Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ラブストーリー映画

『ナミビアの砂漠』あらすじ感想と評価解説。河合優実がエキセントリックなヒロインに圧巻の演技でなりきる

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『ナミビアの砂漠』は2024年9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

19歳にして初監督作『あみこ』(2018)でベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待されるなど高く評価された山中瑶子が監督・脚本を手がける青春ドラマ『ナミビアの砂漠』が、2024年9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開されます。

本作は、現代日本の若者たちの恋愛や人生を鋭い視点で描き、2024年・第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞しました。

主演はドラマ「不適切にもほどがある!」で大ブレイクした注目の俳優、『あんのこと』(2024)の河合優実。

サマーフィルムにのって』(2021)の金子大地、『プロミスト・ランド』(2024)の寛一郎、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりかが共演しています。

これまで誰も観たことがないような魅力に満ちあふれた主人公の・カナを、河合優実が圧倒的な存在感で演じます。

映画『ナミビアの砂漠』の作品情報


(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

【日本公開】
2024年(日本映画)

【監督・脚本】
山中瑶子

【キャスト】
河合優実、金子大地、寛一郎、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか、渋谷采郁、澁谷麻美、倉田萌衣、伊島空、堀部圭亮、渡辺真起子

【作品概要】
19歳にして初監督作『あみこ』(2018)でPGGアワード観客賞を受賞後、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待されるなど、その名を世に知らしめた山中瑶子が監督・脚本を手がける青春ストーリー。

今を生きる若者たちの恋と人生を鋭い視点で切り取った本作は、「若き才能が爆発した傑作」と絶賛され、2024年・第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞しました。

感情の振り幅の広いZ世代のヒロイン・カナを、ドラマ『不適切にもほどがある!』で大ブレイクした注目の俳優『あんのこと』(2024)の河合優実が熱演。

山中監督の『あみこ』を学生時代に観て衝撃を受けた河合は、山中に直接「いつか出演したいです。」と伝え、「女優になります」と書いた手紙を渡す。運命的な出会いを果たした山中監督と河合が念願のタッグを組み、熱量とセンスを注ぎ込んで生み出した一作です。

サマーフィルムにのって』(2021)の金子大地、『プロミスト・ランド』(2024)の寛一郎が、カナに魅せられる男たちを好演しています。

共演は新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか、渋谷采郁ほか。

映画『ナミビアの砂漠』のあらすじ


(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

世の中も、人生も全部つまらない。脱毛サロンで働く21歳のカナは、やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きています。

何に対しても情熱を持てず、恋愛ですらただの暇つぶしでしかないカナにとって、同棲している恋人ホンダは優しいけれど退屈な男でした。

彼を重荷に感じ始めたカナは、自信家で刺激的なクリエイターのハヤシに乗り換えて、新しい生活を始めます。

しかし、次第にカナは自分自身に追い詰められていくようになりました。もがき、ぶつかりながら、彼女は自分の居場所を見つけようとしますが……。

映画『ナミビアの砂漠』の感想と評価


(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

ヒロインのカナはすべてに対して無気力で、世の中を斜めからぼんやりと眺めているかのような女性です。

優しい恋人・ホンダと同棲していながら、隠れて別の男・ハヤシとも付き合っています。退屈に我慢できなくなった彼女は、いつも刺激をくれるクリエイターのハヤシに乗り換え、一緒に暮らし始めました。

しかし、一緒に住み始めると、それまでの刺激的な恋は姿を変えてしまいます。日常生活の中でふたりのぶつかり合いは絶えなくなり、カナの心は次第に追い詰められていきました。

カナはクールと熱情、無気力と狂気という大きな振り幅の感情を絶え間なく行ったり来たりする女性です。周囲の人間はもちろん、自分自身さえもその激しい気性に振り回され、コントロールがまったくききません。

これまで見たことがないほどエキセントリックな魅力にあふれるヒロイン・カナがまるで憑依したかのような、河合の演技に驚かされます河合優実の希有な才能にただただ圧倒される作品です。

また、どうしようもなくカナに心奪われ、振り回されても尚、離れられずにいる恋人役を演じる金子大地と寛一郎も魅力的です。

男性2人と、河合からあふれ出る半端ない色気が、彼らの離れがたい関係性をよりリアルに見せています。

恋人たちがぶつかり合いの際に見せる、複雑に変化する表情から一時も目が離せません

まとめ


(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

今一番注目される実力派俳優・河合優実の輝きを、余すことなく封じ込めた作品『ナミビアの砂漠』。河合が見せるくるくると変わる表情や、ちょっとした仕草のすべてに魅了されることでしょう。

そして、カナの生きていく喜びや苦しみ、何かを手にしようとしてもがく姿に、いつの間にか心奪われてしまうに違いありません。

タイトルの示す意味についても、どうぞご注目ください。

青春ドラマ『ナミビアの砂漠』は2024年9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開です。



関連記事

ラブストーリー映画

映画『アイネクライネナハトムジーク』ネタバレ感想と解説。今泉監督だからこその平凡な人々の恋愛話が実に生き生きと爽やか

10年の時を超えてつながる恋と出逢いの物語 映画『アイネクライネナハトムジーク』が2019年9月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかで公開されています。 人気ベストセラー作家・伊坂幸太郎の同名小 …

ラブストーリー映画

映画『蝶々夫人』ロイヤルオペラの公開日と上映館は?

映画館でオペラを観るのはいかがでしょうか? 日本に魅せられたプッチーニが書き上げたオペラ名曲『蝶々夫人』。ロイヤル・オペラは2017年5月26日(金)から公開! 他人を愛することを知ったわずか15歳の …

ラブストーリー映画

映画『打ち上げ花火〜(1993)』動画無料配信はHulu。ネタバレ感想

2017年夏にアニメーション映画としてリメイクされ話題を集めた岩井俊二監督の映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。 悩みを抱える女の子と、そんな彼女に密かに想いを寄せる男の子の小さな逃避 …

ラブストーリー映画

『フットルース』ネタバレあらすじ結末と感想評価の解説。名曲とダンスと共にケヴィン・ベーコンの華麗なステップと身体能力に見惚れる!

若者たちの熱気あふれるロックな青春 ロックもダンスも禁止されている保守的な田舎町に越してきた青年が卒業ダンスパーティーを企画し、閉塞的な町を変えていく爽やかな青春映画です。 主人公のレンを演じるのはケ …

ラブストーリー映画

海辺の生と死キャストとあらすじ&試写会情報【満島ひかり主演映画】

そこは“神の島”―。はかない恋の一瞬のきらめきを描いた恋愛映画がここに誕生。 『夏の終り』以来4年ぶりの単独主演を務めた満島ひかりさんの野生の魅力が溢れた『海辺の生と死』をご紹介します。 CONTEN …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学