アラサーの星・ブリジットがアラフォーになって帰ってくる
女性から絶大な支持を受けたレネー・ゼルウィガー主演の大人気ロマンティックラブ・コメディ『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)シリーズの、前作『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』(2005)から11年ぶりとなるシリーズ第3作。
アラフォーとなったブリジットに訪れる新たな恋がコミカルに描かれます。
元恋人のマーク役でコリン・ファースが引き続き登場するほか、パトリック・デンプシーが新たに参戦。
年を重ねても変わらぬキュートさがたまらないブリジットの魅力が炸裂するシリーズ第3弾をご紹介します。
CONTENTS
映画『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』の作品情報
【公開】
2016年(イギリス映画)
【原作】
ヘレン・フィールディング
【脚本】
ヘレン・フィールディング、エマ・トンプソン、ダン・メイザー
【監督】
シャロン・マグワイア
【編集】
メラニー・アン・オリバー
【出演】
レネー・ゼルウィガー、コリン・ファース、パトリック・デンプシー、ジム・ブロードベント、ジェマ・ジョーンズ、エマ・トンプソン
【作品概要】
大人気ロマンティック・コメディ『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズの第3作目。シリーズ第1作を手がけたシャロン・マグワイアが再び監督を務めます。
アラフォーとなったチャーミングなヒロイン・ブリジットをレネー・ゼルウィガーが続投。元彼のマーク役のコリン・ファースをはじめ、ブリジットの両親役のジム・ブロードベントとジェマ・ジョーンズも再集結しました。
新たな恋の相手・ジャック役でテレビドラマ『グレイズ・アナトミー』のパトリック・デンプシー、ドクター役でエマ・トンプソンが登場します。
映画『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』のあらすじとネタバレ
5月9日。43才の誕生日をひとりきりで祝うブリジット・ジョーンズ。
その12時間前。朝一番に母から電話で子どもを生むようにせつかれた彼女は、飛行機事故で亡くなったダニエルの葬式に参列します。昔の恋人のマークが妻と共に現れたのを見て切なくなるブリジット。
ブリジットと軽く挨拶を交わしてマークは立ち去りました。
いまやニュース番組の敏腕プロデューサーとなったブリジット。しかし若き新経営陣の前でミスをしてしまいます。
友人たちが皆子育てに追われる中、彼女はタフなミランダと週末旅行に行きますが、着いた先は野外ロック・フェス会場でした。長く恋人のいないブリジットに、ミランダは最初に出会った男と寝るように言います。
泥の水たまりで派手に転んだ全身白い服のブリジットを、イケメンのジャックが助け起こしてくれました。彼女は初めて出会った男にときめきます。
ライブで飲んで歌ってはじけまくったブリジットは、間違えてジャックのテントに入り、服を脱いでベッドに入ってしまいます。間違いに気づいて驚くものの、彼女はダンディなジャックと勢いで関係を持ってしまいました。
その1週間後。旧友の子どもの洗礼式に名付け親として参加したブリジットは、同じく名付け親を務めるマークと再会します。マークは離婚調停中でした。ふたりの思いは再燃し、一夜を共にします。
しかし、いつも仕事優先のマークといた頃の寂しさを思い出したブリジットは、それきり彼と連絡を断ちます。
しばらくしてから、妊娠していることに気づいたブリジット。期限切れのコンドームを使ったことが原因でした。
映画『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』の感想と評価
愛の多様性を追求する一作
11年を経てアラフォーとなったブリジットの姿を描く本作では、愛や家族の多様性が描かれます。
独身のまま43才の誕生日を迎えたブリジットの周りの友だちは、子育ての真っ最中です。味方だと思っていたゲイの友人は、パートナーとの間に養子をもらうといいます。
何年も恋から遠ざかっていた彼女は、アラサーの友人に連れられて出会いを求めるフェスに参加し、イケメンのジャックと熱い一夜を過ごすことに。
その数日後、離婚調停中の元カレのマークとも意気投合して関係を持ってから妊娠が発覚し、どちらが父親かわからずにブリジットは困り果ててしまいます。
ここで特筆すべきはブリジットと父親の絆です。母には内緒のまま、彼女は父にだけは複雑な状況を打ち明けます。
すると父は「よくあることだ」とサラリと言い、子どもが生まれるのはとても嬉しいと、一番ほしかった言葉を娘に贈るのです。そして、「大切なのは真実を言うこと」だと娘を諭します。
ブリジットは決して不実なわけではなく、自分を大切にしてコンドームも持ち歩いていました。日が経ちすぎて劣化していたことから大騒動になってしまいましたが、このような困った状況に陥る人は今も昔も少なくないはずです。
しかし、貞操観念を持つ彼女の母は、父とは異なり、最初は世間体を気にして未婚で妊婦となった娘を隠そうとします。
マークもきっと古い思想の持ち主だったと思われますが、最初はショックを受けながらもブリジットへの愛情から状況を受け入れ、自分とジャックのどちらの子であってもブリジットの子を愛する、ありのままの君を愛するように、と言いきります。
対称的にジャックはするりと真実を受け入れます。女性にガードの固いマークと違って、彼の方が女性との垣根が低かったからでしょうか。しかし、ジャックは自分の子でなければ受けいれないと答えます。
会ってたった一晩で父親とならなければならなかったジャックと、長い年月を重ねてきたマークとの絆を比べるのは気の毒です。
ジャックにとっては、ブリジットとの「相性診断」のパーセンテージが良いということが大きな拠り所でした。これは現代ならではの感覚ですよね。
ブリジットは「愛は数字ではない」と言ってマークを選びましたが、今の日本でも婚活サイトなら条件と相性で選ぶのですからあながちジャックを責めることはできません。
前2作では、ブリジットのお尻の大きさがクローズアップされるなどの描写が目立ちましたが、今回はセクハラ的要素はなく、ゲイのカップルの養子、婚活サービス、父親のわからない子どもをどう受け入れるかなど、現代の新しい愛のカタチがフューチャーされ、第2作目と本作の間に流れた11年の時の長さをしみじみ感じさせます。
激痛と戦うブリジットに「痛みを消し去れ」と言うジャック。エマ・トンプソン扮する女医があきれて言う「痛みが消えるわけがないでしょ。」という言葉は、女性たちの胸をスカッとさせてくれます。
そんな中でもブリジットの巻き起こす笑いは健在です。陣痛に苦しむブリジットを、彼氏2人が抱えて走るシーンは爆笑必至ですよ。
まとめ
アラサーの星だったブリジット・ジョーンズが、アラフォーとなって帰って来る本作『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』。ブリジットが幸せになる姿を見届けることができるファン感涙の一作です。
運命のいたずらで同時期にふたりの男性と関係を持って妊娠しても、チャーミングな彼女は彼らから終始愛され続けます。そして最愛の息子という宝物を授かるハッピーな物語です。
ヒュー・グラントが演じた憎めないプレーボーイのダニエルは残念ながら出演しませんが、大事なところで名前と写真が登場し、ブリジットとマークの縁結びとなります。
堂々の完結編。ブリジットの変わらぬ雄姿に笑い、ベビーのかわいさに泣いて存分に楽しんでください。