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映画『ザスーラ』ネタバレ感想と考察評価。「兄弟愛」と「後悔」の交錯する物語

  • Writer :
  • 糸魚川悟

映画『ザスーラ』ネタバレ感想。ラスト結末までのあらすじ紹介も

少年時代の冒険は、多感な時期だからこそ何物にも代えがたい貴重な体験です。

家庭内で不和が起き、兄弟関係も喧嘩ばかりで上手くいっていない。

今回は、そんな先行き不安な兄弟が命懸けの冒険を通し、兄弟の絆を再確認していくSF映画『ザスーラ』(2005)のあらすじと魅力をご紹介させていただきます。

映画『ザスーラ』の作品情報


©2005 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL TYPE RESERVED

【原題】
Zathura

【日本公開】
2005年(アメリカ映画)

【原作】
クリス・ヴァン・オールズバーグ

【監督】
ジョン・ファヴロー

【キャスト】
ジョナ・ボボ、ジョシュ・ハッチャーソン、ダックス・シェパード、クリステン・スチュワート、ティム・ロビンス

【作品概要】
後に「アイアンマン」シリーズを手掛けることになるジョン・ファヴローが2005年に製作したSFファンタジー映画。

兄のウォルターを演じたジョシュ・ハッチャーソンは「ハンガー・ゲーム」シリーズにレギュラー出演し、姉のリサを演じたクリステン・スチュワートは「トワイライト・サーガ」でヒロインに抜擢され話題となりました。

映画『ザスーラ』のあらすじとネタバレ

6歳のダニーは父とのキャッチボールを4つ上の兄ウォルターに邪魔され、彼と喧嘩してしまいます。

兄に比べ突出した才能がないと自覚するダニー。彼はそのことを父に打ち明けると、想像力なら誰にも負けないと勇気づけられます。

しかし、父に仕事の予定が入り、またしても喧嘩が再開。そして、電話中の父越しに物を投げたダニーのせいで仕事の資料はジュースまみれになり、ダニーとウォルターは歳の離れた姉リサと父の家で留守番をすることになります。

ウォルターと喧嘩し地下室に閉じ込められたダニーは、そこの階段で「ザスーラ」という名前のボードゲームを見つけます。

ダニーがウォルターの前で一人ゲームを始めると「流星群注意、緊急回避せよ」と書かれたカードが出てきます。

そしてその言葉通り、部屋の中には細かな隕石が降り注ぎ、兄弟は暖炉に逃れることでことなきを得ましたが、部屋はめちゃくちゃになってしまいました。

穴の空いた天井から見知らぬ風景を察知した兄弟。やがて玄関の扉を開けると、兄弟のいる家はいつの間にか宇宙空間を漂っていました。

部屋で寝ているリサを起こし事情を説明する兄弟ですが、リサは兄弟の話を信じず聞き入れようとしません。

ダニーはリサの目の前でボードゲームの駒を進めます。すると「乗組員は冷凍睡眠となる」と書かれたカードが出現し、リサは部屋ごと冷凍されてしまいます。

ここに至り、ゲームの説明書きを読む兄弟。そこには「このゲームはクリアする(駒が惑星ザスーラにたどり着く)まで地球に戻れない」と書いてあり、危険だと分かりながらも兄弟はゲームを進めることを余儀なくされます。

ウォルターが駒を進めると「ロボットが故障」と書かれたカードが出現。ウォルターの持っていた小さなロボットが巨大化し、ウォルターをエイリアンだと誤認識し襲いかかってきました。

壁にロボットが激突し、身動きが取れなくなった隙にダニーがゲームを進めます。しかし、「重力が増大」、すなわち重力によってとある星へと接近してしまうカードを引いたため、家全体が星に向かって傾き始めました。

重力のお陰で暴走したロボットは故障し、動かなくなったかのように見えましたが、すぐに故障個所を自身で修理し始めました。ロボットの自己修理が終わる前に何としても惑星ザスーラに着かなくてはならないとウォルターは焦りますが、一方のダニーはパニックの数々にすっかり意気消沈し、ゲームをやらないと言い始めます。

ダニーを説得するため、ダニーの挙げた「いじめない」と「弟のように可愛がる」と言う条件をウォルターは飲み、ゲームを再開します。

次にダニーが引いたカードには「ゾーガンが訪れる」と書かれており、宇宙人ゾーガンの宇宙船が現れ家を襲い始めます。ゾーガンに襲われながらもウォルターは駒を進め、「再プログラム」と書かれたカードを引きますが何も起きませんでした。

さらにダニーが駒を進めると「宇宙飛行士を救え」と書かれたカードが出現し、玄関から宇宙服を身に纏った男が現れます。

彼はゾーガンの「熱に反応する」という習性を知り尽くしており、家中の電気と火を消し、家具に火をつけ宇宙空間に投げることでゾーガンを追い払うことに成功しました。

しかし、宇宙飛行士の男は存外に図々しく、兄弟の家の中をまるで自身の家のような態度で振る舞うため、鬱憤のたまったウォルターは彼を追い出そうとします。

男は自身を出現させたカードを引いたダニーに従うと告げ、ダニーはゾーガンから救ってくれた礼として男を家に滞在させることにします。

険悪な雰囲気のままゲームを再開させる兄弟ですが、ダニーが自分の駒を不正に進めたことが「ザスーラ」のゲーム・システムにバレてしまい、ペナルティとしてダニーではなく順番が回っていたウォルターが宇宙空間に「退場」させられてしまいます。男によってウォルターは助けられ、家の中に戻ることが出来ましたが、ウォルターはダニーへの怒りを募らせていくばかりでした。

ダニーの順になり、駒を進めると「2マス戻る」カードが出現し、同時に氷漬けになっていたリサが規定ターンが終了したことで解凍されます。

状況の飲み込めていないリサは、寒さのあまり、ゾーガンを追い払うために消していたボイラーに火をつけシャワーを浴び始めてしまいました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ザスーラ』のネタバレ・結末の記載がございます。『ザスーラ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ウォルターが駒を進めると、「流れ星に願ったことが叶う」という金色のカードが現れます。

何気ないダニーの一言から、不正の件や両親の離婚などについて彼を責めるウォルター。やがて彼は願い事を決めますが、男にその願いは辞めた方が良いと止められます。

余りの男の剣幕に、ウォルターは動揺してしまいました。流れ星が過ぎた後にも、男は「何を願ったか」と彼を詰問します。

ダニーが見当たらないことに焦った男はウォルターがダニーを消したと思い込み、もうこれで帰れなくなったと叫びます。しかし、ベッドの下からダニーは顔を出し、宇宙飛行士の男にウォルターを責めないように言いました。

驚いた男にウォルターは自分が欲しいと願ったサイン入りのフットボールを見せ、怒鳴った理由を尋ねます。

男はかつて「ザスーラ」を兄弟でプレイし、流れ星に「弟が生まれなかったことにして」と願いました。その結果、「交互に駒を進める」というルールを遂行できなくなり、彼は宇宙を彷徨うことになったのでした。

男の話を聞いた兄弟は共にゲームをクリアすることを誓い合いますが、リサのつけた火によってゾーガンが家に舞い戻り、ボードゲームを奪われてしまいます。

奪われたボードゲームを奪い返すために、ダニーはゾーガンの宇宙船にたった一人で侵入します。何とかボードゲームを取り返したダニーと彼の危機に合流したウォルターは複数のゾーガンに追われて家の中へと逃げ込みますが、そのタイミングで、暴走中のロボットが自己修理を終え動き出してしまいます。

絶体絶命の危機でしたが、ダニーに促されウォルターが「再プログラム」のカードを使うと、再プログラムされたロボットがゾーガンをエイリアンだと認識し、ゾーガンを撃退することに成功しました。

リサと宇宙飛行士の男と合流し、ウォルターとダニーはゲームを再開します。

ウォルターが駒を進めると、出てきたカードは先程と同じ「願い事が叶う」金色のカードでした。彼は男がかつて消してしまった弟を戻すように頼むと、そこに現れたのはダニーと瓜二つの男の子でした。

そう、宇宙飛行士の男の正体とは、「流れ星に願ったことが叶う」金色のカードでダニーを消してしまった世界線のウォルターだったのです。

そしてダニー同士が手を合わせ一人のダニーとなると、男も感謝を述べながらウォルターの中に帰っていきました。

ゾーガンたちが再び家に近づいてきたことに気が付いた3人は、ゲームを進めることにします。

ダニーが進めた駒はついに惑星ザスーラへとたどり着き、「ゲームオーバー」のカードが出現。兄弟は「ザスーラ」をクリアすることに成功しました。

やがて惑星ザスーラの正体である「ブラックホール」へと、3人は家ごと引きずり込まれてしまいます。そしてダニーが目を覚ますと、そこはいつもと変わらない父の家でした。

ウォルターとリサも目を覚まし、何気ない日常に戻れたことを喜びつつも、母の待つ車へと乗り込みます。すると父の家の庭には、宇宙空間に飛ばされたはずの自転車が空から落ちてくるのでした。

映画『ザスーラ』の感想と評価


©2005 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL TYPE RESERVED

「何気なく始めたボードゲームが『書いてあることが現実に起こる』という命懸けのゲームだった」というプロットで人気を博した映画『ジュマンジ』(1996)。

そんな『ジュマンジ』と同じ原作者が描いた同名絵本を原作とし、プロットと雰囲気を受け継いだ「精神的続編」として製作された『ザスーラ』は、『ジュマンジ』と同じ感覚で楽しむことの出来る作品でした。

舞台が「ジャングル」から「宇宙」へと変わり、「アイアンマン」シリーズの監督ジョン・ファヴローらしいド派手なCGを多用した本作。

危険と未知の領域がたっぷりの宇宙旅行と、無茶ぶりだらけの危険なボードゲームへのスリルはもちろんですが、個人的に注目して欲しい部分は「兄弟愛」の物語。

弟のダニーは兄のウォルターに何一つ勝つ部分が無いと自覚しているため、卑屈になり悪戯や駄々をこねることでウォルターの気を引こうとします。

一方で、兄のウォルターは弟の尻拭いや、面倒をみなければいけない日常にうんざりし、内心「いなくなってしまえばいいのに」とすら思うほどのノイローゼに陥っています。

そんな2人が不思議なボードゲームを始め、命懸けの冒険を通し「可愛がって欲しい」や「消えて欲しい」と言う素直な気持ちをぶつけることで、「兄弟」としての絆が深くなっていく家族の物語。

スリルとハラハラ、そして「兄弟愛」と「後悔」の物語が交錯する秀作SFファンタジー映画です。

まとめ

いかがでしたか。

『ジュマンジ』に比べ、暴力表現や恐ろしい描写の少ない本作は子供と観るにもオススメの作品。

子供から大人まで楽しめる「宇宙冒険」の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。


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