いに行きました。それは、彼もダイヤモンドの密輸に関わっていたからです。

しかしボンドは、控え室で死んでいるトリーを発見。ボンドが来るよりも先に控え室を訪れたウィントたちの仕業でした。

トリーが死んだことを知ったカジノの支配人バート・サクスビーは、ホワイト・ハウスの最上階にいるホワイトに報告。

カジノのクラップステーブルでゲームをしているフランクス(に成りすましたボンド)をどうするか指示を仰ぎます。

これに対しホワイトは、「ダイヤさえ手に入ればそれでいい」と答えました。

その後、5万ドルを勝ち取ったボンドは、ゲーム中に知り合ったプレイティー・オトゥールという美女を部屋に招きました。

しかしその部屋には、スランバーとその部下たちが待ち構えていました。ですがスランバーたちは、邪魔なプレイティーを窓から下のプールへ投げ落としましたが、ここにダイヤモンドがないことが分かるとあっさり退散していったのです。

それでもまだ誰か部屋にいると感じたボンドが、恐る恐る寝室へ向かうと、ティファニーがベッドに横たわっていました。

ティファニーは、ボンドからダイヤモンドの隠し場所を聞き出そうと色仕掛けをします。

その誘惑に負けたフリをして、ボンドは「ラスベガスのサーカスでダイヤモンドを渡す」と言いました。

以下、『007/ダイヤモンドは永遠に』ネタバレ・結末の記載がございます。『007/ダイヤモンドは永遠に』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C) 1971 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

ボンドとライターとその部下たちに監視されていることに気づかぬまま、ティファニーは一向に姿を現さないボンドの指示に従い、射的ゲームをして子犬のぬいぐるみをゲット。

そこにはダイヤモンドが隠されていたため、ティファニーは子犬のぬいぐるみを持って逃走。しかし、自宅にはボンドが待ち伏せしていました。

ボンドからダイヤモンドの密輸に関わった者が次々と殺されていること、ティファニーだと勘違いされたプレイティーが、自宅のプールで溺死させられたことを知らされたティファニー。

ボンドは、彼女にダイヤモンドの密輸を指示するボスが誰か聞き出そうとするも、ボスから電話で指示されるだけだと言います。

ボスのことを教えられない代わりに、ティファニーはラスベガス空港のコインロッカーに子犬のぬいぐるみを隠したことを明かしました。

ボンドはティファニーが運転する赤のフォード・マスタング・マッハ1に乗り、ラスベガス空港へ急行し、コインロッカーが見える場所に張り込みます。

すると男性ポーターが子犬のぬいぐるみを取り出し、駐車場で待っていたバンのドライバーに渡したのを目撃。

ボンドたちはそのバンを追跡した結果、バンのドライバーはホワイトの右腕的存在でもあるサクスビーであることが判明しました。

サクスビーはホワイト・ハウス近くのガソリンスタンドに立ち寄り、そこで待機していた別の男と入れ替わります。

ボンドはティファニーに頼んで、ガソリンスタンドから立ち去ろうとするバンを足止めし、その隙にバンの荷台に忍び込みました。

ボンドが荷台にいることに気づかぬまま、男は郊外にあるホワイトの研究所「W電子工学」へ向かい、子犬のぬいぐるみを人工衛星を製作している研究室に運びます。

そこで、研究員のハーガシャイマーを装ったボンドが登場。バンを運転していた男メッツ教授に接触します。

しかしボンドが追い返された直後、本物のハーガシャイマーがメッツ教授の研究室に現れてしまい、ボンドが潜入したことがバレてしまいました。

ボンドは、W電子工学の中で月面探査の撮影をしていた部屋から月面車を奪って逃走。カーチェイス中に警備員が乗っていた三輪バイクに乗り換え、敷地外で待機していたティファニーと合流します。

その日の夜。何とかラスベガスに戻ってこれたボンドたちでしたが、今度はホワイトの息がかかった地元警察に追われることに。

ラスベガスの有名なフリーモント・ストリートでカーチェイスを繰り広げた末、パトカーの追跡を撒いたボンドたちはホワイト・ハウスの新婚スイートにチェックインし、最上階から滅多に出てこないほど人間嫌いのホワイトに接触する機会を窺います。

するとそこへ、ライターたちが現れ、ティファニーを新婚スイートに軟禁しました。

ボンドはホテルの壁を伝って最上階へ侵入。しかしそこにいたのはホワイトではなく、彼を装った2人のブロフェルドだったのです。

2人のブロフェルド曰く、ボンドが殺したのは整形手術を施したブロフェルドの替え玉と、替え玉に志願した者だと言います。

「ボイス・ボックス」という音声を変換できる電話を使ってホワイトに成りすました2人のブロフェルドは、彼がやり手の経営者であったことを利用して、爆薬・石油・電子工学・住宅・航空機にまで手を広げ、ある計画の準備を進めていました。

ボンドは葛藤の末、一か八かブロフェルドの愛猫を蹴りあげ、それをキャッチした方のブロフェルドを射殺しました。

しかし、撃ったのはまたもやブロフェルドの替え玉。しかも愛猫にも替え玉がいたのです。

ボンドは本物のブロフェルドに何を企んでいるのか尋ねましたが、彼は計画を明かさず、エレベーターを使ってロビーへ降りるよう促します。

それに従うしかなかったボンドがエレベーターに乗り込んだ直後、天井からガスが噴射され、ボンドは意識を失ってしまいました。

ロビーで待ち構えていたウィントたちは、ボンドを車のトランクに押し込み、砂漠へ向かいました。トランクに押し込んだ際、ウィントの服のポケットから落ちた化粧瓶がトランクの中で割れてしまいます。

その砂漠にポツンと置かれた巨大なパイプの中にボンドを置き去りにして、ウィントたちはその場から立ち去っていきました。

その巨大パイプが置かれた場所は、新しい下水道ラインを砂漠の地下に埋める工事現場でした。

翌日。工事現場の作業員は誰一人としてボンドに気づかぬまま、彼が入った巨大なパイプを砂漠の地下に埋めました。

それからしばらくして、下水道に迷い込んだネズミによって目を覚ましたボンドは、故意に下水道工事をチェックする自動操縦の機械を壊し、それを修理しに来た業者にハッチを開けさせて脱出します。

その後、Qとライターたちと合流したボンドは、Qが開発した音声変換装置を使ってサクスビーに成りすまし、ブロフェルドに「ボンドがカジノにいる」と伝えました。

これに対しブロフェルドは、「ボンドのことよりも、先に別荘のペントハウスにいるホワイトを始末しろ。奴の利用価値はもう失せた」と命じました。

郊外の高台にあるペントハウスにホワイトがいることを突き止めたボンドたちは、ブロフェルドに人質として捕らえられている彼を救出しに行きました。

ペントハウスに到着後、ボンドがホワイトのボディガードを務めるバンビとサンパーと乱闘騒ぎになったものの、彼らはホワイトを無事救出。

そこへ本物のサクスビーが現れ、ホワイトを殺そうとするも、ライターの部下たちに返り討ちにされ死亡しました。

この間、ブロフェルドは女装をして、ダイヤモンドを着けた愛猫を連れてホワイト・ハウスから脱出。自分を怪しんで追いかけてきたティファニーを捕まえます。

一方ボンドたちは、ホワイトを連れてW電子工学を訪れました。しかし、ボンドが見た人工衛星はありませんでした。

研究室に残っていた研究員の話によると、レーザー屈折の世界的権威であるメッツ教授をW電子工学に招き、人工衛星を製作するよう指示したのはホワイトだと言います。

それがホワイトを装ったブロフェルドの仕業であることにボンドたちが気づいた頃には、W電子工学から持ち出された人工衛星は既に宇宙へ打ち上げられていました。

しかもブロフェルドたちに遠隔操作されているため、ボンドたちは人工衛星を爆破することもできません。

その後の調べで、その人工衛星は密輸した大量のダイヤモンドを使った光屈折装置となっており、恐るべき破壊力を持つレーザー光線を発することができることが判明。

その破壊力を見せつけるかのように、ブロフェルドはアメリカの戦略空軍指令部(SAC)にある核ミサイル、太平洋を潜水中だったロシアの原子力潜水艦、中国の核施設にある核ミサイルをレーザー光線で破壊します。

世界各国に人工衛星の脅威を知らしめた後、ブロフェルドは核保有国であるアメリカ・ロシア・中国に対し、「大都市を破壊されたくなければ私に降伏し、人工衛星を国際的競売にかけろ」と要求しました。


(C) 1971 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

ホワイト・ハウスの最上階にあるホワイトのビジネス帝国の地図を見て、ボンドはホワイトの企業のどこかにブロフェルドが潜伏していると推測。

その中で一番怪しい場所は、ホワイトが何もないと言っていたカリフォルニア州バハにある石油部門です。

ブロフェルドが提示したタイムリミットが刻一刻と迫る中、ボンドたちはある作戦を実行します。

それはバハの沖合に建設された石油プラットフォームに、ボンドが航空機からパラシュート降下して乗り込み、ブロフェルドが持つ人工衛星を制御できる暗号テープを偽物とすり替える。

そして、ボンドが上空で待機するホワイトとライターたちに合図を送り、CIAのヘリが総攻撃を開始。ブロフェルドもろとも石油プラットフォームを破壊する、というものです。

しかしティファニーの勘違いによって、ボンドによる人工衛星を制御できる暗号テープのすり替えは失敗に終わってしまいます。

捕まったボンドは倉庫に閉じ込められる前に、観測用の風船を切り離しました。それをボンドからの合図と捉えたライターたちは、予定通り上空から総攻撃を仕掛けていきます。

スペクターとCIAによる激しい銃撃戦が繰り広げられる中、倉庫から自力で脱出したボンドは、1人潜航艇を使って逃げようとしているブロフェルドを発見。

潜航艇の発射クレーンを操縦していたブロフェルドの手下を倒し、これまでの仕返しだと言わんばかりに乗っ取ったクレーンを使ってブロフェルドを弄びます。

そしてボンドは、ブロフェルドが乗った潜航艇を石油プラットフォームの制御室に何度もぶつけ、人工衛星を制御できる暗号テープもろとも制御室を破壊します。

制御室と潜航艇両方が爆破したことにより、石油プラットフォームは爆発し炎上。事件解決後、ボンドとティファニーはライターとホワイトに見送られ、ホワイト所有のP&Oのクルーズ船キャンベルに乗ってイギリスに向かいました。

その日の夜。ティファニーはボンドに大事な話があると声を掛けると、そこへルームサービスの執事に扮したウィントたちが現れます。

ボンドはウィントたちと初めて対峙したはずですが、車のトランクの中で嗅いだウィントの香水の匂いを覚えていたため、その正体を瞬時に見破ることができました。

ボンドに返り討ちにされたキッドは、手に持っていたバーベキューの火が全身に燃え移り、慌てて海に飛び込むも間に合わず焼死。

ウィントもボンドに返り討ちにされ、両手を両足首の後ろに固定された状態で、ボンドたちを殺すために用意した時限爆弾を持たされ、海に放り込まれて海上で爆死しました。

あっという間に2人を倒したボンドに、話の続きを促されたティファニーは、「ダイヤモンドを取り戻す方法はないかしら?」と尋ねました。

微笑み合いながら寄り添うボンドたちが見上げた夜空には、ダイヤモンドのように輝くひときわ大きな星がありました。

映画『007/ダイヤモンドは永遠に』の感想と評価


(C) 1971 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

ダイヤモンド密輸事件の裏に隠された陰謀を暴くボンド

物語の序盤で宿敵「スペクター」のボス、ブロフェルドとの戦いに終止符を打ったボンド。これまでの「007」シリーズ作品で描かれてきた、ボンドとブロフェルドの長い戦いがようやく終わって安堵する反面、2人の熾烈な戦いがもう見られないのかと寂しくなってきます。

そんなボンドに新たに与えられた任務は、南アフリカ産のダイヤモンドが何者かによって大量に盗難・密輸され、闇市場に出ずに消失した事件の調査でした。

密輸ルートを辿っていったボンドは、ついに密輸されたダイヤモンドの一部を奪取。これを機に残りのダイヤモンドも簡単に取り返していくのかと思いきや、死んだはずのブロフェルドが物語に再登場したことにより、事態は一変します。

この思わぬ大どんでん返しが起きた場面に、ボンド同様、観ている人も言葉を失うほど驚かされることでしょう。

ですが、さすがボンド。盟友のライターとその部下たち、ホワイトを味方につけて、ブロフェルドの陰謀を暴き、今度こそ世界規模の野望もろともブロフェルドを倒します。

「007」シリーズ史上最高のボンドとブロフェルドの戦いは、最後まで何が起きるか分かりません。一瞬たりとも見逃せないスリリングなアクション場面は、「007」シリーズが好きなファンはもちろん、初見の人でも楽しめます。

ダイヤモンド密輸事件の黒幕の正体


(C) 1971 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

物語の序盤で替え玉もろとも、ボンドに殺されたブロフェルド。しかし物語の後半で、実はボンドが殺したのはブロフェルドの顔に整形済みの彼の替え玉と、整形手術前の替え玉志願者であることが、2人のブロフェルドの口から明かされます。

しかもボンドたちMI6の目を欺いただけでなく、ブロフェルドはダイヤモンド密輸事件の黒幕でもあったのです。

やり手の経営者であるホワイトに目をつけたブロフェルドは、彼が人間嫌いであることを利用して、彼に成りすまして複数の密輸業者を操り、南アフリカから大量のダイヤモンドを手に入れます。

ブロフェルドがそんなことをする目的は、メッツ教授に作らせた人工衛星を使い、核保有国であるアメリカ・ロシア・中国を脅して、世界の覇権を握るために人工衛星を国際的な競売にかけさせることです。

これまでの「007」シリーズ作品で描かれてきたブロフェルドの計画も規模が大きいものばかりでしたが、今回は世界規模のもの。しかも本物のホワイト自身にも知られずに、そこまでの計画を進めていたなんて驚嘆します。

まとめ


(C) 1971 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

宿敵ブロフェルドを倒した「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、南アフリカで起きたダイヤモンド密輸事件の裏に隠された陰謀を暴いていく、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。

前作『女王陛下の007』(1969)が原作小説に比較的忠実なものだったのに対し、本作ではブロフェルドが女装していたり、ボンドが何もしていないのに追手が自滅するなど、原作よりも娯楽性を重視した作品となっています。

ただ、ダイヤモンドの密輸に関わった者たちを計画的に殺していくウィントとキッド、このゲイの殺し屋が登場するのは原作どおりです。

そして本作は、初代ジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリーがボンド役に復帰した作品であると同時に、ショーン・コネリーが本作をもってボンド役を卒業した作品でもあります。

また、本作の原作ではブロフェルド及びスペクターは登場していません。そのためスペクター関連の権利を持つケヴィン・マクローリーが猛抗議し、『007/スペクター』(2015)までブロフェルドたちスペクターは登場しなくなることに………。

ショーン・コネリー演じる初代ジェームズ・ボンドと、ボンドの宿敵であるブロフェルドによる本当に最後の戦いが描かれた、スリリングでコメディタッチなスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

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