アルカトラズを占拠したテロリスト集団vs2人の男の戦いを描いたアクション!
マイケル・ベイが監督を務めた、1996年製作のアメリカのアクション大作である映画『ザ・ロック』。
猛毒の神経ガス・ロケット弾を奪い、観光客81人を人質に取りアルカトラズ島を占拠したテロリスト集団。
彼らが持つ新兵器のロケットの照準がアメリカ・サンフランシスコに向けられたことを受け、FBIの化学兵器スペシャリストとアルカトラズ島の内部を知る脱獄囚が密命を帯びて、ロケットの発射を防ぐべくアルカトラズ島に潜入する姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
ニコラス・ケイジら主演3人の好演が見どころとなっている、アクション映画『ザ・ロック』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ザ・ロック』の作品情報
【公開】
1996年(アメリカ映画)
【原案】
デビッド・ワイズバーグ、ダグラス・S・クック
【監督】
マイケル・ベイ
【キャスト】
ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー、エド・ハリス、マイケル・ビーン、ウィリアム・フォーサイス、デビッド・モース、ジョン・スペンサー、ジョン・C・マッギンレー、トニー・トッド、ボキーム・ウッドバイン、クレア・フォーラニ、バネッサ・マーシル、グレゴリー・スポーレダー
【作品概要】
「バッドボーイズ」シリーズや「トランスフォーマー」シリーズ、『アルマゲドン』(1998)などを手掛けるマイケル・ベイが監督を務めた、アメリカのアクション作品です。
「ナショナル・トレジャー」シリーズのニコラス・ケイジと、『アンタッチャブル』(1987)や『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』(1989)などに出演するショーン・コネリー、『トゥルーマン・ショー』(1998)や『ファントム 開戦前夜』(2013)などに出演するエド・ハリスが主演を務めています。
映画『ザ・ロック』のあらすじとネタバレ
アメリカ海兵隊の偵察部隊を指揮する“フランク”フランシス・ハメル准将は、海兵隊の部下たちを率いて、海軍兵器庫を襲撃。
一瞬にして多くの命を奪う猛毒の神経ガス・ロケット弾「VXガス」を15基奪取します。
その後、ハメルたちはかつての刑務所「アルカトラズ(別名ロック)」の観光ツアーに観光客に扮して参加。
民間人の観光客81名が囚人体験のため、職員に牢屋に入れられたのを見計らって、彼らを人質にとりアルカトラズを占拠しました。
ハメルは、1968年のテト攻勢(ベトナム戦争において、北ベトナム人民軍および南ベトナム解放民族戦線による、南ベトナム各地の主要都市に対する大攻勢のこと)以来、共に働いてきた部下トム・バクスター少佐と、彼が連れてきた海兵隊員フライ大尉とダロウ大尉たちと合流。
ヘリを使って搬出したVXガス搭載のミサイルを設置し、刑務所の一角に司令本部を設けました。
全ての準備が整った後、ハメルはかつて湾岸戦争で、自分の指揮下で活躍してくれた部下ヘンドリックス大尉とクリスプ軍曹、バクスターたちに向けてこう言いました。
「今から48時間以内に、我々は人質と神経ガスの弾頭を武器にして、この島から撤退する」
「目的地は犯罪人引き渡し条約の無い国」「作戦への参加報酬は、1人につき100万ドルだ」
「しかし祖国へは二度と戻れない、死ぬより辛いぞ」「我が海兵隊の偵察部隊は、世界各地で非合法な作戦に従事してきた」
「隊員が消息を絶つと、アメリカ国防省は遺族たちに嘘八百の言葉を並べ立て、賠償金さえ支払わない」
「そんな国家の傲慢をこれ以上許すわけにはいかん、我々の手で鉄槌を下すのだ」
そう、ハメルたちの目的は、アメリカ国防省に遺族への賠償金を支払わせることです。
アメリカ国防省は、過去に世界各地で展開された極秘作戦中、国のために命を捧げたハメルたち偵察部隊を見捨て、彼の部下83名を戦死させました。
挙句の果てに、アメリカ国防省は戦没者慰霊式典も、彼らの遺族へ賠償金を支払うことさえもしませんでした。
それに憤慨したハメルは、亡き妻バーバラの墓前で国賊となる覚悟を決め、部下たちを率いて反乱を画策。アメリカ国防省に賠償金1億ドルを要求しました。
「神経ガスを搭載したミサイルをサンフランシスコに発射されたくなければ、指定した口座に遺族への賠償金1億ドルを振り込め」
「マスコミに話したり、支払いを拒否したりした場合はミサイルを発射する」
「支払いのタイムリミットは今から40時間後、明後日の正午」「対抗手段を取っても無駄だ、そっちの手の内は読めている」
この対抗手段とは、VXガスに唯一対抗できる焼却剤「テルミットプラズマ」を、F/A-18戦闘機に搭載し空爆することです。
しかし、テルミットプラズマはまだ試験段階にあるため、すぐに使用することはできません。そのことを、ハメルは知っていました。
そのため、テルミットプラズマによる空爆を防ぐ対抗策として、ハメルは民間人を人質に取ることにしたのです。
ハメルの恐喝を受け、FBI長官ジェームズ・ウォマックはアメリカ国防省のクレイマー将軍とピーターソン将軍たちに、アメリカ海軍特殊部隊「Navy SEALs(ネイビーシールズ)」の派遣を要請。
その上で、化学兵器のスペシャリストであるFBI特別捜査官スタンリー・グッドスピードと、当局に幽閉中の元イギリス情報局秘密情報部部員・兼イギリス陸軍の特殊空挺部隊「SAS」の大尉ジョン・パトリック・メイソンに協力を要請しました。
メイソンは脱獄不可能とされていたアルカトラズから、唯一脱獄に成功した人物であり、アルカトラズへの抜け道など内部構造も知っているからです。
しかし、裁判もなしにアルカトラズ刑務所に収監されたメイソンと、その経緯に関わったウォマックは互いに憎しみ合っていました。
そのためウォマックは、FBIサンフランシスコ支局長アーネスト・パクストンに、メイソンから脱獄に使った地下通路のことを聞き出すよう命じましたが、結果は失敗。
ハメルが指定したタイムリミットまであと24時間。そこでウォマックは、メイソンと同じくらい教養があるグッドスピードに、メイソンとの交渉を託すことにしました。
「これは、司法長官からの赦免状です。あなたを釈放し、自由にすると保証している。私たちに協力することを条件にね」
そう言うグッドスピードに、メイソンは現場の捜査官かどうか尋ねます。「君は現場の捜査官じゃないな?」
「生憎ですが、僕は現場の捜査官です。専門はテロ対策」「すると君は、銃器や弾薬や戦闘に強いわけだ?」「もちろんです」
しかし、グッドスピードはアカデミーで軍事訓練を受けた程度で実戦経験はありません。そんなグッドスピードが咄嗟についた嘘を信じたメイソンは、高級ホテルのスイートルームで、長年幽閉されて乱れた身だしなみを整えることを条件に、FBIからの協力に応じました。
ホテルでシャワーを浴び散髪したメイソンは、ウォマックに和解の握手を求めました。しかしそれは、メイソンの罠でした。
メイソンは初めから、ウォマックが自分を釈放する気はないことを見抜いていました。そのためメイソンは、ウォマックをホテルの高層階から投げ落とそうとします。
ウォマックの救出にFBI捜査官がかかりきりである隙に、メイソンはホテルから脱出。ホテルの宿泊客の車である黒のハンヴィーを強奪し、カリフォルニア通りから西へ逃走します。
ウォマックを無事救出したFBIと、サンフランシスコの街で壮絶なカーチェイスを繰り広げた末、彼らを何とか撒いたメイソンは、サンフランシスコの美術館のそばにいた娘ジェイド・アンジェルと再会しました。
「ジェイド、君は、(イギリスにもアメリカにも国籍がなく身分もなく、消された存在となっている)私がこの世に存在したことの唯一の証だ」
「他人同然の今の関係を変えたい。そのためにはまず、私が悪人ではないことを信じるところから始めよう」
それにジェイドが頷いた直後、メイソンたちの元にFBIが駆けつけてきます。同僚のおかげでメイソンに近親者がいることを知り、彼の居場所を突き止めたグッドスピードが、他のFBI捜査官に無線機を使って知らせたからです。
グッドスピードはFBIが駆けつけるまでの間、2人の会話を近くで聞いていました。そのためグッドスピードは、メイソンの脱獄を疑うジェイドに、FBIが協力を求めた彼を迎えに来ただけと伝えました。
彼の気遣いに感謝したメイソンは、素直にFBIの協力に応じることにしました。ところがメイソンは、ネイビーシールズの指揮官チャールズ・アンダーソン中佐に「実際に現場に行かないと正確に思い出せない」と言い、アルカトラズへの同行を求めました。
当然、ウォマックは猛反対しましたが、アンダーソンに「部下を危険に晒したら、その場でメイソンの息の根を止める」と説得され、やむを得ず彼の同行を認めることにしました。
その頃グッドスピードは、VXガスを無効化させる係として、ウォマックたちからアルカトラズへの同行を命じられました。
映画『ザ・ロック』の感想と評価
VXガスの無力化に挑む凸凹コンビ
アルカトラズ刑務所内のシャワールームで、海兵隊員と激しい銃撃戦を繰り広げた末、アルカトラズに潜入したネイビーシールズが全滅。
そのため、生き残ったグッドスピードとメイソンは、たった2人でVXガスを無効化させ、人質を救出しなければなりません。
最初はFBIに非協力的で、度々逃走を図っていたメイソンでしたが、グッドスピードの必死の説得が功を奏し、サンフランシスコにいる娘を守るために協力してくれることになりました。
それでも戦闘と脱獄に長けたメイソンと、実戦経験皆無のグッドスピードはいまいち嚙み合わず、口論が絶えません。
ですがメイソンは、グッドスピードのことを最後まで見捨てることなく助けますし、またグッドスピードも、彼が力になってくれると信じていました。
そんなグッドスピードとメイソンの凸凹コンビっぷりは面白いですし、2人がサンフランシスコにいる大事な人を守るために戦っている姿はとても格好良いです。
反乱を企てたハメルの最期
アメリカ国防省に見捨てられ、散っていった部下たちとその遺族のために反乱を企てたハメル。
しかし彼は、最初から人質に取った民間人も、サンフランシスコの住民も殺すつもりはありません。
ハメルの目的は、アメリカ国防省を脅し、遺族へ賠償金を支払わせることです。それが達成されたならば、ミサイルの発射を中止し、人質を解放するつもりでした。
関係ない民間人と、若き兵士たちを殺すことは、ハメルの本望ではありません。だからこそハメルは、ミサイルの進路を意図的に変更します。
それに憤慨したフライ大尉とダロウ大尉に反乱を起こされてしまい、ハメルは海兵隊員同士で同士討ちをする羽目に………。
自分の反乱に参加してくれた部下の海兵隊員も、民間人もサンフランシスコの住民も、誰一人失うことなく目的を達成したかったハメルが迎えた最期は、彼の心情を思うと辛く悲しいです。
まとめ
実戦経験皆無のFBI特別捜査官と、アルカトラズを脱獄した元イギリス情報局秘密情報部部員・兼イギリス陸軍の特殊空挺部隊「SAS」の大尉が、アルカトラズを占拠した海兵隊員と激闘を繰り広げていくアクション作品でした。
アルカトラズ戦の前には、サンフランシスコの街で繰り広げられた、メイソンvsグッドスピードたちFBIの壮絶なカーチェイスがあり、車好きにもガンアクション好きにもたまらないアクション場面が満載です。
また作中では、メイソンを裁判もなしにアルカトラズに収監し、当局に幽閉していたFBIの知られざる過去と、アメリカ国防省がハメルたち海兵隊に非道なことをしていたことが明かされました。
どちらも恨まれても仕方がないほど酷いものです。ハメルたちの願いは叶わなかったものの、グッドスピードの計らいによって、メイソンは30年ぶりに自由を手にしました。
マイクロフィルムを手にしたグッドスピードと、姿を消したメイソンがまたどこかで再会し、互いに知った国家の秘密を語り合っていたら面白いですね。
凸凹コンビが猛毒の神経ガスの無力化を目指し、アルカトラズを舞台にアメリカ海兵隊員と激闘を繰り広げる、大迫力のアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。