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【ネタバレ】search #サーチ2|結末あらすじ感想とラスト考察評価。PC画面上で展開するサスペンスシリーズで”Siri”が大活躍

  • Writer :
  • もりのちこ

あなたの行動はすべて監視されている。
インターネットの光りと闇。

ネットやSNSをフルに使って謎を解き、パスコンの画面上で物語が展開していく、サスペンススリラー「search サーチ」(2018年公開)シリーズの第2弾。

ロサンゼルスに住む母・グレイスと高校生の娘ジューン。グレイスは、娘を残していくのを心配しながらも、恋人のケヴィンと南米旅行へ出かけていきました。

帰国予定日。ジューンは空港に2人を迎えにいきますが、いくら待っても帰ってきません。連絡も途絶え、突然消えたグレイスとケヴィン。何か事故に巻き込まれたのかもしれない。

ジューンは、インターネットを駆使し、母の足取りを追います。検索サイト、代行サービス、スマホの位置情報、監視カメラ、銀行の出入記録。調べれば調べるほど、不可解な事ばかりが浮上してきます。

母グレイスはどこに消えてしまったのか。果たして、ジューンは、失踪の謎を解くことが出来るのか。前作を上回るサーチ力!映画『search #サーチ2』を紹介します。

映画『search #サーチ2』の作品情報

【日本公開】
2023年公開(アメリカ映画)

【監督】
ウィル・メリック ニック・ジョンソン

【キャスト】
ストーム・リード、ヨアキム・デ・アルメイダ、ケン・レオン、エイミー・ランデッカー、ダニエル・ヘニー、ニア・ロング

【作品概要】
パソコンの画面上を舞台に、物語が展開していくサスペンススリラーが話題を呼んだ『search サーチ』(2018年公開)から5年。シリーズ第2弾『search #サーチ2』が公開されました。

今作は、前作で監督・脚本を務めたアニーシャ・チャガンティが原案・製作を担い、前作で編集を担当していたウィル・メリックとニック・ジョンソンが共同で監督を務めています。

母を探す主人公ジューン役は、『それでも夜は明ける』(2013年製作)、サバイバルアクションゲームのドラマ化『The Last Of Us』のライリー役で注目を集めているストーム・リードが演じています。

映画『search #サーチ2』のあらすじとネタバレ

ロサンゼルス在住のジューンは、18歳の高校生。母親グレイスと2人暮らしです。パソコンの画面には、ジューンの幼い頃の動画が流れています。

父親のジェームズと楽しそうに遊んでいる幼いジューン。ママの声も聞こえてきました。ジェームズがなぜか鼻血を流したところで動画は終わっています。

いま振り返ると、これが最後の家族旅行となりました。ジューンは、動画の一部をシュクショし、パパの顔を保存します。

今日、ママは新しい恋人ケヴィンとコロンビアに海外旅行に出かけます。もともと心配性なママは、ひとりで留守番をするジューンのことが心配で仕方がありません。

出掛ける間際まで口うるさく約束事をさせられます。「はい、はい」と適当に返事をしながらも、ジューンはパソコンで友達とチャットをしていました。「今夜のパーティーの準備は順調?」。

親のいぬ間にハメを外してパーティー三昧です。ママの幸せを喜ぶ半面、パパを忘れることを寂しいと感じているジューンは、少々飲み過ぎてしまいます。

そんな束の間のパーティータイムも終了です。ママが帰ってくる日。空港まで迎えに行く約束をしていたジューンは、ふざけたプラカードを作り、出口でママを待ちます。

しかし、いくら待ってもグレイスとケヴィンは姿を現しませんでした。スマホも繋がりません。何か事件に巻き込まれたのかもしれない。

グレイスの友達で弁護士のヘザーが駆けつけてくれました。警察に連絡するも、旅行先での出来事のため時間がかかるばかり。

パソコンの翻訳機能を駆使し、2人が泊まっていたホテルに連絡したジューン。監視カメラの映像が48時間で上書きされてしまうことを知ります。

監視カメラで2人がチェックアウトした時間がわかるはずです。警察では間に合いません。現地の代行サービスを検索し、グレイス探しの依頼をします。

担当についたのは、ハビという名のおじさんでした。遠い地の高校生からのお願いに困った顔のハビでしたが、事情を聞き力を貸してくれることになります。

ホテルに聞き込みに行ったハビから、2人は金物店に行ったという情報がはいります。引き続き捜索をお願いします。

ジューンは、ママの恋人ケヴィンのことを調べていました。Googleアカウントを入手し、スケジュールとタイムラインで足取りを追います。

そこには、グレイスと出会うきっかけとなったマッチングアプリの履歴も残されていました。2人は何度かやり取りをし仲良くなっていったようです。グレイスはケヴィンに娘のジューンの相談もしていました。

その時です。ハビから連絡が入ります。2人は錠前を買い、コロンビアの観光スポットに向かったとのこと。ライブカメラのアーカイブで確認すると、恋人の聖地で仲良く鍵を飾る2人の姿が確認できました。

ケヴィンが跪き、指輪をグレイスに渡しプロポーズをしています。まわりの観光客が2人を祝福している様子が伝わってきます。

「2人は本当に愛し合っていたんだ」。ジューンの願いはある真実によって覆されることになります。そう、ケヴィンには、逮捕歴がありました。

以下、『search #サーチ2』ネタバレ・結末の記載がございます。『search #サーチ2』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ケヴィンは、過去に何人もの女性をだましてきた詐欺師でした。その後、行方不明になった人もいます。グレイスの他にも連絡を取っていた女性がいたことも突き止めました。

パーク捜査官からグレイスとケヴィンが観光中に何者かによって車に拉致された映像が送られてきました。

それは、あの橋でプロポーズをした後のものでした。もういちど、映像に映った女性をズームします。そこに映っていたのは、グレイスではなく、グレイスに似た別の女性でした。

事件は一気に動き出しました。グレイスはいったいどこで消えたのか。ネットではこの失踪事件が話題となり、グレイスは一躍時の人に。

グレイスには、娘のジューンでさえ知らなかった大きな秘密がありました。ジューンがいくらネットでママを探ろうとしても出てこないはずです。グレイスは、過去の経歴を抹消し、名前も変えていたのです。

ショックを受けるジューン。マスコミは「グレイスは何者?」と騒ぎ立て、SNSでは様々な憶測が飛び交います。

ケヴィンが連絡をとりあっていたもう一人の人物が特定できました。それは、グレイスの友達のヘザーです。ケヴィンとヘザーは裏で繋がり、グレイスを拉致したのか。

ジューンは、ヘザーのオフィスに乗り込みます。しかし、ヘザーはすでに何者かによって殺されていました。そして、警察に追われていたケヴィンもコロンビアの国境付近で射殺されたと報告がはいります。

真相は闇のまま、ジューンはママからの最後の伝言を聞いていました。相変わらず心配性なママ。ふと自分を呼ぶときによくママが言う単語をGoogleアカウントに入れてみます。

すると、これまで入れなかったアカウントにログインすることができました。スマホのタイムラインから最後の足取りを追います。

グレイスが唯一着信拒否をしていた番号がありました。かけてみると、そこはケヴィンが頻繁に電話をしていたカウンセリング協会でした。

HPでみる協会の建物には見覚えがあります。まさか、最後の家族旅行となった、パパと過ごしたあの場所。

その時です。電話がなります。協会の人物のようです。「気を付けて。そのまま動かないで。今迎えにいくから」。

玄関のモニターに映し出された人物は、死んだはずのパパ・ジェームズでした。「なんで?パパなの?」。

ジェームズは、ドラッグの常習犯で、DV夫でした。ビデオに写っていた鼻血も薬のやりすぎによるものです。

グレイスは、ジューンのためにジェームズから逃げる覚悟をきめます。弁護士のヘザーの助けを受け、アカウントを削除し、名前を変えて生きてきました。

警察に捕まったジェームズは、刑務所に入り、そこで詐欺罪のケヴィンと出会います。お金でケヴィンを雇い、もう一度家族を取り戻すチャンスを伺っていました。

ジューンはジェームズによって拉致されてしまいます。連れてこられたのは、幼い頃のビデオに写っていたあの場所でした。グレイスもそこに閉じ込められていました。

ジューンを守るため必死に抵抗するグレイス。ジェームズは手にしていた猟銃を放ちます。血を流しながらも、割れたガラスの破片をジェームスの首に突き刺しました。

ふらふらと部屋を出て行くジェームズ。再びジューンとグレイスは閉じ込められてしまいます。

急がないとグレイスの命が危険な状態です。ジューンは、ジェームズが自分たちの生活を監視するために用意した監視カメラに気付きます。

パソコンの監視カメラ越しに映っているのは、自分の家に置き忘れたスマホです。「Hey Siri!911に電話をかけて!」。画面の中のスマホが反応しています。

警察が現場に到着した頃には、ジェームズはすでに力尽きていました。親子は無事保護され、平和な日常が取り戻されました。

その後、この事件は、ノンフィクションドラマとしてサブスクで上映されます。自分がモデルとなったドラマを満足げに見終わったジューンのもとに、相変わらず心配性なママからビデオ通話が掛かってきました。

映画『search #サーチ2』の感想と評価

すべてがパソコン上で展開していく、実験的でかつ新しいエンターテイメント作品として評判をよんだ「search サーチ」シリーズの第2弾『search #サーチ2』。

今では生活に欠かせないインターネット。さらにデジタルデバイスの普及にインターフェイスの充実もあり、今作のストーリーが決して映画の中だけのものではないと実感します

使用するSNSやアプリは私たちが普段見慣れているものばかりです。Googleアカウントにログインすれば、スケジュールや予約状況、足取りや購入履歴まで分かります。

主人公がパソコンを駆使し、事件の謎にせまっていくストーリーは前作から引き継がれていますが、今作の主人公は18歳の女子高校生ジューン

さすがZ世代と唸るほど、操作のスピードに親世代は追いつくのに必死です。画面上にいくつも開かれたアプリ、検索しながらリモートで会話。サクサクと無駄のないパソコン操作。

そのスピード感は、新しいアプリが開かれて行くのと同時に真実が浮かび上がる緊迫感を高め、画面上を目で追う速さは臨場感を高めます

普段は心配性な母のことを、うざったく思っていたジューンが、事件をきっかけに母の自分への愛情を知り、最後まで諦めず捜索する姿に応援の気持ちが湧いてきます。

そして、今作でスケールアップした点は、事件が旅行先で発覚したことで、検索が世界規模になっていたこと。

主人公のジューンは、警察の国境を越えた捜査の遅さに、自ら母の旅行先であるコロンビアの代行サービスを頼み、母の捜索を始めます。

雇われたのは、ジューンと同じぐらいの息子を持つオジサン、ハビでした。最初は頼りなさそうなハビでしたが、ジューンのために一緒に母を探してくれます。

ビデオ通話で交流を深める2人でしたが、ハビにとっても、ジューンとの出会いは特別なものでした。息子との仲に悩んでいたハビの背中を押してくれたのがジューンでした。

自宅にいながら、住んでいる場所も言葉も違う者同士が繋がり、交流を深めることが出来る点は、インターネット普及の良い面といえます。

そして、事件はクライマックスに。思いもよらない人物の登場で、ジューンの身にも危険が迫ります。そう、これは初めから仕組まれていたものだったのです。

なぜ母の過去は消されていたのか、紐づけられていた友達や恋人との関係性、そしてジューンの幼い記憶。すべての伏線が一気に押し寄せ回収される様は圧巻です

閉じ込められた部屋からの脱出方法に、あの音声認識・バーチャルアシスタントアプリが使用されたオチは、日本映画『スマホを落としただけなのに』(2018年公開)を思い出したのは言うまでもありません。

まとめ

事件はパソコンの画面上で起こっている。ネット社会ならでは新しいエンターテイメント映画『search #サーチ2』を紹介しました。

冒頭の動画から、クライマックスの監視カメラ映像まで。パソコンの画面上に散りばめられた伏線から、一瞬たりとも目が離せない。見終わった後の爽快感と疲労感。目の疲れにご注意です。

便利なようで危険を伴うインターネット。あなたの行動もどこかで監視されているかもしれません。



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