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Entry 2018/08/27
Update

映画『累かさね』あらすじネタバレと感想解説。ラスト結末まで土屋太鳳&芳根京子の狂演×演劇かもめ&サロメの意味を探る

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『累-かさね-』は、9月7日(金)より全国ロードショー!

松浦だるまの『累』を土屋太鳳&芳根京子のNHK連続テレビ小説のヒロインがW主演で映画化。二人を繋げる男の羽生田役に浅野忠信。共演に横山裕、檀れい、村井國夫と実力俳優が集結しました。


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

美醜という強烈なテーマに演劇というものを大胆に絡めた女の情念の物語。またチェーホフの『かもめ』、オスカーワイルドの『サロメ』という劇中劇にも注目です。

映画『累-かさね-』の作品情報

【公開】
2018年(日本映画)

【原作】
松浦だるま

【監督】
佐藤祐市

【キャスト】
土屋太鳳、芳根京子、横山裕、筒井真理子、生田智子、村井國夫、壇れい、浅野忠信

【作品概要】
松浦だるま原作漫画「累」を『となりの怪物くん』の土屋太鳳と『心が叫びたがってるんだ。』の芳根京子のダブル主演で映画化。

監督には『キサラギ』の佐藤祐市、脚本家には『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐』の黒岩勉と俳優・制作者ともに一級のメンバーが揃った超大作です。

映画『累-かさね-』のキャストとキャラクター


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

淵累(芳根京子)
顔に大きな傷があり、それがコンプレックスになっている。

丹沢ニナ(土屋太鳳) 
美貌の誇る女優、ある事情から活動に支障をきたしている。

羽生田(浅野忠信)
累の母親・澄世とも縁が深い芸能マネジャー。

烏合(横山裕)
新進気鋭の演出家。ニナの憧れの存在でもある。

富士原(村井國夫)
世界的な演出家。


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

映画『累-かさね-』のあらすじとネタバレ


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

淵累(ふちかさね)は大女優の渕澄世を母に持ちながらも、顔に大きな傷を持ち強いコンプレックスの中で生きてきました。

母の13回忌の法要の席で、かつて澄世と親しかったという羽生田という男から声をかけられます。

羽生田は澄世から遺されたある口紅の秘密を知っている男でした。

その口紅を塗って、口づけを交わすと12時間は顔が入れかわる。そのことを知っていた羽生田は累にある女優を引き合わせます。

それが圧倒的な美貌を誇る丹沢ニナでした。ニナはある事情から女優業に支障が出ていてることを伝えます。

羽生田は累の中に人にある、コンプレックスから来ている自分を認めてもらいたいという欲求、衆人環視の中で演技をしたいという欲求があることを見ぬき、ニナとの入れ替えを持ち掛けます。

ニナは羽生田に向かって累をその容貌から化け物と言ってのけ、自身が女優としての階段を上るために利用するだけだと言います。

それでも、自身の執念のような欲求に勝てなかった累はこの条件を承諾します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『累-かさね-』ネタバレ・結末の記載がございます。『累-かさね-』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

こうして丹沢ニナという絶世の美貌と、累という圧倒的な演技力を持った一人の女優丹沢ニナが誕生しました。

それからニナは女優としてのノウハウを累に叩きこみ始めます。そして顔の交換は午前の9時から午後の9時までの12時間とすることになりました。

累=ニナがまず目指したのが、新進気鋭の舞台演出家烏合によるチェーホフの『かもめ』。

オーディションの場で、それまで内側にため込んでいた思いを爆発させた累=ニナは見事、ヒロインの座を射止めました。

舞台稽古の中でも累=ニナという複雑な内面に惹かれる烏合は、やがて一人の女性として累=ニナに魅力を感じ始めます。

一気に距離が近づく累=ニナと烏合に、本当のニナは嫉妬の炎を燃やします。

もともとニナが烏合の舞台にこだわったのもニナ自身が学生時代から烏合に惹かれていたからでした。

演劇雑誌などで2ショットを披露する烏合とニナの顔をした累の姿を、累の顔をしたままで読むニナ。

さらに、累がニナに秘密で烏合と一夜を過ごすことになったと知ると、累からニナの顔を奪い取り烏合との一夜は自分のものにしようとします。

翌朝、秘密の協力関係を解消を宣言した累とニナ。

しかし、その直後にニナが昏倒します。駆け付けた羽生田からニナは睡眠障害を持っていて、時にはいつ目覚めるのかわからないほど眠り続けるのでした。

実際にニナが目覚めたのは5か月の後でした。

累の顔で目覚めたニナ。今がどういう状況なのかわからない状態でした。

そこにやってきた羽生田は、5か月の間、累はニナとして大活躍し続け、現在は世界的な演出家富士原のもとでオスカー・ワイルドの『サロメ』に挑んでいると説明されます。

この5か月の間で累はニナとして生き続け、今や注目の新進女優丹沢ニナといえば、ニナの顔をして日々を過ごす累のことでした。

大きな喪失感を持ちながらも現実を受け入れざる得ないニナは、累との顔の交換を受け入れます。

『サロメ』の稽古が進む一方で、ニナは累とその母親澄世の過去を探ります。

やがて、累の今の顔の秘密、そして母澄世の秘密を知ってしまいます。

澄世もまた美貌を誇る女性の顔を奪い、それに持ち前の演技力を加えて絶対的な存在となったのでした。

累もまた、クラスメイトの美女から顔奪いクラス発表会で中心になった経験があり、顔の傷はその顔を巡ったもみ合いの中で着いたものでした。

『サロメ』の稽古も佳境に入り、累はニナに睡眠薬を飲ませ、無理やり眠らせニナの顔を使い続けます。

『サロメ』初日。通し稽古を終えた累は、さらに12時間ニナの顔を使うために眠り続けるニナにキスをします。

その直後、ニナがすっと目覚めます。すべてはニナが『サロメ』の大舞台で累の正体を露にするために策略でした。

しかし、最初の顔が変わる時間の午後の9時を迎えますが、累の顔は元に戻りません。

劇場に忍び込んでいた累の顔をしたニナは驚きを隠せません。

そのまま暗転サロメの出番はしばらくありません。事の真相を追うために累=ニナを追うニナ。

累はニナの策略を見抜いていて部屋の時計を5分遅らせ、暗転に間に合わせたのでした。

劇場の屋上でニナの顔を巡ってもみ合う二人。

やがてそのまま中二階のテントの上に落下していきます。

一瞬自分の顔に戻った累は改めてニナに口づけをして顔を得ると、後を羽生田に託してサロメの舞台に復活します。

そこにはもはや累とニナの境界線はないように感じさせます。

喝采の拍手を浴び累=ニナは恍惚の表情を浮かべるのでした。


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

映画『累-かさね-』の感想と評価


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

取り上げられた戯曲の意味

原作の丹沢ニナパートを拡大した映画版には、印象的な戯曲が劇中劇の演目として登場するアントン・チェーホフの戯曲『かもめ』とオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』。

前者では累=ニナは女優に憧れるニーナという女性を、後者ではすべてを欲しようとするサロメという女性を演じています。

どちらも、劇中での累=ニナの心情や世の中での立ち位置を分かり易くディフォルメする形で登場しています。

ニーナに至っては丹沢ニナの名前とかぶせています。

映画の中に舞台パートをメタファーとして描くことで、累=ニナの執念のようなものを浮き彫りにするに、うってつけの演出になっています。

もともと主人公の名前を逆さに読めば累(ヶ)淵になるのはお気付きでしょう。

これは女の情念がやがて怨霊となっていく怪談噺のクラシック。異常なまで膨れ上がる女の情念を堪能したい一作。

まとめ


(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

2018年放送されたディーン・フジオカ主演のテレビドラマの本作『累-かさね-』の脚本家を担当したのは黒岩勉。

テレビドラマで『世にも奇妙な物語』『絶対零度〜特殊犯罪潜入捜査〜』『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐』など。

映画では近作で『黒執事』(2014)『悪と仮面のルール』(2018)。テレビアニメでは『ONE PIECE 〜ハートオブゴールド〜』、アニメ映画では『ONE PIECE FILM GOLD』。

どれもが視聴者や観客を楽しませた作品で、サスペンス作品や復讐劇もお手のものです。

原作者である松浦だるまの世界観を巧みに生かした若き女性の愛憎の様子は、まるで2010年公開のナタリー・ポートマン主演作品『ブラック・スワン』をどこか彷彿させるかもしれません。

映画『累-かさね-』は、9月7日(金)より全国ロードショー!

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