ニコラス・ケイジ主演で描かれるサムライタウンの大騒乱!
暴力表現へのこだわりや独特なセンスで紡がれる、誰にも真似の出来ない世界観によって熱烈なファン持つ映画監督の園子温。
その人気は日本のみならず世界にも広がっており、暴力表現のプロフェッショナルとして今や日本を代表する映画監督となっています。
今回はそんな園子温監督がハリウッドデビューを果たした最新映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』(2021)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の作品情報
【原題】
Prisoners of the Ghostland
【日本公開】
2021年(アメリカ映画)
【監督】
園子温
【脚本】
アーロン・ヘンドリー、レザ・シクソ・サファイ
【キャスト】
ニコラス・ケイジ、ソフィア・ブテラ、ビル・モーズリー、ニック・カサヴェテス、TAK∴、中屋柚香、YOUNG DAIS、古藤ロレナ、縄田カノン、栗原類、渡辺哲、潤浩
【作品概要】
『冷たい熱帯魚』(2011)などの作品で世界的に熱狂的なファンの多い園子温が、『コン・エアー』(1997)のニコラス・ケイジとタッグを組みハリウッド映画に進出した作品。
『キングスマン』(2015)で義足の殺し屋を演じたソフィア・ブテラや、「マーダー・ライド・ショー」シリーズで印象的な殺人鬼を演じたビル・モーズリーが共演を務めました。
映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』のあらすじとネタバレ
サムライタウンの遊郭、ステラとナンシーと共に自由を求めるバーニスは、秘密裏に車で町を去ります。
しかし、町を出て暫くするとバーニスは強烈な光に飲み込まれ、大きな時計塔の建つゴーストランドを目を覚まし「私は囚人じゃない」と叫びます。
サムライタウンの銀行を仲間のサイコと共に襲撃した男は少年を含む多数を殺害した罪で逮捕収監されていました。
町を暴力で支配するガバナーは、男に自由を条件に「ゴースト」たちに連れ去られたバーニスを連れ戻すことを依頼。
男は睾丸や両腕両脚、そして首に爆弾が仕掛けられたボディスーツを着せられ、5日以内を条件として町を出ていきます。
車で町を離れしばらくすると、男は強烈な光を浴びたことで事故を起こし、ゴーストランドへ運び込まれました。
ゴーストランドの住人は時間が進むことを極端に恐れており、時計塔の時計の針が進まないようにロープで引いていました。
男は町の中でマネキンになり声を発することが出来なくなっていたバーニスを見つけ連れ帰ろうとしますが、町から出たところで強烈な光を放つ「ゴースト」に襲われ、スーツの右腕の爆弾が爆発し気を失ってしまいます。
朦朧とする意識の中で、男は銀行強盗の日の記憶を思い出します。
銀行強盗の最中、薬の服用を怠ったことで狂ったサイコが男の静止を振り払い、少年を含めた多くの人間を射殺してしまいます。
警官隊に囲まれた男はサイコを見捨てひとりで逃走しますが、自身が逃げたことで警官の撃った弾が近くにいた少女に当たってしまったのでした。
目を覚ました男はバーニスがあの時の少女であることに気づくと彼女に謝罪します。
男の謝罪でバーニスは声を取り戻しゴーストランドに戻った2人は、町は国が隠す放射能物質の運搬中に凶悪犯の護送車と衝突したことで核爆発が起き汚染され、それ以降見捨てられた町になったことを知ります。
住民は時間が進むことで再度爆発が起きると考えていました。
一方、サムライタウンでは町に連れ戻されたステラがガバナーの命令で、用心棒であるヤスジロウに処刑されます。
バーニスの親友であり彼女の逃亡に手を貸したスージーは、ガバナーの行動に憔悴しきっていました。
ガバナーの命令に従い続けるヤスジロウも実は遊郭にいる妹を守るためであり、彼に忠誠心の欠片も持ち合わせていません。
ゴーストランドからの脱出を決意した男とバーニスは住民を説得に動きます。
住民は時間を進めるためにはガバナーを殺害しなければいけないと言い、男はケリをつけることを決めました。
映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の感想と評価
園子温ワールド炸裂!狂気が支配するサムライタウン
本作の舞台となる「サムライタウン」は日本の遊郭が存在し用心棒が刀で武装しながらも、保安官がウエスタンの格好で登場します。
和洋折衷の独特な世界観のハリウッド映画は以前にもGacktが出演したことで話題となった『BUNRAKU』(2012)などの作品がありましたが、本作は「園子温節」が炸裂した奇天烈なビジュアルによって未だ観たことのない映像が繰り広げられていました。
本作は時代劇を思わせる町並みを映したかと思えば荒廃した近未来のような風景を映し、そして現代的なスマホや本作のキーでもあるガムボールマシンを印象的に見せることで、徹底的に鑑賞者の脳を揺さぶります。
『TOKYO TRIBE』(2014)で見せたビジュアルでの「暴力」をさまざまな「ギャップ」を駆使し進化させた本作は、監督の持つ魅力が極限まで引き出された作品でした。
プロフェッショナルが魅せるチャンバラアクション
常にアクション映画の前線で活躍し続ける俳優ニコラス・ケイジが主演を務めた本作には、ダンサーとしての驚異の身体能力と俳優としての演技力が評価されるソフィア・ブテラが出演。
前述の2人がチャンバラアクションを披露すると言う情報だけでもアクションファンの心を掴んだ本作ですが、本作にはさらに坂口拓がメイン俳優として参加していました。
アクションコーディネーターとして清野菜名や山崎賢人と言う名だたる俳優のアクション指導を行う一方で、自身もアクション俳優として映画『キングダム』(2019)やドラマ「レッドアイズ 監視捜査班」でヴィランを演じるなど日本のアクションに貢献し続ける坂口拓。
世界のアクションのプロフェッショナルが集う本作のクライマックスは圧巻のチャンバラアクションで彩られており、そこには他の作品では絶対に見ることの出来ない映像が広がっていました。
まとめ
園子温監督の世界観が炸裂し、ニコラス・ケイジの迫真の演技が光り、坂口拓のアクションが冴え渡る映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』。
ハリウッド映画だからこそ実現可能な、どこまでもぶっ飛んだ映像と物語によって彩られるエンターテインメントの暴力的な本作は園子温監督のファンには外して欲しくない作品です。
ぜひぜひ、余りにも独特すぎる本作を映画館で楽しんでみてください。