父親探しを通して真実の愛をみつける幸せいっぱいのミュージカル・コメディ
ABBAのヒット曲で構成されたブロードウェイ・ミュージカルを『ソフィーの選択』(1983)『プラダを着た悪魔』(2006)のメリル・ストリープ主演で映画化。
結婚式を控えた女性が顔も知らない父親とヴァージン・ロードを歩こうと決意したことから起きる騒動をユーモラスに描きます。
監督を舞台版も手掛けたフィリダ・ロイドが務めます。
『007/ゴールデンアイ』(1995)のピアース・ブロスナン、『英国王のスピーチ』(2011)のコリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、アマンダ・セイフライドらが共演。
2018年には続編『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』(2018)が公開されました。
観れば誰もがハッピーで楽しい気分になれる大ヒットミュージカルをご紹介します!
映画『マンマ・ミーア!』の作品情報
【公開】
2009年(イギリス・ドイツ・アメリカ合作映画)
【脚本】
キャサリン・ジョンソン
【監督】
フィリダ・ロイド
【出演】
メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、アマンダ・セイフライド、ドミニク・クーパー
【作品概要】
ABBAの名曲をベースに構成され大ヒットしたミュージカルを舞台版も手掛けたフィリダ・ロイド監督が映画化したハートフルドラマ。
1970年代から80年代初頭に活躍したポップスグループ・ABBAのヒットナンバー満載の楽しい一作です。
主演は『ソフィーの選択』(1983)『プラダを着た悪魔』(2006)で知られるオスカー女優のメリル・ストリープ。
『007/ゴールデンアイ』(1995)のピアース・ブロスナン、『英国王のスピーチ』(2011)のコリン・ファース、『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』(2006)ステラン・スカルスガルド、『レ・ミゼラブル』(2012)のアマンダ・セイフライドらが共演。
映画『マンマ・ミーア!』のあらすじとネタバレ
美しい海に浮かぶ小さな島に住む20歳のソフィは、父親かもしれない顔も知らない男たち3人に、自身の結婚式の招待状を送ります。
ソフィは久しぶりに会えた親友たちに、自分の父を招待したことを話します。ソフィは母から、自分がひと夏のロマンスで授かり、妊娠がわかるまえに父親とは別れたと聞かされて育ちました。
妊娠した年の母・ドナの日記を手に入れたソフィは中身を読み上げます。そこには「サムこそ自分の愛する人」とありましたが、彼にはすでに婚約者がいたと書かれていました。そしてその後、母はビル、ハリーとも関係を持っていました。
3人に手紙を出したと聞いて親友たちは驚きますが、ソフィは悪びれず、母の名前で手紙を出したら3人とも来てくれることになったと話します。彼女は父とヴァージンロードを歩くことを夢見ていました。このことは婚約者のスカイにも母にも秘密です。
その頃、サム、ビル、ハリーの3人は港で偶然出会い、ハリーのヨットで一緒にソフィの住む島へと向かっていました。
ダナの親友のターニャとロージーも島に到着し、3人は大盛り上がり。ダナはソフィが自分のホテルを継ぐつもりらしいと話しますが、ホテルはガタがきてボロボロで、ダナはお金に苦労していました。
とうとう男3人組が島に到着します。ソフィは大喜びで迎え、ドナに気づかれないように彼らをヤギ小屋へと連れて行き、母には内緒にしていると話します。
しかし、ドナは小屋の物音に気付いて、彼らの姿をのぞき見てしまいました。思いがけずドキドキした彼女は、さらに屋根からのぞこうとして見事に部屋に落下。3人と久々の再会を果たします。
すぐに出航するようにドナは言いますが、彼らはそろって「会えてうれしい」と言いました。
泣きながらトイレに駆け込むドナを心配する親友たち。慰められたドナは、彼らがソフィの父だけれど、誰が父親かはわからないことを告白しました。
ヤギ小屋にいると聞いたターニャとロージーはすぐさま走り出し、慌ててドナがその後を追います。
しかし小屋には誰もいませんでした。実はソフィたち娘3人が隠れていましたが、それには気づかずドナたちは出ていきます。
ソフィの気持ちを思って心配するドナ。自分を責める彼女を親友たちが笑い飛ばし、昔のように踊ってと元気づけます。
思わず踊り出すドナ。最高の時を楽しんでと笑い合いながら、島中の人々を巻き込んで海辺で踊り出し、最後はみんなで海に飛び込みました。
映画『マンマ・ミーア!』の感想と評価
誰もがハッピーになれる名作ミュージカル
これぞミュージカル!とウキウキ楽しい気分になれる名作ミュージカル『マンマ・ミーア!』。
一人が歌い出すとあっという間に大合唱となり、一人が踊り出すと、周囲の人みんながくるくると踊り始めます。
思わず一緒にリズムをとってしまう中、テンポよいABBAの音楽に乗せて町中のあらゆる人たちが海の桟橋で踊ったり、マッチョな若い男性陣が海辺で踊ったりして楽しませてくれるのです。
碧い海の美しいことといったら! ギリシアの小さな島、スコペロス島を舞台に撮影されたそうです。
主演はアカデミー賞常連の名優メリル・ストリープ。子どもこの頃オペラ歌唱法を学んでいた彼女は、これまでも『永遠に美しく…』(1992)『イントゥ・ザ・ウッズ』(2015)などでも圧巻の歌声を披露しています。
サムを演じるのはピアース・ブロスナン。映画「007」シリーズ第17作『ゴールデンアイ』(1995)で5代目ジェームズ・ボンドに就任し、『トゥモロー・ネバー・ダイ』(1998)、『ワールド・ノット・イナフ』(1999)なども成功させました。今作ではコミカルな役をダンディに演じています。
ハリーを演じたコリン・ファースは、「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズなどロマンティック・コメディの名手です。
本作の翌年には『英国王のスピーチ』(2011)でアカデミー賞受賞するなど、実力派として知られます。
3人目の自由人、ビルを演じたステラン・スカルスガルドは、カンヌ国際映画祭グランプリとなった『奇跡の海』(1997)で知られるスウェーデン俳優です。『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』(2006)などにも出演しています。
3人のパパを呼び寄せたおてんばなソフィに扮するのは、大きな瞳が魅力的なアマンダ・セイフライド。
本作で大ブレイク後も、ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』(2012)でコゼット役を演じるなど活躍しています。
錚々たる男優陣を相手に、メリル・ストリープが泣いたり笑ったり忙しいドナをユーモラスに演じます。名優たちが一丸となって楽し気に騒ぐ姿はとても貴重で、観ていても現実感のない夢の中にいるかのようです。
この上なく豪華な夢物語に存分にひたってくださいね。
まとめ
結婚を控え、パパにエスコートしてもらって式を挙げることを願った20歳のソフィの行動が、大騒動を巻き起こすコメディ『マンマ・ミーア!』。
会えば誰がパパなのかわかるだろうと甘いことを考えていたソフィ。結局母のドナ自身も誰が父親なのかわからないというオチで、騒動は最後まで続きます。
ソフィの婚約者のスカイは、若いのにとてもしっかりした青年です。自分に秘密で父親に声をかけたという幼い恋人・ソフィに、「父親を探すのではなく、自分を探せ」という、若者とは思えない成熟した言葉を投げかけます。
とはいえ、ソフィが自分のルーツがわからないために不安を抱えていることもよく理解できます。
結局誰が生物上の父親かはわからないままでしたが、魅力的な3人が彼女の悩みに寄り添ってくれたことで、彼女の不安は消し飛びます。真実を知ることだけが問題解決になるわけではなかったのです。
そのほかにも、ドナ、ソフィアには、それぞれを支えてくれる大切な親友たちがいました。彼女たちに慰められ、元気づけられ、共に喜びを歌い踊ることで、ふたりは苦しみ悩みを乗り越えます。
人と人の絆、温かさこそが何より大切だと強く歌い上げてくれるこの作品から、明日を生きる勇気をもらえるに違いありません。